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おにんにん

イーブイ一族。


遺伝子が非常に不安定で、育った環境によって様々な姿形に変化を遂げる不思議なポケモンだ。


彼らは各々、自分のなりたい姿を目指して自己研鑽し、大半は望む姿を手に入れるが、中には想定外の出来事や不慮の事故で、望まない姿になってしまう個体もいる。


勿論、一度、進化してしまうともう二度と後戻りはできない。一生その身体と付き合っていくしかないのだ。


そして、この俺もそんな望まない姿を手に入れてしまった情けないイーブイの一匹だ。


イーブイは圧倒的に♂が多いが、中にはかなり女性的な形態を持つ進化先が存在する。


その最たるものがニンフィアだろう。


♂は基本的にニンフィアを選ばない。ニンフィアになってしまった時点で、周りからは♀と勘違いされるようになるし、素で女装しているような姿形に変わってしまうからだ。


俺の第一志望はブースターだった。


可愛いブイズに似つかわしくない巨根の持ち主だった俺は、できる限りチンコが目立たず、かつ♂としても問題ないビジュアルに進化したかったのだ。


他にもサンダースやブラッキーなども♂に人気の種族だが、前者は尻尾の関係上、後ろからチンコの裏筋や睾丸が丸見えになってしまうし、後者も尻尾こそ大きいものの

短毛種の為、やはりちんこが目立ってしまう。


ブイズの性器サイズは進化先にかなり左右されることで知られており、例えば身長0.3mのイーブイが身長0.9mのブースターになるからといって、単純に性器サイズも3倍になるとは限らない。


具体的にはだいたい以下の倍率でちんこがデカくなる。


エーフィー 2.5倍

サンダース 2.2倍

ブラッキー 3.3倍

シャワーズ 4.5倍

リーフィア 2.7倍

ブースター 2.5倍

グレイシア 3.1倍

ニンフィア 3.6倍


種族の比較で言えば、サンダースが最も短小種族で、逆にシャワーズは驚異的な巨根種族と言える。


そのこともあって、自分のちんこサイズにコンプレックスを抱えているようなイーブイは進化先にシャワーズを望むものが多い。


だが俺の場合はシャワーズの倍率でちんこが大きくなると十中八区地面を引き摺ることになるので、シャワーズだけは絶対に避けておきたかったし、何があっても水の石だけは触らないように心掛けていた。


むしろ、そこに意識を傾けすぎていて、他の種族になった時のリスクまではあまり深く考えていなかった。それ程に巨根コンプレックスに悩んでいたということだ。


そして、俺は結局シャワーズを超える最悪な姿を手にすることになってしまう。



・・・そう、なんと俺は可愛さの権化とも言うべき“ニンフィア”に進化してしまったのだ。


ニンフィアに進化する♂のイーブイなんて、世界広しといえど数える程しかいないだろう。しかも、よりにもよって爆根の俺が、である。


♂のニンフィアの個体数がそもそも少ないこともあり、あまり世間に知られていなかったことだが、実はニンフィアも♂に至ってはシャワーズに次ぐ巨根種族だった。


あれだけこれ以上ちんこが目立たないようにと注意を払ってきたにもかかわらず、尻尾もそこまで大きくない短毛の巨根種族、それも容姿は完全に♀。


なぜそんな最悪の進化先を軽視してシャワーズばかりを警戒していたかというと、そもそもニンフィアに進化する条件は非常に複雑で、望んでもなかなか進化できない種族だったからだ。


ニンフィアに進化するにはとにかく“愛を知り、満たされる”ことが大事である、というかなり抽象的な表現が使われることが多いが、事実、ニンフィアの進化は心理的な何かが引き金になっていると言われている。


なぜそんな難解なニンフィアに俺が?と疑問に思ったが、一つだけ心当たりがある。


というのも、ニンフィアに進化したのが、ちょうどオナニーのフィニッシュの瞬間だったのだ。


自分のちんこを愛でて絶頂を迎え、射精という最高に心が満たされる瞬間。それは“愛を知り、満たされる”という曖昧な進化条件と少なからず合致する。


本来、幼体であるイーブイは進化前に思春期を迎えることは少なく、精通も進化後に迎える個体が多い。


俺はチンコがデカいこともあって、幼少期から人一倍ちんこを意識しており、精通もかなり早かった。


性成熟が早かったこともあり、あどけないイーブイの姿にもかかわらず、毎夜、大量射精していたぐらいだ。


どうやら、ちんこサイズや性成熟の早さなど、様々な条件がたまたま変に噛み合ってニンフィアに進化してしまったらしい。



勿論、俺は滅茶苦茶焦った。オナニー進化したその日から、人目が怖くて外に出られなくなり、しばらく引きこもっていた。


そして・・・悩みに悩んだ結果、俺は♂であることを隠し、♀と偽って生きていくことを選んだ。


それは決して楽な選択ではなかったが、それ以上にこの女然とした姿で、3.6倍にも肥大化した爆根を股からぶらぶら揺らしながら外を歩くなんて、堪えられなかったのだ。


外を歩く際は、チェックの洋服に身を包み、服の下にはしっかりドロワーズを穿いて、できる限りお尻側からチンコが見えないようにした。


また、所謂“ラッキースケベ”的な想定外の出来事でチンコに触れられないよう、お嬢様キャラになり切って、周囲に壁を作り、できる限り他の♂が自分に近付かないよう徹底した。


しかし、それだけやっても、やはり不慮の事故というのはどうしても起きてしまうものらしい。


ニンフィアへの進化といい、どうやら俺は相当悪い意味で引きが良いようだ。



数年に一度の頻度で起きると言われている、激甚災害。


地面を流れるダイマックスエネルギーが突如、間欠泉のように噴き出し、新たなダイマックススポットを生み出す自然災害。


それが人気のない平原とかで起きたならば、そこまで被害は大きくならないのだろうが、町で起きた場合は悲惨である。


間欠泉のちょうど中心にいた生命体に、莫大なダイマックスエネルギーが流れ込んで超強大化させ、本人が意図せずとも周囲の町を破壊してしまうことだろう。


そして、よりにもよってそれが俺に起きた。


周囲が緋色に染まり、血が沸騰するような感覚を覚えたかと思うと、まるで跳躍でもしたかのように視界がどんどん高く広くなる。


五月蠅い程に町中を埋め尽くしていた悲鳴や叫び声と言った雑音が徐々に小さくなっていったと思うと、ひんやりとした澄んだ空気が、熱くなった頭を冷やしてくれる。


しばらく何が起きたのかわからなかった俺だが、少し冷静になってから、ふと足元を見て絶望した。


巨大な自分の足に滅茶苦茶に踏みつぶされたビル群。そして周囲に広がるジオラマのような小さな町並み。微かに聞こえるパトカーや救急車のサイレンの音、人々の喧騒・・・。


「み・・・見ないで・・・っ!!!」

思わず俺は甲高い声を上げて、スカートを押さえた。


この時はまだ自分が町を踏みつぶしてしまった罪悪感とか、そんなこと感じる余裕はなかった。


とりあえず真下から人間やポケモン達にスカートの中を見られたらまずい、という気持ちがまず先行したのだ。


いくら下着を穿いているからって、真下から直視されたら、その異様なもっこり具合で♂であることがバレてしまうと思ったのだ。


第三者目線で見れば、今、足元で必死に逃げ惑う彼らに、スカートを覗く余裕はおろか、目の前の巨大生物が♂か♀かなんて考えている余裕などあるはずがないことくらい理解できただろうが、あの時の俺は、まだ自分のスケールの急激な変化に頭がついていけなかった。


それどころか、パニックに陥った俺は、もう普通に隠しきるのは無理と判断し、とんでもない強硬策に出た。


そう、足元の町を全部消してしまえば・・目撃者さえみんないなくなれば、という短絡的な考えを実行してしまったのである。



“みんな死ねばいい”


よくある現実逃避的なリセット思考。それは本来、何の意味も持たない非現実的な思考である。


しかし、この時の俺はその非現実的なリセット行為、つまり大量虐殺を実際にやってのけてしまうほどの圧倒的な力を持ち合わせていた。


ダイマックスエネルギーをたっぷりと吸った身体は1.5㎞ほどに達し、一歩足を踏み出すだけでも、複数のビルが倒壊していく。


それがどれだけの被害を生み出し、どれだけの犠牲者を生んでいるかなんて、そんな細かいことまで気遣えるほど俺は冷静ではなかった。


それに加えダイマックスエネルギーが体中を駆け巡り、より一層攻撃衝動や破壊衝動が抑えられなくなってくる。


数百、数千という被害者をいとも簡単に作り出す無慈悲な巨槌を町に振り下ろすことに何の躊躇も覚えない。


スカートを抑える手は緩み、やがて構えるように、まるで威圧する怪獣のように腕を前に出し、掌を広げる。


びりびり、と下着が破れる音が聞こえる。


俺はこの時、恥じらうどころか、フル勃起していた。


どうせみんないなくなるなら、もういっそのこと足元の人間どもに冥途の土産に俺の“おにんにん”を見せつけてやろうという、そんな気持ちになったのだ。


それは決して投げやりなどではなく、むしろ、ずっと隠して生きていた本当の自分をさらけ出す最高に気持ちの良い時間だった。


スカートの上からでもわかる異様な膨らみ、千切れたドロワーズが垂れさがり、真下からは、ガスタンクのような巨大な睾丸二つと全長350mにもおよぶ、バキバキに血管の浮き上がった形くっきりペニスの裏筋がしっかり確認できる。


スカートを穿いた爆根男の娘ニンフィアに蹂躙される気持ちはいったいどんな惨めなものだろうか。

・・・俺は結局このまま周囲に広がるすべての建物を更地にし、数百万の人々、そしてたくさんのポケモンの命を奪った。


確かに、目撃者はすべて消したし、自分が♂であることを隠し通すことはできた。しかし、その為に犠牲にしたものがあまりにも大きすぎた。


ダイマックスが終わり元のサイズに戻って、自らが破壊し尽くした不毛の大地を見て、漸く俺は自分が犯してしまった大罪に気付いたのだった。


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しかし、彼は知らない。


今回のダイマックス災害で犠牲になった643万人の命、その全員が実は幸福の死を遂げたことを。


彼の特性はメロメロボディ。強力なフェロモンによって問答無用で相手を自分の虜にする恐ろしい特性だ。


それがダイマックスによって大幅に強化されると、いったいどんなことが起きるのか、今回のダイマックス災害は、さながら643万人の命を使った大規模な人体実験となった。


彼の放った強烈なフェロモン。それをあえて別の言葉で言い表すなら“大量虐殺媚薬ガス”だろうか。


ダイマックスエネルギーによってパワーアップし、性別も種族も超えて相手を魅了してしまう恐るべきフェロモン。そして、それを絶え間なく噴き出す巨大な肉体。


人々はその桃色の気にあてられた途端、問答無用で勃起し、もしくは股を濡らしながら、目の前にいる死の化身に吸い寄せられるように這い寄っていき、自ら踏みつぶされいった。


死の瞬間まで目をハートにして、そして命を散らしていったのだ。


特に彼がフル勃起し、我慢汁を垂らし始めてからは、爆根から噴き出す高濃度のフェロモンが町を完全に覆ってしまい、吸い寄せられるどころか、人々はまるで毒ガスを吸ったかのようにその場でバタバタと倒れていった。


絶頂死。


人間や動物たちも、行為中の腹上死や、オナニーのやり過ぎによるテクノブレイクで死亡した例は多数報告されているが、今回の災害においても、643万人ほとんどが過剰な興奮が死因となっている。


あまりに強力なフェロモンを浴びてしまったことで、人体のあらゆる調整機能が壊れてしまい、性ホルモンの過剰分泌や呼吸困難、大幅な血圧上昇による脳出血など、内部から身体が壊れてしまったのだ。


それはもはや毒ガスといっても差し支えないかもしれないが、少なくとも、死に至るプロセスは極めて“優しい”。


できる限り苦しまない死に方という意味では安楽死にも近いかもしれない。


彼らは恐怖や絶望に苛まれることなく、最期の瞬間まで自身の本能的な情愛の波に溺れ絶頂を迎えて死んだのだから。



確かに彼は634万人の命を殺戮した。その事実は変わらない。


しかし、その絶頂の死は、天寿を全うするに等しい幸福な死であったこともまた間違いない。


それはいかにも可愛い容姿を持つニンフィアらしい、慈愛に溢れた大量殺戮だったと言えるのではないだろうか。


おわり

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