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リオルの逆襲-RIOLU STRIKES BACK-第2話『世界を終わらせる発想』

テレポートによって飛ばされた先は、人間の住む町だった。


野生ポケモンがいないという点では、まだ幾分か安全な場所と言えるだろうか。


その中でひと気のない古びた小屋を見つけ、ひと先ずそこで寝泊まりすることにした。


緊張の糸が解け、崩れ落ちるように床に臥した傷だらけの哀れなリオル。


あの森の様子では、自分より先にボックスから消えていった兄弟達ももう生きてはいないだろう。


大好きだった兄や姉、そして「お兄ちゃんお兄ちゃん」と縋ってきた弟や妹の顔を思い出すと息ができない程に胸が締め付けられた。


そして、その度に「なぜ俺たちがこんな目に」、「いったい俺たちが何をしたというのか」という行き場のない強い怒りが心を支配した。


・・しかし、なんでもない。その元凶はすぐ近くにいた。


そう、人間だ。


俺が人間の町の古びた小屋にしばらく長居し、人間達を徹底的に調査して知った事実はあまりにも酷いものだった。



ーもともと人間もモンスターも同じ星から生まれた種の一つに過ぎなかった。


しかし、人間は卓越した知能と科学によって、モンスターを使役することに成功。


生命を電子化する超技術によって、モンスターを一括管理した。この時からモンスターを「ポケモン」と呼ぶようになる。


人間達はポケモンの力を最大限活用し、大きな繁栄を遂げた。その中で、ポケモン達は人間の娯楽としても嗜まれるようになる。


その一つがポケモン同士を戦わせる“ポケモンバトル”である。


ポケモンバトルは世界的な熱狂を集め、ポケモントレーナー、ポケモンブリーダーなどの新しい職業が次々と生まれた。大きな大会では、多額の賞金が出ることもあり、誰もがポケモンの育成に熱中した。


しかし「より強いポケモンが欲しい」、「ポケモンでお金を稼ぎたい」そういった各々の願望は少しずつ世界を歪ませていくこととなる。


徐々にポケモンは人間の良きパートナーとしてではなく、「経済動物」、「資源」、「道具」といった側面で見られるようになった。


人間が栄華を極める中、世界は飽和していき、ポケモンが幸せに一生を享受できるように、といった理想論は影を潜め、より効率的にポケモン達から益を生み出すことばかりが注目されていったのだ。


その最たるものが「厳選」である。


より優れた個体が重宝される風潮の中、素質のないポケモン達は命すら軽視された。行き場のなくなったポケモンの殺処分問題は毎年悪化の一途を辿る。


中には「自然に帰してあげる」などといった偽善で、山や森に捨てられるポケモンも少なくない。当たり前のことだが、自然は野生のポケモンが生息する弱肉強食の世界だ。


そこに右も左もわからない、適応能力もないポケモンを放しても長生きできるわけがない。せいぜい野生のポケモンの餌になるのが関の山だ。


そう、俺や俺の兄弟達がまさにこのパターンだった。


俺の母親は大きな大会で何度も優勝するようなエリートだったが、その素質が見込まれて、沢山の子供を産むように強要された。


毎日、好きでもない♂に抱かれ、子供を産み続け、やがて衰弱して亡くなったらしい。


しかし、彼女のトレーナーは相当な完璧主義だったのだろう。人間達のいう「6V」個体。まさに個の極致ともいえる個体を求め続けた。128匹の兄弟達は彼のお眼鏡には敵わなかった。そして、“捨てた”のだ。



勿論、それを知った瞬間、俺の生きる目的が「その人間の抹殺」になったのは言うまでもない。


生まれて初めて目を開けたあの時の「ちっ・・・5Vか・・・」と言ったあの顔。その意味がようやくわかった。しかし、彼の抹殺は相当な難易度だろうことも同時に理解していた。


倫理を捨ててまで強さを求め続けるトレーナー。


彼が超エリートポケモンに囲まれているだろうことは想像に容易い。そして、おそらく俺達30体を一斉リリースするに至ったきっかけ・・「6V」の兄弟が128匹の屍の上に立っていることも知らず、のうのうと彼の横で生きているはずだ。


俺はそんな素質で上回る彼らをたった一匹で打倒しなければいけないのだ。



ー俺はとにかく自身を鍛え続けた。無限に湧き出る復讐心を原動力に、毎日倒れる程、身体を鍛え続け、また時には地を這い貪欲に「ふしぎのあめ」を探し貪った。


力が付いてきてからは野生のポケモンを片っ端から駆逐し、経験を積んだ。


野生のポケモン達もむしろ被害者側であることは重々承知していたが、自分の兄弟達が実際に虐殺されたように、ここは弱肉強食の世界でもある。


力を得るために、自身の目的を達成するために俺は一切躊躇しなかった。



・・そして5年の歳月が流れた。


鍛え抜かれた肉体は何倍にも膨れ上がり、ルカリオに進化。人間が育てたような甘っちょろいそこら辺のルカリオとは、似ても似つかぬ程の雄々しい体格と、固く引き締まった筋肉に覆われていた。





その頃には、怒りも憎悪も一切風化しないどころか、抹殺の対象が“個”から“種”に移っていた。


確かに、俺を捨てたトレーナーは殺しても気が済まない程に憎い。しかし、彼は氷山の一角に過ぎず、毎年、何万、何十万というポケモン達が意味もなく生産され、そして捨てられている事実がある。


人間を絶滅させなければ、世界は変わらない。自分たちのように苦しむポケモン達をこれ以上増やさない為に、世界を粛正しなければ、そう思ったのだ。


この時、俺はすでに、何十人もの人間を手に掛けていた。


あまりに憎悪に身を置き過ぎたのか、俺の心は殺人快楽者とも言うべき、異常な精神状態に陥っていた。


憎しみの対象である人間を絶命させた時のスカッとした気分。その心地よさが少しずつ癖になり、やがて、血を求めて徘徊するようになる。


相手を死に追いやることに興奮を覚えるだけでなく、あろうことか勃起してしまうような性的倒錯が起きていた。


もともと俺は兄弟の中でも一番男根部が発達していたが、性成熟してからは輪をかけたように成長し、興奮時には40㎝をゆうに超える程の大きさにまで肥大化した。


それは、ポケモンの中でも特にイチモツが長いことで知られるバンバドロの性器長と肩を並べる程である。しかし、俺の場合は更に2足獣特有の人間に近い形状の性器が付いている為、太さ、総体積で考えると、バンバドロの巨根ですら爪楊枝に見えてしまうくらい立派だった。


長さ、太さ、固さ、亀頭の形状の美しさ、射精量、耐久力の6要素、どれをとっても欠点が見つからない、まさに「6Vペニス」とも言うべき最上級グレードの竿。


それを扱くのが唯一の生き甲斐となり、オカズ作りの為に俺は殺人を繰り返した。


人間達から多額の懸賞金をかけられ、常に追われる身となっていたが、その屈強な追手達を撃退しては、成長し続ける復讐の鬼。


殺した時の感触を思い出しながら、血塗られた手でペニスを扱きイく。そんな狂った毎日。


しかし、どれだけポケモンを倒しても、肉体を強化しても、人間を殺しても、“人類抹殺”という大願には一向に近付いている気がしなかった。


はじめは単純に自分の手で一人一人地道に殺していくつもりだったが、あまりに効率が悪い。人間の数は今や70億を超える。今のペースで減らしていては、俺の寿命のほうが先に尽きてしまうだろう。


町単位で人間達を葬る為に、波導弾を核爆弾並みの威力まで鍛え上げることも考えていたが、なかなか思ったようには威力が上がっていかなかった。



想像の飛躍。今まで誰も思いついたことのないような、奇抜な発想でなければ大きな力を手に入らない。


俺は技の研究に没頭した。あくる日もあくる日も、様々なポケモンと戦ってできる限り多くの技を目に焼き付けていく。時には“まねっこ”を使って、技の感覚を身体で掴んでいった。


・・・そしてある時、野生のポケモンが使った“ある技”によって、ついに人類抹殺の糸口が見つかることとなる。


それは高火力の攻撃技でもなんでもなく、地味な補助技の一つだった。


“ちいさくなる”。


自らの身体を縮小し、回避率を上げる技だ。


もともとポケモンという生き物は遺伝子が不安定で、電子化されたり、進化によって急激に身体が成長するような生き物である。


ちいさくなるもその遺伝子の不安定さが成せる高度な技といえよう。


初めはこの技を応用して、自分ではなく、相手を縮小させて踏み殺すことはできないだろうか、という発想に留まっていた。


しかし、“まねっこ”によって、実際に何度も自分も“ちいさくなる”を使ってみて、あることに気付いたのだ。


“ちいさくなる”によって縮小された身体は、一定の時間が経つと元に戻る。


それは小さくなった身体をスタートに考えれば、巨大化した、とも言い換えることができる。


なんとかこの「巨大化」の部分だけを切り取ることができれば、自らの肉体を際限なく巨大化させて町を蹂躙することも容易いだろう。


そして、それは意外にも簡単に実現できた。


相手のポケモンが“ちいさくなる”を使った際、すぐに“まねっこ”するのではなく、むしろ、技を繰り出し小さくなる瞬間は目を閉じて視界に入れないようにしておく。そして、元に戻るタイミングだけを視認した上で“まねっこ”を繰り出す。


そうすると“まねっこ”は都合よく巨大化の部分だけをコピーした。


あえて名前を付けるとしたら“おおきくなる”とでも言えようか。


そして、この技は、この発想は、世界を破滅させるためには十分過ぎるものだった。


“ちいさくなる”という技は、身体を1/10の大きさに縮小することで回避率を大幅に上げるというもので、最大3回まで重複することができる。最大まで積むと1/1000のサイズになる。


“おおきくなる”はその逆で、回避率が大幅に下がる反面、最大まで積むと1000倍の大きさにまで巨大化することが可能なのだ。


ルカリオの平均身長は120㎝・・しかし、俺は限界まで肉体を鍛え上げたことで筋肉が肥大化し、身長も180㎝ほどにまで成長していた。その1000倍となると1.8㎞の巨大生物ということになる。



そして、実際に俺は技を繰り出した。


“おおきくなる”。


世界を破滅させる力を持った最凶の技を・・。


第3話

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