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特注ファールカップ 後編 ②「完」

「持ってますよね?  大会では〝万が一の事故〟を防ぐために着用が推奨されてますし、  アレが無いと男性は不安なのでしょう♪」 「………持ってたら何だ?  まさかアンタも推奨してくれるってのか?」  トウマが言い返すと、マロンは首肯した。 「えぇどうぞ♪」 「!」 「私… よぉく考えてみたんですけどぉ…  そっちの方が〝やりやすいかな〟と思って」 「どういう事だ!?」 「言ったじゃないですか、私の受けた依頼には  〝なるべく一個残すように〟と書かれていたんです。  でも、蹴ってみて感じたんですけど…  やはり戦闘中に〝潰す数〟までコントロールするのは難しいかな、と、  ってゆうか多分タマタマ両方を潰しちゃうと思います。  〝男性の玉〟ってとっても脆いので♪」 「ッッ…」  冷たい視線が股間を射貫く。  これはただの挑発で無いと、彼女の蹴りを受けたトウマは知っていた。 「だからファールカップを着けてくれた方が  うまい具合に一個だけ潰せるんじゃないか、って思ったんです。  知ってますか? ファールカップといっても万能ではなく、  ピンポイントに強く打てばけっこう潰せるんですよ」 「……」  今この部屋にあるのは最新ともいえるファールカップであり、  女性のマロンがその性能を知っている可能性は低い。  しかも、動きの邪魔にならない超密着型なので、  着けられるのなら着けた方が良いに決まっている。  ただし、着けている隙に狙ってくるかもしれない。  顔に出るほど悩んでいるトウマを見て、  マロンは背中が扉につくほど後退した。 「警戒しなくてもいいですよ。ほら。  この距離なら安全でしょ」 「……」 (確かにこの間合いなら―――― よし)  油断せず、ずばやく荷物の中からファールカップを取り出すと、  一つの問題点が頭をよぎった。  ファールカップを付けるという事は一度ペニスと陰嚢を丸出しに  するという事、後ろを向いて装着すればお尻しか見られないが、  敵に背を向けるのはこの間合いでも危険だった。  何しろ後ろを向けば陰嚢を後ろから蹴ってくるかもしれない。 (くッ… 今さらそんなこと考えるな!  睾丸が潰されるかもしれない勝負の最中だぞ。  それにあの女だって〝マッサージ〟を誘ってくるくらいなら  チンポも金玉も見慣れてんだろ。 変に意識するな)  マロンの動きに注意を払いつつ、平静を装い、  出来る限り速やかにズボンとパンツを降ろした。      ぬぎ…             ぶるんっ♂    男の証が零れ落ちても気にしない。  むしろ見たければ見ろ、といった感じで堂々と晒し出し、  ファールカップを装着していく。 「―――ん!」  ここでマロンもそのファールカップが異様にコンパクト  であることに気付くが、大人しく装着を見守った。         彼女は、性行為の前にコンドームをいそいそと装着する  男の姿が好きだった。   下半身はギンギンに子作りの準備をしているのに、  上半身は避妊具を使ってそれを阻止するという歪な姿が…  ただ気持ち良くなりたいだけの滑稽な姿が大好きだった。  今のトウマも〝それ〟に通ずるものがある。  大事な子種を守るため、という理由もあるが、  〝男の一番幸せな瞬間〟を守るために玉袋をカップで包み込む。  哀れで可愛い〝男の準備〟を眺めるマロンは悦に浸っていた。 「――――!? お、おい」  急にベットルームに入ってくるマロンを見てトウマはギョッとする。  ファールカップの装着は終わっていたが、まだパンツすらはいて  いなかったので構えずに声をかけたのだ。 「……もう〝そのまま〟で闘ってもいいんじゃないですか?」 「ふッ ふざけるな!」  トウマが急いでパンツを拾おうとすると、  何故かマロンはそれを許してくれなかった。 「おっと♪」  拾う間もなく蹴りが飛んできたのだ。 「何しやがる!」  トウマが飛び退くと、パンツとズボンを拾い上げたマロンは  横にあるベットへと身を投げ出した。   ――ぼすっ  さらに、トウマの服を体の下に敷くように仰向けに寝る。 「さ、いらっしゃい♡」  ベットの上で美女が妖艶に手招く。    どう見ても性的な意味での「いらっしゃい」だった。 「………まともにやったら勝てないから〝色仕掛け〟か?」 「そうです。 か弱い女性ですので…  小細工を使わせていただきます♪」  本人も認めているように〝色仕掛け〟には違いないが、  トウマの睾丸を潰すという目的に変わりはない。  全ては依頼達成のため。  ベットに横たわったのも…… 「あ、そうそう、私も脱ぎますね♪」 「ッ!!」  スリットスカートを脱いで黒い下着を魅せるのも…… 「あと〝こっち〟も… ちょっと熱くなってきたので…♡」    胸元のボタンをひとつ開けて深い谷間を覗かせたのも…… 「ッッ… 品の無い奴め」  依頼を絶対達成するという高いプロ意識による行動。  〝色仕掛け〟は実力で優る男に勝つための〝知恵〟なのだ。   ―――ぱさぁ♡   脱いだスリットスカートをトウマの足元へと投げつけ、  濃艶な下半身をくねらせて手招いた。 「ベットに寝ている女性をいつまで待たせるのですか?  まぁ…〝その姿〟は確かに恥ずかしいですからねぇ…  よかったら私のスカートお使いください♪」  足元のスカートを見たトウマはカァっと顔が赤くなった。  怒りもあったが、恥ずかしさの割合が大きかった。  コンパクトなファールカップを付けた今の格好は  白いTバックをはいているようにも見え、そんな姿が  〝恥ずかしい〟と思われていたのだ。  女が、金玉を守る防具で身を包んだ男を見て、恥ずかしいと。 「このッ… 言わせておけば!」  ずんずんと力強く歩を進め、ベットのすぐ横へと立つ。  それもマロンは構えもせずベットに寝ているだけ。  一見するとトウマが圧倒的に有利なポジション。  ただし。 (これは… 思った以上に攻めづらい位置だな)  かの有名な異種格闘技戦でも起きた現象だが、  寝ている相手というのは意外なほど攻撃しづらいのだ。  空手家のような打撃専門にとっては特に。 「んふ♪ さぁ、早くぅ♡」  パチンと更に胸元のボタンを開けると、  大きな乳肉を包む黒い下着が丸見えとなった。 「ぬッ…」  ベットの上とはいえ、今のマロンの位置は殴りにくく蹴りにくい。  かかと落としか――? とも考えたが、睾丸を潰すと宣言している  女の前で大股になるのは危険だった。  ファールカップがあってもこの女は何をしてくるか分からないからだ。 (寝技なら女を殴らなくて済むし、体格の大きい俺が圧倒的に有利だけど、  寝技の経験なんてないし、この女も〝自称〟空手家なだけで  実は寝技の方が得意なんて可能性もある)  最後の一歩が踏み出せずにいるトウマだが、彼の気付かぬところで  マロンの策は着々と進んでいた。 「え!?」  マロンがこちらに流し目を送りながら  黒い下着の紐を指でつまみ…   すすす………♡  ゆ~っくりと降ろしていく。 「お…」  おい! と言えなかったのは露わとなる〝秘部〟に  目が釘付けとなっていたから。 「う……わ…ぁ…」  子供のような驚き声を出すトウマに対し、  マロンは足先まで下着を降ろした指をすーっと秘所へ  持ってゆき、恥丘の曲線をいやらしくなぞった。 「あ、はん♡」  トウマは童貞。  動画や画像などで見た事はあったが〝実物〟は初めてであり、  極度の興奮から思考が次々に入れ替わる。 (毛が無い…! 手入れしているのか…  穴というか… 割れ目…?  竿も玉袋もぶら下がってない… 当たり前だ。  色は…ピンクというより…薄い桃色…  アソコに挿れたら… あのフェラよりもっと気持ちいいんだよな…)  〝男の目的地〟を前にした童貞の脳が高速回転し始める。  もちろん子種を作る玉型の工場もフル回転だ。  ……むく 「あ…」    まずいと感じた。  〝並みの状況〟ならば思考が飛び、ベットにも飛びかかっていただろう。  そうならなかったのは〝この女は睾丸を潰すのが目的〟という  絶対に見失ってはならない事実があったからだ。 (い、挿れたい…こんなムラムラするのは初めてだ…  だが、駄目だ! 落ち着け! 金玉を潰されたいのか!  勃起したとしてもファールカップは取っちゃ駄目だ!  けれど… このままアレを見続けるのも危険だ、  先手を打たないと―――)  トウマがベットに飛びかかった。  犯すためではなく、倒すために。  ―――どすっ  彼が選んだ道はマウントポジション。  トウマの体重はマロンの約1.5倍。  ベットがぎしりと軋み、マロンも「んん…」と苦しそうな声を漏らす。 「この体重差でこっからの逆転は不可能だ。  大人しく負けを認めろ。 そうすればその綺麗な顔を殴らないでやる」  逆に負けを認めなければ殴る! といった感じに握り拳を見せた。    「大事なトコロまで見せたのに、打ち込むのはアレではなく拳ですか、  自信なくしますねぇ…」 「うるさいッ さっさと答えろ!」  この馬乗りポジションならばマロンの秘所を見なくて済む。  本当はもっと見たいが今は害にしかならない。  トウマは考えていた。 「そうですね、私の答えは―――」  マロンは… トウマ以上に考えていた。 「――コレです♡」  黒いブラジャーを強引にまくり上げ、  見事なサイズの美乳を開放したのだ。  ―――ぶるるん♡  双乳が左右それぞれ逆方向へこぼれ落ちていく。  男の目はオッパイに吸い寄せられるように出来ており、  2秒ほど魅せつけたマロンは左右へ広がった乳肉を  両手ですくい合わせて色々と挟めそうな谷間を形成する。 「次はそちらが応える番ですよ♪」  トウマは無意識のうちに腰を前進させていた。  この体勢は試合ならばマウントポジションだが、  〝夜の試合〟であればどう見ても馬乗りパイズリなのだ。  ファールカップの先、あと少しでチンポを挿乳できる距離。  マロンほどの美女がみずから谷間を作ってまで微笑みかけている。  秘部と同様に綺麗な乳首をつんと立てながら  プルプルと揺らして誘っている。  男ってこういうのが好きなんでしょ―――♡    大きなオッパイにチンポ挟まれただけで幸せなんでしょ―――♡  ほらほら♪ あとちょっと腰を進めるだけで入っちゃうよ―――♡  いやしい男のスケベなロマン、パ・イ・ズ・リ♡したくないの―――♪  マロンの乳が、目が、表情が語り掛けてくる。 「はぁ… はぁ…」    ぐぐぐ… ぐぐ…  もはや海綿体が充血するのは健全な反応といえた。 「――― 」 (よし♪ 男の目が〝エッチモード〟に入った)  ファールカップ着用を勧めた時からここまで全てが作戦。 (あとはファールカップ内のおチンポがギンギンになった瞬間を狙って…)  数多くの男と戦い、誘惑してきた彼女は  ファールカップの〝利用方法〟も熟知している。  〝平常時のペニス〟には使えぬ方法だが、  カップに強く押し当たるほど勃起した状態であれば  ペニスをカップ越しに破壊する手段があるのだ。 (正面から強く打つ。それだけで衝撃は〝カップを支える肉棒〟へと  伝わり海綿体の組織を断裂させる事が出来る)  実証は過去に対戦した男で済んでいる。 (更に打ち込んだ拳でそのままカップを掴み、  手前に引きながら横へズラせば簡単に片タマが  こぼれ落ちるから…… それを握り潰す)  格上の男を倒す完璧なプラン。に見えたが… (え!)  トウマの持つファールカップは材質から違っていた。 (何あれ…! カップの先が… ペニスの形に膨らんでいく…!?)  ナツカワと助手が説明したように、このファールカップは  使用者の勃起にも対応している。  詳述すると、これまでのカップと違って柔軟性があるため  膨らんだペニスに合わせて〝ある程度〟変形してくれるのだ。 (こ、こんなファールカップがあったなんて…!)  マロンは一流の〝便利屋〟だが、同時にファールカップとは  無縁の女性でもあり、つい最近開発されたばかりの  特注限定ファールカップなど知らなくて当然だった。 (こ、これじゃペニスを打っても折れるか分からない!  折らなきゃカップを掴んでズラす隙が出来ないし… 作戦失敗?  い、いや、落ち着くのよ… 誘惑は成功している)  予想外の事態に直面した時、既定プランを即座に  変更するのもプロには重要な能力。 「はぁ… はぁ… はぁ…」  ファールカップがバナナ型に盛り上がり、  トウマの息がどんどん荒くなっているのを見たマロンは   次の策を組み立てた。 (この男… すぐにでも射精しそうな感じね……  だったら一度〝挟ませて〟アゲルわ♪  そして睾丸を潰すのは射精したその直後!  向こうも射精した瞬間に攻撃される危険性は知ってるから  警戒されてるかもだけど… それでも狙うはその瞬間!)  射精の瞬間はどんな男でも大きな隙が生まれる。  警戒されていようとパイズリで意識が飛ぶくらい  射精させればイケるはず。 そう自分に言い聞かせる。   「トウマさんのおチンポ… パイズってもいいですか♡」  最後のひと押しとして左右の巨乳をスリスリと擦り合わせた。 「はぁッ はぁ… はぁ… はぁッ」  カップに守られている双玉はグッツグツに煮え滾り、  貯蔵量は三時間前の自慰以前より多く、真っ赤に膨らんだ  亀頭からは高濃度の我慢汁が溢れまくっている。 「はぁッ はぁッ はぁッ あ……」  マロンから送られた最後のひと押し。     それは… 〝狙いとは違った〟ひと押しになってしまう。 「―――え!」  性経験の豊富なマロンはすぐに気付いた。  男の蕩けた顔と「うっ…」という特徴的な声、腰の脈動、  そして漂ってくる独特の臭い。 「トウマさん……もしかして…」 「あ…ああぁ……♡」  トウマは、ファールカップの中で射精していたのだ。  どぴゅるるる… どぷぷぷっ びゅるる…… 「えぇ~」  これにはマロンも素で落胆の声が出る。 (た、確かにすぐにでも射精しそうって思ってたけど…  カップとの摩擦でイクなんて…… 早漏(はや)すぎる)  マロンはまた勘違いをしていた。  従来のファールカップであれば勃起しても当たるのは  先端部分のみだったが、トウマの超密着型はペニス全体を包み込む。  加えて、助手が言ったように〝ペニスにとって心地良い素材〟で  作られているため、勃起した肉棒全体がギュギュ~♡っと  優しく圧迫されるのだ。  もちろんこれだけで射精する男はまずいないが、射精寸前のペニスから  溢れる我慢汁によってヌルヌルも加わり、ちょっとした  オナホールの役割を果たしていた。 「はぁ… あぁ……♡」   びゅるるるうるっ…  びゅびゅっ   これでは童貞のトウマが暴発してもおかしくはない。 「う…… あぁぁぁ 」   どぴゅるるるるっ     早漏には違いないが。 (くッ また予想外の事が起きるなんて… あぁもう!)  再びプランを崩されたマロンは賭けに出た。 「この!」  最初のプランへと切り替え、まずは陰茎の破壊を狙ったのだ。  ―――ゴッ!!  馬乗りになる男の股間へと力の限り殴りつけ。 「はぐぅッ!?」  狙い通りバナナ型の膨らみへと右拳が命中するが、  海綿体を断裂できたかというと。 「な、なにしやがる!」  〝勃起したペニスにも対応〟というナツカワの言葉に嘘は無かった。  勃起した逸物へとかかる衝撃も分散されたのだ。 「ちッ」  それでも果敢(かかん)にカップを掴もうとするが。 「させるか!」  中途半端な攻撃が〝気つけ〟となり、  逆に右の手首を握られてしまった。 「やっぱり狙っていたか… 危なかったぜ」 「……たっぷりとお漏らししといて危ないも無いかと思いますが」  悪態をつくマロンだが、頬には冷や汗が滲んでいる。  馬乗りにされて――― 右手を掴まれて―――  ファールカップも着用したまま―――  正直、もう打つ手が見つからなかった。 「何とでも言え、その代わりこっちも打たせてもらうぞ。  チンポを殴られたんだからな」  さっきまでの興奮状態から一転、大量に射精した男は  いたって冷静であり、マロンは「やられる」と歯を噛み締めた。  その直後。 「「!」」  お互いに違和感が走った。  マロンは何か熱い液体がお腹に付着する感覚。  トウマは何やら股間がスース―する感覚。 「「あ」」  二人がその違和感に目を向けると…  トウマのファールカップがズレて隙間から精液が漏れ出しており、  下に居るマロンの腹部へと垂れ落ちていたのだ。 (なッ 何でこんな――― あ!)  トウマの脳裏に〝あの忠告〟がよみがえる。  【トウマさんの〝膨張率〟は男性平均の1.4倍を上回ってますので   もし勃起したらカップがズレる可能性があります】  試合中に勃起するはずがないから大丈夫と  途中で切り上げたあの忠告だ。 (しまった!)  ここへきて予想外の事態がトウマにも降りかかり、  その一瞬が勝負の分かれ目となった。 (よく分かんないけど… チャンス!)  マロンが上体を起こして左手を伸ばす。  狙いは、カップがズレたおかげで見えた〝右の玉袋〟だ。  ―――にぎっ! 「ふぉお!?」 「えへへ♪ や~っと捕まえました 」  精液まみれの玉袋は気を抜くと指から逃げてしまうため、  マロンは指ではなく爪をしっかり立てて睾丸を確保する。  ギリリリ… 「や、やめ―――」  〝男の命乞い〟をじっくり聞くのも好きなマロンだが、  彼女も態度ほど余裕は無く、一気に潰しにかかった。 「やめませーん♪」          …ぷじゅっ  五本の爪が牙の如く睾丸を噛み砕いた。念入りに。 「◎×▼○×※●△ッッッ!!!!」  トウマの腰がビクンと飛び跳ねてベットから転げ落ちる。 「あッッああぁッッ…!」  ヨダレと精液を床に撒き散らしながらゴロゴロと  のたうち回る痛々しい姿は〝痛みとは無縁〟の女だからこそ  笑って見ていられる。 「アハハ♪ トウマさんを〝半殺し〟にしちゃいました♡」  潰した指で腹部に付いた精子をすくい取り、  ペロっとエロティックに舐めるが、トウマはそれどころではない。 「あッ ぐッッう…」  地獄のような激痛、しかし気を失ってはいない。  片タマは潰れたが、手や足は無傷といってよかった。 「お医者さんを呼んであげますから下手に動かない方がいいですよ。  こちらとしても大会を棄権されるのは避けたいので」  マロンは精液をふき取り、身を整えてからスマホを取り出す。  だが掛けたのは救急の番号ではなかった。 「―――もしもし。 終わりました。  …えぇ…はい… 今夜中に治療すれば  10日後の大会にはぎりぎり間に合うかと」  そして動かなくなったトウマを一瞥する。  両手で押さえているカップの先が元通りとなり、  漏れている精液が少し赤みがかっているのを確認すると  マロンは「ふふ…♪」っと笑った。 「――それと、要望通り片方の睾丸は残しておきましたので、  次の大会の時にまた同じ手で弱体化させることも可能です。  ……えぇ、潰したのは右の玉だけですわ。  ふたつしか無い大切な玉ですもの、効率的に使いませんと、ねぇ♪」      この日、日本が誇る空手家の睾丸が潰されるという事件が  起きたのだが、潰された相手、潰されるまでのやり取り、  そして精液の飛び散った現場はとても報道出来るものではなく、  本人の希望もあって日本国内で報じられる事は無かった。


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