本作品にはイケメン即堕ち、乳房肥大、オナホ宣言、母乳噴射等が含まれます。 ―――――― ■ ふたりきりの控室。 張り詰めた緊張を破ったのは彼の震え声だった。 「凛世、本当にすまない」 自分がふがいないばかりに、と肩を落としてうつむく彼に、少女は「顔をおあげください」と語りかける。その声は、どこまでも優しく透き通っている。 「これは……凛世が自分の意思で引き受けると決めた仕事……。ですので、プロデューサーさまが謝られる必要は……どこにもございません……」 艷やかな黒髪。雪白のすべらかな肌。澄んだ瞳。細かな所作のひとつひとつからも育ちの良さが匂い立つ。折れそうに華奢な体に藍の和服をまとい、背筋を伸ばして椅子に座ったその佇まいの典雅さは、千言を尽くしても言い表せない。 283プロダクション所属アイドル、杜野凛世。古式ゆかしい「大和撫子」を体現したような彼女がこれから臨む仕事は、しかし、楚々とした雰囲気からはまったくかけ離れたものだった。 コロナ禍で急速に変化した社会。無論、芸能の世界も例外ではない。283プロダクションは、小規模であるがゆえに時局に柔軟に対応することがかなわず、経営不振に陥り、多額の借金を背負ってしまった。 倒産までの秒読みが始まったところで、国内のとある資産家の男が借金の肩代わりをプロデューサーに申し出てきた。その代わりとして提示された条件――それは、男が出資して製作させているWEB番組に凛世を出演させろ、というものだった。 地上波では絶対に放送できない、性的な要素を多分に孕んだバラエティ、いわゆるエロバラだ。「本番以外何でもアリのインモラルバラエティ」――そんな謳い文句の番組は、良識ある人間たちから壮絶な批判を浴びながら、それを圧倒する人気を博して様々なセクハラの犠牲者となるのは、いずれも売出し中の女性アイドルばかり。セクハラにとどまらず、さらに直接的な行為がおこなわれることも少なくはない。 283プロダクションを救う方法はそれだけしかない。しかし、大切なアイドルをそんな低俗な番組に出演させられるわけがない。煩悶に憔悴していく彼に、凛世は仕事を引き受ける旨を伝えた。自分が犠牲になることで、仲間たちが、そして密かに恋い慕う彼が救われるのならば、そこに迷いなどあろうはずがなかった。 凛世の決断に、彼は何度も頭を下げ、謝罪と感謝を幾重にも重ねた。 興奮すればするほど乳房が巨大化する薬剤を注射して、薬の効果が切れるまでのきっかり30分間、見目に秀でた――イケメンと過ごす。それが、これから凛世が出演する企画の趣旨だ。 凛世の乳房のサイズはAカップ。さすがに人に比べて小さいという自覚はある。制作者たちは、控えめにすぎる隆起が無様に膨れ上がっていくところを笑いものにしたいのだろう。しかし、そんなことにはならない、と凛世は知っている。 凛世と共演する「イケメン」とは具体的に誰なのか。企画書に名前の記載はなく、リアリティを大切にしたいからとリハーサルも行われないため、それはわからない。誰であるにしろ、関係はない。これまで仕事で数多くの「イケメン」と仕事をしてきた。顔立ちが優れている、と思うことは多々あったが、彼らの端正さに心を動かされたことはない。 凛世の心がときめく男性は、この世にただひとり――目の前にいる彼だけだ。 「心配の必要はございません……」 凛世は彼に向かって微笑みかける。 「今回の仕事も……これまで通りに……凛世らしく、させていただくだけ……。プロデューサーさまは、どうぞ安心して……そのさまをご覧ください……」 柔らかな口調で発された力強い言葉。それを耳にして、彼の目にも輝きが戻る。 「そうだな。俺は凛世を信じるよ。――収録がおわったら、ふたりで食事に行こう。どこに行くか、考えておくよ」 「楽しみにしております……」 表面上は平静を装いつつ、恋い慕う男との食事に心を踊らせる凛世――彼女はその恋心がもうじきに粉微塵になることを知らない。 ■ 「うぇい、どーも!」 司会者であるお笑い芸人の挨拶から、番組は始まる。 地上波でもそれなりに見る顔だ。大して面白いことは言えないのに、威勢だけはいい男――挨拶に続く短いトークも、その悪印象を拭うものではない。 撮影が行われているのは、どぎつい桃色の間接照明が光、ハート型の寝台を備えたセット。寝台の枕元には、ご丁寧にもティッシュの箱が用意されている。ラブホテルの個室を意識しているのは明白だろう。 撮影スタッフは全員が男性。どの顔もだらしなく弛み、好色が滲み出ている。 「それじゃ、前置きはこのへんにして、今回の主役かもーん!」 脳天気な声に促され、凛世はカメラの前に進み出る。私服であり今回の収録の衣装でもある和装は、セットの禍々しさから浮き上がっている。藍の布地は、照明の桃色に毒され、いわく言い難い、淫らな色に染まっている。心の深い部分を穢されているような不快感を押し殺すのに、多少、忍耐が要った。 「283プロダクション所属……杜野凛世でございます……。本日は……よろしくお願いいたします……」 簡潔な自己紹介の後、凛世は典雅に一礼した。 芸人が、早速あれこれと際どい質問を投げかけてくる。「お風呂ではどこから洗うの?」「初潮はいつ?」「オナニーは週何回?」「どこがいちばん感じる?」「初体験は済ませた?」……地上波ならば、発した側が炎上どころか消し炭になるであろう問いかけを、凛世は一切表情を揺らがせることなく、「ご想像にお任せいたします」「ノーコメント……でございます……」とかわした。 それじゃ、最後の質問、と芸人は言う。 「凛世ちゃんは何カップかな?」 それは、と答えようとした凛世にかぶせて「ごめんごめん」と芸人が謝った。 「聞くまでもなく、Aカップだね。しょっぼ〜」 嘲笑も、凛世の心を乱しはしない。直接言われたのはこれが初めてだが、ネットでは、胸の貧しさについて、もっとひどいことも平然と呟かれている。心の強さを自慢する気はないが、この程度で動揺していてはアイドルはつとまらない。 「そんな凛世ちゃんにやってもらう企画はこちら――『興奮すればするほど胸が大きくなるお注射してイケメンくんと過ごしたら、ド貧乳アイドルはどうなっちゃうの?』です!」 芸人がカメラにむかって企画の説明を行う。 意気込みは、と尋ねられた凛世は、先ほどの質問が最後ではなかったのか、という言葉を呑み込み、「みなさまのご期待を裏切る結果になるかと思います」と微笑み、スタッフたちをどめかせた。 その後、現れた医師が、凛世の腕に注射を行う。それと同時に、壁に設置されたタイマーが「30:00」からカウントダウンを開始した。タイマーから視線を移した凛世の胸は、当然、何ひとつ変化していない。「00:00」が表示されたその時も相変わらずそのまま――であるはずだ。 「それじゃ、早速お呼びしちゃいましょうか。芸能界最強のイケメンと言えば、やっぱりこのひと――!」 芸人の煽りに続き、スタッフの喝采を浴びながら、ひとりの男がスタジオに現れ、セットへとやってくる。 「どうも、◯◯でーす♡」 国民的な俳優と女優を両親に持つ二世タレントだ。 そのとんでもない横暴ぶりは、業界内ではよく知られている。スタッフなど虫けらとしか思っておらず、暴言や暴力は日常茶飯事。共演者であっても、気に入らないことがあれば何をされるかわからない。 そんな悪評が知れ渡っていてもなお、女性人気の高さは凄まじい。その理由はひとつ――親譲りの秀でた外見だ。その容姿に魅了された女たちにとっては、眉をひそめるようなエピソードの数々も「愛すべきやんちゃ」に思えてしまうらしい。 愚かしいことだ、と凛世は思っていた。 だというのに――それなのに――。 (か、格好いい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ♡) 凛世は反射的に思ってしまっていた。 (は? は? は? 嘘嘘嘘♡ 格好よすぎなんだけど〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ♡) メディアごしには何度も見ていたが、会うのはこれが初めて――直接目にする彼の容姿は、画像や動画の数倍、いや、数億倍の素晴らしさだった。並の「イケメン」たちとはレベルどころか桁が違う。その優れた――優れすぎの容姿の前では、軽蔑すべき行為の数々も、滲み出る野性味を増幅する陰影になる。 感動のあまりに、着物の裾内で、膝が震えてしまう。どきどきどきどきどきどき、と音がうるさい。それは、他ならぬ凛世の胸で心臓が高鳴る音だった。 (り、凛世がお慕いするのはプロデューサーさま……ただひとり……なのにっ……そのはずなのに……っ) そう言い聞かせても、鼓動の激しさは鎮まらない。 息苦しさを感じて下ろした視線――そこで見たものが、凛世の喉を締め上げる。ないも同然だったその乳房は、今や、女性らしい膨らみを得て、和服の胸部を内側から押し上げていた。 「もうこんなに大きくなったんだ。うける」 凛世の胸の変化に気がつき、◯◯が笑みを浮かべる。白い歯が輝く笑顔も、凛世の女としての中枢を直撃せずにはおかない。「はぅ♡」と切ない息遣いが、彼女の喉から絞り出された。 「俺の顔見ただけでこんなふうになっちゃうとか、凛世ちゃん、そんなお硬そうな格好しておいて、意外と面食い?」 「め、面食いなんて、そんなこと……ありません……っ」 どうにか尖った態度を作ろうとする凛世だが、呼吸は乱れ、声は惨めに裏返っている。潤んだ目、上気した頬――「期待を裏切る」と余裕たっぷりに宣言した直後に晒す発情丸出しの表情に、スタッフたちも苦笑いしている。 ただひとり、カメラの死角に立つ男だけが顔を青ざめさせていた。 (ち、違っ……違うのです、プロデューサーさま……これは……) 心の中でそう訴える凛世にも、何がどう違っているかはわからない。視線を遮るように交差させた左右の腕の下――乳房は、みちみちと肉の軋みをあげながら、彼女の理性を裏切る成長を続けていた。 ■ へー、と◯◯が言う。 「凛世ちゃんって鳥取出身なんだ」 凛世と◯◯は、今、ハート型のベッドの上、向かい合って座っている。ふてぶてしくあぐらをかいた◯◯とは正反対に、正座をする凛世の背中は情けなく丸まり、小柄な少女をますます小さく見せている。 「鳥取ってどんなところ? 出雲大社ときびだんごが有名なんだっけ?」 「あの……ええと……」 答えたくはないのに、口が勝手に動いてしまう。出てくる声は、耳に粘りつくように甘ったるい。自分がこんな声を出せることを、彼女は初めて知った。吐く息が苦しげなのは、羞恥のためだけではない。 着物の胸部を内側から強烈に押し上げる乳肉。肺が圧迫されて、まともに息をするのもひと苦労だ。質量保存の法則はどうなっているのか――常識的な疑問は、現に刻一刻と大きさを増していく乳房に潰されてしまう。 もうどれくらい大きくなってしまったのだろう。C……いや、Dくらいだろうか。せめてそれくらいであってほしい、と凛世は切に願う。己の体の晒す無様さが、凛世の背筋を寒くする。だというのに、肌は汗を滲ませ、着込んだ肌襦袢を湿らせた。 どうしよう、と凛世は思う。 (どうしよどうしよどうしよどうしよ。格好いい。格好いい。◯◯さんまじで格好よすぎ〜〜〜〜〜〜っ♡ やばいってこれ♡ お顔のレベルMAX♡ イケメンすぎなんですけど〜〜〜〜っ♡) ◯◯がどれほど最低の男なのか。それはよく知っているはずなのに、◯◯の一挙手一投足にときめきが止まらない。おかしい。自分の好みはこんな外見だけの男ではないはずだ。凛世が好きになるべきは、もっと真面目で真摯な――プロデューサーのような男性、いや、プロデューサーそのひとでなければいけないはずなのに……。 横目で見やったタイマーは、まだ半分の15分間を残している。 時間の経過があまりにも遅い。 「胸、めっちゃ大きくなったね」 やばすぎ、と笑いながら、◯◯が和服の膨らみを指でつつく。その感触は、少しの嫌悪ももたらさないどころか、多大な喜びを伴っていた。 「こ、これは……」 「恥ずかしがらなくていいって。俺、胸大きい子好きなんだよね」 「すっ――」 好き。その単語が、凛世の心臓を大きく跳ねさせる。肺の圧迫が高まり、凛世の感じる息苦しさがさらに増す。 「もっと大きく――俺の好みになってもらおっかな♡」 ◯◯は和服の帯を弛めた。手慣れた動きなのは、おそらく、着物の女を脱がせた経験があるからなのだろう。それから、両手で襟を掴むと、引き裂くように衣類をはだける。 ぼるるんっ♡ と重量感たっぷりの音が出かねない勢いで、絶大なボリュームの乳肉がまろび出た。むんむんとたちのぼる甘い汗の香り。もたらされた開放感が、凛世の喉から「あっ♡」と艶めきを漏らす。 おおー、とスタッフたちがどよめくのも無理はない。Aカップだったそれは、今やHカップ程度は確実にある。 楚々とした雰囲気を徹底的に裏切るふたつの巨大な肉鞠は、その柔らかな肉質のあまり、重力に負けて甘く垂れ、生々しい紡錘形を描いている。白すぎ、すべらかすぎる乳肌に浮き上がる静脈の青が、凄絶なまでの美しく目に映る。乳房に見合った大きさの乳輪の中央では乳首が硬くいきり勃ち、凛世の興奮を明示している。 芸人に「ド貧乳」と揶揄された凛世の乳房は、誰もが認める「巨乳」の領域へと成長している。体の他の部位はそのままであるからこそ、その大きさは際立った。 「でっか♡」 ◯◯の端的な感想に、凛世は「はぅ♡」と恥じ入る。 見下ろすこれが、本当に自分の乳房なのか、という自問は、肩にずっしりと感じる重量感が答えとなる。これが――この巨乳が、今や凛世のものなのだ。乳房をさらけだす興奮が、その巨乳にさらなる成長を促す。すでにして巨大なそれが、じわじわとさらなる肥大を遂げ、爆乳へと育っていくその様は悪夢――というより、淫猥な妄想が現実を侵食しているかのようだ。 (続→ https://ringokidjp.booth.pm/items/5330971 )