桑山千雪と竿役おじさんの人格交換モノです。パイズリオンリーです。 ―――――― ■ 異様な光景――何も事情を知らない者は間違いなくそう思うだろう。 温白色の照明が降り注ぐホテルのスウィートルーム。クイーンサイズのベッドで、全裸の中年男が泣き喚いている。年齢は四十代半ばだろう。禿げ散らかした頭髪、だらしのない肥満体、脂ぎった肌――ふてぶてしい表情が似つかわしい作りの顔は、しかし、今、悲嘆に歪み、涙に濡れている。 「お願いします! 元に……元に戻してくださいっ!」 惨めに裏返った男の声を聞き、「それはできんなぁ」と答えるのは、ベッドサイドに置かれた椅子に座る女だ。深みのある茶色の長髪。なめらかで潤いのある肌。落ち着いた服装に、女性らしさに溢れた体の曲線が浮かび上がっている。 桑山千雪――283プロダクションに所属するアイドル。母性溢れる優しげな佇まいで幅広い人気を誇る彼女の顔は、今、左右非対称の笑みに歪んでいる。優しげな顔立ちだからこそ、その邪悪さは際立っている。 おいおい、と千雪は言った。 「何のためにこんなことをしたのか、説明しただろう。いくら君の頼みとはいえ、言うことを聞いてあげるわけにはいかんよ。――泣きじゃくるのはやめて、新しい体を楽しんだらどうだね」 その喋り方も、表情同様に、いつもの千雪とは似ても似つかない。ねっとりと粘りつくような口調には、耳を塞ぎたくなるような嫌らしい響きがあった。 「楽しむなんて……そんなことできるわけがありません!」 叫ぶ男――握り締めた拳が震えていた。 「滅多にない経験なのに、それはもったいない。――そうだ。お礼に僕が楽しませてあげようじゃないか。遠慮は要らないよ。この体の対価だと思えば安いものだ」 そう言って、千雪は掌で右乳房を鷲掴みにする。圧倒的なボリュームを誇る柔らかな肉に、細く繊細な指がずぶずぶと埋もれていく。むにゅううう〜〜〜っ♡という音が服の内側から聞こえてきそうだ。見ているだけでわかる極上の質感。千雪の喉から「うお……っ♡」と驚嘆の息が漏れる。色欲に鼻の下を伸ばしたその表情は、到底アイドルが浮かべていいものではない。 「や、やめてくださいっ。その手を離してっ」 男が血を吐くように制止を求めても、千雪の掌は乳房から離れない。それどころか、むに♡むに♡むにゅう♡と我が物顔で乳房を揉みしだきはじめる。 「まだ誤解しているのかい? この体はもう君のものじゃない。僕のものだ。――それにしても、いやはや、素晴らしい胸だね。公称は89センチのGカップだったかな。実際は、100センチ近いだろう。となるとIカップ――いや、Jカップか。おおかた、清純派のイメージで売りたいがために逆にサバを読んだんだろうが、嘘をつくのはいただけないね。魅力を隠す必要がどこにある」 「それは……」 「これからは、君に代わってこのデカ乳を僕が有効活用してあげるからね。正直言って、君よりうまく使える自信しかないよ」 爆乳を揉みしだき続ける千雪から、男が視線をそむける。嗚咽。目から溢れ出した涙が頬を濡らした。その姿に、千雪が大袈裟な溜息を落とす。 「まったく。不細工な泣き顔だな。眺めていると胸が悪くなる。しかし、安心してくれ。すぐに泣き止ませて、笑わせてあげよう」 よっこらせ、と年寄りじみた掛け声をかけて、千雪は立ち上がる。 「見ている人間を笑顔にするのがアイドルの仕事――そうなんだろう♡」 そう言う千雪は千雪ではなく、それを聞く男は男ではない。 男と千雪――ふたりの中身は、人格交換アプリという信じがたいものによって互いに入れ替わっているのだった。 ■ 「すまない、千雪」 彼女を担当するプロデューサーが頭を下げて頼んできたのは、とある男との食事だった。レコード会社の重役。その横暴ぶりと好色ぶりについては、業界に入ったばかりのころから様々な人間から聞かされていた。 その男が、千雪との食事を望んでいるという。断れば事務所がどうなるかわからない、と脅されたと言われれば、断ることはできない。男の権力をもってすれば、弱小事務所を捻り潰すことなど容易だろう。 食事の場所は高層ホテルの最上階にある天空レストラン。まばゆい夜景も、ムーディな雰囲気も、三ツ星シェフの手になる料理も、好色な視線に舐められながらでは、楽しめるわけもない。愛想笑いを顔に貼りつけ、自慢話に相槌を打ちながら、千雪は席を立つ機会をうかがっていた。 そんな彼女を襲ったのは強烈な眠気――酒か料理に睡眠薬を混ぜ込まれたのだろう。まずい、と立ち上がりかけた膝がたちまちに崩れた。左右非対称の笑いを浮かべた男の顔までもが、眠りの泥濘に溶けて消えた。 そして――。 この部屋で目を醒ました時には、千雪はもう千雪ではなくなっていた。 醜悪な中年男の肉体に囚われて狂乱する千雪に、千雪の肉体を乗っ取った男は、この常識に外れた事態についての説明を始めたのだった。 「恥ずかしい話なんだが、刑務所に入れられてしまいそうでね」 男は長年会社の資金を横領し、私財を肥やしてきた。露見しないよう、巧みにやってきたつもりだが、些細なミスから隠蔽が綻び生じ、捜査の手が近くまで伸びてきている。初犯ではあるが、額が額だけに、捕まれば実刑は免れない。 さて、どうしたものか――蓄財にあかせて、罰を逃れるための様々な手段を模索する彼が見つけたのは、スマートフォン用のとあるアプリケーションだった。人格交換アプリ。それを使用すれば、任意の対象と撮影者の人格を交換できるのだという。 もちろん、男とていい大人だ。そんなものの実在を信じたわけではない。しかし、馬鹿げていると思いつつも、もしかしたら、という可能性は捨てきれなかった。本当に馬鹿げているのかどうか、確かめてみるくらいはいいだろう。残されている時間は少ないが、それくらいの余裕はある。アプリが効かなければ、その時は犯して楽しめばいい。 「それで、選んだのが君というわけだ、桑山千雪くん」 千雪の体、千雪の顔、千雪の声で、男は言った。 「この体を好き放題にしたい、とずっと思っていたんだ。その願いが、こんな形で叶うとは予想外だったがね。――警察も、まさか、僕がこんな美女になっているとは思わないだろう。君のほうは、気の毒だが、刑務所で臭い飯を喰ってくれ」 ■ 「正直に何が起きたのか、まわりに言っても構わないぞ。ただし、その時は、刑務所じゃなく、病院に入れられることになるだろうがね。自分は本当は桑山千雪なんです、なんて言い張る中年男は、常識的に考えて病気だよ」 ぴんと立てた人差し指を左巻きにくるくると回しながら千雪――いや、男は苦笑した。唇のあいだにこぼれる歯の白さが艶めかしい。 「僕のほうはどうしようか。君に代わってファンを誑かして遊ぶのも悪くはないね。この体をしかるべく使えば、僕が失った金額には及ぶべくもないだろうが、それなりの金額を稼ぐのもそう難しくはないだろう。そうしたら遊んで暮せば――おいおい、どうして目をそらしているんだね?」 「だ、だって、その格好……」 千雪は、悲嘆に顔を歪めながら、かつては自分のものだった肉体に視線を戻す。 その体が身につけているのは金ラメのマイクロビキニ。アプリが本物だった時のためにわざわざ用意していたらしい。豊満さに押し上げられ、伸び切った布地が放つ絢爛たる輝きは、悪趣味以外の何物でもないが、嗜虐的な表情にはこの上なく似合っている。 「似合っているだろう?」 ししし、と笑いながら、男が後頭部と腰に手をあてた艶めかしい姿勢をとった。どんなに古臭いポーズであっても、千雪の肉体はそれをたちまち魅力的なものに変えてしまう。彼女の柔らかな肌が香らせる甘い匂いがむんと濃くなった。 「しかし、この体なら、何を着ようと似合いそうだ。素晴らしいよ。捜査の話を聞いた時は人生の終わりかと思ったが、むしろ始まりだったのかもしれないな。――僕のためにここまでの美しさを磨き上げてくれた君には感謝しかないよ。いや、いやらしさ、というべきかな。刑務所には差し入れをしてあげよう。期待していてくれ」 「あなたのためじゃありません」 勝手なことを言わないでくださいっ、と吐き捨てた千雪にあえて見せつけるように、男の掌が乳房をすくいあげ、手首の動きで弄びはじめる。どれほど激しく弾ませても、それは重量のあまりに跳ねずに揺れるだけだ。ぼよん♡ぼよん♡ぼよよん♡ 乳房の下部から上部へと時間差で伝わっていく揺れが、ボリュームの凄まじさを物語った。 「まったく。何てデカ乳だ。こうして見下ろすと尋常じゃない大きさだね。先程はJカップと言ったが、Kカップあってもおかしくはないだろう。あまりにも大きいから、重力に負けて垂れてしまっているじゃないか。これは悪口じゃないぞ。むしろ褒め言葉だ」 「私の体に触らないでくださいっ」 「まだそんなことを言っているのかい? これはもう僕の体なんだよ。物分りはよさそうなタイプだと思っていたけれど、所詮は女だったか。と、女の僕が男の君に言うのも妙なものだね」 「わ、私は男じゃありませんっ」 「大人しく状況を受け入れたほうが幸せだぞ。現状を否定しても苦しいだけだ。少なくとも、私はこの体を楽しみ尽くすつもりでいるよ」 そう言った男はベッドにあがり、四つん這いで千雪に這い寄ってくる。四肢を動かすたび、重力に引かれ、シーツに接触する寸前まで長く伸びた乳房が、ゆっさ♡ゆっさ♡と魅惑の横揺れを見せた。 「一体何を――」 千雪は後ろに下がろうとするが、恐懼にこわばる体はうまく言うことを聞いてくれない。距離が近づくたびに甘い香りが強く匂った。新しい体にされたことで嗅覚疲労の覆いを剥がれた自分自身の匂い。嗅いでいると、脳の奥深くが痺れてくるようだった。 「怖がる必要はない。僕は君を楽しませてあげようとしているんだ。言っただろう。ファンを笑顔にするのがアイドルのつとめだからね」 男が千雪に手を伸ばしてくる。 やめてください――と制止しようとした次の瞬間、千雪はベッドに押し倒された。あげようとした悲鳴は、顔にのしかかる乳房にいともたやすく封じられてしまった。 「ほら♡ 遠慮しないでたっぷり感じるといい♡」 という嘲りの声に憤る余裕は、千雪には存在しない。 彼女は、今、己のものであるはずの乳房に溺れかけていた。 顔を覆ってなお余りあるボリューム。大きさにふさわしい重量。微細な凹みにすら染み入ってくるような極上の柔らかさ。そして、超至近距離で嗅がされる甘い乳香。……すべてが千雪にのしかかり、その心を軋ませる。 助けて、という叫びすらも、爆乳に押し潰されて消える。毛むくじゃらな短い手足がばたつくさまは、滑稽以外の何物でもない。実を結ばない抵抗すらも圧殺しようとますます強く押しつけられる乳房――それは、あらゆる感覚器官を超えて、意識へと直接に迫ってくる。 (重いっ♡)(柔らかいっ♡)(いい匂いっ♡) 乳房に対する賞賛が千雪の脳内に同時多発で炸裂し続ける。 どうにか目を開いても、すべてが重い肉に埋め尽くされ、逃げ道はおろか、光すらも見えない。柔らすぎる暗闇の中、酸素を求めて呼吸を喘げば、息を喘げば乳肌が醸造する甘さを特濃で吸いこんでしまう。 男の力を持ってすれば、華奢な女を跳ね除けることなど造作もない。――それはわかっているのに、乳獄は、その魅力で千雪を囚えて解放してはくれない。次第に衰えていく手足のばたつきに、男が、ししし、と笑った。 「ほら♡ ほら♡ 壊れろ♡ 女としての価値観壊れろ♡」 邪悪さを隠さない言葉とともに押しつけられる爆乳。大きすぎて邪魔だとすら思っていたものが、強烈な好ましさで千雪を責め立てる。 むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡ むに♡……いつ果てるとも知れぬ乳責めに、いつしか千雪の呻きは消え、暴れていた手足すらも弱々しくなっていった。その動きが完全に止まったのを見計らい、男は体を起こして乳房を千雪の顔から離した。 「ずいぶんといい顔になったじゃないか」 男が満足気に見下ろす千雪の顔は、乳のもたらした柔らかく甘い悦楽にふやけて崩れている。垂れ下がった目尻。伸び切った鼻の下。脂肪でたるんだ胸の上下にあわせて、焦げた息が漏れていた。 「どうだい。素晴らしかっただろう、僕の爆乳は。しっかり記憶に刻んでおいて、刑務所での慰みにするといい」 「だ、だから、それは……あなたの体じゃ……」 「おやおや。まだ認められないのか。しかしね、そこをそんなふうにして意地を張る滑稽さを考えたほうがいい」 男が指を指したのは千雪の股間――そちらに視線を導かれた千雪は、たちまち顔を凍りつかせた。「ひッ」という悲鳴が喉にくびれる。そこでは、本来ありえるはずのない――そして今は存在していて当然の器官が屹立していた。 千雪にも、決して多くはないが、男性経験はある。 しかし、彼女の器官に隆々と勃つそれは、記憶にあるすべての男性器を悠々と凌駕していた。凄まじい長さと太さ。どす黒い色艶。幹をうねうねと這う血管までもが肥えたミミズのようにふてぶてしい。生殖のためではなく、女を殺すために存在しているとしか思えない造形のそれは、細胞のすみずみにまで欲望を充填され、肉の軋みをあげている。 「嘘……そんな……」 千雪は自分の体に欲情し、勃起してしまったのだ。 うふ、と男が笑った。 「『私の胸でこんなに興奮してくれたんですね♡ 嬉しいです♡』」 「そ、それ――」 男の喋り方は、的確に千雪の特徴を掴んだものだ。自分の体を使われ、自分の喋り方をされる。桑山千雪を偽られる嫌悪感に、千雪は眉をたてた。 「その話し方をやめてくださいっ」 「『もしかして照れてるんですか♡ 大丈夫ですよ♡ 男のひとに勃起してもらうのも、アイドルの大切なお仕事ですから♡ 遠慮なくおちんちんバキバキにしてください♡』」 「私の体で、アイドルを語らないでっ」 「『どうしてアイドルがアイドルを語っちゃいけないんですか?』」 「あなたはアイドルじゃないっ」 「『私はアイドルです。そして、あなたは犯罪者♡ 警察が捕まえに来るのは明日かしら? 明後日かしら? 可哀想〜♡』」 突きつけられる絶望の未来が、千雪の血を凍らせる。しかし、股間はなおも猛々しく勃起を続けていた。桑山千雪の体は、男にとってそれほどまでに魅力的なのだ、と暗澹のうちに思い知らされる。 「『残された時間が少ないなら、苦しむよりも楽しまなきゃ♡ そう思いませんか♡』」 可愛らしく小首を傾げて問いかける男。絶対に答えまい、と千雪は唇を引き結び、男を睨みつける。けれども、どれだけ視線を尖らせようとしても潤んだ目では迫力などあるわけもなく、肉棒はびくびくと力強く脈動して何よりも端的に答えを返してしまっていた。 (続き→ https://ringokidjp.booth.pm/items/5216482 )