Aカップの清楚な女子大学生が、彼氏に勧められた豊胸手術にドハマりしてZカップの極乳になるお話です。全部で18,500字くらい。作品には、パイズリ、髪型・服装の変化、中出し、ショタ逆レイプ等が含まれます。 ―――――― 1 空の爽快な青が、春から夏への移ろいを感じさせる。 大学構内を行き交う学生たち――その喧騒から距離をとって、彼女はひとり、木陰になるベンチで文庫本を読んでいた。その優美な佇まいに、幾人もの男たちが目を奪われたが、知佳は昭和の時代に書かれた甘い恋物語の世界に浸っていて気づかない。 着ているのは白いワンピースだが、洋装よりも和装が似合いそうな、落ち着いた雰囲気の美女だ。服の白に、背中に流れた髪の艷やかな黒がよく映えている。姿勢のよさが、スレンダーな体つきの美しさを強調していた。施されているメイクはごく薄いものだが、そもそも化粧の必要がないほど、その顔は楚々と整っている。 彼女の名前は黒崎知佳――年齢は、誕生日を来月に控えた十八歳。出身は愛媛で、両親はともに高校の教師。今年の春から都内の賃貸マンションでひとり暮らしをしながら、この大学の文学部に通っている。ゆくゆくは出版に携わる仕事がしたい、というのは、まだ誰にも言ったことのない秘密だ。 ふいに声をかけられ、知佳は紙面から顔をあげる。すぐ目の前に立っていたのは見知らぬ男ふたり――浮かべられている笑みは親しげなものだが、臆面もなくのぞいた欲望が知佳をたじろがせる。 「読書中ごめんね」「君、サークルって入ってる?」「俺たちの入ってるサークル、今年は新入生が少なくてさ、声かけて回ってるんだけど、どうかな?」「とりあえず部室に見学に来なよ。決めるのはそれからでも遅くないから」 ええと、あの、その――彼らの好色な視線に怯えてしまい、知佳はまともに声を出すことも許されない。困惑が美貌をこわばらせ、蒼白にしていた。それにつけこみ、ますます強引に彼女を連れていこうとする男たち。そこに、彼が――柴田淳也が現れなければ、どうなっていたかわからない。 「待たせてごめんね、知佳ちゃん。教授に頼まれ事しちゃってさ」 振り返った男たち――彼らは、淳也を目の前にして、たちまちのうちに、それまでの調子のよさを失う。 一九〇に届く高身長。逞しくしなやかな筋肉。モデルや俳優であってもおかしくはない端正な容姿の持ち主だが、淳也は、情報学部の学生ながらVR事業を展開する企業の社長を勤めている。年齢は知佳よりふたつ歳上に過ぎないが、その悠然とした態度は、すでに若年を感じさせないものだった。 「用事なら諦めてくれるかな。彼女、俺と先約があるんだ」 彼我の戦力差を目の当たりにして、男たちは苦々しい表情を引きずりながらその場を離れた。すごすご、という惨めな擬音が似合いのその背中を見送りながら、よかった、と知佳は安堵の息を吐く。 「淳也くん……ありがとう……」 か細く震える声で言い、知佳は頭を下げた。 「お礼なんていいって。恋人を助けるのは彼氏の義務だからね」 恋人。その一言が、知佳の心をざわめかせる。色事には奥手で、同じ年頃の異性と会話をした経験すら数えるほどだった自分に、今、恋人がいる。しかも、相手は自分には到底釣り合わないような素敵な男性。信じられないが、それが現実なのだ。 淳也との出会いは入学して間もなく。学科の先輩の紹介で知り合った。同じ小説家が好きだという話題をきっかけに仲を深めた知佳たちは、半月前、淳也からの告白で恋人同士となった。 生まれて初めてできた恋人――何をどうすればいいのか、知佳はいまだによくわからないでいる。ぎこちなさは抜けていないが、最近ようやく、彼を「柴田さん」ではなく「淳也くん」と呼び、敬語を使わずにいることにも慣れてきた。 「それじゃ、行こうか」 「う、うん」 知佳は文庫本を鞄にしまって立ち上がる。知佳の身長は一四九センチ――ふたりが並ぶと、身長の差が際立った。 淳也との逢瀬への喜びが、知佳の所作のひとつひとつに滲み出ている。幸せの絶頂にいる知佳は、淳也にとって、彼女が数多く抱えている女のひとりに過ぎないことも知らず、彼の企みにも気がつきはしない。 映画館で映画を見た後は、コーヒーショップで感想を語らい、その後、淳也が予約してくれたフレンチレストランで食事をとる。呈される料理も、窓に臨む夜景も素晴らしかったが、それ以上に、淳也と過ごす時間が知佳の胸をときめかせた。 食事をおえて、店を出たところで、淳也が「これからうちに来ない?」と囁く。その意味するところを悟った知佳は、顔を真っ赤にして、躊躇いがちに「うん……」と頷いた。彼とはすでに何度か体を重ねているが、こうした誘いにはいつまで経っても慣れない。 淳也が住むのは閑静な住宅街にあるマンション――すでに幾度か招かれたことはあるが、足を踏み入れるたび、そこにたちこめる異性の雰囲気に緊張してしまう。リヴィングのソファーに座り身をこわばらせる知佳。その隣に腰をおろした淳也は、「そんなに怖がらなくていいのに」と苦笑しながら、彼女を抱き寄せた。 交わされるキスは、いつものように、これまで知佳が口にしてきたどんな菓子よりも甘い。好き、という気持ちが際限なく膨れ上がり、硬くなった体を蕩けさせていく。彼の唇が離れても、知佳の心は熱く火照ったままだった。 「知佳ちゃん、例の話、考えてくれたかな?」 柔らかな口調に負けない優しい手つきで彼女の艶髪を撫ぜながら、淳也が問う。髪を撫でられているだけ――だというのに、その心地よさは、まるで桃源郷に遊んでいるかのようだ。知佳の目はうっとりと細められ、息が切なくよじれる。スカートの下、内腿がこすり合わされた。 「例の話……」 知佳は淳也の言葉を繰り返す。忘れていたわけではない。むしろ、忘れられないからこそ、意識の外に押しのけていたのだ。 「豊胸手術……だよね?」 知佳の問いかけに、淳也は頷いた。 その話をもちかけられたのは前回ふたりで会った時、場所は同じく彼の部屋だった。自分が知佳を好きな気持ちに嘘偽りはない。しかし、今よりもさらに好きになるために、より自分好みになって欲しい。そう言って、淳也は知佳に豊胸手術を勧めたのだった。 半永久的にメンテンナンスが不要なシリコンを胸部に注入し、人為的なバストアップをはかる新方式の手術。肉体的な負担は極めて少なく、元のサイズに戻すことも容易――と聞いても、簡単に了承ができるものではない。 ちらりと視線を落とした自分の胸部――そこにある膨らみはごくささやかなものだ。ブラジャーのサイズはAカップ。これまで、劣等感を抱く場面こそあったが、手術を受けようとまで考えたことはなかった。 どうかな、と迫られ、知佳は言葉に詰まる。 彼の自分への気持ちは本物だ、と純真な知佳は信じている。自分を愛してくれる淳也のためならば、何でもしてあげたい。けれども、親からもらった大切な体に手をいれることのへの忌避感も同じくらいに強かった。 「無理にでも、とは絶対に言わないよ。知佳ちゃんが嫌なら、それでいいんだ。手術代はもちろん、アフターケアにかかるお金も含めて、俺が全額出すよ。知佳ちゃんが望むなら、いつでも元に戻して構わない」 淳也は間近から知佳の目をのぞきこむ。彼の真摯な眼差しは、やはり、単に肉欲で豊かな胸を求めているようには思えない。彼は本当に自分を愛し、さらに愛したいと思ってくれているのだ。 ならば、自分もそれに答えるべきではないのか。 この話をされたら、「ごめんなさい」と断るつもりでいた。しかし、いざ淳也を前にすると、どうしてもその言葉を口にすることができない。彼はそんな人間ではないとわかっているのに、豊胸を断って 永遠にも思える逡巡のすえに、知佳はごく小さく頷いた。 「それ、手術を受けてくれるってことでいいんだよね?」 淳也の問いかけに、もう一度、知佳は先程よりも大きく頷く。 「あまり大きくなったら困るけど、ほんの少しだけなら――」 「ありがとう。嬉しいよ。知佳ちゃん、大好き」 知佳を抱きすくめ、その唇を奪う淳也。今回の口吻は、先程のものとは比べようもなく濃厚だった。彼の歓喜が伝わってきて、知佳の血を沸き立たせる。淳也のなすがままにされる知佳――その頭蓋の内側では、彼の口にした「大好き」の響きがいつまでもこだましている。 「明日、クリニックに連れていくよ。都合のいい時間教えて」 キスをおえて呼吸を乱している知佳に、淳也は言った。 「あ、明日?」 「もしかして、都合悪い?」 「そういうわけじゃないけど、急だから、驚いてしまって――」 「こういうのは思い立ったらすぐに行動しなくちゃ。俺のわがまま、聞いてくれてありがとう」 淳也が顔に浮かべるのは、見る女すべてを恋に落としてしまえそうな完璧な笑み――しかし、今、それはこの世でただひとり、知佳にだけ向けられているのだ。自分がしたのは間違った選択ではない、とその時の知佳は信じていた。 2 どうしてこうなったのか。 ラブホテルの淫靡な照明の下、一糸まとわぬ裸体となった知佳はあらためて自分の胸を見下ろす。 手術による増量は少しだけ――そのはずだった。しかし、あるかなきかだった隆起は、今や、足元を見ることも困難なほどに大きくなっている。そのサイズはHカップに達していた。 張り詰めた皮膚。砲弾型の形状。自然さなど度外視でとにかく大きさを追求したそれらは、知佳の清廉な雰囲気から明らかに浮き上がっている。 「まじで最高だわ、知佳ちゃんのデカパイ」 背後からシリコン偽乳を鷲掴みにして淳也が言う。彼女の背中に彼の勃起が押し当てられているが、それに気づくこともできないほど、知佳は乳房への違和に囚われている。自身の体に挿入された異物が揉まれている感覚は、いつまで経っても慣れる気がしなかった。 「ほんの少しっていう話だったのに、こんなに大きくするなんて……」 「今更何言ってんの。せっかく手術するんだから、これくらい思いきらないとつまんないじゃん。それに、最終的にOKしたのは知佳ちゃんでしょ。違う?」 「それはそうだけど……」 あれは淳也くんが強引に勧めるから、という言葉を知佳は飲みこむ。彼の振る舞いはどうあれ、手術に同意する書類にサインをしたのは自分なのだ。 事前の説明の通り、手術はごく簡単なもので、代金のすべては淳也が出してくれた。あれから一ヶ月が経つが、後遺症のたぐいは見られない。ただし、Hカップの乳房は、その物理的な重さ以上の心理的負担を知佳にかけている。 数少ない知人たちは、皆、知佳の変化に驚き、よそよそしい態度で距離を置いた。見知らぬ男たちから巨乳に注がれる好色な視線は、知佳の羞恥を激しく掻きたてる。こんな体、両親には絶対に見せられない。そんなのは不良のすることだから、と髪を染めるのも許さなかったふたりが今の知佳を目にしたら――と、考えるだけでも恐ろしかった。 「俺のわがまま聞いてくれてありがとね。大好きだよ、知佳ちゃん」 後悔はしかし、淳也の愛の言葉の前に薄れてしまう。抱きしめられる体。背中に押しつけられる牡の肉の熱さに息が漏れる。彼をこんなにも喜ばせることができたのだから、豊胸手術を受けてよかったのだ、という気持ちがこみあげる。確かに困ることは多いけれど、もしもの時は、また手術を受けて元に戻せばいい。今はこの体で、淳也に愛されていたかった。 「もう。淳也くんったら……」 知佳の微苦笑は、ここまでして大きな乳房を愛でたい淳也だけではなく、彼のためであれば何だってできてしまう自分にも向けられている。恋をしている実感が、彼女を酩酊させていた。 「いつものあれ、お願いしていいかな」 耳に囁かれる淳也の言葉に、知佳は「んっ♡」と頷いた。何を求められているかは、具体的な言葉にされずともわかっている。ベッドに大股を開いて座った淳也――その両足のあいだに、知佳はひざまずいた。屹立した肉棒から香る牡の匂いが、鼻孔にかぐわしく香り、脳髄を痺れさせる。 はあっ、と吐いた息は火のように熱かった。 「それじゃあ、してあげるね……」 シリコン乳が、ゆっくりと肉棒を挟み込む。長大なペニスの幹が、左右から独特の生硬い圧迫感を加えられ、喜びをみなぎらせた。呻き声をあげる淳也――鈴口に滲む透明な粘液。彼が喜んでくれている、という実感が体の隅々にまで染み渡り、知佳の唇の端に笑みを滲ませた。高鳴る心臓が、血潮にのせて満足感を体に巡らせる。 「やっぱり最高だわ、知佳ちゃんの胸。挟まれてるだけで天国」 知佳の頭を撫ぜながら淳也が言う。その感覚の心地よさに知佳はうっとりと目を細めた。性的な事柄で自分がこんなにも褒められている――そのことが信じられず、知佳の顔は羞恥に赤く染まった。 「動かすよ?」 上目遣いで一応の断りを入れてから、知佳は乳房を上下に動かし始める。撫でるように緩慢だった動きは、次第にその速さを増していった。 今自分がしている行為が「パイズリ」と呼ばれるものであることを知佳は知っている。豊胸の状態が安定してからこちら、知佳は毎日のように淳也に呼び出されて、その行為に及んでいた。最初はぎこちなかった動きも、淳也の巧みな指導と積み重ねられる経験、そして何よりも彼に尽くしたいと望む心のおかげで、目覚ましい上達を遂げていた。 「ど、どうかな」 上目遣いで彼をうかがいながら、知佳は問いかける。もちろん、そのあいだも、乳房を動かす手つきは弛みはしない。 「すっげー気持ちいい。――知佳ちゃん、パイズリの天才だよ。やっぱ豊胸して正解だったね。あのままだったら、この才能が埋もれてたわけだし」 Hカップの乳谷間に力強くいななく肉棒が、快感を訴える淳也の言葉が嘘ではないことを証明している。性感に浸っている彼を見ていると、言われる通り、豊胸してよかったと思わずにいられない。 (淳也くんの……すごく熱い……火傷しちゃいそう……) 肉棒を潰さんばかりに中央への圧をかけた乳肉を、顎下に触れそうなほど持ち上げたかと思えば、一気に限界まで下に打ち下ろす。そのたび、下乳が淳也の肌を叩く音が、たばっ♡ たばっ♡ と連続した。 どれだけ動きが激しくても、その動きは、知佳の性格を表して丁寧さを失わない。必死に巨大な肉鞠を動かす知佳の肌がじっとりと汗を帯びる。連日の乳房奉仕のおかげで、華奢な腕と肩には筋肉がつきはじめている。パイズリが上手くなっている、という自覚はあっても、自分の体が、乳房以外の部位までも、パイズリのためのものになっているという認識は知佳にはまだなかった。 「んっ♡ んっ♡ んんっ♡」 頃合いを見計らい、今度は上下にしごくのではなく、左右の乳肉を互い違いにこねあわせ、肉幹に刺激を与えはじめる。なめらかな肌とシリコンの奏でる唯一無二の協奏が、牡の硬肉をずりずりと甘く削る。 「あー。それ、まじで気持ちー」 淳也が顎をあげ、切ない呻きを漏らす。 「気持ちよすぎて、ちんこ溶けちゃいそうだよ」 知佳は、自分を気弱で臆病で、何もできない人間だと思っていた。しかし、今、自分よりも圧倒的に強く逞しい相手が、自分の動きのもたらす快楽に翻弄されている。その事実が信じられない――と同時に、そのことにたまらない楽しさを覚える。パイズリという、貧しい胸では不可能な行為が、知佳に自信をもたらしてくれたのだ。 右乳を上に、左乳を下に。右乳を下に、左乳を上に。乳房を使って、知佳は絶え間なくペニスをしごきあげた。胸の谷間のなかで、牡の緊張が高まっていくのを感じる。 「あーやばいやばい。そろそろイきそう」 「だ、出して……私の胸で……いっぱい気持ちよくなってっ♡」 息を弾ませて言った知佳は、最高の乳悦を淳也に捧げるため、腕に力をこめて、精一杯乳圧を高める。天然の乳房では味わえない、偽乳独特の窮屈さがもたらす愉悦に、すでに硬かった肉棒がさらに硬く力を漲らせていく。 おおっ、と声にならない声が淳也の喉から漏れると同時に、知佳の谷間に白濁が爆ぜた。びゅるっ、びゅるるるっ、と強大な牡性を示す力強い脈動とともに吐き出されたそれは、乳房のみならず、知佳の美貌までをも容赦なく穢した。 「んっ……♡」 肉棒が脈動を遂げ果てても、知佳は乳房を揺さぶり、尿道に残った一滴までも鈴口から絞り出した。その奉仕の姿勢が何よりも男心を満たし、余韻に浸る淳也を微笑ませる。 「どうだったかな? ちゃんと気持ちよかった?」 そう問いかける知佳は、淳也を絶頂させることができた満足感のため、彼以上に顔を蕩けさせている。瞳に宿る爛々とした光は、かつての彼女では考えられなかったような貪婪なものだ。 「すごく気持ちよかったよ。さすが俺の彼女」 淳也がよしよしと頭を撫ぜると、知佳は心地よさに目を細めた。えへへ、という表情以上にだらしのない声が唇からこぼれる。それは、乳房による変容が肉体のみならずその精神にまでも及んでいる証左だ。 「彼女なら、俺がまだ満足してないこと、もちろんわかるよね?」 「それは……もちろん♡」 射精を経てなお隆々と屹立を続ける淳也のペニス――知佳はふたたびそれを乳房で愛撫しはじめる。吐き出された精液をローション代わりにして、乳房の動きは以前とは比べものにならないほどに滑らかだ。 「はあっ♡ んっ♡ っ♡」 細腕に筋肉をみなぎらせながら、知佳はパイズリに耽る。汗に濡れ光り、白濁に装飾された乳房は、動きだけではなく、その見た目でも淳也を楽しませた。 「そうだ。知佳ちゃん、今度、一緒に洋服買いに行こうよ」 「服……?」 奉仕の手を休めず、知佳は尋ねる。 「知り合いにいいショップ教えてもらったからさ。そこに行こう。――体型が変わったなら、それに似合う服買わなくちゃ。もちろん、お金は俺が出すよ」 豊胸手術後、ブラジャーは買い替えたものの、その他の衣類は以前と同じものを着用している。そのせいで、かえって変化が目立ち、周囲の視線を集めてしまうのはわかっているのだが、体型が変わりすぎて、何を買えばいいのか、服飾に無知な知佳にはわからなかった。 「でも……そんな……悪いよ……。服なら自分で買うから……」 「気にしなくていいって。豊胸手術してほしい、なんてとんでもないわがまま聞いてもらったんだから、これくらいはしてあげて当然だよ。その代わり、服は俺に選ばせてくれたら嬉しいな」 「淳也くんが私の服を選ぶの……?」 「嫌かな? だったら、もちろん、無理にとは言わないよ」 嫌なんかじゃないよ、と知佳は言った。 「私、お洒落には疎くて……淳也くんが似合う服を選んでくれるなら嬉しいな。でも、あまり露出度が高いのは――」 「心配要らないよ。知佳ちゃんなら何を着ても似合うから」 「そ、そういうことじゃなくてっ」 「わかってるよ。大丈夫。できるだけ可愛い服選ぶからさ。いつ行くか、また後で相談しようね」 そう言いながらも淳也がどんな服を選ぶのか、さすがの知佳にも想像はつく。過激な服を着た自分を、周りの人間はどんな目で見るのか――考えるだけで身がすくむ。けれど、同時にぞくぞくとした感覚が背筋を走るのも事実だった。 これまでならば到底考えられなかった行為に及ぶ危険な愉悦や、連綿と積み上げてきた常識を裏切る背徳。豊胸手術によって植えつけられた自己革新――いや、自己破壊への欲動が、清廉な美女の内側に芽吹こうとしていた。 「本当に可愛い服だけにしてね? お願いだよ?」 無駄だと知りつつもそう言う知佳――彼女は服を買いに行ったその日、淳也との情事の後、さらなる豊胸を勧められることをまだ知らない。 3 夏季休暇明けの大学構内――編み上げのブーツを鳴らし、悠然と歩くその知佳の姿に視線を奪われてしまうのも無理はない。彼女の容貌は、視覚的な暴力であると断じてどこからも異論は出ないだろう。 Hカップであった乳房は、追加の手術でふたたび大量のシリコンを詰めこまれてOカップの高みへと達している、それは有する知佳本人をも凌駕する存在感を誇っていた。鮮やかなピンクのタンクトップにくっきりと浮かび上がるその形状は、砲弾型を通り越して、球形と呼ぶべき不自然さを極めたもの。それら、知佳が歩を勧めるごとにほとんど形を変えずに揺れていた。 外見の変容は乳房だけには留まらない。 体全体にむっちりと実った脂――黒いエナメルのスカートを張り詰めさせる逆ハート型の臀部と、そこから伸びる極太の太ももの肉感は、歩を進めるたびにむちむちと軋み、見ているだけでも酩酊を招きそうだ。 背中に流れる髪は派手な金髪――ストレートパーマをあてられたそれは、知佳のささやかな動きにすら敏感に反応してさらさらと揺れている。施されている化粧は、徹底的に目を大きく彩り、唇を豊満に肥らせる厚塗りで、楚々とした面影を淫らな女豹の顔に塗り替えていた。やや多めに振りかけられたオリエンタルな香水は、彼女の全身を濃厚に甘く包み込み、溢れる性的魅力を増幅していた。 そんな彼女の姿に、男たちは欲情の視線を、女たちは侮蔑と嫉妬の視線を向けている。かつて、恥ずかしくてたまらなかったそれらは、今や知佳の自尊心を満足させる糧となっていた。 (見てる♡ 見てる♡) 彼らの好色な視線は嫌ではない。むしろ、もっとよく見て欲しい、と思う。隅々まで気を配って作り上げ、徹底的に磨き抜いたこの体を恥ずかしがる必要がどこにあるだろう。自信満々で肉体をさらけだすことで得られる反応は、知佳の自負をさらに高めていく。自信過剰――にはならない。知佳の体はどんな気負いですら追いつかない、圧倒的な魅力を持っているのだから。 眉を顰め、囁きを交わしあう女たち。男の中にはスマートフォンで盗撮に及ぶ者すらいる。男にも、女にも、もっと自分を見て欲しい。そんな気持ちを隠しもせず、わざとらしく尻を左右に振り立てながら、知佳は歩く。 (ああっ♡ 見られるの……すごく気持ちいいっ♡) 見られること。注目されること。欲情されること。軽蔑されること。それがこんなにも気持ちのいいことだったなんて、と知佳は感激に似た感情すら覚えている。 飾らない自分が一番というのは耳障りのいい綺麗事――もっと言ってしまえば、不細工な女が努力を放棄するための言い訳だ。美しさも自信も、努力をして作り上げなければいけない、という当たり前の事実。それに気づかせてくれた淳也には感謝しかない。淳也のような男こそ本物の男だろう。彼に見初められた自分は本当に幸運だ。 知佳は、夏季休暇の大半を、淳也とともに過ごした。連日の夜遊びとそれに伴う暴飲暴食。さらに、そこで酒とともに教え込まれた煙草は知佳を魅了し、それなしの日常はもう考えられない。今も、鞄の中には、煙草の箱とともに、淳也から贈られた真鍮製のライターが入れられている。 ほとんど自宅には帰らず、寝泊まりの場所は、淳也の部屋かラブホテルのどちらかだった。食事は、大抵、高級レストラン――贅を尽くした味わいに、知佳の舌は肥えに肥え、もう自分の手料理はもちろん、並の店で食べようとすら思えない。 こんな姿で帰省などできるはずもなく、両親には家庭教師のアルバイトで忙しいから帰れない、と言い訳をした。娘の変容を知らず、純真な娘が嘘をつくとは思ってもいないであろう彼らはそれを信じ、体を壊さないようにね、と優しい言葉をかけてくれた。騙して申し訳ない――と感じるべきなのかもしれないが、実際はその間抜けさに愕然とし、彼らを尊敬していた自分に呆れてしまった。 どうしても彼らに会わなければいけなくなった時は胸を元に戻せばいい――と考えつつも、実際にはそうできないことも、知佳にはわかっている。豊かな胸はもはや異物ではなく、知佳の存在と完全に癒着している。 講義が再開されてからおよそ半月――規則正しかった生活リズムは完全に崩壊し、講義の無断欠席や遅刻は当たり前になった。今期の単位はひどいものになるだろう。今日、大学に来ているのも、出席のためではなく、淳也にメッセージで呼び出されたからだ。 情報学部棟へと足を踏み入れた知佳は、指定されていた小部屋へと入る。 「急にごめんな」 ひとり待ち受けていた淳也が言う。謝罪を口にしてはいるが、その表情はあくまでも軽薄だ。 「一発抜いて欲しくなっちゃってさ。サクッと頼むわ」 ベルトを弛め、巨根を露出する淳也に、知佳は「もー」と苦笑いを浮かべた。こうした呼び出しは日常茶飯事だ。別に嫌ではない。それだけ、淳也が知佳の体を評価してくれている、ということなのだから。 「パイズリ?」と尋ねると、「当たり前じゃん」という答えが返ってくる。 「今日の夜もいっぱいコイてあげたのに……淳也、パイズリ好きすぎ(笑)」 彼を呼び捨てにするのも、馴れ馴れしい口調も、そうするように勧められた当初はぎこちなかったものの、もう慣れたものだ。今の喋り方のほうが疲れないし、淳也との距離感もぐっと近づいた気がする。 「仕方ないだろ。知佳のズリテク超やばいんだもん。何回だってして欲しくなっちゃうんだよ。――その代わり、欲しいって言ってたブランド物の服、今度買ってあげるからさ」 「ほんと? やったー。じゃあ、はりきってズリズリしちゃお♡」 満面の笑みになった知佳はタンクトップを喉元までたくしあげる。ばるんっ、という音をたてそうな勢いで、ハート型のニップレスを貼りつけたOカップの乳房が弾み出た。途端、香水の甘ったるさと汗の酸っぱさを混ぜ合わせた芳香が溢れ出した。 椅子に座った淳也のペニスを挟みこもうとしたところで、知佳の鞄の中、スマートフォンが震えた。またあいつだ――反射的に眉が顰められ、舌打ちが出た。ごめんね、と謝って立ち上がり、取り出して確認してみると案の定の名前が表示されていた。 「何かあった?」 淳也の質問に、実は、と知佳は乳房を丸出しにして話し始める。 しばらく前、淳也の紹介で知り合った、別の大学に通う男子学生――その男が下心丸出しで近づいてくるのだ。自分にはもう淳也がいるから、と断っても、食事に行かないか、飲みに行かないか、観劇に行かないか、としつこく誘いをかけてくる。 それを聞き、淳也は苦笑いを浮かべた。 「あいつも巨乳大好きだからな。気持ちはわかるよ」 「ほんと困る。淳也からも注意してくんない? 俺の女に手を出すなー、って」 それでもいいけどさ、と淳也は言った。 「どうせなら、あいつと遊んでやったら? 顔もいいしさ」 彼の言葉が信じられず、知佳は目をしばたく。他の男と遊ぶ――今まで考えてことのない行為。その背徳感に、頭を殴りつけられた思いだった。 「知佳、俺以外の男とほとんど関わりないだろ? あいつだけじゃなくて、他の男ともどんどん遊んで、女を磨く、っていうのも悪くない手だと思うんだよなー」 ええと、と躊躇いを隠さず、知佳は言った。 「……淳也はそれでいいの?」 「もちろん、他の男じゃなくて、俺とだけいてくれるほうが嬉しいよ? でも、知佳が魅力的になってくれるほうがもっと嬉しいから」 「で、でも――」 「大丈夫だよ。知佳が俺を大好きなこと、俺はわかってる。だから、知佳のしたいようにすればいいよ」 どうしよう、と知佳の脳はめまぐるしく回転する。男と遊ぶ――いや、そうではない。男に頭を下げられて、遊んでやるのだ。今の自分はすでにそれだけの高みに達している。それほどまでにこの肉体は魅力的なのだ。 ごくり、と生唾を飲んだことに、知佳本人は気づかない。 「遊んでたら、その……雰囲気で、エッチなことしちゃうかもよ?」 それでもいいのか、と恐る恐る上目遣いでうかがうと、淳也は鷹揚に笑った。 「流れでそうなっちゃったら仕方ないと思うよ。それはそれで経験でしょ。俺は、知佳が俺を好きでいてくれればそれでいいよ」 「わ、私は淳也を嫌いになったり、興味をなくしたりしないから!」 「なら、それでいいんだ。それに、豊胸手術と同じで、無理に遊べって言ってるわけじゃないから。知佳が遊びたいって思った相手とだけ、遊びたいように遊べばいんだよ」 淳也を愛していれば――愛している、という言い訳をつけるのであれば何をしてもいい。その許可に、知佳の肌が粟立つ。突如として目の前に拓けた圧倒的な自由が、彼女の血潮を沸き立たせていた。 「そ、それじゃ――仕方ないから遊んであげちゃおっかなっ♡」 その言葉は淳也ではなく、自分に言い聞かせるためのものだ。 恋人のすぐ目の前で、他の男と遊ぶ約束をする知佳。興奮のあまりに指が震えて、何度も文言を打ち直さなければいけなかった。 「今夜会う、ってことになっちゃった」 スマートフォンを下ろして、知佳は、えへへ、と笑う。脳が蕩けたような弛緩した笑みが、彼女の未来を端的に示していた。 「やばい。どうしよう。どきどきしてきちゃった。顔、熱い……」 「緊張しないで、楽しめばいいんだよ。俺といる時みたいに。――それじゃ、そろそろ、パイズリお願いしていいかな?」 淳也は自身の勃起を指で指した。 うん、と頷いて、ふたたび、彼の両足のあいだに跪き、知佳はパイズリを開始する。Hカップの時にはのぞいていた肉棒は、Oカップに完全に包み込まれてしまっている。それを擦り上げる技術はいつもと変わらず卓抜したものだが、いまひとつ熱意を欠いているのは知佳の心がここにはないからだ。 今夜会う男もパイズリしてくれ、と頼んでくるだろうか。おそらくは、そうだろう。淳也だからこそ、これだけ激しく動かしても耐えていられるが、そうではない男なら――という想像が、知佳の表情を弛ませ、そこに自分の実力に根ざした嗜虐の色をのぞかせる。彼女の内側で、開いてはならない扉が開こうとしていた。 その様子を、淳也は笑みを浮かべて眺めている。清純な女を、超乳化を契機として、徹底的に淫らな女に堕とす企み――もう彼が何かをするまでもない。金さえ出せば、あとは勝手に知佳が転落していってくれる。より女としての価値を高めるため、さらなる豊胸手術を望むのも、そう遠い日のことではないはずだ。 一体どこまで堕ちるのか。それは淳也にも知佳にもわからない。しかし、その先に幸福が待ち受けていることだけは間違いなかった。 ―――― 続きはBOOTHにて頒布中です https://ringokidjp.booth.pm/items/4320543