こんにちは、torinoです。
次のメイキング記事を考えていたのですが、なかなかまとまった時間がとれないでいたところ、作画環境や使用している機材のきちんとしたまとめをまだ作っていなかったことに気付きました。
これまでちょくちょくと機材のご紹介はしてきたのですが、今回はメイキング解説の番外編的なかんじで、独断と偏見による個人的オススメデジタル作画環境のお話をしていきたいと思います。
作画環境は年々多様化していて、イラストレーターの間でも人それぞれスタイルによって最適解が変わります。
またPCのスペック等も時間とともにどんどん更新されていきますので、あくまで2022年3月時点のtorinoの場合ということでご参考ください。
まず、メイン環境全体はこんなかんじです。
遠出中などごく稀な場合を除いて、基本的にラフから完成まで全てこの環境で完結します。
PCはこれまでタブレットPCやゲーミング用のハイスペックなラップトップなど、色々なものを試したのですがやはり自作機のデスクトップに落ち着いています。
ラップトップは発熱や排熱音が大きく、低負荷の作業を長時間行うことになるいわば持久走のようなイラスト制作作業においては排熱面で不利に感じます。
また満足のいくスペックのものを選ぶと価格も跳ね上がってしまいます。
見た目はスマートで好きなのですが……
13インチラップトップはコンパクトですが絵を描くには画面が狭く、15~17インチだと広さやスペックは上がりますがモバイル性や省スペース性は期待できなくなってきます。
特に絵描き作業においてはペンタブレットを繋ぐ必要があり、さらに外部モニターやキーボードを繋いだりしていくとラップトップ自身の筐体が邪魔になってしまったりとせっかくのコンパクト性をスポイルしてしまいます。
Mac bookのように畳んで立てて置けるタイプならまだいいのですが……
一時期は高性能なラップトップを外出時に持ち運び、自宅では外部モニターに繋いで1台のPC両用で作業するスタイルでしたが、絵描きの場合はペンタブなどいちいち接続し直さないといけない機材もあり、ちょっと億劫でした。
さらに現在ではほとんど自宅でしか作業しなくなったので、必然的にデスクトップになりました。
高性能なラップトップはかなり高額なので、メイン環境を外に持ち運ぶのは紛失や盗難、破損、セキュリティ面のリスクも懸念されます。
大人しく持ち運び用とメイン作業用は分けた方が良いなと思いました。
近年注目されているAppleのM1チップ搭載機種のような低発熱でも処理性能の高いラップトップは前々から試してみたいと思っています。Windowsに慣れきってるのでなかなかハードルが高いですが。
どちらにせよ、絵を描くために外部モニターやペンタブや左手デバイスなど各種機材を繋ぐと結局かなり場所はとってしまうので、よほど持ち運びの必要性がある場合でなければデスクトップが良いと思います。
手軽に描くならタブレットはいいですよね。
こたつに入りながらとか、カフェやコワーキングスペースでとか、寝転がりながらでも描けますし、ラフスケッチや漫画のネーム出しなんかにも最適かと思います。
お絵かきタブレットならやはりiPad+Apple Pencilを使っている方が大多数のようですね。
独自のチップやソフト側の最適化により低発熱でもかなりの処理性能を実現しており、UIもタッチ操作に最適化されていてツールボックス等のスペースを極力省いていることで同サイズのラップトップPCと比べて画面が広く使えます。
私もiPad Airを作業中の動画再生用と遠出時の軽作業用として使っています。
絵描きメインで使うならできればApple Pencil2が使えて画面も大きめのiPad Air以上を選びたいところ。
Apple Pencil2はマグネット吸着で充電できたりペンの側面をタップしてショートカットが使えたりします。
PCの機能がそのまま使えるペン付きWindowsタブレットの raytrektab や MobileStudio Pro なども自由度が高くペン性能も申し分なくて良いのですが、iOS版クリスタが出てからは優位性が落ちてしまった感がありますね。
前者はリーズナブルですが8インチと小さめ。後者は性能面は良いのですがCPUの更新が間に合ってなかったり高額だったりと一長一短です。
私は前世代のMobileStudio Proを購入したことがあって、半年くらいはメイン機として使用していたのですが、重いのとファンの轟音がすごかったです。
他のペンタブよりペンの追従が早いのは良かったです。
Twitterを見ていると昨今は特にiPadのみでやっていてしかもハイクオリティな作品を仕上げている作家さんもしばしばお見受けします。
自分も最初からiPadでやっていれば、タッチ操作を使いこなしていつでもどこでもスマートに絵を描けていいな~と思ったりもします。
ただ、PCの大画面に慣れてしまっているし、ペンタブのペンの物理サイドスイッチや左手デバイスの押し間違いの少ない物理キーはやっぱり使いやすい。
資料を何枚も表示しながら作業したり、レイヤーも多くてひとつひとつのファイルデータが重たくメモリ容量が必要なので、私の場合はiPadのみで完結させるのは今のところ無理でした。
また仕事用となるとファイルやソフトの互換性等の面でもまだまだPCに分があります。
逆にこれからデジ絵を始める人や、シンプルめな絵柄だったりレイヤーが少ない油彩や鉛筆画路線、漫画原稿やあまり込み入った操作をしない人、SNSにアップする絵を描きたいだけの用途ならばIPadは最強お絵かきデバイスかもしれません。
今使っているメインPCのスペックはざっくり以下の通りです。
CPU : Ryzen5 5600X
GPU : RTX 3060ti
メモリ : DDR4 3200Mhz 32GB×2
マザー : GIGABYTE B550 AORUS PRO AC
SSD : Samsung 970 EVO Plus 2TB + 1TB
ケースはin Winのミニタワー。
卓上に置いても圧迫感のないサイズでありながら、このように液タブを上に乗せて机にスペースをつくれるので便利です。
半分趣味で自作していますが、PCに興味のない人ならBTO注文した方が時間が無駄にならなくて良いと思います。私はBTOだとツクモさんとサイコムさんにお願いしたことがありますが全く問題ありませんでした。
よく言われていることですが、家電量販店によくある画面一体型PCやスリムタワーPCはノートPC用のCPUが使われていたり、価格に対する性能面や拡張性に難があることが多いのでオススメしません。
●どんなスペックを選べば良いのか
お絵かきに必要なスペックですが、当然使用するソフト次第です。
私はメインがCLIP STUDIO PAINTで、補助的にPhotoshop、あとはBlenderなどの3Dソフトを少しだけというかんじです。
クリスタは少なくとも日本ではイラスト・漫画制作でのシェアが一番大きいはずなので、ここでもクリスタ基準で書いていきます。
Photoshopでも問題ないスペックではあると思います。
PCを選ぶ時、自作の場合はケースや冷却ファンなどにも好みで拘りますが、BTOを想定すると自分で選択するのは主にCPU、メモリ、GPU、SSDの4つになります。
●CPU
PCの頭脳となるパーツです。
intelならCore i5以上、AMDならRyzen5以上がオススメです。
Core iとRyzenの違いは細かいことをあげれば長くなるので割愛しますが、今ならどちらでもお好みで良いのではないでしょうか。拘りがなければ安い方で。
近年はRyzenが人気でしたが、昨年末にintelの最新世代で大幅に性能が上がり、2022年3月時点ではどちらかというとintelの方が優勢というかんじです。
正直、クリスタで絵を描くだけならもっと下のグレードのCore i3とかでも問題ないのですが、せっかくデスクトップなわけですし冷却にも余裕があるので快適さを求めたいところ。
ブラウザや他のソフトも同時に使用することを考えるとi5、Ryzen5以上が無難です。
動画編集や配信をしたりといった別の用途にもつぶしが効きます。
近年CPUの性能が再び大幅に上がってきていますので、できれば最新世代のものが良いです。ひとつ前の世代は安ければ選択肢に入るといったかんじ。
CPUの詳細を見ると
「Core i5 12400 6コア12スレッド クロック周波数:2.5GHz 最大4.4 GHz」
などとスペックが書いていますが、お絵かきにおいてはブラシの処理に影響するクロック周波数が高い方がサクサク度が増します。
コア数についてですが、クリスタは設計が保守的なのでコア数が多くてもあまり有効に活用してくれません。4コアでも16コアでも違いはほとんど分からないと思います……Photoshopは多少、有効活用してくれるらしいです。
しかし、今後のアップデートや他のアプリ、最近のOSの設計も考えると、今から選ぶなら最低6コアはあった方が良いのではないかと思います。
もちろんi7以上やRyzen7以上で8コア、12コア、16コアなどを選んでも良いのですが、その分発熱や消費電力は大きくなります。CPUクーラーが小型だった場合は冷却音が大きくなる可能性が増えます。
高性能なCPUはそれに対応したクーラーも巨大になり価格も嵩みます。
低負荷で長時間運用する絵描き作業においてはi5やRyzen5のミドルクラスはバランスが良いかもしれません。
尚、同じi5でもCorei5 12600Kのように10コアのものもあります。
細かいことは省きますが、末尾K付きのものは強いと思っていただければ。
当然、K無しのi5より発熱等は増えます。
※具体的なオススメ
同じi5の中にも種類があったりして分かりにくいと思うので、2022年3月時点の現行世代でオススメを挙げますと…
intelの場合(下にいくほど価格と性能が高いです)
Core i5 12500
Core i5 12600
Core i5 12600K
Core i7 12700K
の中から予算と相談して選ぶと良いと思います。
Core i5 12400は千円ちょっと安いだけでベースクロックが低いので外しました。
同じくKなしのCore i7 12700もベースクロックが低いので、i7にいくならK付きがいいと思います。
Core i9シリーズはお絵かきにはかなりのオーバースペックであり、冷却面がシビアになる割にはお絵かきの快適さは変わらないと思われるので除外しています。
AMDの場合
Ryzen 5 5600G(グラフィック付き)
Ryzen 5 5600X
Ryzen 7 5700G (グラフィック付き)
Ryzen 7 5800X
のいずれかがオススメです。
intelと同じ理由でRyzen9は除外しています。
Ryzenは末尾にGが付いている型番のみグラフィック機能が搭載されています。
5600Gは、グラフィック機能無しの5600Xから少し劣る程度のCPU性能でローエンドグラボ程度のグラフィック性能も持っているので、グラボを買わない場合はコスパ最強となるかもしれません。
5600Xや5800Xはグラボ必須となるので注意です。
これらの中でひとつだけオススメを選ぶとするとCore i5 12600Kでしょうか。
価格に対しての性能が非常に高く、各種検証を見ているとK付きの中では発熱がかなり抑えられているようでワットパフォーマンスも良好、映像出力も付いていて、シングルコア性能も高いのでお絵かきにぴったりだと思います。
K付きのCore iシリーズはCPUクーラーが付属しないことに注意ですが、BTOならそこは問題ないでしょう。
●メモリ
お絵かき用PCはメモリを多めに積んでおくべしとよく言われます。
メモリが足りないと、作業中のデータが大きくなったときに動作がカクカクしたりフリーズしたり、アプリが落ちたりします。
その人が使うレイヤー数やキャンバスサイズなどの大きさにもよりますが、私の場合は作業終盤に入ってきてレイヤーも多くなり、さらに資料用に別のPSDデータを開いたりすると40GBを越えています。
これは多い方だと思うので、とりあえず16GBを最低ラインにすると良いかもしれません。予算が許せば32GBや64GBで。
メモリにもクロック周波数が色々ありますが、CPUほどPCの動作速度に影響することは少ないです。
お絵かきなら最近BTOでもよく採用されているDDR4 3200で特に問題ないのではないでしょうか。
●GPU(グラフィックボード)
ぶっちゃけますと、今の2Dお絵描きにはグラボはほぼ必要ありません。
クリスタはそもそもGPUをほとんど使ってくれませんし、CPUに標準で内蔵されている画面出力機能(オンボードグラフィックス)も性能が上がっているのでそれで充分なことが多いです。
クリスタ3Dはグラボがあってもなくても重いです(;´∀`)
なので予算が足りない場合はあえてグラボを付けずに他に予算をまわす選択もありだと思います。(グラボの価格が高騰している今だと切実です……)
後から余裕のあるときに自分で増設できるのもデスクトップの良いところです。
もちろん、ゲームや動画編集、配信、3Dソフト等をがっつり使うという場合はミドル級以上のグラボを乗せておかないといけません。
逆に「絵を描く以外には使わないけど一応グラフィック系の作業だし、とりあえず念のために安いグラボを載せておくかぁ」といったことはあまりしなくてよい時代になりました。
特に今はグラボが高いので、以前ならGTX1660あたりをとりあえず載せておけばそこそこゲームもできるし~などと思えたのですが今だともったいなく感じてしまいまして、直近でお絵かきにしか使わない場合はグラボなしで良いと思うんです。
一応、グラボの中にもメモリが搭載されており画面表示にそのメモリが使われるため、メインメモリをより多く使えるというメリットはあります。
※グラボを載せない場合の注意点
intelだと Corei7 12700F ←のように末尾にFがついているCPUはオンボードグラフィックスがないのでグラボなしでは使えません。
またRyzenは基本的にオンボードグラフィックスが搭載されていません。
例外として、Ryzen5 5600G ←のように末尾にGがついているCPUはintelよりも性能が高いオンボードグラフィックスが搭載されています。
まあ、BTOだとこういう組み合わせは選べないようになっているはずです。
それと映像出力端子。
グラボを乗せない場合は映像出力にマザーボード側の端子を使うことになります。
今のマザーは映像出力も4k対応だったり端子の数も充実しているものが多いので問題ないことが多いですが、マルチモニターをたくさん使ったり4kモニターを使用したり、マザーの端子の種類を選びたい場合は確認しておいた方が良いです。
こういった場面からも、使用しているマザーボードの型番をちゃんと記載しているBTOショップを選ぶのが吉です。
●SSD
記憶装置です。
昨今では、動画を大量に保存するなど特定の用途を除いてHDDは必要なく、最初から全てSSDを選んでも価格的にも信頼性的にも問題ないレベルになってきていると思います。
SSDにも2.5インチSATA、M.2 SATA、M.2 NVMeなどタイプがありますが、NVMeタイプが数値上の速度はずば抜けて速い(その分熱い)です。
ただ、SSDの速さの違いを人間が体感できることは少ないと言われていて、予算を節約したいなら安いもので良いのではないでしょうか。
NVMeの中にもNANDタイプという種類があって速度や信頼性に差があるのですが、私はそのどちらにも定評がある970 EVOを使っています。
クリスタの保存はレイヤーが多くなってくるとかなり重いので、遅いSSDに比べて体感でもやや速くなったかなと思っています。
容量なのですが、個人的にはこれまで蓄積した資料等のデータがざっくり1TB、過去のイラスト作業データが1TB、OSシステムや各種ソフト諸々で500GBで、そこから余裕をもって合計3GBは欲しいです。
が、最初は最低ライン500GB、できれば1TBが目安じゃないでしょうか。
SSDを2つ積んでシステムドライブ用500GB、データ保存用1TBという構成もよく見ます。
安いPCで256GB程度のSSDを搭載しているものがありますが、OSや各種ソフトを入れたらすぐに余裕がなくなるので作業用PCとしてはオススメしません。
個人的にはシステムドライブ用としても500GB前後は欲しいところですね。
やはり長くなってしまったので一度ここで記事を区切らせていただきます。
これ以外にも、できるだけ静かに作業したい場合はBTOでもCPUファンを良いものに変更したり、WiFiやBluetooth用のカードを搭載したりと、必要に応じてオプションを付けられる場合も多いです。
賢く取捨選択をして、自分にぴったりのPCを手に入れたいですね。
こういう構成を考えるのは楽しめれば良いのですが、苦手な人にはただ苦痛なもの。
面倒なことを考えずに絵描きデバイスが手に入れられるiPadはやはり有用ですね。
ただ、クリエイティブな作業においてやり込めばやり込むほど、PCはまだまだなくてはならない存在だと感じています。
過去の記事と内容が被ってしまった部分もありましたが、PCでお絵かきしたいと思っている方にとって少しでもご参考になれば幸いです。
次回はペンタブやモニター、キーボード等のPC以外のデバイスについて紹介や解説をしたいと思います。
▼後編の記事はこちら
お読みいただきありがとうございました!
neoillusions
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