漫画についての雑談(前編)
Added 2023-03-13 21:32:29 +0000 UTC今日はちょっと趣向を変えて、漫画の描き方のお話でもしてみようかと思います。
「お前漫画全然描いとらんやんけ」
というツッコミもあるのは承知の上ではございますが、5月のコミティアで久しぶりに漫画を発行する予定ですので、僕自身の戒めの意味も兼ねて…ということで。
twitterで
「いま漫画を描ける人が少ない!」
みたいなお話が話題になっていたのもあって、自分の考えとか漫画を描くにはどうすればいいのかとか、僕が個人的に考えていることを書いてみようかなと思った次第です。
あくまで僕個人の考えなのでそれが正解ということでは無いのですが、まあ漫画の描き方入門編的な物であると気楽な感じで読んでいただけたらと思います。
(ちなみに僕は漫画を完全に独学で書いていて変な癖が付いても良くないので、あくまでも一つの素人意見として受け取っていただけたらと)
■前編のもくじ---------------------------------------------
1.いま漫画を描く人が少ない?
2.「漫画って難しそう」
3.「面白い漫画」ってなんだ?
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1.いま漫画を描く人が少ない?
そもそも漫画っていま描ける人って少ないんでしょうか。
僕はあんまりそうは思っていなくて、twitterなんか見てもwebコミックの媒体とか見ても昔に比べてめちゃめちゃ漫画いっぱいあると思うんですよね。
同人誌では確かにイラストレーターの方の本がいっぱいあって、コミティアなんかでも漫画よりもイラスト本の方が圧倒的に多い印象です。
ただそれは単にイラストを描く方が増えすぎて漫画を敢えて選んだ人がそれと比べれば少ないというだけなような気もします。
昔は同人誌なんかでは漫画を描く人が多かったと思います。それはなぜかというとそもそもフルカラーで本を作るという文化があまり定着していなかったからです(と、僕は認識しています)。
そんな全ページカラーでイラスト集を作るなんていうのは印刷費が高くて一部の大手の方だけの特権で、普通の人にはとても手が出るような物ではありませんでした。となると自然と皆モノクロで原稿を作るようになります。
結果として皆が表現方法で選択するのは漫画ということになるわけですね。
昔は敷居が高いのは金額面的な意味でイラストの方だったんです。
しかし今はデジタルでのカラーイラストの作りやすさと、誰でも手が出る程度のロットと印刷費でカラーイラスト本を作る敷居はぐっと下がりました。
モノクロで同人誌を作る選択をする必要がなくなったのです。単に自己表現の手段の選択肢が増えたが故に全体の牌からイラストの方に吸い取られた。と、僕は思っています。
結果イラストを選択する人が増えれば当然漫画を描く人が相対的に少なく見えてしまっているだけなのかなぁと。
当然漫画という手段を選んだ方も大勢いるわけです。
単純に漫画を描くのが好きだからとか、自分が表現したいものをアウトプットするのに最適なのが漫画だったからとか、イラストが苦手だからとか、理由は様々です。
ちなみに僕はイラストが苦手、というのとアウトプットの手段が漫画が最適だったからというこの2点が大きいと思います。(本当はイラストでも活躍したかったなぁと今でも思っているんですけれどね…)
どちらが優れている。なんていうのはありませんし、どちらにも特有の難しさがあります。
よく「漫画とイラストは求められるスキルが違う」と言われますがそれは本当にその通りで、漫画は物語の想像力や構成力、語彙力、画力などの総合力が求められますし、イラストはイラストそのものの構成力、画力、色彩感覚、個性、芸術性の方面での力が求められる…と、思ってるんですが合っていますかね…?
ゆうて僕はイラストレーターではありませんので後者の方はここでは触れないとして、漫画の描き方の方ですね。
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2.「漫画って難しそう」
よくこんなふうに言う人がいます。
「漫画って描くの難しそう」
これは半分正しいし半分間違ってるのかなと。
確かに「面白い漫画」を描くのは難しいかもしれませんが、そもそも漫画はコマを割ってその中に絵を描いてセリフを乗せれば漫画になるわけです。
「漫画ってコマの中にいっぱい絵を描かなくちゃいけなくて大変そう」
これも正しいとも言えるしそうでないとも言えます。
別に全部のコマに絵を入れる必要はなくて、真っ白な中にセリフだけしかないコマもありますし、青空だけ描いてそれっぽいセリフを入れれば立派な演出になります。
僕なんて3年描き続けた漫画のラストシーンは真っ白なページに吹き出し一つとかでしたよ。
これは手抜きとかじゃなくてそれが最適だと思ったからそうしたわけです。
いや本当に。
めちゃめちゃ乱暴な言い方をしてしまいましたが、結局漫画はこういうもんだと思います。僕は昔小学生の頃、キャンパスノートにフリーハンドでコマ割りをして丸描いてちょん人間で漫画を描いていましたがあれも立派な漫画だと思っています。
もちろん内容は内輪(クラスメート)ネタバリバリで第三者が見れば意味不明ですが、読者層がクラスメートだけであると考えれば一応の需要には応えていたわけです。
前述したように「面白い漫画」を描くのが難しいのであって、漫画という形式を描くこと自体はそこまで身構える必要はないのではないかと思うのです。
ただ…そうは言っても沢山の人が見て自由に感想を述べる今の時代、沢山の人の目に触れるということが一番の敷居の高さになっているのは確かだと思います。
だからこそ下手な漫画を描けないと思ってしまうことが自分の中のハードルを上げてしまって結果として「難しそう」になってしまっているのかもしれませんね。
1で述べた同人誌の話で、どうして皆漫画を描くことを選択できたのか?
というのも、同人誌は昔は本当に内輪の限られたコミュニティの中の物でした。だからこそ色んな人の目に触れる可能性が低く、皆が気負うことなく伸び伸びと描けたことが背景にあったのではと思います。
しかし忘れてはいけません。
漫画という形式の基本はコマ割りの中にセリフと絵。この三要素が揃いさえすれば形にはなるのだということを。
「そうは言っても面白くない漫画に何の意味があるの?」
次はその件について僕の考えをお話したいと思います。
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3.「面白い漫画」ってなんだ?
そもそも「面白い漫画」ってなんなんでしょう。
斬新なシナリオ?
壮大な物語?
魅力的なキャラクター?
思わず熱くなっちゃう演出?
確かに名作と言われる漫画はそれらが混ざり合って奇跡みたいな産物となって世に放たれて圧倒的な支持を得ています。
そんなことが出来ればもちろん最高なんでしょうけれど、そもそもそんな漫画めったに出てきませんし、プロだって簡単に描けるものではありません。
「面白い漫画ってなんですか」って聞かれた時に上に上げた4つのいずれか、あるいはその全部と答える方が多いのかなぁという印象です。
ただ漫画って難しそうという人の中に「お話が思い浮かばない!」という声をよく目にするので「斬新なシナリオ」が大事だと思っている方がけっこう多いのではないでしょうか。
確かに誰も見たことがないお話…いいですよねワクワクします。
それがあれば一気に読者の興味を惹くこと間違いなしです。
ただ僕はいつもこう思いながら漫画を描くことにしています。
「一番よくない漫画はわかりづらい漫画」であると。
逆を言えば「わかりやすい漫画」というのはそれだけで面白くなる可能性を秘めています。漫画力。なんていう言葉をよく目にしますが、まさにその「わかりやすさ」のことを指している言葉だと思っていて(厳密にはそこに演出力等も入っては来るのですが)、すごく乱暴な言い方をしてしまうと
「ありきたりな物語すら面白くしてしまう」のが漫画力。つまりは「わかりやすさ」さえクリアしてしまえば漫画は面白くなるんだと。
もちろん万人が面白いと言う漫画は存在しないのでその辺は読み手の好みに左右される部分も多いのですが、読みやすいことが悪だと言われる漫画は存在しないわけです。
よく「面白くなかった」と言われる作品って「意味がよくわからなかった」と言われることが多いと思いませんか? つまり「分かりづらかった」「作者の意図が紙面から汲み取れなかった」ってことです。
ここでいう作者の意図というのは、作者の思想とかテーマとかそういうものではなくて、作者が何を思ってこのキャラにこの行動を起こさせたのかとか、どういう意図でこのシーンを入れたのかとか、どういう時系列でこの一連のシーンを考えていたのか、とかそういう物を指します。
よく出版社への漫画持ち込みレポであるあるの編集部の人が言うお決まり文句
「この漫画で何を伝えたかったの?」
ってセリフですが、まさにその「わかりづらい」っていう意味の別の言い方がこれだと思います。多分だけど。
ここで先ほど挙げた
・斬新なシナリオ
・壮大な物語
・魅力的なキャラクター
・思わず熱くなっちゃう演出
これらのいずれか、もしくはすべてをクリアしていたとしてもそれが伝わらなければなんの意味もないわけです。
わかりづらければ結局感想は「よくわからなかった」にしかならず、逆にありきたりな内容だったとしてわかりやすい内容となっていれば「ありがちだけど面白かった!」と言われる可能性があるわけです。
最高の素材を揃えたのに調理法がダメだと美味しくない料理になってしまいます。
逆にお安い素材だけどおうちのカレーって安定した味で美味しくて飽きが来ないじゃないですか。
とまあ、言葉が少々強くなってしまいましたが、漫画は総合的な力が求められるなんて言いますけれど最初は「わかりやすさ」を意識して描くだけでもずいぶんと違う結果になるのではと僕は思います。
まじで「わかりやすさ」をクリアさえすれば「この人漫画うめえ!」って評価が出ると僕は信じています。
「わかりやすいなんて出来て当然、むしろそこがスタートラインだ」
と思う方もいるかもしれませんが、僕はどっちかっていうとそれが出来てる時点で7割は漫画が完成してると思っているんですよ。
残りの3割に演出力やシナリオ、構成力なんかが求められるのかもしれませんが、やっぱわかりやすくて当然というのは求められるハードル高すぎじゃないかなーって思います。
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その読みやすさを出すのが中々難しかったりするのですが…次回は僕が実践していた「読みやすさ」を鍛えるにはどうすればいいのかを書いてみようと思います。