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ヒルデの冒険~天騎士淫浪譚~ 第2話 ローズベルにて 後編

 ローズベルではヒルデが町長の家に到着しており、歓待を受けていた。

 しかしそこで聞いたのは、相当に切迫した事態であった。

 ここから東、縦に走る山脈の向こうにマウスヒルという町がある。

 そこからこちらへ発った行商の一団が、道中に野盗からの襲撃を受け逃走したが山に迷い込み、疲れと負傷で動けなくなってしまったらしい。

 積み荷には町にとって重要な物資が多数含まれており、これを救わないことには町の経済に関わってしまう。

 ローズベルの人間も彼らを救うべく色々と考えを巡らせたのだが、助けを求めて単独でやってきた商人は山脈を南に迂回し、ここまで一週間ほどかかっている。

 しかし山脈を突っ切れば、その半分もかからずにすむ。

 そこで白羽の矢が立ったのはヒルデであった。

 山脈の上層にはフロストトロールたちが棲み着いており、人が踏み入れることは難しい。

 しかし名高い天騎士であればそれも可能なはずと、そういう話であった。

「それは急を要しますね……」

「お願いします、ヒルデ様。我々にはもうどうしようもできないのです」

 渋面を机にこすりつけて、町長は懇願してくる。

「わかりました。ご安心ください。必ず助けてまいります」

 ヒルデが微笑んで承諾すると、町長らの表情が自然と緩んだ。

 こうして人々の平和に寄与することこそ、天騎士の本懐たるところである。


 ヒルデが準備を整えて町の入口へ向かっていた頃、視界の端になにか動いているのに気がついた。

「あら……?」

 そちらを見ると、あのホーンドドックが草むらで走り回っていた。しかしリードは外れており、飼い主のテオの姿も見えない。

「バッキーだったかしら……」

 近づいていくと、バッキーは嬉しそうに駆け寄ってきた。

 ヒルデは身をかがめてわしゃわしゃと頭を掻いてやる。

「バッキー? 御主人様はどうしたの?」

 相当気持ちよかったのか、バッキーはわふわふとヒルデにじゃれつき、押し倒してしまう。

「こ、こら! そんなことをしては……あっ!?」

 バッキーはヒルデの股間にマズルを埋め、クンクンと鼻を鳴らす。



「んっ……! ダメッ……あっ!?」

 布越しに秘所を刺激され、ヒルデの喉からくぐもった嬌声が漏れる。

 そしてバッキーは鼻先でヒルデのビキニの下に潜り込むと、その割れ目をペロペロと舐め始めた。

「んはぁっ!?♥ あんっ♥」

 おそらくはバッキーに近しい女性が、自分が愉しむためにそのように躾けたのだろう。

(う、上手い……敏感なところをっ……!)

 逃れようと身体をよじるが、逆にバッキーはねじ込むように身体を寄せてきた。



「あ、うっ、もぅ、やめっ♥ んっ♥」

 街角の草むらで行われる情事。

 誰にも気づかれることもなく、であるがゆえに、ヒルデがそれを拒絶するきっかけも失っていた。

(誰かにこんなところを見られたりしたら―)

 怖気が背筋を駆け上っていくのがわかる。

 しかし同時に、それとは別の背徳が自分を高ぶらせている。

「んはぁぁ♥ だめ、あんっ! 見られちゃう、見られてしまうっ……♥」

 飼い主のテオが、この行為を目撃したらどうなるだろうか。彼はきっと両親に告げるだろう。それがどういうことかもわからないまま……。

(ーーーっ!!♥)

 ぞくぞくぞくっ!!

 そしてヒルデはバッキーの舌使いに導かれるまま、高みへと駆け上っていく。



「んっはぁ……♥ い、く……あ♥ あっ♥ ああーーーっ!!♥♥」

 ヒルデは体を反らせて絶頂した。びくんびくんと身体を痙攣させ、潮をバッキーの顔面に降り注がせる。

(気持ちいいっ♥ ワンちゃんの舌気持ちイイッっーー!!)

 そしてヘタリと身体を弛緩させ、草むらの中に倒れ込んだ。

「はぁ、はぁっ……あ、ん♥」

(イッてしまった……♥)

 倒錯と背徳の痺れに酔ってしまった自分に嫌悪感を抱く。

 結局バッキーの愛撫を突っぱねることなく、高みに達してしまったのだ。

 そしてヒルデは不意になにかに気づき、青ざめた。

 そう、バッキーの股間から、男根が屹立していることに気づいてしまったのだ。

「あ、あぁ……!」

 戦場でさえ平静そのもののヒルデの声が震えていた。

 今の弛緩したヒルデではそれを撥ねつける力はなく、雷の魔力を使ってバッキーを傷つけでもしたらテオはどんなに悲しむだろう。

(つまり、犯されるしかない――?)

 その現実に恐怖した、その時だった。

「バッキー! バッキーったらーっ!」

 交わりかけていた二人の間を、少年の声が駆け抜けた。

 バッキーは顔を上げて、声のした方にだっと駆けていった。

 その変わり身に、ヒルデは乱れた格好のまま呆然としていた。

「いた! バッキー、すぐどっかいくんだから!」

 しかしほんの眼と鼻の先でテオとバッキーが合流したのを見て、慌てて身なりを整える。

(な、なんなのあのワンちゃん……)

 今起こったことはなんだったのか。

「あれ? お姉ちゃん、こんなところで何してるの?」

「えっ? い、いえ、なんでもないのよ……」

 一つ言えるのは、ヒルデの火照った身体は、たしかにバッキーを受け入れる準備ができていたということだった……。

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