ショーダウンⅡ 『30:罪の重さ』
Added 2025-05-26 13:45:59 +0000 UTC#30 『罪の重さ』 鈴音は右手から“鴉のくちばし”を一旦外し、そのくちばしについていた羽根部分の爪を抜き取ってそれを左右の手に持ち紅葉の足裏に近づけた。 そして、綾香の開始の合図を聞くや否やその黒い羽根を反り返った紅葉の両足の裏に触れさせて、ゆっくり上下に動かしてこそばし始める。 「(はぐぅっっっっふっっっ!? ひぎっっ!!)」 開始と言われ早速決められた謝罪の言葉を言おうと口を開きそうになるが……その言葉を出す前におぞましいこそばゆさが足裏を襲い、紅葉は慌てて口を閉じ謝罪とは別に出そうになった声を必死に喉奥に堪えて顔を横に振ってしまう。 「さぁ……いつでも謝って貰って良いけど……? どうしたの? そんなに嫌がるように顔を振っちゃってぇ~♥ もしかして……こそばくて謝れないとか言わないわよねぇ?」 苦しそうに顔を振って嫌がっている紅葉に、綾香はニタリと笑みを携え両手を彼女の顔の前に構える。綾香も鈴音同様に鴉のくちばしを外し羽根がついていた爪だけを分離して左右の手に持たせていて、それを紅葉に見せつける様にクネクネと振って見せている。 「んぐむぅぅぅぅっっっ!! んぐぅぅぅ!! んっっ!!」 紅葉は足裏のこそばゆさに既に笑う寸前まで追い込まれてしまっているが、それでも綾香に指示された通り笑い出しそうになるのを必死に堪え、目の前に構えられた2本の羽根に抗議の意思を示すようにくぐもった声で声を漏らす。 綾香はその姿を見て片方の口角を上げ歯を見せるような意地悪な笑みを零し、その二本の羽根を紅葉の首の根元へと近づけさせていった。 「ほ~~ら、謝る気がないなら~~遠慮なく~……くすぐっちゃうゾ~~?」 人の指程の大きさしかない小さな黒い羽根をユラユラと揺らしながら……綾香はその羽根先を紅葉の左右の首筋へと這わせ始める。 「むびぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!?!? んむむぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ!! んっ、んんっっ!!」 羽根先が首筋に触れた瞬間、紅葉の身体がビクリと跳ね上がるような反応を返して来る。そして、羽根から首を守るために顔を下に向けたり首自体をすぼめようとしたりと綾香のくすぐりに抵抗する。しかし、左右同時に首を挟むように羽根を這わされていては、どちらかの首を守れても反対の首は守れない。それ故、抵抗してもこそばゆさは完全には防ぎ切れず……紅葉は綾香に操られている羽根の刺激にじっれたいくすぐったさを味合わされる事となった。 「んぅぅぅっっっ!! んぐふぅぅぅぅぅっっっ!! んく、んぐっっ!!」 無防備に反り返った足裏の中心を、鈴音の手に持った羽根がゆっくり焦らすように上下に往復しながら撫でている。 その羽根の刺激は指や爪程のハッキリした掻痒感ではないが、無視できるほど曖昧な刺激でもない。 羽根の先端の芯の部分が爪と似たような働きを担っている為、それが上下に撫でるとまるで爪が引っ掻いているような刺激を味わう事になる。それに加えて羽毛の柔らかさが肌の敏感な神経を逆撫でするように刺激し激しい痒みを覚える事となる。 爪に引っ掻かれる掻痒感と毛先に撫でられるムズムズする痒さ……それが同時に無抵抗な足裏に送り込まれるのだから紅葉のじれったさは許容出来ない領域に達する。 指や爪でのくすぐり程に強制的な笑いを生む事はないが……しかしこの我慢しようと思えば我慢出来てしまうムズ痒さは、笑う事よりも別種の苦しみを紅葉に生み苦悶する事を強要してくる。 それは首への刺激も同様だ。 「くっっふぅぅっぅぅ! んくく……くっ……」 首への刺激も……笑い狂うまでには至らないが羽根のチクチクした毛先が首の神経を撫でると激しい拒否反応を身体が示してしまい紅葉の美麗な顔を歪ませてしまう。 羽根先が首に走る太い血管を一撫ですると、首全体が痺れる様に強い寒気を帯び思わず顎が天を向いてしまう。更にその羽根が首の裏付近を撫で始めると、強い寒気が異常な拒絶感に変化しその羽根の刺激を嫌がってしまう。 嫌だ嫌だと拒絶しても綾香の操る羽根は的確に紅葉の首のこそばゆい神経を撫でて来る。逃げようとしても抵抗しようとしてもそのこそばゆさは淡々と与えられ、紅葉に“笑え”と圧をかけて来る。 「ほらほらぁ! どうしたのぉ? まだ一言だって謝って貰ってないんだけどぉ?」 紅葉は、そのこそばゆさに笑う事だけは我慢しようと必死になっているが……綾香が言った“3回笑わずに謝罪しろ”という指示に挑む余裕はない。 油断すれば口が開いて笑い出してしまいそうだ……という所まで追い込まれているのだから、謝罪の言葉を口にするなど出来る筈もない。 「綾香ぁ~? こいつ……やっぱり、謝る気なかったんじゃない? もう良いから思いっきりくすぐり責めにしてやりましょうよ♥」 中々口を開こうとしない紅葉に鈴音がその様に提案する。それを聞いた綾香は「そうね」と返事を返すが、紅葉はそれは勘弁してと言わんばかりに涙目で必死に首を横に振る。 その必死な首振りに綾香は慈悲だと言わんばかりに一つ息を吐いて見せ…… 「……まぁ、いきなり責めるのは可哀そうだから……少しだけ猶予を与えてあげるわ。あんたへの猶予は……30秒。これから私が30秒を数え終える前に最低でも1回は謝罪なさい? 1回でも謝罪出来たら時間を戻してあげる……でも、1回も謝罪の言葉が聞けなければ謝る気無しとみなして……約束の“くすぐりの刑”執行よ♥」 綾香のその宣言に紅葉は再び顔を真っ青に染める。しかし、綾香の方はすぐにカウントダウンを開始しその口から残りの秒数を伝え始める。 「29ぅ~~~28ぃ~~~27ぁ~~~26ぅ…………」 紅葉は慌てて口を開こうとするが、そのタイミングを逃すまいと鈴音の上下する羽根の動きが素早くなり足裏のこそばゆさが一段と激しいモノとなる。 そのくすぐったさに紅葉は思わず吹き出しそうになってしまうが、寸前の所で口を閉じれたためそれを出すには至らなかった。 しかし、それに安堵など許されず……足裏のこそばゆさは更に紅葉を追い詰めようと強さを増していく。 「ぷくっっっふっっ!! んくっっ!! くっっっ……」 必死に唇を噛んで笑いを我慢する紅葉……。口を開かなければ謝罪の言葉など出せないが……しかし、口を開いた瞬間歯止めが利かなくなった笑いが吐き出されそうで……口を開く勇気が持てない。そうこうしている間にも綾香のカウントダウンは進み、そしてすぐに残り10秒を切る事となる。 「10ぅ~~~~9ぅ~~~~8ぃ~~~~7ぁ~~~~~」 もう、残りの秒数が無い……。口を開けば笑ってしまうと分かってはいるが……でも、笑いを我慢した所で結局タイムオーバーになってしまえば我慢した意味など無くなる。 もはや勇気を出して口を開くしかない。笑ってしまうと……分かっていても…… 「6ぅ~~~~5ぉ~~~~~4…………」 覚悟を決めた紅葉はカウントが4に差し掛かったところで緊張していた唇の力を抜いて口を大きく開いた。そして綾香に促された謝罪の言葉を声に乗せて伝えようとしたが……。 「っは!!!! ご、ご、ごべんな……しゃ……ぃひッ!? あひっ!!!! あひぃぃ~~~っひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ぃやっっはははははははははははははははははははははははははははははははは、ちょっ! やっぱ無理ぃぃぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 謝罪の言葉はちゃんとした言語にならず……しかも最後まで言い終える事も出来ないまま紅葉は爆笑を強いられてしまった。 「はぁ~~~い、時間切れ~~~♪ んじゃ、約束通り3分間のくすぐりの刑~~~スタートよ♥」 紅葉が笑ったのを見るや否や綾香は首をくすぐらせていた羽根を台の上に落とし、そのまま両手を彼女のワキの方へと移動させていった。 鈴音も綾香の合図を聞いてすぐに羽根をその場に落とし生の手に切り替えて足裏に這わせ直す。そして、間髪入れずにその手をモシャモシャと動かして紅葉の足裏をくすぐり始めた。 「ひっ!? いひっっ!? ひっっひぃぃぃぃぃっっっ!!! イヒャ~~~~~~~~ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ、いぎゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!! やめっっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、やめでぇぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 鈴音のくすぐりが始まると同時に綾香の手も紅葉の腋へと移動を完了させ、彼女もまた間髪入れずその手をワキワキと動かして無防備な彼女の腋にくすぐりを開始した。 二人のくすぐりは、先程までの羽根での愛撫が手加減してくれていたのだと思い知らされる程に強烈に紅葉の笑いのツボを刺激してくる。 反った足裏に這い回る子供サイズの10本の指……それらの指はランダムに肌を引っ掻いてくる為、次どの指が動くか予測できず刺激に慣れが生まれない。しかも刺激される場所も右に左に縦に斜めにと動きが予想できず尚更刺激される場所に順応が出来ない。 腋も同様に、先程までのくすぐりがお試し程度の刺激だったのだと思わせる程に綾香の手は活発に動き回り……腋窩だけでなく脇の下、胸の横、脇腹、背中、胸の周囲、鎖骨、首など、刺激に敏感だと確認された箇所を余すことなく巡ってくすぐり回し、これまで以上のくすぐったさを紅葉に与え込んでいく。 「ギャ~~ッハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、ひぎゃははははははははははははははははははははははははははははははは、死にゅっふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ!! これヤバいぃぃひひひひひひひひひひひひひひ!! 息出来なっははははははははははははははははははひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、苦ひぃ、死にゅふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ!!」 ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!! 同じ箇所に1秒も留まらないという勢いで、場所を変え責め方を変えて紅葉の上半身はくすぐりによって蹂躙されていく。 腋への刺激に笑わされたと思ったら、今度は脇腹の揉み込む刺激に笑わされ……脇腹の刺激が終わったと思えばすぐに胸横の肋骨の部位をコリコリと強く刺激される…… そこも終わったかと思えば、臍の周囲や臍の中をモジョモジョとこしょばされ、それが終わっても胸の下付近をモニョモニョとくすぐったいマッサージを加えられる。 そして、背中に手を突っ込んでサワサワと撫で回したかと思えば、二の腕をムニムニと揉み込んだり……鎖骨の溝をモショモショと爪先で引っ掻いて見せたり……両手で包み込むように首を挟んだかと思えば、すぐに指でコチョコチョとくすぐってまたワキの方へと戻って行ったり…… 上半身のありとあらゆる箇所にくすぐったい刺激を施して紅葉を笑い悶えさせる。 「イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、うはひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、やめろぉぉほほほほほほほほほほほほほほほほほほ、やめでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、死ぬぅふふふふふ、死ぬっっ!! ホントに死ぬがらぁあぁぁははははははははははははははははははははははははは!!」 綾香の多種多様なくすぐりに激しい拒絶反応を示す紅葉。しかし鈴音のくすぐりもそれに決して負けてはいない。 爪を立てて土踏まずの肌をガリガリと引っ掻いたかと思えば、引っ掻いて赤くなった肌を労わる様に指の腹でツツ~~~っと撫で上げて見せたり…… 足指の付け根を全ての指をコチョコチョ動かして刺激したかと思えば、人差し指だけを使って母指球の膨らみをカリカリと甘く掻き毟って見せたり…… そうかと思えばカカトを強く引っ掻いて痛痒い刺激を送り込んでみたり、逆にカカトを愛でる様に優しく撫で上げて見せたり…… 足の左右の側面を親指と人差し指で挟んでモニョモニョと揉む刺激を与えてみたり親指の爪でカリカリ音を立てて引っ掻いてみたり、全ての指を使って上下にゆっくり撫でてみたり…… 足の甲も、足首も、脛も、膝も……内太腿さえも手を伸ばしくすぐる範囲に入れてくすぐり責めを染み渡らせていく。 「ぶぎゃ~~っはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは、だじゅげでぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! ぐるじぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、死ぬほど苦じいぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! おでがいぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひ、た、た、たしゅけっっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!! いびゃ~~っははははははははははははははははははははははは!!」 息継ぎすらもまともに行えない笑いを強制された紅葉は、必死に首を振って綾香達に慈悲を求める。しかし、綾香達はそんな声など聞く耳持たないと言わんとする様に紅葉の無防備な身体をくすぐり続ける。 誰が計っているかも分からない3分という時間を……最大限苦痛の時間に感じられるよう、綾香と鈴音は真剣な顔で手を動かし続ける。 やがて、5分は経ったであろう頃合いになるまで責めの時間は続き……綾香は夢中になってくすぐっていた手をそこでようやく止めてあげた。 「あはぁぁぁははははははは、あは、あへ、はへ……ひひひひひひひひ……ぃひひひ……ひひ……」 紅葉の顔は酸欠によって真っ青になっていて、口からはだらしのない涎が泡の様に吐き出されていた。涙と汗は顔全体を濡らし、身体は拒否反応を示しているかのようにビクビクと不定期に痙攣している。 鈴音のくすぐりも止まると、ようやく笑いのループから解放された紅葉は顔を青ざめさせたまま必死に肩を上下させて呼吸を繰り返す。 一心不乱に……酸欠状態になった魚が必死に空気を求めて呼吸するかのように、今まで吸えなくなっていた酸素を大口を開けて取り込んでいく。 「ひっ……ひひっ……ゲホゲホゲホ!! はひ……はひ……エホッ、ゲホ!! ゴホっ!!」 あまりに慌てて酸素を取り込んでしまった為咽て咳き込んでしまうが……紅葉はそれでも激しい呼吸運動をやめなかった。 後数秒でもアレが続いていれば……死んでいたかもしれない……と、そう感じたからこそ……必死にならざるを得なかった。なにせ……まだ謝罪を行うという条件を満たしてはいなかったのだから…… 「ほら、休んでないで……謝罪する準備をなさい? 今なら最初の1回は何もせずに見ていてあげるから♥」 綾香にそう促され紅葉は惚けた意識をハッと現実に引き戻す。そして、涙目で顔を左右に振り…… 「お、おでがい……も、もう許して! ごんなの……もう耐えられない!」 と、綾香に懇願の言葉を零した。 「誰がそんな言葉を吐けって言ったかしら? 私は……謝れって言ったのよ?」 「おでがいっ! も、も、もう十分わがっだ! ホントに辛いって分がっだ! だがら……」 「謝らないつもり? それじゃあ……もう一度……」 「ま、ま、待っで!! おでがいぃィ待っで!! 無理! くすぐられながら謝るななんて出来ないっ!!」 「無理でも……やりなさい! これ以上苦しむのが嫌なら必死になって謝りなさい!」 「謝る……謝るから……お願い……。もう……くすぐら……ないで……」 紅葉の切実な懇願は確かに余裕のなさを伺えたが、綾香はそんな彼女に頭を縦に振ることはない。彼女は静かに諭すような声で紅葉に言葉を返す。 「ただ謝るだけなら誰でもできるわ。でもあんたがヤったイカサマはただの謝罪で許される程甘いもんじゃないの! 苦しくても、辛くても……それを我慢してでも謝らないと許しなんて得られない。そういう事をあんたはヤったのよ!」 「そ、それも……分かった! もう……分かったから……お願い……ちゃんと謝らせて……」 「いいえ、あんたは分かってない! まだ……“この苦しみを味わいたくない”“逃げたい”って思いから仕方なく謝ろうとしてる! そうでしょ?」 「うぅぅ……ち、違っ……」 「違うって言うんなら……示せって言ってんの! どんなに苦しくても、どんなに逃げたいって思てっても真摯に罪を認めて謝れって言ってんの!」 「うぐっっ……うぅぅ……」 「今私が“許す”って言えば……あんたは表面上は仰々しく謝りはするでしょうね……。でも、謝った後解放されれば、その謝罪の気持ちはすぐに薄れ……恨みだけが残るだけになるわ……」 「……っ!?」 「私が……そうだったから……分かる。イカサマがバレて、罰を受けた時……私もそう思った。表面だけ取り繕って謝れば……この苦しみから逃れられるかもって……」 「……………………」 「でも、麗華はそれを許さなかった。私に……真の意味で反省する心が芽生えるまで……徹底的に責め抜いた……」 「うっ……うぅ……」 「責められ辱められた恨みは……そりゃあ……持ってないって言うと嘘になるけど……。でも、それ以上に……自分が犯した罪はこの苦しみよりも上なんだって……そう……気付かされた……」 「…………」 「死ぬほど苦しいって……思ったでしょ? でも……それよりも苦しい思いをした人間もいたかもしれない……自分の不正で人間関係や家族を壊された人が居たかもしれない……そう思った時、私は償い切れない罪の重さに初めて本当の意味で“苦しい”って思ったわ」 「……く……苦しい?」 「肉体の苦しさとは訳が違う……その苦しさは……取返しがつかない事をしてしまったという……後悔の苦しさよ……」 「………………」 「失ったものはもう取り戻せない……狂った人生は元に戻す事も出来ない……それは自分だけじゃなくて、他人も同じ……。私が狂わせてしまった人の人生も……二度と元には戻せない……」 「うっ……くっ……」 「私はね……そういう罪を犯したの。そして……あんたも……これからその罪を背負って後悔しないとならない……。あの時……なんで、あんなことをしてしまったのだろうって……」 「くぅ…………」 「苦しむ事が私達への罰……。後悔し苦しみ続ける事がせめてもの贖罪……私は今も……そう思っているわ……」 「………………」 「犯した罪は消えない……消えないんだから背負うしかない……。あんたは……その事を理解しないといけない……」 「背負う……」 「それが理解出来るまで……何度だってあんたの事苦しませてあげるわ! だから、あんたは笑い苦しみながら自分の罪深さを反省なさい!」 「ひっ!? ま、ま、待って! お、お願い……」 綾香はそこまで言い終えると、真剣な顔を紅葉に向けて手を彼女の顔の前に構えて見せた。 そして、その表情を崩さず手を同時にワキワキと動かして見せる。 「さぁ、謝って見せなさい。最初の1回は言わせてあげる……でも、2回目以降は必死になって我慢して謝りなさい? それがあんたに今できる唯一の懺悔なんだから……」 綾香の手はワキワキと動いたまま紅葉の腋へと降りていく。 それに合わせて鈴音の手の紅葉の足裏へと再び構えを取り直す。 紅葉はその様子を見ながら、再び顔を真っ青に染めて恐怖した。 二人の手にくすぐられたあの苦しい刺激を思い出し……身を震わせた…… もう……笑いたくない……と、強く懇願を浮かべながら……