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ショーダウンⅡ 『29:狂おしい刺激』

#29 『狂おしい刺激』 「普段……こんな風に、下着姿で万歳し続ける格好なんか人前でしないから……新鮮でしょ?」  紅葉の股間部を跨ぎ、膝立の状態で体重を支え少し前傾姿勢になるよう身体を傾かせた綾香は、紅葉の青ざめた顔を可笑しそうに見て無邪気に笑いながらその様に問いかけた。  紅葉はその問いにプイっと顔を横に逃がして返答を拒否するが、綾香は彼女からの返答を待つ様子も見せず続けて腋を意識させる言葉を彼女に語り込んでいく。 「手を拘束されてるから……腕は降ろせない。腕が下ろせないから……私に何をされても……腋を守ってやることが出来ない。そう意識すると……なんだかワキっていう部位が……特別な部位に思えてこない? イジメられても助ける事が出来ない……哀れな自分の弱点……そんな感覚になってこない?」  綾香の言葉に促され、自身の万歳した格好に改めて視線を移してしまう紅葉。その視線に映った自分の腋は……衣服や布を一切纏っていない素肌であり、万歳の格好をしているが故にその腋の素肌は誰かに見て貰いたいと言いたげに堂々と晒す事を余儀なくされている。 「くっ……」  万歳の格好をやめたいが……手を引き腕を降ろそうとしても手首に巻かれた枷がその動きを封じ、万歳の格好を強制的に継続させられる。それがあるから、腋を隠したい……と思っても自分の力では腋を隠す事も叶わない。  そんな事……言われなくても最初から理解している! と反論したい所だが、改めてその様に言われ意識させられると……無性に自分の腋が“自分の体の中で最も繊細で弱い箇所だ”と思い改めさせられ、なんとも愛おしいような庇護欲を刺激されるような感情が浮かんできて不安が込み上げてきてしまう。  自分の最も弱いこの箇所を刺激や視線から守ってあげたいが……このように万歳の格好で拘束されていてはそれは叶わない。隠して守ってあげたいけど……それが自分の力ではどうしても出来ない……そう意識させられると、何とも不安でじれったい思いに埋め尽くされてしまう。 「み、見るなぁぁ……」  こんな自分の弱い部位を他人に……いや、敵である綾香に見られるなんて我慢ならない! 絶対に触らせたくなんてない! と、強く思っているが……しかし、どうする事も出来ない。この哀れで愛しい自分の腋はまな板の上の鯉の状態なのだ。もう……されるがままだし、反抗も抵抗もさせて貰えない……それが無性に悔しくて……胸を緊張と不安で高鳴らせてしまう。 「ちゃんとココも意識して焼いたのね? 腋の縁も……窪みも……とても綺麗な小麦色してるわ♥」  内心“悔しい”と思っている紅葉だが、いざそのように言われながら綾香に腋を覗き込まれると……途端にその部位が敏感になったような感覚に襲われ恥ずかしくなってしまう。 「くぅぅぅっ! うぅ……」  今……綾香に自分の腋を見られている……綾香の目が自分の腋の窪みをじっくりと観察している……と、そう意識すると堪らないじれったさに苛まれ体中がムズムズと痒くなるような感覚に追い込まれてしまう。  くすぐられてもいないのに……くすぐったいとさえ思えてしまう…… 「ピクピク震えちゃって……可愛いじゃない♥ 緊張しているのかしら? それとも……不安?」  意図せずともワキの肌が勝手に震えてしまう。これから触られるのだと自覚すると尚更、その刺激を想像してしまって肌が鋭敏になっていく。もはやじっとなどしていられない……叶うなら全速力で綾香から距離を取りたいと……そう願ってさえいる。 「大丈夫……怯えなくて良いの♥ これから私が、た~~っぷり……楽しい気分にさせてあげるから……あんたはその綺麗な腋を素直に預けなさい? それを私が優し~く、可愛がってあげるから……♥」  そう言うと、綾香の目が好色な光に染まる。目の光とは対照的に額には怪しい影が差し込み、彼女の両手がワキワキと紅葉の腋へと距離を詰めてくる。  左手には鴉のくちばし、右手は彼女の直の手……それらが、無防備に差し出された紅葉の褐色の美腋に降り立っていく。 「くっ!!!」  紅葉は思わず目を瞑った。触られる瞬間を目で追う事すらも拒否した。  あわよくば……視界と共に綾香の手も目の前から消えてくれれば良いと都合の良い思いを願ったが……  しかし、現実は彼女が思う程甘くはなかった。  目を瞑った故に暗闇となった視界……その暗闇は一瞬の時の流れも数十秒経ったかのような長さに引き延してしまう。  だから、目を瞑って数秒しか経っていないのに……紅葉の頭には何十秒も経ったかのような錯覚を覚えた。いつまで経っても綾香が触ってこない……と、ほんの1秒程の時間しか経っていないのにそんな事さえ思ってしまった。  触らないのならもう一度目を開けて状況を再確認しようか……と、紅葉が瞼を持ち上げようとしたその瞬間……! ――ゾワッッ♥  っと、右の腕の付け根付近に寒気とムズ痒さが混合したような鋭い違和感が感じられた。  その違和感はすぐに左の腕の付け根にも与えられ、そしてその刺激が縦方向に移動する感覚を肌に感じさせられた。 ――ツツツゥ~~(ゾワゾワ♥) ツツツツ……(ゾクゾクゾク♥)  右腕の付け根……腋の中心に尖った爪楊枝が触れたような感触が一瞬した。それが腋の肌をなぞる様に下方向に動くと爪楊枝だと感じていた刺激は弾力性のあるブラシの毛先の様な刺激へと変化した。  左の腋には、爪の先が触れたような感触を最初に感じ……それが動くと感触は変わらず爪が肌を引っ掻いているような刺激をそこに強く感じられた。 「ひっっ!? んひぃィぃィぃィっッっ!?!?」  紅葉はその強烈な刺激に驚いてすぐに瞼を開き、そして固く結んでいた筈の口から甲高い悲鳴を上げてしまう。 「ひっ、ウヒぃぃぃぃっ!?」  目を開き視界が晴れるとそこにはニタリ顔を浮かべて自分の腋を見ている綾香の姿と、左右の肩から伸びた彼女の華奢な腕が腋へと伸ばされている様子がまず見えた。そして、その腕を辿って自分のワキの方へと視線を移動させていくと、左右それぞれに展開した綾香の手が自分の無防備な腋を無遠慮に撫でている様子が見て取れた。  紅葉は自分の腋が綾香の手によってくすぐられている様子を見てそこで改めて“与えられていた刺激と目の前の現実の状況”が合致し、急激に可笑しさが膨らみ笑いたい衝動に駆られてしまった。 「んっっ!? ぐっっっふっっっ!!!!」  その衝動を一瞬は我慢するように呑み込んだ紅葉だが……綾香の手が腋を上下に撫でる動作を繰り返し始めると、すぐにその我慢は無意味なものへと成り果て…… 「ぷっっっはっ!! ぷひゃ~~~~~っっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、やだぁ~~っははははははははははははははははははははははははははははははははははは、やめぇ~~っへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ、ぃひぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!!」  自分ですら想定していなかった勢いで唾を飛散させながら吹き出し、その勢いのまま流れに乗る様に激しい笑いを吐き出し始めるのだった。 ――ソ~~~ッ♥ コソ……コソ……コソ……♥ ツツツ~~~ッ♥ コショコショコショ♥  付け爪を付けた綾香の左手は、くちばしにあたる三本の爪を伸びた腋の肌に触れさせてゆっくりと上下に撫でる刺激を繰り返し送り込んでいる。  その刺激は優しく撫でているにもかかわらず鋭いモノを突き立てられた痛痒い刺激と、樹脂の毛先になぞられているような柔軟性のある擽撫感をハッキリと味わう事となった。 「ほぎゃ~~っはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは、ちょ、やぁっっっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、やめっっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! うぁ~~はははははははははははははははははははははははははははははは!!」  ピンと緊張するように伸びきった腋の窪みを、ブラシの毛先の様な柔軟性を持った爪先が強くも弱くもない力でなぞっていく刺激は耐え難く……紅葉はその刺激だけでも身を狂わさんとする勢いで暴れ逃げようと必死に腰を捩ろうとしてしまう。  しかし、身を捩ろうとも暴れさせようとも……綾香のくすぐりから逃げる事は出来ず、相変わらずの万歳の格好を維持したまま弱点であるワキを晒す格好を続ける事を余儀なくされた。 「あがぁ~~っははははははははははははははははははは、くす、くすぐったぁははははははははははははははははははははははははははは!! くすぐったいぃぃっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! いぇひゃぁぁははははははははははははははははははは、ひぃひぃ、いひひぃぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!!」  そんな強烈な刺激を送り込んで来る右腋とは対照的に、反対の左腋は何とも優しくじれったい触り方で撫でる仕草を繰り返された。 「んひっっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ。ぁはははははははははははははははははははははは、駄目! ダメダメ!! ホント駄目ぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、くすぐったいぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! どっちもくすぐったいぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  人差し指だけを立て、その指の先端だけで腋の肌に触れ……小さく引っ掻く様に動かして狭い範囲を刺激する。その小さな動きをワキのあちらこちらへランダムに移動させて、ワキ全体に刺激する範囲を広げている……  右腋は一定の範囲を上下に撫でるだけの単純な動きだが、この左の腋は指を上下左右斜めにと変則性を持たせ責をさせているため刺激の予測が立てられない。右腋ほど強烈ではないが、予測できない翻弄される刺激が左腋を襲っており……紅葉はその絶え間ないこそばゆさの暴風に晒され笑う事を止められなくなる。 「アヒャ~~~ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、いひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! こそばぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! やめてっっへへへへへへへへへへへ、こそばいっっひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  左右の腋にそれぞれ与えられる質の違う凶悪な刺激……その刺激から逃れたいと必死に腕に力を込めるが、その腕は自分の意思通りに下へ降りてきてはくれない。  腋を隠したいのに……敢えて腋を晒す様な格好を強いられている為、紅葉が綾香のくすぐりから逃れられる手段はない。  淡々と“笑いたくて仕方のない刺激”をワキに送り込まれ続け……笑い狂うしかない。  それがどんなに屈辱的で恥ずかしい事だと彼女が自覚していても……強制される笑いの衝動を自ら抑え込むことはできない。例え……笑いたくないと強く心が訴えかけていたとしても…… 「やぁ~~~っはははははははははははははははははははははははははははは、イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、うへぇひゃへぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 「どう? くすぐったいでしょ? こんな風に腋が伸びきった状態で拘束されたらくすぐりから逃げられなくて……余計にくすぐったく感じるでしょ?」 「ィギャ~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! く、くすぐったいってぇへへへへへへへへへへへへへへへへ!! くすぐったいって言ってるでしょぉっほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ!! やめてよ、今すぐぅふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ、くぁはははははははははははははははははははははは!!」 「ほらほらぁ♥ 身体を左右に捻っても逃げられはしないわよぉ? 観念して大人しく私にくすぐられなさい♥ でないと~~~もっとくすぐったくなる様な触り方してやるわよぉ~~?」 「ぅびゃ~~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、ムリムリムリぃぃひひひひひひひひひひひひ!! 身体が勝手に動いちゃうぅぅふふふふふふふふふふふふふふふふ!! 勝手に動くから無理ぃィひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「ったく……それを自分の意思で制御しろって言ってんのに……。まぁいいわ、言う事聞かないなら……私が身体の動きを抑え込んでやるだけだし♪」  身体をジタバタと左右に捻って逃げようとする紅葉に、綾香は浮かせていた尻をポスンと彼女の股間部分に落とし自身の体重を預けるように座る。 「ちょっっ! お、重っっ!!」 「なっ! 失礼ね! 私はこれでも標準体重以下よ!」  綾香の体重が乗った事で腰を浮かせる事が出来なくなった紅葉は、身体を捻るという動作に制限が掛けられ思うように抵抗できなくなってしまう。 「やっめっ! 勝手に私の上に座るなっっ!! こ、このっっ!!」  必死に腰に力を込めて綾香を払い除けようと努力する紅葉だが、綾香の足はしっかりと台を踏みしめている為制限の掛かった彼女の力では綾香を振り落とす事は出来ない。 「おぉ……暴れ馬に乗ってる気分ってこんな感じなのね? でもこの程度で私を振り落とせると思わない方が良いわよ? 自慢じゃないけど私はショーのために平衡感覚を鍛えているからね♪」  紅葉に自分を振り落とす力は無いと察した綾香は顔に薄ら笑いを浮かべ、構えた手を再び前へと突き出していく。  そして……著しく動きが制限されてしまった紅葉の腋に再度その両手を近づかせていき…… 「ほ~~ら、も一回笑い直しなさい? コチョコチョコチョコチョコチョ~~♪」  皺一つなく伸びきっている紅葉の柔らかそうな腋に手の先を触れさせて行って、その指先をコチョコチョと蠢かせくすぐりを再開させていった。 「ぶっっひゃっっっはっっっ!?!? ちょっっほっひょぃぃぃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! やっっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、やめっっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  爪を着けていない直の指の方は、5本の指を全て肌に密着させてモジョモジョと動かすオーソドックスなくすぐりを展開し……  逆に爪を付けた方は親指と小指に付けた鴉の羽根を利用してワキの側面と中央部分を羽根先でコソコソと引っ掻き回すくすぐりを入れている。 「ぼひゃっっははははははははははははははははははははははははははははははは、うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、やめぇぇへへへへへ、やめろっっほほほほほほほほほほほほほほ!! それやめぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! だぁ~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」  5本の指が腋の柔肌に這い回るおぞましい感覚は紅葉に耐え難いこそばゆさを与えてやまないが、それ以上に……伸びきった腋の肌を羽根の先で撫でられるという刺激は耐え難い掻痒感を彼女に味あわせた。  緊張した肌の上をコソコソと這い回る羽先の感触は耐え難い痛痒さを生みジッとしていられなくなる程のじれったさを生む。そのじれったさは指によるくすぐるとはまた違ったこそばゆさを誘発し彼女を悶絶させる一因を作り出す。  紅葉はその左右で質の違うくすぐりの刺激に一切の抵抗も行えず笑い悶えさせられるという地獄を味わうこととなる。 「ほ~~れ、ほれ、ほれ~♪ もっと笑え~~~♥ 笑って苦しんで反省しろ~っ♥ ほ~ら、こちょこちょこちょこちょこちょ~~♪」   腰を浮かす事が出来ないからと顔を激しく左右に振って笑い悶える紅葉……。そんな彼女の姿を見て綾香は加虐心を刺激されくすぐりる手にも力がこもる。素手でくすぐっている手は肌に指先を食い込ませる様に沈み込ませ揉み込む刺激を加える様になったり、爪を付けた手の方は腋窩の肌だけじゃなく脇の下や胸の横に至るまでの広い範囲を羽根先でなぞって新たな刺激を加えていく。 「ィギャ~~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、いひぁゃぁっっっははははははははははははははははははははははははははははは、ぇひゃはははははははははははははははははははははははははははははははは!! やだぁはははははははははははははははははははははははははははははは!!」  徐々に責め方も責めのじれったさも強くなる綾香のくすぐりに紅葉は顔を真っ赤に染めて笑い狂った。手や足先をパタパタと不自由にバタつかせ、涎と涙を撒き散らしながら必死に笑う事を強制された。  そんな紅葉の苦悶の姿を足元から見届けていた鈴音は、それを強いている綾香に心の中で「やるじゃない」と彼女らしからぬ賞賛を浮かべ……そして、自分もそろそろ加わるかと言わんばかりに紅葉の足裏に視線を戻していく。 「あがぁっっははははははははははははははははははははははは、やめっっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、死にゅっふふふふふふふふふふふ!! 死にゅっっ! こんなの死んじゃうっふふふふふふふふふふふふ、っっぁはははははははははははははははははははははははは!!」  足指すらも紐によって枷側に引っ張る様に拘束された紅葉の小麦色に焼けた足……  よく見ると、足裏の窪みの横端の方は……焼きが甘かったのか僅かに彼女の地の肌色が薄く残っている。  それを見つけた鈴音は、ニヤついてしまう口元を直そうともせずにそこへ鴉のくちばしを近づけさせてしまう。  反る様に足裏を晒している紅葉の足裏は汗が滲んでいてスポットライトの光が、突き出された箇所を艶々と光らせそれを美しいモノとして照らし出している。  鈴音はその足裏の端に尖った3本のくちばし状の爪を触れさせ……そして、なんの合図も下さずいきなりそこを引っ掻き始めた。 ――ジョリジョリっ! ジョリジョリジョリジョリジョリっっ♥♥  その音が足元から鳴り響くと、紅葉は一瞬笑う事も呼吸をする事も忘れ表情を強張らせてしまう。そして……刺激の認識が脳によって明確になるや否や…… 「ほっっっぎゃっっっ?!?! ぉぎゃ~~~~~~~~~~~~っっっっははははははははははははははははははははははははははははははははははははは、ぃひゃ~~~~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、ひぎゃは~~~っははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」  身体中の隠し持っていた酸素を全て掻き集めて口から吐き出すような激しい爆笑を始め、腰に乗せた綾香を振り落としてしまいかねない程の力を込めて暴れ狂い始めた。 「ィギャ~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、ひゃへぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、いひへぇぁあぁぁぁぁっはははははははははははははははははははははははははははははははは、あじの裏ぁぁぁぁぁははははははははははははははははは! やめぇぇっへへへへへへへへへへへへへへへ、それ無理ぃぃひひひひひひひひひひひひ、いぎでぎないぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  口からは大量の涎……顔を動かせば額の汗も弾け、垂れ流し状態になっっていた涙も自身の後髪を濡らし尽くしていく。そんな見るも無残な姿を恥ずかしげもなく晒し、紅葉は大勢の客が見ている前で笑い狂っていく。  形振りなど構っていられない……恥ずかしさを感じる余裕すらもない……。止めどなく込み上げて来る激しい笑いの衝動に紅葉は必死に暴れ……そして必死に笑うことを余儀なくされる。  腋には左右で質の違う凶悪なムズ痒い刺激が休むことなく与えられ、足裏には強制的な笑いを生む圧倒的な擽撫の刺激が延々と加えられる。   「ほびゃ~~~~~っひゃっっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ、おひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! うへひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ヒィヒィヒィ! くひっししししししししし、んひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! っあっっっはははははははははははははははははははははははははははははははは!!」  ゾクッ……っと寒気を生む最初の刺激と、ゾワゾワっと肌が湧き立つような違和感を覚える引っ掻きの刺激……そして、ムズムズムズっと痒くて我慢できなくなるような掻痒感……それらが一気に合わさって足裏の肌と腋の肌が“くすぐったい”と知覚する。  脳がその“くすぐったい”を知覚すると、どんな刺激を差し置いてでも笑うことを優先させられる。  その脳からの命令は絶対的で……逆らう事が出来ない。  我慢しようと努力しても……次々に送り込まれる笑えという命令が圧倒的に身体を支配してしまっていて、自分の思いとは裏腹に勝手に口から笑いが吐き出されてしまう。  その笑いはもはや“反射的行動”だと言っても過言ではない。  笑う事が正しい反応だと言わんとする様に、身体は刺激に対して反射的に笑おうと意思の伝達経路を書き換えてしまう。  刺激されたら笑う……という、最短ルートを確立してしまう。    逃げる事も……抵抗する事も……反撃する事も出来ない紅葉は、足裏を晒し万歳の格好のまま台の上に寝かされ二人にくすぐられ続ける事を拒否できない。  どんなに笑うのがしんどくても……  どんなに笑って呼吸が苦しくなったとしても……  こんな児戯染みた手で自分が悶えてしまっている事に怒りを覚えても……  こんなはしたない乱れっぷりを不特定多数の他人に見られていると理解していても……  ……紅葉は笑う事をやめられない。  二人のくすぐりが止まらない限り……紅葉には休むことは愚か笑いを止める権利すら与えられないのだ。 「どう? 私の“こしょぐり”は? 触られただけで腋がゾクゾクして……どうしようもなく“こちょ痒く”なるでしょ?」 「おひぃああっぁぁっはははははははははははははははははははははははははは、痒いっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、腋ぃィ痒いぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! ひぃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、アハアハアハアハアハアハ、あははははははははははははははははははははははは……」 「くすぐられたら痒くなって……その痒いトコを引っ掻かれたらまたくすぐったくなって……それが繰り返し送り込まれるから堪らないでしょ? 永遠にくすぐったくて気が変になって来るでしょ?」 「はははひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ィヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ~ひぃひぃ! おがじぐなりゅぅぅふふふふふふふふふふ!! もう気が変になってりゅぅぅふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ!!」  綾香の煽り言葉に紅葉は素直に頭を縦に振って同調の意を示す。それを聞いた鈴音は自分だって負けていないと言いたげにすかさず言葉を挟む。 「あら、それを言うんだったら……足の裏も気が狂う程くすぐったいでしょ? こ~~んな細い爪で反った足裏をカリカリ引っ掻いてやってるんだからぁ♥ くすぐったくない訳ないわよねぇ?」 「でびゃ~~っはははははははははははははははははははははは、いへひゃぁあぁはははははははははははははははははははははははは、やめでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、あじの裏も死にゅっっふふふふふふふふふふふふふふふ!! ひぎゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」 「くすぐり責めって言うのはね……本来こうやるものなのよ? 無抵抗にした身体を休みを入れず延々とくすぐって笑わせて……ずっと酸欠状態を維持させる……。あんたは子供っぽいって馬鹿にしてたようだけど……こうやって実際に受けてみると分かるでしょ? 抵抗できない身体をくすぐられるのがいかに残酷な拷問になるかって……」 「わ、わ、わがっだぁはははははははははははははははははははは、わがっだがらぁぁっはははははははははははははははははは、もう許してぇへへへへへへへへへへへへ、勘弁してぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 「許す? 何言ってるのよ? 本番はまだまだこれからよ? あんたにはしっかりとイカサマした事への反省をして貰わなきゃならなんだから……」 「はひ、はひ、はひひひひひひひひひひひひ! 反省ぃぃひひひひひ、した! 反省したぁははははははははははははははははははははは!! 十分に反省したからぁははははははははははははははははははははは!!」 「……反省……したぁ? 本当にぃ?」 「した! したぁっっはははははははは!! ホントにしたからぁははははははははははははははははははは、謝るからゆるじでぇへへへへへへへへへへへへ!!」 「その言葉……本気にして良いのかしら? まさか……やめてもらいたいからって苦し紛れに言った言葉じゃないでしょうね?」 「ち、違っっふふふふふふふふふふふふふ!! ホントにホントっ!! 信じてぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ、ヒィヒィ!!」 「……って、言ってるけど……どうする? 鈴音ぇ~?」 「あぁ? んなの……嘘に決まってるじゃん! この程度で反省するようなタマじゃないわよ……こいつ……」 「そう? でも私は……必死に言ってるこいつの事……信じてあげても良いと思っているんだけどなぁ~?」 「……フン! 甘ちゃんね……。だったら試してみればいいじゃない?」 「試す……? あぁ……そうね……。そうしましょうか……」  綾香と鈴音はその様に言葉を交わしニヤリと笑みを携える。そして、ゆっくりとくすぐりの動きを緩やかにして動きを止めさせていく。 「ハァハァハァハァ……ゲホゲホゲホ! ゲホ! ゴホッ!!」  くすぐりが止まり苦しそうに咳き込む紅葉……その様子を見て綾香が静かに口を開く。 「本当に反省してるっていうなら……今から言う事も、ちゃんとやり遂げられるわよね?」  酸欠で顔を真っ青に染めながらも紅葉は疑問符を頭の上に浮かべる。綾香が何を言いたいのか……それをまだ理解出来ず、顔に不安の色を携えながらも顔を斜めに傾ける。 「笑わずに……真剣な顔で……私に謝罪の言葉……言えるよね? 本気で反省しているのだったら……」  綾香の“笑わずに”という言葉に嫌な予感が過る紅葉……。その嫌な予感が当たっていない事を願いつつ綾香に言葉を返して見るが……結局、その予感は当たってしまう事になる。 「ハァハァハァ……あ、あの……? 笑わずにって……くすぐられながら謝らされるわけじゃ……ないわよね?」  綾香はその問い掛けを聞いて、口元のニヤつきを更に深くさせる。そして…… 「本気で反省してるんだったら……。真摯に謝りたいって思っているのなら……くすぐったくても笑わずに謝れるはずよね?」  っと、紅葉が絶望するような言葉を平然と言ってのける。 「ちょ、待っっ! 待って! な、なんで謝るのにくすぐられなきゃいけないのよっ! それじゃ……笑ってしまうに決まって……」  「謝りたいって“本気で”思っているのなら……くすぐったさなんて気にならないはずよ? その程度のことも出来ないんじゃ、あなたに誠意があるとは認められないわ。だから死ぬ気で笑うのを我慢なさい! それくらいに……必死なとこ私達に見せてみなさい?」 「……む、無理よ……そんなの……絶対……無理……」 「そ? 無理なら……さっきの言葉は取り消しね? また“謝りたくなる”までくすぐりの責め続行よ♥」 「ひっ!? ま、ま、待って!! ちょっと待って!! わ、分かった! やらせて!! 私に……誠意があるって……示させてっっ!!」 「(コロコロ意見を変えている時点で苦し紛れの謝罪だって分かっちゃうけど……まぁ良いか、こいつにはもう少し“分からせ”が必要だし……)」  綾香はジットリとした目で紅葉を見降ろしてわざとらしい溜息をつく。それを見て紅葉は媚びるような情けない表情を浮かべて、ペコペコと頭を下げるフリをして見せる。  この様子を見れば反省していない事など明白……。綾香も鈴音もそれは最初から理解していたが、二人は示しを合わせる様に頷き合って彼女の挑戦に承諾の意思を示す。そして二人はすぐにくすぐりの体勢を取り直す。  それから……綾香は、手を腋に触れさせると同時に紅葉に告げるのだった…… 「じゃあ、私に3回“ごめんなさい”って謝罪して見せなさい? ちゃんと言えたら……少しだけ休ませてあげる。でも……ちょっとでも笑ったと私が判断したら、問答無用で30秒間全力のくすぐりをお見舞いするから……そのつもりで……♥」  ……と。  そして、二人は再び開始するのだった……  紅葉が、ギリギリ笑わないであろう小さなくすぐりを……腋と足裏に……


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