ショーダウンⅡ 『26:鴉のくちばし』
Added 2025-05-08 10:04:06 +0000 UTC26:鴉のくちばし 日焼けした小麦色の紅葉の足裏……その足裏は、足指に巻かれた紐が枷側に引っ張る事によって極端に足の甲側に反る様な形を取るよう強いられていた。 天井のスポットライトがそんな彼女の無防備な足裏を明るく照らす。 光は……その反って前へと突き出す形となってしまっている母指球の膨らみをキラキラと美しく彩り、肌の艶の良さや張りの良さを存分に観客達に見せつけている。 紅葉は、その“見られている”という感覚に羞恥心が存分に掻き立てられていた。視線を足裏に浴びていると想像するだけで呼吸が乱れてしまう程の恥ずかしさと、身体を焦がす熱を同時に湧き上がらせてしまう。 恥ずかしい…… とても恥ずかしくて……悔しい! 紅葉はそれを強く唇を噛む事で必死に我慢するが、顔の火照りだけは胡麻化すことが出来ず……恥ずかしいと思う気持ちと悔しいと思う怒りの感情が混じり合った熱で、小麦色に日焼けした頬を更に赤々と塗り染めてしまう事となっていた。 「『はぁ~~~い、牡丹嬢がにらめっこに負けてしまったので……約束通り、お仕置きレディによる笑いのお裾分けを紅葉さんに執行して頂きましょう♥』」 甲高い煽りマイクの声がステージ上に鳴り響いて、罰の告知を行う。 その告知を聞いた鈴音は付け爪を装着した右手を観客に見せつけながら、ゆっくりと拘束された紅葉の足元へと歩を進めていく。 紅葉の横では……笑い出して数分は立つはずなのに、まだ笑いが止められていない牡丹の苦しみ悶えている姿が確認できる。 彼女は必死に「ごめんなさい! 紅葉様ごめんなさい!」と謝る言葉を述べているが、その謝罪が大笑いをしながらの謝罪である為……あまり誠意は感じ取れない。 『分かってる。牡丹さんは……きっと今も綾香に足裏をくすぐられて無理やり笑わされいるんだって……理解はしてる。でも……流石に……笑われながら謝罪されるというのは、癇に障ってしまう……』 牡丹が笑ってしまったせいで自分にも罰が下ってしまう……それを智恵理の言葉で改めて聞かされると、その理不尽なルールに怒りを覚えてしまう。 にらめっこをするとか言いつつ……牡丹の足裏を隠れてくすぐって無理やり笑わせ……そして、笑った罰として今度は自分が観衆が見ている前でくすぐられる事になる。 更には、自分もそれで笑ってしまえば……今爆笑を強いられている牡丹へ追加のくすぐりが夏姫によって施される事となる。 お互いがお互いを苦しめる事になるこのルール…… 紅葉は鬼畜とも思えるこのルールに怒りの感情が湧く事は有れ、納得をするなど到底あり得ないと心の底で毒づいている。 『許せない! こんな……人を馬鹿にしたショーを観客の前でやらせるなんて! 絶対に許せない!!』 こうなったのは自分がイカサマをしてしまったせいだ……と、省みる事などしようともせず、紅葉はただただ自分の今の境遇に苛立ちと不満を露わにさせていた。 それを少し距離を置いて見ていた麗華は、彼女の心中を察しハァ……と深くて重い溜息を零してしまう。 『紅葉さん……あの様子は反省する気ありませんわね。あの顔は反省どころか……反発の意思を宿していらっしゃるようですし……やはり彼女を心の底から反省させるのは難しいのではないのでしょうか?』 顔の前で扇子を広げ上品に口元を隠し声には出さず頭の中だけでその様に思案する麗華。彼女は、紅葉の足元へと辿り着いたセクシー衣装の鈴音を見て再び呆れの溜息を零してジト目を向けてしまう。 『鈴音ちゃん……あれは、自前で用意した衣装かしら? あんな下品な服を着て人様の前に出るだなんて……破廉恥ではしたないとは思わなかったのかしら?』 蝶のマスクで顔を隠し際どいボンテージ衣装を身に纏った姿の鈴音に、文句の言葉がグチグチと浮かんできてしまう麗華は……その“無理して大人びた格好”をしている彼女の格好を見て残念な感情しか浮かんでこない。 『無い胸をあんなに盛って……しかも低身長を誤魔化す為に慣れないハイヒールまで履いちゃって……大人っぽく見せる為の涙ぐましい努力をしてるのがありありと見て取れて……痛々しくてたまりませんわ。鈴音ちゃんはロリ可愛い衣装が似合いますのに……何で責める時はあんな強気な衣装を着たがるのかしら? 折角わたくしが用意してあげたドレスが台無しですわ……』 っと、鈴音にとっては余計なお世話以外の何ものでもない言葉を頭の中に浮かべている麗華だったが、そんな事を考えているなど知りもしない鈴音は紅葉の足元へ辿り着くと投げキッスを観客に送る仕草を取って軽く場を湧かせていた。 その姿が一層痛々しく映ったのか、麗華は扇子に目元すらも隠して鈴音から視線をそらしてしまう。 『しかし、あの“鴉のくちばし”と呼んでた責め具は……お見事ですわ。形と言い色と言い、あの羽根と言い……見た目は確かに鴉そのものですし、くちばし部分の尖った三本の付け爪はくすぐりの為に作らせたと言ってましたから……撫でられたらさぞかしこそばゆいんでしょうね? わたくしが裸足に剥かれて今の紅葉さんの様に拘束されてアレに撫でられると想像すると……寒気と鳥肌が立って仕方がありませんわ……』 視線をそらしつつも、鈴音の手に装着された“鴉のくちばし”だけは見ようと麗華は片目だけを扇子の上から覗かせる。 その片目だけの視界には、身に着けた玩具を弄ぶかの様にくちばし部分をカチャリカチャリと鳴らせて見せている鈴音が、開く格好で拘束されていた紅葉の足の間に座って腰を落ち着ける様子が見て取れた。 寝台の端に尻をチョコンと乗せ、短い脚を膝の上で組んで紅葉の左の足裏を興味深げに覗き込む様子を見せる鈴音。彼女は、その美しく湾曲した小麦色の足裏をうっとりと眺め、そして……右手に装着していた鴉のくちばしをその艶めかしい足裏へと近づけさせて行った。 「ちょ! や、やめてよ!! そ、そんな怪しいモノ……近づけないでっ!!」 唯一自由に動かせる頭を限界まで持ち上げ、自分の足裏に右手を近づけさせて来る鈴音にその様に焦った言葉をぶつける紅葉だが、鈴音はその言葉を聞いて手を止めようとはしない。それどころか人差し指・中指・薬指のそれぞれに付けた爪をわざとらしくランダムに動かして見せながら、紅葉の反った格好になっている足裏へと距離を縮めていく。 『あ、あんな馬鹿みたいな爪……くすぐったくも何ともない筈! 鴉だか何だか知らないけど……ただ大袈裟に見えているだけの“こけ脅し”よ! あんなもの何も怖くはない! 全く問題ないし触られても何の反応も返してやらないっ! 大丈夫……平気よ! 平気!』 少しずつ自分の足に近づいて来る怪しく黒光りする三本の爪……そのプレッシャーに負けじと自分を鼓舞する言葉を頭の中で展開する紅葉だが、鈴音の手が自分の足の影に完全に隠れて視界から映らなくなってしまうと……不安は極端に強くなり、意識は全て自身の右足に集中してしまう事となる。 『い、いつ触るつもり? すぐ? それとも……私が油断するよう焦らしてから触る?』 爪の姿が足裏に隠れた事に急に不安が煽られそこに意識を向けたことで、紅葉はカカトから足先に至るまでの感覚が鋭敏になっている事に気付かされる。 何時、何処を触られてもすぐに対処できるよう……空気の揺らぎすらも感知できるほどに意識を集中させてしまう紅葉だが、触られて何かしらの対処をしようと試みるのは愚策である事に彼女は気付いていない。そもそも触られて我慢なりなんなりの対処を試みたところで“くすぐったい刺激”に対応する事など不可能なのだ……。それを察していない紅葉は、わざわざくすぐりに対して不利になるよう意識を右足に集中して無駄に神経を過敏に仕立て上げてしまっている。 そんな事をすれば余計にこそばゆさは増してしまうというのに…… 『あ、う……や、ヤバイ……かも? 意識すると……足裏が……勝手にゾクゾクして……勝手にこそばさを感じて来ちゃう!! まだ、触られてもないのに……足の皮膚がムズムズして、ジッとしていられなくなってる!』 肌の反った部位……特に、指の付け根である“母指球の膨らみ”の部分が空気の僅かな揺らぎを感じてムズっと痒くなる。それに伴って足全体がゾクゾクと寒気を走らせ始め更に刺激に敏感になっていく。 鈴音の手は完全に自分の足に視線を遮られ姿が見えない。彼女のあの爪が何処を狙っているのか……それすらも想像できない。 紅葉はそれでも、自分の足を透過するように想像を巡らして彼女の爪の位置を思考する。 自分の足裏の……土踏まず付近に彼女の爪の幻影を想像し、その爪がゆっくりそこに近づいてきて触ろうとしている様子を意識する。 そして、その想像の中の爪が……土踏まずの肌に触れると思った瞬間…… 紅葉の想像した箇所とは別の場所に実際の刺激が与えられ、彼女は驚き思わず悲鳴を吐き出してしまう。 「ひっ!? ぅひぃぃぃぃぃぃぃっっ!?!?」 鈴音が実際に触れた箇所は、彼女の母指球の膨らみの頂上……。主張するように反って前に突き出した格好となっていたその膨らみの上に爪の先がコソッ♥ と軽く触れたのだ。 その触れ方は、ただの様子見である事を示すように……爪の先を軽く肌の上に乗せ、そしてほんの数ミリ程度下に引っ掻く刺激を与えただけだった。 しかし、足裏に意識を集中していた紅葉にとってこの刺激は凶悪そのものであり、撫で下ろされた瞬間……血の気が引くほどの寒気をその足裏に味わってしまった。 「あらぁ? どうしたのぉ? ちょっと挨拶程度に撫でてあげただけなのに……そんなに情けない悲鳴なんて零してぇ♥ もしかして……これだけでこそばかった? たったこの程度刺激されただけでもこそばくて仕方がなかった感じかなぁ?」 鈴音の煽り言葉に……普段の紅葉なら即強気な態度で言葉を返していただろうが、今の彼女にはその余裕はない。 挨拶程度の刺激であるのは紅葉も十分に理解しているが、その刺激があまりにも強烈で想定以上のこそばゆさを感じてしまった為……焦りと不安が一気に高まり彼女の口から強気な言葉を吐く余裕を無くしてしまっていたのだ。 今は一瞬撫でられただけで済んだが、あのような刺激が長く続けられたら……と考えると、足裏が勝手に震え拒絶感を露わにしてしまう。 あんな刺激を足裏全体に与えられたら……自分の足はおかしくなってしまうのではないか? とそんな不安すらも浮かんできてしまう。 出来れば今すぐにこんな台から起き上がって、鈴音から距離を取って裸足にされた自分の足に靴下や靴を履き直してあの刺激から守ってあげたい……そう思ってしまうが、その願いは絶対に叶えられる事はない。 足首の枷は彼女の力では破る事が出来ないし、足指に付けられた紐が鈴音のくすぐりから逃れられないよう足裏を無防備に晒してしまっている。 こんな状況で足裏をくすぐりから守ってやる事など出来る筈がない…… 紅葉はそれを改めて実感させられ、顔から更に血の気を引かせてしまう。 「ハァハァ! ちょ、ちょっと待って!! ねぇ、待って!! 一旦……は、話し合いましょ?」 「……話し合う? 今更なにを?」 「も、もう一度……牡丹さんににらめっこの続きをやらせてあげて! か、彼女なら……きっと次こそ我慢してくれる筈だから! ね? もう一度チャンスを与えてあげて!」 「もう一度? なぁ~~に言ってんのよ? そんなチャンス……あげる訳ないでしょ?」 「お、お願いよ! 今度は……必ず……我慢させるからっ!! だから……」 「そうは言ってもさ……ほら、見てみなさい? 彼女……にらめっこ勝負が終わってもまだ笑い続けているのよ? こんな状態でもう一回やらせるって……無理に決まってるじゃない♥」 「そ、それは……くすぐられているから笑わされているんでしょ? だったらそのくすぐりを止めて貰えれば……」 「私が……脚本を曲げてまでそんな大サービスをすると思う?」 「……ッ!?」 「さっきも言ったけど……この展開はシナリオ通りに進んでいるわ♥ そこの女は計画通り笑わせる事が出来たし……後はあんたをくすぐって笑わせるっていう流れも計画通りなのよ? そのシナリオを破棄してまで2度目のにらめっこを許すような愚行を私が犯すとでも……思ってる?」 蝶の面越しにも伺える鈴音のジト目……そして、優越感を誇示するように浮かべている口元の笑み……その笑みが堪え切れないと言わんとする様にクックッと邪悪な笑いを零している。 紅葉はその邪悪な笑いを見て、自分がどんなに縋ろうともこの女は自分の言葉など聞いてはくれないだろうと悟り、力んでいた首への力を抜いて上げていた頭を諦めるように台に降ろしていく。 「だったら……せめて……優しく……して……」 諦め半分……期待半分でその様に小声で零して見た紅葉だが、鈴音の返事はただ一言「い・や・よ♥」という言葉だけだった。 紅葉はその言葉を聞き、無駄だと分かっていても縋ってしまった自分の不甲斐なさに……悔しさと恥ずかしさと怒りを同時に浮かべ、その力を自分に唯一許された“我慢する”という行為に割く為唇に込めていった。 目を閉じて唇を振るわせながら与えられるであろう刺激を我慢しようと試みる紅葉……。しかし、先程触れられた“あの”付け爪の感触がすぐに想像として蘇って来て思わず上半身に身震いを起こしてしまう。 肌に触れた瞬間は先端が尖っているせいかチクッとした軽い痛みを感じたが、次の瞬間……その先端が下に移動するや否や、その痛みは肌から消えゾワっとした寒気に取って代わる。 その寒気は爪が離れた後もずっと肌の感覚として残り続け……数分経った今でも刺激として思いだせるこそばゆさを生んでいた。 樹脂製の爪が……しなりながらなぞった肌の筋は……おぞましい程のこそばゆさの尾を引いてその肌に刺激を残し続ける。あの一瞬だけの刺激でそれを感じ取れてしまったのだから、本格的にそれに撫でられたら果たして自分は正気を保っていられるのかどうかすら想像できない。 それほどの恐れを感じてしまったのだから……紅葉は恐怖に震えるしかなかった。 あんな……人を笑い狂わせるために作られた付け爪に足裏を本格的に撫でられたら……自分は一体どうなってしまうのか? その想像が出来ないから、焦りと不安で恐怖が強くなってしまう。 『私も……牡丹さんの様に……形振り構わずに笑い狂わされる事になってしまうっていうの? こんな客が大勢見ている前で? この私……が?』 ほんの数分前までは綾香の方がこの立場であった筈なのに……何をどう間違えて、安全だったはずの自分の立場が逆転してしまったのか? アイツらが……余計な事さえしなければこんな事にはならなかった筈なのに…… 未だ自分の境遇が信じられない紅葉は、恨みの意思を綾香や麗華達に向けて憎しみへと昇華させる。 自分が行ってきたイカサマという悪事を棚に上げ、綾香と麗華が全ての元凶だと歪曲した恨みを募らせる。 恨みの強さを唇の閉じる力へと変換させ、襲い来るであろう刺激を堪え忍ぼうと紅葉は気を張って足裏に意識を集中させるが…… 鈴音が送り込んで来た刺激は、彼女の我慢など秒で吹き飛ばしてしまう程の凶悪な刺激であり……紅葉はその刺激にいとも容易く口を開いてしまう事となる。 ――チョンっ♥ チョンっ♥ 「ぃひっ!?」 先程は人差し指の爪1本の刺激だけだったが、今度は複数……中指・薬指の爪も同時に足指の付け根に触れ、その肌をまずは爪の先端で突き刺して刺激した。 「ひっ!?」 突然肌の上に尖った爪の先が複数同時に置かれ、その刺激を敏感に察した紅葉は思わず小さな悲鳴を零してしまう。 鈴音はその悲鳴を聞いてニヤリと笑みを零し、そして無情にもその置いた爪先をゆっくりと下方向へと移動させ始めた。 ――ショリッ♥ ジョリジョリジョリ♥ ツツツツツ~~~~♥ 等間隔に間を開けた爪達が、爪先を肌に僅かに食い込ませたままゆっくりと下方向へと撫で下ろされていく。その刺激が始まると、紅葉は声にならない甲高い悲鳴を口から吐き始め……全身が凍えてしまったかのような震えをその身に表出させてしまう。 痛痒いと思った刺激が線を描く様に下へ下へと移動し刺激を繋げていく感覚。その刺激は“痒い”という刺激からすぐに“じれったい”という感覚に変化し、それから間を置かずに“くすぐったい”という感触を知覚するようになる。 爪の先が母指球の膨らみや小指球の出っ張り……その谷間の溝をゆっくりなぞって刺激していく。 その刺激が向かう先は、この手の刺激に最も弱いとされる“土踏まず”の部位……。爪がその部位を目指して撫で降りていく刺激は紅葉に今まで味わった事のない強烈なもどかしさと拒絶感を知覚させ、それを脅威と判断した脳はどうにかその刺激から逃がれようと反射的に足を動かして抵抗しようと試みてしまう。しかし、足はしっかりと枷に拘束されていて一切の動きを封じられてしまっている……故に抵抗など一切許されず、鈴音の与えて来る狂おしい程のこそばゆさを甘んじて受け続ける事しか出来ない。 その刺激が土踏まずに近づけば近づく程“こそばゆい”という感覚が乗算されるように高まっていく。 頭を掻き毟って身体を左右に振って嫌がる様にのた打ち回りたい! という衝動が常に紅葉の脳を支配するが、その行動を一切行う事が出来ない彼女はやがて力を込めていた唇を“笑い”の形に歪め、顎をクックックと震わせ笑う体勢を整えてしまう。 爪の先端が肌を点で刺激し、しなる様に滑らかな芯が移動の力によって寝そべる様に先端を寝かせそのまま刺激を続けていく。そのなぞりの刺激は樹脂製の爪のしなやかさも相まって、痛いと痒いの中間である……何とももどかしい刺激を生み出してくる。 人の爪では固すぎてこのような優しい刺激は送り込めない……かといって、羽根の様な柔らかいモノではここまでハッキリとした強い刺激は表現できない……。丁度その中間の強すぎず弱過ぎない絶妙なこそばゆさを生み出すのがこの樹脂製の爪であると言える。 その爪が抵抗できないよう拘束された裸足の足裏をゆっくり撫でているのだ……それがこそばゆいと思わな筈がない。 「ひっ! いひっ! ひひっっ!! ひゃ……めっ!! ひっっ!? イヒィィっっ!?!?」 ジョワジョワと爪の先から送られるこそばゆい刺激が足裏の肌に浸透していく感覚を味わう。紅葉はその刺激を意識から逃そうと顔を左右に激しく振って抵抗するが、足裏の神経にまで浸潤したこそばゆさは彼女の意識からそう簡単には離れたりはしない。 刺激は彼女を笑わそうとすべく、足裏の弱点である土踏まずの直前へと移動を終える。そして、一瞬の間を開けた後に、その爪達は今までの緩やかな動きから豹変するように素早い動きで、彼女の土踏まずへと滑り込んでいって…… ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ♥ と、3本の指がそこをランダムに掻き毟る様なくすぐりを開始した。 「ッ!?」 そのあまりの激し過ぎるくすぐったさに、紅葉は目を見開かせ口を大きく開き切ったまま硬直してしまい…… そしてすぐに……喉奥に詰まっていた我慢を全て搾り出すかのような激しい笑いを、その口から吐き出し始めてしまった。 「ぶはッッ!! イギャ~~~~~~~~~~ッッッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、ひぎゃぁあぁぁぁぁははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは、ひにゃめぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、んみゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」 つい先刻まで強気に振る舞っていた彼女からは想像もできない程の激しい吹き出しと共に紅葉の大笑いは始まった。 頭は左右に振り乱し、目は限界までも開いた状態で涎を撒き散らしながらという見るに堪えない笑い悶えを紅葉は初手から発露させた。 「あらら……もう笑っちゃったの? もう少し我慢してくれると思ってたのに、だらしないわねぇ~♥ でもまぁ良いわ……折角笑ってくれたんだし、このまま精も根も尽きるまで笑い狂わせてあげる♪」 鈴音の爪は土踏まずの部位に侵入すると、縦に横に斜めにと様々に方向を変え紅葉の肌を掻き毟っていった。その動きは、手でくすぐる時と同じように素早く……そして、指の動きもランダムに動いている為刺激の予測が出来ない。それに加えて紅葉の足裏は反る様に拘束されている為、尖った爪が縦横無尽に肌を掻き毟れば刺激がダイレクトに神経に伝わってしまい、ただでさえこそばゆい刺激が尚更こそばゆく感じられしまう。 ――シャカシャカ、コチョコチョ、ジョリジョリ……シャカシャカ、コショコショ、ジョリジョリジョリ……♥ 「あがっっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、いぎぃ~~っひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ひゃめへぇっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ、やめひぇぇぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 あまりのこそばゆさに、紅葉は激しく脚に力を込めて鈴音のくすぐりに抵抗しようと試みる。しかし……どんなに脚を左右に動かそうとしても、宙に持ち上げようと力を込めても足の枷がしっかりと彼女の足首を台に固定してしまっている為どんなに暴れてもカカトが台から浮く事は一切無い。それどころか足を左右に動かす事も自分の方に引く事も出来ない為、鈴音の意地悪なくすぐり責めから逃げる事など一切出来ていない。 鈴音はそんな無抵抗を強いられた哀れな紅葉の足裏を一切の容赦も挟まず3本の爪先で撫で回して彼女に気が狂いそうになる程のこそばゆさを与えていく。 「おにぇがぃぃぃ~~っひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、やめぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! くしゅぐるにょ、やめぇでぇ~っへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! あじがぁははははははははははははは、あじが変ににゃるぅぅふふふふふふふふふふふふふふふふ!! あじが可笑しくにゃるぅふふふふふふふふふふふふふ、んふっぎゃ~~っはははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」 カカトを台から浮かす事も出来ない紅葉の足裏は、鈴音が鴉のくちばしと呼んだ3本の黒い爪に縦横無尽に引っ掻き回されている。 土踏まずの敏感な肌上を右上から斜め下に引っ掻いた事思えば、今度は左上に位置を構え直してなぞりがクロスするように逆の斜めへと引っ掻き抜いたり…… 爪先を肌に密着させて、局所的に小さな動きで狭い範囲をコチョコチョして見せたり…… はたまた、親指と小指に付けた鴉の羽根っぽい見た目の羽毛を足の左右の端に当てて、そのラインを縦に刺激する為に大きくゆっくりな動きで上下になぞり上げて見せたり…… かと思えば、羽根を畳むように構えて土踏まずの中央をコソコソと羽根先で弄ぶようにこしょばしてみたり…… 鈴音はありとあらゆる手を尽くし紅葉の足裏をくすぐり漬けに仕立てていく。その彼女の徹底的な責め姿勢に……紅葉は一瞬の間を開けることなく腹の底から搾り出した笑いを吐き出し続けてしまう。 その笑いは一切の休息を挟む事なく延々に吐き出され……すぐに紅葉に呼吸困難に近い窒息感を味合わせる事となる。 「あぎひひひひひひひひひひひひひひひひ、んぁっっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、ヒィヒィ! うくぁはっっ!! くひひひひひひひひひひひひひひひひ、イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、ぅだ~~っはははははははははははははははははははははははははははははは、あがはははははははははははははははははははははははははははははは!!」 笑う時間が長くなればなる程、息を吸う機会が失われ肺への酸素供給が極端に少なくなってしまう。 笑えば息を吐き出してしまう……というのは理解しているから、今すぐにでも笑う事を止めたいと切実に思っているが……しかし、鈴音の繰り出すくすぐり責めがあまりに紅葉の笑いのツボを刺激し過ぎてしまって、もはや自分の力ではこの笑いを止める事は不可能となってしまっていた。 笑えば笑う程、腹部の筋肉や肺回りの胸筋に負担をかけてしまい……肉体的にもしんどい。笑い続ければ肺の中の酸素も少なくなり、頭に酸素が上手く循環しなくなって軽い頭痛と眩暈を起こし意識が遠くなる感覚を受ける。 しかし、どんなに意識が遠退いても……足裏へのくすぐりには常に“くすぐったい”という感覚が強く感じられ、遠退いた意識も強制的に連れ戻され笑いを吐くよう強要される。 出来ればこのまま意識を手放して気絶していた方が幸せだと紅葉も思っているが、鈴音のくすぐりはその様な甘い願望を叶えてあげる気がない。 徹底的に足裏を刺激し……徹底的に紅葉を笑わせ苦しめ弱らせる……。鈴音の手はそれを実現する為だけに紅葉の足裏でコチョコチョと動き回り、あの手この手を使って彼女を無理やり笑わせ続ける。 「あぎひぃぃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、ンヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、くるひぃぃっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、たしゅけへ! だれぇかぁぁははははははははははははは、たしゅけへ~~~へっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ、うははははははははははははははははははははははははははは!!」 自分の意思では笑いを止められないと悟った紅葉は、笑っても笑っても一向に笑う事に終わりが見えてこない不安と恐怖に……顔は笑いの形を保ちながらも血の気の引いた影を額に浮かべた。 口は大きく開いたまま笑みの形を取って激しい笑いを吐き出しているが、目は追い詰められた小動物の様に怯え涙を垂らしている。 これ以上笑いたくない! これ以上苦しみたくない! と、頭の中で強く願望を持つが、その願望は鈴音に届く事はない。 彼女は、紅葉がその様な事を考えているだろうと理解しているが、足裏に這わせている手を止めてやるつもりも離すつもりもない。 あくまで冷徹に……あくまで容赦なく、彼女の足裏をくすぐって笑い悶えさせる……その目的を果たす為に手を動かし続け刺激を送り込み続けている。 「ィギャ~~ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ、ふぃああぁぁぁっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははは、いひへぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ、ゲホゲホ!! おげへひぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ぅえはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」 拘束され逃げられない紅葉は鈴音のくすぐりを拒否する事は出来ない。 反り返る様に晒された小麦色に焼けた紅葉の足裏は、至る所を鴉のくちばしを模した付け爪に触られ、撫でられ、引っ掻かれ……を繰り返され、くすぐったい刺激を送り込まれ続けている。 その刺激に対して紅葉は……逃げられないし……抵抗できないし……無関心を装う事も出来ない。 ただただ……くすぐったいと感じた刺激に笑う事で応えてしまうのみ…… ずっとそれの繰り返しだ…… そんな永遠にも思える責め苦を受けている紅葉の耳に、智恵理のマイクから発された次の仕置きの内容が容赦なく届けられる。 「『残念! 紅葉嬢はお仕置きレディのくすぐりに我慢できず大笑いを吐き出してしまいました! まことに心苦しい事ですが、ルールはルールですので……今度は牡丹嬢にもお仕置きのくすぐりを加えて貰うと致しましょう♪』」 その様にマイクを通して煽りを入れた智恵理は、自分の方を見ていた夏姫に向かってコクリと頭を頷かせて見せる。すると、それを見た夏姫も同じように頭を頷かせて見せ…… 「あぁ~~あ、紅葉さん……笑ってしまいましたねぇ~♥」 と、未だ笑いを止められていない牡丹の方を向いて言葉を零し、さも残念だと言わんばかりに困り眉を作って足元に置かれた踏み台に片足を乗せた。 その踏み台に続けてもう片方の足を乗せると、目線の高さがほぼ同じになった牡丹に夏姫は満面の笑みを浮かべて両手を前へと突き出していく。 突き出された両手はゆっくりと焦らすように牡丹の“剥き出しになっている腋”へと近づいていく。 その仕草を見た牡丹は、笑いながらも顔を真っ青に染めつつ頭を横に振って夏姫の手を拒否しようと腕に力を込める。 しかし、紅葉同様……手足を拘束された牡丹に夏姫の手を拒否する権利は与えられる事はなく、彼女の手が剥き出しの腋の肌に触れていくのを笑ながら見送る事しか彼女には出来なかった。 夏姫はその顔を真っ青に染めた美人な牡丹の顔を見て、口角をニヤリと上げていやらしく笑った。 そして……両手を宙でコチョコチョと動かして……そのままその美人な牡丹の生ワキへと手を触れさせに行った。 牡丹は、その細くて繊細そうな指が自身の伸びきった腋に触れる瞬間を最後の数ミリの距離に至るまで目で追った。 触られればくすぐったいと理解しているが……その触る瞬間を見逃すまいと、怯えた目で見届けた。 それからすぐに……夏姫の指が自身の腋肌にソッと触れたのを感触で味わった。 その刺激は……足裏の刺激とは比べ物にならない程、強烈で……ムズ痒く……ジッとなどしていられない程に身体の神経を狂わす……凶悪な刺激となったのだった。