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茶衣流
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サキュモスハンター【15】 【二人の救援。しかし……】

サキュモスハンター【15】 【二人の救援。しかし……】【4896文字】 【第14話より】 https://abnormal-create.fanbox.cc/posts/8792895  ボスバニーサキュモスは震えていた。  目の前で一切触れることなく、一人のハンターを弄ぶサキュモスに対して。 「あぁ~♡あはははは♡うぅ~ん♡バニーサキュモスちゃんからずっと逃げ続けていたからどれほどのものかなぁ~と思ったけど♡さぁ、最後のとどめ♡両手をパンと叩くと、今までの絶頂全部と同じだけのアクメを一瞬で再生♡はい、完全敗北♡」   パアァン♡ 「おごぉおっぉ――!!゛――!!おっぉぉ゛――‼‼‼‼‼‼‼」  壊れたおもちゃのように仰け反り、イキ狂うハンター。  その圧倒的な蹂躙に股間が濡れた。  ジュルっと舌なめずりをしてしまう。 「はい、精液全部没収♡」  彼のペニスの上で口を開いていた尻尾マンコが噴き出して来る白濁液をすべて飲み干していく。  一滴残さず、吸い込んでいき、彼の射精がピンク色に変わったところで口を閉じた。  そのまま、まるで興味を失ったように、立ちあがって、こちらに向かってきた。 「あなたも、あの程度のハンターに負けちゃダメですよ……」 「も、申し訳ございません」 「でも、退屈しのぎにはなりましたね♡ん……?」  そこで遅れて、二つの人間の接近を感知した。  イリス様はもっと前に気が付いたようだったが。 「あら♡あらあら♡また、退屈しのぎが来てくれたみたいですね♡今度はもう少し楽しめそうかしら?」  じゅるっと舌なめずりするイリス様。  ラベリアはそんな捕食者を手本としようと下がって戦いの趨勢を見守った。 *** 「なに!?この圧は……」 「どこから?いや、こんなサキュモス、存在するの!?」  リマとユイナは、大型クランの後衛に混じっていた。  今はミリエル平原の東の方で休息をとっている最中だった。  が、その強大な淫気は、夜闇を揺らすほどの力で他のメンバーも気が付いたようだった。 「なんだ、今のは!」 「隊長、早く退避を!ここからならさらに東に行ったアルパン・ゼリアに逃げ込む方が近いかと」    しかし、とユイナは考える。  アルパン・ゼリアの前に広がるリュマイエの森は、ベリアスの森ほど凶悪なサキュモスがいないとはいえ、少なからずの敵は存在している。  夜は彼女たちの時間だ。  その間にリュマイエの森を通ることになるのはできれば避けたかった。  被害が大きくなることは目に見えている。 「隊長、私とリマが殿(しんがり)を務めます」 「だが……」 「私たちはこのクランに今回随行させて頂いただけです。この非常事態においては私たちが囮になるのが適切かと。その間に、アルパン・ゼリアに向かうか、あるいはアクレシアに引き返すか、ご判断を願います」 「大丈夫か、二人だけで」  正直に言えば大丈夫ではないだろう。それは隊長もわかっている。  クラン『北壁の剣』。構成人数は40人大型クランであり、その隊長を務めるラルド―ベルはこの道10年以上のベテランハンターだ。身長的には小柄な部類で120センメイルよりわずかに超える程度しかないが、銃器の扱いでは右に出る者がいない。  その隊長がこれほど焦る事態を引き起こす相手。大丈夫ではないだろう。  それにユイナ自身、今まで戦ったことのあるサキュモスであってもこれほど離れた距離で、淫気を感じることは無かった。  淫気というよりも気配。その存在の強大さを示す力の波動。  今すぐにでも逃げ出してしまいたい。  敗北を前提とするなら、正気を保っていられるかどうかが分からないからだ。  負けても死ぬわけではない。死が希薄なことはハンターをしていれば嫌でも気づく。  事実サキュモスを快楽の対象として、ハンターを目指すものもいるのだから。  だが、肉体においての死はなくとも、人間としての死は存在する。  人としての尊厳を失い、彼女たちの玩具として生きる未来。  それを死と言わずになんというのか。 「大丈夫とは言いませんが、務めは果たしてきます。皆さまもご武運を」 「こちらは大丈夫だ。殿に感謝する。危険だと思ったら、即逃げてもらっても構わない。こちらも、それなりに経験を積んだクランなのだから」 「分かりました」  リマに目配せすると、ニッと笑った。  女らしい理想的な体でありながら、無骨すぎる大剣と大楯が今は実に頼もしい。  ギルドでも一目置かれる彼女がパートナーで本当によかった。 「では、行きます」 「あぁ、無事又再会しよう」  隊を離れた。  気配の爆心地へ向けて、リマとユイナは駆け出した。 ***  平原の西に来るまで、ただの一体のサキュモスとも遭遇しなかった。  野を全力で駆け続け、元凶となる巨影が見えてきた。 「バニキュモス?大型の?」 「ギルドで報告はなかったと思うが?」 「進化した個体か、もしくは、他の街で登録されている個体か」 「しかし、いくら進化した個体でもバニキュモスがこんな強い淫気を……」  リマの言葉がそこで途切れた。  そう、バニキュモスが元凶ではないと気が付いた身体。  小型のサキュモスがそこにいた。  まだ遠い。丘を越えたことでその姿が視認できただけだ。  バニキュモスが近くの木と比較してだいたい15メイル級だとすれば、もう一人のサキュモスは3メイルほどしかない。 「サキュバス」  蝙蝠の羽に、獲物の腹を突き破らんがために存在するようなヤギのような巻角、尾は細く、先端に矢の先の鏃に近い形状だ。衣服は紫色のブラとショーツのみ。棚引く髪は夜でも目を引く桃色だ。その髪と合わせたような瞳も淫靡なピンクに染まっている。  ユイナの口から、自然とその言葉が飛び出した。  書物の中でしか知らない存在。  しかし、サキュバスはその体躯をほぼ人と同じくする。  前にいるサキュバスは、体躯だけではサキュモスと同じだ。 「サキュモスの原初」  サキュモスの母と呼ばれる女王という存在がいることは、多くの者に認知されている。  まさか、あれが女王なのだろうか。  ユイナは走りながら弓を構える。  矢を番(つが)え、弦(つる)を引き、放った。  一直線に飛翔する極細矢。  貫通力を重視する形状ゆえに、高ダメージと認知されやすい。  それが、サキュモスの頭部であた……。 「う~ん、この子と同レベルくらいかしら?」 「な!」  見えなかった。  飛翔する矢は目で捉えられていたが、その矢を受け止めた尻尾の動きは見えなかった。  額に吸い込まれるかと思われたその一瞬に、彼女の尻尾は飛翔する矢を絡め取った。 「リマ!」 「おりゃぁぁぁ!」  跳躍。  サキュモスの頭上から大剣を打ち下ろす。  男顔負けの怪力で大剣を振るい下ろした。  その衝撃が空気を揺らす。  か細い腕から繰り出された一撃とは思えないほどの衝撃波がユイナのところまで届いた。 「う~ん。順番をつけるなら、1,2,3かしら?」 「な!」  サキュモスはリマの方を見ずに、ユイナ、弄ばれ倒れた少年を指差した。最後に、リマの方へ視線を向け、指差す。  そんなサキュモスの余裕とは反対に、リマは焦りと驚愕の声を漏らしていた。  ユイナも同様に驚きに目を見張った。  サキュモスは人差し指と中指の二本だけでリマの一撃を受け止めていた。 「あぁ……♡でも、いいわね♡また、おもちゃが来てくれるなんて♡そこの子はもう楽しみつくしちゃったから♡あなたたちで、楽しませてもらおうかしら♡」  ユイナの背がゾクッと悪寒で震えた。  間違いない。  ユイナの出会ってきたサキュモスの中で最強のバケモノだった。 「あ、あなたが女王……」  ユイナは離れた位置からそう聞いた。  もちろん、その間に次の矢の装填は完了している。  指を離せば即座に放てるように。だが、あの速度に、膂力(りょりょく)。こんな矢など効果はないに等しいだろう。 「申し遅れました。わたくし、五大淫獣が一人、第二淫獣のイリス・ラマ・メイトリューロンと申します」  左手の指でリマの大剣を掴んだまま、ユイナに向けて笑みを湛えながらそういった。  リマも剣を押し込もうとしているが、まるで刃先が沈みこまない。 「さぁ、仕切り直しとしましょう」  すると、リマを大剣ごと振り回し、ユイナの近くまで放り投げた。  着弾するリマ。  ユイナはその驚愕すべき力を前に、問うた。 「あなたは女王ではないと……」 「ええ、そうですよ♡女王様は、私なんかよりもはるかにお強いですから♡」 「くっ……」  一種の絶望。  これまで積み上げてきたハンターとしての矜持が、あまりにも強大過ぎる絶壁を前に打ち砕かれる。  だが、だからと言って簡単に負けるわけにはいかない。   「え?」    弓を離す直前、倒れ伏す青年の顔を見てしまった。  パンティーを顔に乗せ、ビクビクと痙攣しながらアヘ顔を浮かべる彼は、今朝声を掛け合ったメグルだった。 「あら、もしかしたら、お知り合いでしたか?」 「仲間よ」  知り合いではない、仲間だ。戦友だ。  怒りが湧きあがった。 「彼も、そこのバニキュモスといい勝負をしていたので、なかなか見どころがあるかと思いましたが、疲労が祟ったのか、わたくしの前ではそれはそれは、可愛く鳴いてくれましたわ♡それに、とっても美味しい精気でしたわ♡」 「黙れ!」  戦友への侮辱に激怒してしまう。  こんなにいかったのはいつ以来だろうか。  矢を放ち、矢継ぎ早に連続で三射する。  だが、もちろん、それらすべては彼女の尻尾に撃ち落された。 「てぇぇやぁぁ―!」  再度リマが大剣で切りかかる。  走り薙ぎ払いの形で彼女の下腹部を狙った。  左斜め上方より打ち下ろされ形のなぎ払い、威力、速度共に十分の高威力であったが……。 「ざんねん♡」  指二本で、掴まれ止められてしまう。 「まだよ!はぁ―!」  止められるのは織り込み済み。  掴まれた大剣を軸に体を捻り、彼女の左肩を目掛け逆さ宙がえりから蹴りを放った。 「まだ、足りない♡」  しかし、それも反対の手の小指一つで止められる。 「グッ!」 「私のこともお忘れなく!」  リマが柄を基点に体を回転させたと同時に三射の矢を放っていた。  同時にユイナも走り出す。  放たれた矢と同速度まではいかなくても、それに追随する速度で一気にサキュモスと距離を詰めた。  彼女の蹴りが止められた瞬間、ユイナは彼女の足元をすり抜け、背後より強襲を仕掛ける。  案の定、三本の矢は尻尾で止められた。一つは蛇に巻かれるように止められ、他二本は弾き落とされている。  落ちる矢を見ながら、彼女の背後から矢を再度三射放つ。  超近距離からの連続射撃。  サキュモスからも死角。これなら通る。  そう思った……。 「ふふ、楽しいわ♡」  一瞬で肥大化した蝙蝠の羽が、矢もろともユイナを薙ぎ払った。 「きゃぁ!」 「くぅ、離せ!」  薙ぎ払われたユイナは彼女の尻尾に、そしてリマは彼女の手に捕まる。 「ぐぅぅ――!」 「くぅ!」 「あらあら、二人とも捕まっちゃいましたねぇ♡さぁ、ここからはわたくしの番ですわよ♡まずは小手調べ……♡」  一拍の間と共にはなたられる言葉。 「“発情なさい”♡」 「はぁぁ――♡」 「あぁぁっ――♡」  ユイナの体が一瞬で火照る。プシュッと股の間から淫水を吐き出した。  何が起きたのか分からない。  リマも同じような状態だった。   「もう、あなたたちは私の術中♡でも、あなたたちは、メグル君よりも連携という意味で優れていたかもね♡でも、弓使いなのに……ふふ、接近してきちゃダメじゃない♡おかげで、早くケリがついたわ♡」 「ぐぅ、まだ私たちはまだ……♡」 「あら、まだ……?なぁ~に?勝てるつもりかしら♡じゃあ、自分の無力さを理解してもらいましょうか……♡“イ・ケ”♡」 「はぐぅはぁぁぁぁ――!!♡」 「あはぁぁぁぁん――!!♡」  尻尾に絡め取られたまま、体を仰け反らせる。  彼女のたった一言を聴いた瞬間に、昇天してしまったのだ。  それはユイナのみならず、リマも同じのようだった。 「こ、これは……♡いったぃ……♡」 「わたくしは催眠を使うサキュモス♡もうすでに、あなたたちは、わたくしの術中♡言葉一つで思うがまま、言うがまま……♡あぁ~、可愛そう♡あなたたちもサキュモスに弄ばれて、ああなっちゃうんですよ♡」  彼女の視線の先には、ボロ雑巾のようになったメグルの成れの果てがあった。   「では、さらに趣向を凝らして……♡」  そういうと、彼女の体が大きくなっていく。  尻尾も太くなり、足から、手から、そして、体全体が大きくなっていく。 「さぁ、おもちゃさんたち♡わたくしを楽しませてくださいね♡」  そこには嗜虐心を表情に貼り付けた巨大なサキュモスの姿があった。 ***  ボスバニーサキュモスは震えていた。  目の前で一切触れることなく、一人のハンターを弄ぶサキュモスに対して。 「あぁ~♡あはははは♡うぅ~ん♡バニーサキュモスちゃんからずっと逃げ続けていたからどれほどのものかなぁ~と思ったけど♡さぁ、最後のとどめ♡両手をパンと叩くと、今までの絶頂全部と同じだけのアクメを一瞬で再生♡はい、完全敗北♡」   パアァン♡ 「おごぉおっぉ――!!゛――!!おっぉぉ゛――‼‼‼‼‼‼‼」  壊れたおもちゃのように仰け反り、イキ狂うハンター。  その圧倒的な蹂躙に股間が濡れた。  ジュルっと舌なめずりをしてしまう。 「はい、精液全部没収♡」  彼のペニスの上で口を開いていた尻尾マンコが噴き出して来る白濁液をすべて飲み干していく。  一滴残さず、吸い込んでいき、彼の射精がピンク色に変わったところで口を閉じた。  そのまま、まるで興味を失ったように、立ちあがって、こちらに向かってきた。 「あなたも、あの程度のハンターに負けちゃダメですよ……」 「も、申し訳ございません」 「でも、退屈しのぎにはなりましたね♡ん……?」  そこで遅れて、二つの人間の接近を感知した。  イリス様はもっと前に気が付いたようだったが。 「あら♡あらあら♡また、退屈しのぎが来てくれたみたいですね♡今度はもう少し楽しめそうかしら?」  じゅるっと舌なめずりするイリス様。  ラベリアはそんな捕食者を手本としようと下がって戦いの趨勢を見守った。 *** 「なに!?この圧は……」 「どこから?いや、こんなサキュモス、存在するの!?」  リマとユイナは、大型クランの後衛に混じっていた。  今はミリエル平原の東の方で休息をとっている最中だった。  が、その強大な淫気は、夜闇を揺らすほどの力で他のメンバーも気が付いたようだった。 「なんだ、今のは!」 「隊長、早く退避を!ここからならさらに東に行ったアルパン・ゼリアに逃げ込む方が近いかと」    しかし、とユイナは考える。  アルパン・ゼリアの前に広がるリュマイエの森は、ベリアスの森ほど凶悪なサキュモスがいないとはいえ、少なからずの敵は存在している。  夜は彼女たちの時間だ。  その間にリュマイエの森を通ることになるのはできれば避けたかった。  被害が大きくなることは目に見えている。 「隊長、私とリマが殿(しんがり)を務めます」 「だが……」 「私たちはこのクランに今回随行させて頂いただけです。この非常事態においては私たちが囮になるのが適切かと。その間に、アルパン・ゼリアに向かうか、あるいはアクレシアに引き返すか、ご判断を願います」 「大丈夫か、二人だけで」  正直に言えば大丈夫ではないだろう。それは隊長もわかっている。  クラン『北壁の剣』。構成人数は40人大型クランであり、その隊長を務めるラルド―ベルはこの道10年以上のベテランハンターだ。身長的には小柄な部類で120センメイルよりわずかに超える程度しかないが、銃器の扱いでは右に出る者がいない。  その隊長がこれほど焦る事態を引き起こす相手。大丈夫ではないだろう。  それにユイナ自身、今まで戦ったことのあるサキュモスであってもこれほど離れた距離で、淫気を感じることは無かった。  淫気というよりも気配。その存在の強大さを示す力の波動。  今すぐにでも逃げ出してしまいたい。  敗北を前提とするなら、正気を保っていられるかどうかが分からないからだ。  負けても死ぬわけではない。死が希薄なことはハンターをしていれば嫌でも気づく。  事実サキュモスを快楽の対象として、ハンターを目指すものもいるのだから。  だが、肉体においての死はなくとも、人間としての死は存在する。  人としての尊厳を失い、彼女たちの玩具として生きる未来。  それを死と言わずになんというのか。 「大丈夫とは言いませんが、務めは果たしてきます。皆さまもご武運を」 「こちらは大丈夫だ。殿に感謝する。危険だと思ったら、即逃げてもらっても構わない。こちらも、それなりに経験を積んだクランなのだから」 「分かりました」  リマに目配せすると、ニッと笑った。  女らしい理想的な体でありながら、無骨すぎる大剣と大楯が今は実に頼もしい。  ギルドでも一目置かれる彼女がパートナーで本当によかった。 「では、行きます」 「あぁ、無事又再会しよう」  隊を離れた。  気配の爆心地へ向けて、リマとユイナは駆け出した。 ***  平原の西に来るまで、ただの一体のサキュモスとも遭遇しなかった。  野を全力で駆け続け、元凶となる巨影が見えてきた。 「バニキュモス?大型の?」 「ギルドで報告はなかったと思うが?」 「進化した個体か、もしくは、他の街で登録されている個体か」 「しかし、いくら進化した個体でもバニキュモスがこんな強い淫気を……」  リマの言葉がそこで途切れた。  そう、バニキュモスが元凶ではないと気が付いた身体。  小型のサキュモスがそこにいた。  まだ遠い。丘を越えたことでその姿が視認できただけだ。  バニキュモスが近くの木と比較してだいたい15メイル級だとすれば、もう一人のサキュモスは3メイルほどしかない。 「サキュバス」  蝙蝠の羽に、獲物の腹を突き破らんがために存在するようなヤギのような巻角、尾は細く、先端に矢の先の鏃に近い形状だ。衣服は紫色のブラとショーツのみ。棚引く髪は夜でも目を引く桃色だ。その髪と合わせたような瞳も淫靡なピンクに染まっている。  ユイナの口から、自然とその言葉が飛び出した。  書物の中でしか知らない存在。  しかし、サキュバスはその体躯をほぼ人と同じくする。  前にいるサキュバスは、体躯だけではサキュモスと同じだ。 「サキュモスの原初」  サキュモスの母と呼ばれる女王という存在がいることは、多くの者に認知されている。  まさか、あれが女王なのだろうか。  ユイナは走りながら弓を構える。  矢を番(つが)え、弦(つる)を引き、放った。  一直線に飛翔する極細矢。  貫通力を重視する形状ゆえに、高ダメージと認知されやすい。  それが、サキュモスの頭部であた……。 「う~ん、この子と同レベルくらいかしら?」 「な!」  見えなかった。  飛翔する矢は目で捉えられていたが、その矢を受け止めた尻尾の動きは見えなかった。  額に吸い込まれるかと思われたその一瞬に、彼女の尻尾は飛翔する矢を絡め取った。 「リマ!」 「おりゃぁぁぁ!」  跳躍。  サキュモスの頭上から大剣を打ち下ろす。  男顔負けの怪力で大剣を振るい下ろした。  その衝撃が空気を揺らす。  か細い腕から繰り出された一撃とは思えないほどの衝撃波がユイナのところまで届いた。 「う~ん。順番をつけるなら、1,2,3かしら?」 「な!」  サキュモスはリマの方を見ずに、ユイナ、弄ばれ倒れた少年を指差した。最後に、リマの方へ視線を向け、指差す。  そんなサキュモスの余裕とは反対に、リマは焦りと驚愕の声を漏らしていた。  ユイナも同様に驚きに目を見張った。  サキュモスは人差し指と中指の二本だけでリマの一撃を受け止めていた。 「あぁ……♡でも、いいわね♡また、おもちゃが来てくれるなんて♡そこの子はもう楽しみつくしちゃったから♡あなたたちで、楽しませてもらおうかしら♡」  ユイナの背がゾクッと悪寒で震えた。  間違いない。  ユイナの出会ってきたサキュモスの中で最強のバケモノだった。 「あ、あなたが女王……」  ユイナは離れた位置からそう聞いた。  もちろん、その間に次の矢の装填は完了している。  指を離せば即座に放てるように。だが、あの速度に、膂力(りょりょく)。こんな矢など効果はないに等しいだろう。 「申し遅れました。わたくし、五大淫獣が一人、第二淫獣のイリス・ラマ・メイトリューロンと申します」  左手の指でリマの大剣を掴んだまま、ユイナに向けて笑みを湛えながらそういった。  リマも剣を押し込もうとしているが、まるで刃先が沈みこまない。 「さぁ、仕切り直しとしましょう」  すると、リマを大剣ごと振り回し、ユイナの近くまで放り投げた。  着弾するリマ。  ユイナはその驚愕すべき力を前に、問うた。 「あなたは女王ではないと……」 「ええ、そうですよ♡女王様は、私なんかよりもはるかにお強いですから♡」 「くっ……」  一種の絶望。  これまで積み上げてきたハンターとしての矜持が、あまりにも強大過ぎる絶壁を前に打ち砕かれる。  だが、だからと言って簡単に負けるわけにはいかない。   「え?」    弓を離す直前、倒れ伏す青年の顔を見てしまった。  パンティーを顔に乗せ、ビクビクと痙攣しながらアヘ顔を浮かべる彼は、今朝声を掛け合ったメグルだった。 「あら、もしかしたら、お知り合いでしたか?」 「仲間よ」  知り合いではない、仲間だ。戦友だ。  怒りが湧きあがった。 「彼も、そこのバニキュモスといい勝負をしていたので、なかなか見どころがあるかと思いましたが、疲労が祟ったのか、わたくしの前ではそれはそれは、可愛く鳴いてくれましたわ♡それに、とっても美味しい精気でしたわ♡」 「黙れ!」  戦友への侮辱に激怒してしまう。  こんなにいかったのはいつ以来だろうか。  矢を放ち、矢継ぎ早に連続で三射する。  だが、もちろん、それらすべては彼女の尻尾に撃ち落された。 「てぇぇやぁぁ―!」  再度リマが大剣で切りかかる。  走り薙ぎ払いの形で彼女の下腹部を狙った。  左斜め上方より打ち下ろされ形のなぎ払い、威力、速度共に十分の高威力であったが……。 「ざんねん♡」  指二本で、掴まれ止められてしまう。 「まだよ!はぁ―!」  止められるのは織り込み済み。  掴まれた大剣を軸に体を捻り、彼女の左肩を目掛け逆さ宙がえりから蹴りを放った。 「まだ、足りない♡」  しかし、それも反対の手の小指一つで止められる。 「グッ!」 「私のこともお忘れなく!」  リマが柄を基点に体を回転させたと同時に三射の矢を放っていた。  同時にユイナも走り出す。  放たれた矢と同速度まではいかなくても、それに追随する速度で一気にサキュモスと距離を詰めた。  彼女の蹴りが止められた瞬間、ユイナは彼女の足元をすり抜け、背後より強襲を仕掛ける。  案の定、三本の矢は尻尾で止められた。一つは蛇に巻かれるように止められ、他二本は弾き落とされている。  落ちる矢を見ながら、彼女の背後から矢を再度三射放つ。  超近距離からの連続射撃。  サキュモスからも死角。これなら通る。  そう思った……。 「ふふ、楽しいわ♡」  一瞬で肥大化した蝙蝠の羽が、矢もろともユイナを薙ぎ払った。 「きゃぁ!」 「くぅ、離せ!」  薙ぎ払われたユイナは彼女の尻尾に、そしてリマは彼女の手に捕まる。 「ぐぅぅ――!」 「くぅ!」 「あらあら、二人とも捕まっちゃいましたねぇ♡さぁ、ここからはわたくしの番ですわよ♡まずは小手調べ……♡」  一拍の間と共にはなたられる言葉。 「“発情なさい”♡」 「はぁぁ――♡」 「あぁぁっ――♡」  ユイナの体が一瞬で火照る。プシュッと股の間から淫水を吐き出した。  何が起きたのか分からない。  リマも同じような状態だった。   「もう、あなたたちは私の術中♡でも、あなたたちは、メグル君よりも連携という意味で優れていたかもね♡でも、弓使いなのに……ふふ、接近してきちゃダメじゃない♡おかげで、早くケリがついたわ♡」 「ぐぅ、まだ私たちはまだ……♡」 「あら、まだ……?なぁ~に?勝てるつもりかしら♡じゃあ、自分の無力さを理解してもらいましょうか……♡“イ・ケ”♡」 「はぐぅはぁぁぁぁ――!!♡」 「あはぁぁぁぁん――!!♡」  尻尾に絡め取られたまま、体を仰け反らせる。  彼女のたった一言を聴いた瞬間に、昇天してしまったのだ。  それはユイナのみならず、リマも同じのようだった。 「こ、これは……♡いったぃ……♡」 「わたくしは催眠を使うサキュモス♡もうすでに、あなたたちは、わたくしの術中♡言葉一つで思うがまま、言うがまま……♡あぁ~、可愛そう♡あなたたちもサキュモスに弄ばれて、ああなっちゃうんですよ♡」  彼女の視線の先には、ボロ雑巾のようになったメグルの成れの果てがあった。   「では、さらに趣向を凝らして……♡」  そういうと、彼女の体が大きくなっていく。  尻尾も太くなり、足から、手から、そして、体全体が大きくなっていく。 「さぁ、おもちゃさんたち♡わたくしを楽しませてくださいね♡」  そこには嗜虐心を表情に貼り付けた巨大なサキュモスの姿があった。 *** 【第16話へ】 https://abnormal-create.fanbox.cc/posts/8979398 次話【敗者の末路。イリスのおもちゃ♡】


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