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色黒強面ボディビルダー体育教師 粗チンがバレて公開処刑

『ピクシブリクエスト』でリクエストいただいた小説です。かなり熱のはいったリクエストだったので、約二万文字の小説となりました。内容はタイトル通りで、屈辱恥辱と短小弄りが中心の内容となっております。



この学校も随分上等になってきた。


生徒が道を譲り、目上の人間に頭を下げ、教師を敬い、俺を恐れる。

当たり前の光景の、なんたる愛おしいことか。


薄いジャージに体のラインをくっきり浮かび上がらせた真っ黒な男が、満足げに廊下の中央を歩いている。見事な逆三角形のラインは遠目からでも常人離れしているのがわかる。一朝一夕に作れるものではない、見事な肉体美だ。

ゴツゴツとした強面の顔。ピッチリとしたジャージ。黒々と焼けた肌。雄を感じさせる圧倒的バルク。そして、ずっしりと重たげな股間の巨大な膨らみ。

伊黒隆はその見た目通り、ただの筋肉自慢の体育教師ではない。有名な大会にも入賞経験の本物のボディビルダーだ。そんな伊黒がこの学校に赴任し、ルックスと声量と度胸を活かして不良の多いこの高校を変え始めたのが一年前。


「あれほどデケえツラしてた連中が、今じゃあこうか、ハッ」

体育館へ向かう渡り廊下の向こう側、伊黒の姿を見つけたであろう不良がいかにもバツの悪い顔をするのが見えた。踵を返し道を逸れ、校舎裏に向かっていく。まるで隠れるように、だ。

あの金髪、……俺が赴任してきたばかりのときには、身の程知らずにも喧嘩売ってきた野郎だ。我が物顔で廊下の真ん中を歩いていた輩が、随分しおらしくなったもんだ。

伊黒はタンニングされた黒い顎を撫で、ホワイトニングされた輝く歯を剥いてニヤリと笑った。

数百人の人間が一箇所に集められる学校という場に必要なのは、何より先ず規律である。そのためには、やはり体罰と呼ばれるようなことも必要なのだ。

前時代的などと批判も受けたが、それでも己の持論は正しかったのだと伊黒は確信していた。そうでもなければ、とても一年ぽっちでここまで学校は変わらなかっただろう。


色々と煩い世の中だが、言ってわからない馬鹿には、男の魂がこもった鉄拳制裁や、立場をわからせるような屈辱の経験が必要なのだ。


さっきの生徒、距離が遠すぎてよくわからなかったが、あの金髪であの猫背。確か………、いや、やはり名前は思い出せないが……先日折檻してやった不良グループの一人だったはずだ。あの距離からも俺を恐れて逃げるとは、それだけ俺のバルクと強さが身に沁みたということだろう。

伊黒は窓にうっすら映る自分のガタイにうっとりと見つめた。我ながら見事な仕上がりだ。増量期だけあって、いつも以上にジャージがピッチリ食い込んでいる。

サイドチェストなど一つ決めてやると、ピッチリとしたこのジャージすら邪魔な気がしてくる。ビルダーパンツ姿で出歩くことが出来たどれだけいいだろうか。

盛り上がった僧帽筋のライン、鍛え抜かれた広背筋が作り上げる逆三角形のシルエット、ジャージの繊維を突き破りそうな上腕二頭筋。それらをキュッと引き締める黒々と焼けた肌。そして、股間の中央のデカデカとした膨らみ。雄の象徴。

先日の大会でも見事好成績。こんな男、本来ならば一般高校をうろついていていいようなモノではない。先程は裸で歩き回りたいなどと考えたが、そんなことをしたら生徒たちが劣等感と劣情でおかしくなっちまうだろう。

実際、来週またボディビルダー教師としてネットの取材が来るらしい。これではますます有名になっちまう。

「まいったな、ハハァッ」

不良高校を見事立て直した男気教師、だとか。現役ボディビルダーながら一流の体育教師、だとか。美談逸話に事欠かないだろう。いくら謙遜しても、それらは全て事実なのだ。

しかしネットというのは俗悪だ。写真写りには気をつけないと、股間の膨らみばかり注目されて、学校の外でまでホモどもの間で人気になっちまう。すでに、もっこりデカマラ教師だとか、特大筋肉とビルダーは超特大チンポだとか、変な記事ばかり上がっちまって困っているのだ。

「いや、まいったまいった、ホントにまいった」

伊黒はまんざらでもない困り笑顔を浮かべて、自分の股間の膨らみを見せ付けるように直した。


「また明日、サロンに行ってくるか。じっくり仕上げてこねえとなあ」

廊下の隅を歩く不良共も、将来は俺のような立派な男になれるよう今度爪の垢でも呑ませてやるか。これもまた教育。俺なりの愛だ。

伊黒はそんなふざけたことを頭に浮かべ、もう一度竿の位置をぐいと持ち上げた。








「伊黒先生、またインタビューがくるらしいじゃないですか」

インタビューを翌日に控えた日の放課後、体育教官室でプロテインを混ぜていると、隣の席の若造が話しかけてきた。

体育教師だと言うのにヒョロリと背丈ばかりが立派な男だ。

「ん? ああ、そうみたいっすね」

「なんでも今回はボディビルダーとしてではなく、生徒との交流についての話だとか……まあ、その……やりかたは伊黒先生ならではのものでした、けど……」

不良生徒の一人を裸に剥いてフルチンにさせて晒し者にした時には「やりすぎだ、こんなもの教育じゃない」などとブツブツ言ってきたが、伊黒がやり方で不良たちが静かになった今、この低姿勢っぷりだ。伊黒のガタイと態度に完全に萎縮してしまっている。風向きが変わればこんなものだ


「更生……なんて大げさですが、彼らもまだ若いですから、残る学生生活を有意義なものとして過ごせると良いですね」

「んーああ、まあそうですね」

伊黒にはプロテインをシェイクする音でよく聞こえなかったが、どうやら不良共のことを言っているらしい。

不良共……。そうだ、あいつらだ。

明日のインタビューに備えて、不良共をもう一度締めておく必要があるんじゃないか。俺の晴れの姿を見て、妙なやっかみを抱えられても面倒だ。

ここらで、俺とお前らは違うのだということをしっかり叩き込んでやらねばならない。もし今以上にしおらしくなるのなら、明日のインタビューで横に座らせて自分たちがいかに間違っていたかを語らせるのもいいだろう。


「よし、いっちょ見回ってきますわ」

伊黒は隣の教師の言葉を遮って立ち上がった。

考えてみれば、もう一週間近く『指導』を行っていない。生意気盛りの学生だ。さぞ増長していることだろう。

ここはひとつ、正しい学生生活ってのを改めて体に教え込ませやろう。

逸る気持ちが体の中でグツグツと煮立ち、体の芯から男特有の香ばしい臭いが立ち昇ってきている。伊黒にはそんな気さえした。



探す必要もなく指導対象はすぐに見つかった。

体育教師の目から逃れるように、奥へ隅へと身を寄せ合って、校舎裏の狭まった場所に集まっていると噂には聞いていたのだ。

その証左を示すように、髪を派手に脱色した猫背の生徒が今日も伊黒から逃げるように渡り廊下から消えていった。

タバコか、酒か、エロ本か。

伊黒はジャージの袖をまくり、自分の筋肉の具合を確かめた。いつ見直しても惚れ惚れする。黒々とした鋼のような見事な二の腕だ。これから餌食になる生徒に同情しながら、伊黒は校舎裏へと歩いていった。



どうせろくでもないことをやらかしているに違いない。


その決めつけは程なくして確信に変わった。ヤニの臭いがプンプンしてきたからだ。

(タバコだと……? 俺の学校で生意気な真似しやがって。今度こそ体にしっかりわからせてやらねえと、だな)

伊黒は筋肉の邪魔となる副流煙を嫌って息を止めて進んでいった。怒気は足運びに現れ、踏みつける草がザクザクと大きな音を立てていた。一度曲がり、校舎裏の中でももっとも人気のない一角にたどり着いた瞬間、伊黒は止めていた息を思い切り吐き出して叫んだ。


「おいテメエらなにやってやがる、ええオイ!!」


大気を震わせるような怒声に、いかにも体育教師といった派手なカラーに強調される大柄のガタイ。この2つに同時に襲われて平然といられる生徒はいない。コレまで一人たりともいなかった。


「―――ッ!!」

その経験が油断を生んだ。

三人の不良生徒を視界に捉えた、それと同時に後頭部に鈍い衝撃がきた。

体が地面に沈む。視界がチラつき、校舎裏の汚いコンクリートが埋め尽くす。


「ってかさあ、勘づくのおそすぎじゃねえ」

「さんざん誘ったのにやっとだよ、もう来ねえんじゃねえかとおもったわマジ」


不意打ちだった。

チラチラとこちらを見て引っ込んでいたのは、この一撃を入れるためだったのだ。醜悪で周到な待ち伏せだったのだ。

舐め腐った態度で語る四人の不良共の口調で察した頃には、全てが手遅れだった。

背後から一撃、膝を狙った追撃、崩れ落ちたところを後ろ手に縛られ、体重を利用して自由を奪われた。


「ご自慢の筋肉でなんとかしてみせろよ! なんだよ、やっぱ見せ筋かー伊黒よぉ」


馬鹿にしやがって。二人がかりで関節ごと抑えつけられたら、鍛えてようがなにしてようが無理に決まってるだろうが。


反論が口をついて出そうになったが、伊黒は既のところでとどめた。自分を見下ろす四人の生徒の表情は、イタズラや冗談では済まされない、怒りと激情が込められていた。


「さんざん言ったよなあ、お前は男じゃねえとか、偉そうによ」

「群れなきゃなにもできねえとか好き勝手言いやがってよ、お前こそ教師の後ろ盾利用しまくってるくせに」

派手な金髪の猫背。目付きの悪いデブ。褐色の長身。タバコを咥えた中肉中背。

確かにどの顔にも覚えがある。そんなようなことを言った記憶もある。生徒たちの前で打ちのめして、みっともない姿をさらさせてきた輩たちだ。

――マジだ。この目はマジだ。怒りで血走ってやがる。

4対1。しかも相手はどれも喧嘩慣れした手口だ。やりあっていいことは一つもない。


「わ、わかったわかった、訂正する。この俺を罠にはめるとは、お前らはたいしたもんだ。な、なんなら他の生徒たちの前で、お前たちの根性あるところを語ってやるから、な」

「は? なにコイツ」


伊黒の変わり身の早さは、却って不良達の怒りを買った。


――鬱憤をはらさなきゃあ収まらない。

四人の意見はいよいよ固まった。半笑いだった生徒が感情を引っ込め、咥えていたタバコを手にとった。まだ火がついている。その先端をゆっくりと伊黒の首筋へと突きつけた。


伊黒の顔からも表情が消え、どっと汗が吹き出した。

おい待て。待てよ。その先っぽが一体何℃あるかわかってるのか。そんなもんをこの俺の肌にやろうってのか。肌に火傷なんかつくったら、俺の大事な筋肉が、大会が、インタビューが。

久しく感じていなかった恐怖に何もかもが縮み上がった。


「――わ、悪かった、悪かった! 許してくれ、なあ、許してくれ、俺が悪かったあッ!!」

伊黒はタバコの火から逃げるように身を捩り、無様に生徒に許しを請うた。あれほど尊大だった態度が見る影もない。


「なあ、どうする」

「俺は――コイツにマラソン二十周させられた。遅いだの何だの文句つけて、追加で十周。授業中にだぜ」

「晒し者にしやがって、俺なんか腕立て倒れるまでやらされたぞ。太ってるのは筋肉が足りないからだとか代謝がどうとか言いやがってよぉ」

話がまずい方向に転がっている。

伊黒の頭には、この状況をどう切り抜けるかという闘志は失われていた。

どうすれば不良共の怒りを減じられるか。許されるか。このまま無事に済ませられるか。そればかりを考えていた。


「――へへ、おいおい青ざめてるぜ」

「ご自慢のモンも縮こまってんじゃねえの」

「いつも見せつけてるもんなあ、デカさ自慢なんかしてよ」

四人の視線が伊黒の下半身に集中するのがわかった。その中で一人、伊黒をおびき寄せた派手な髪色の不良がボソリとつぶやいた。


「俺さあ、コイツに下だけ剥かれたんだよな。指導とかなんとか言ってさ。わかるか。廊下でだぜ?」

全員が顔を見合わせ、口を吊り上げて笑った。処刑の方法が決まったのだ。

羽交い締めにされたままの伊黒がなにか抵抗するより早く、太った生徒が伊黒のジャージをズリ下げた。


「あッ――お、お前ら!!」

「お、マジでいっつもビルパン履いてんだな」

剥き出しになったピッチリジャージの下は、更に小さく張り付くようなビルダーパンツがあった。陰毛の処理も完璧で、今からでもコンテストにでるかのような本格的なものだ。

左右は紐のように細く、尻の谷間が隠れるギリギリまで面積が削られている、そのせいもあってか股間の膨らみばかりが異常にこんもりと目立っていた。



「あ、あ、――ま、待て、待ってくれ……なぁ……ッ」

悲痛な伊黒の声にも不良たちは容赦を見せなかった。

「そんな声出してるくせに、ここはちーっともビビってねえじゃねえか。図々しくデカデカしやがってさ」

生徒の一人が、ついに伊黒の股間を鷲掴みにした。

「あ!」

「――んん?」


その瞬間、伊黒の体は凍りついたように固まった。全身から血の気が引いた。体は寒いのに汗が止まらない。強面の男臭い顔が、打ち上げられた魚のようにパクパクと口を開閉していた。


「ハハハ、オイオイどこ触ってんだよキメーなあ」

「いや――なんっつっか今……ん?」

「あ………あぁ………」


伊黒は必死に舌を動かし、なんとか声を出した。普段生徒たちを怒鳴りつける鬼教師とは思えない小さな声で。

「……な、なぁ、やめてくれ、コレ以上は……。ああぁ……そうだ……殴りてえんだろ俺のこと、腹たってんだろ、いいぞ、いくらでも、いくらでも殴っていい。だから、だからそれ以上は」

「ハァ? なにキメエこといってんの」

「――なあ」

伊黒の股間を鷲掴みにしている生徒が呟いた。

「これさ、なんかへんじゃね?」

「――あ、ふ、ふざっけんじゃ……ねえっ………! おい、やめろ!! わかった、謝る! 今までのことは全部謝る……! 謝るから……頼む、たのむ………っ、頼む、見ないで……見ないでくれ……っ」

「よーし、そんなにいやがるんなら――こりゃもう決定だな!」


しかし無情にも、伊黒を恨む生徒たちは正反対の形で伊黒の願いを叶えられた。

パンチは飛んでこなかった。謝罪も必要なかった。ただその代わり、パンツは一気にズリ降ろされた。



「「「ハァ?」」」

間の抜けた声が重なった。

巨大な膨らみからこぼれたのは、しかし巨大なチンポではなかった。

ボロンと、大きく飛び出したのは見慣れない奇妙なパッドだった。


鍛え抜かれた腹筋の直下、逞しい大腿筋の上、剃毛されきったビルダーの股に挟まっていたのは巨大なパッド。その奥にあったのは、……3センチにも満たない極小のチンポだった。

「…………ッッ」

一切の脂肪のない鍛え抜かれた無毛の体、妨げるものは一つもない。それならば、股間にぶら下がったものを見間違える筈もない。どう見ても、誰が見てもそれは短く細く小さな子供のようなおちんちんだった。


「え、マジかよコレ」

「うっわ、こんなちっちぇえモン初めて見た、俺」

「おいおいおいおい。なんだよなんだよ、なにこれ、こんな詰め物入れてたのかよ」


最初にまず驚き。

物珍しいものへの興味。

信じられないものを見ている人間の、素のままのリアクションだ。それが伊黒にはことさらに辛かった。小さいデカイと笑うのは男同士ありがちなやりとり、その土俵にすら上がれない。伊黒にぶら下がっているのは、それだけの大きさだった。


「見ろよコレ、こんなんマジであるのか」

パッドを拾った不良生徒が自分の股間にパットを当てておどけてみせた。そこでようやく笑いが起こった。

不良たちが理解したのだ。強面体育教師の伊黒は、ずっと、ずっと、生徒も教師も騙し続けていた短小チンポ教師だということを。


「なあ」

口に笑みを造りながら、脱色頭が伊黒の目の前に顔を突き出した。

「コレ、売ってんの? なあ、こういうのどこで売ってんの? あ、もしかして自分で作ったのか?」

「え、伊黒のやつ、自分でこんなもんシコシコつくって股間に入れてたの、なーんでだろうなーー」

「そりゃお前……クク、しょうがないだろ、だって……なぁ?」

一人が指差し、そして一斉に笑いが起きた。

不良たちは自分たちを苦しめていた教師の意外すぎる正体に笑いが止まらない。バカバカしい弱点。けれども深刻なコンプレックス。この厳つい体と強面の顔からは想像もできないような、指先程度のちいさなちいさな一物のインパクト。

なにもかもが面白くって仕方がなかった。


「あぁ……うぁぁ………おぅぅぅ………」

笑い声の中で、伊黒は言葉にならない声を上げていた。

頭の中で何一つ考えがまとまらない。バレてしまった。よりにもよって生徒たちに、不良達に、自分を嫌っているこんな奴らに。

見られている。笑われている。指差されている。蔑まれている。

衝撃が頭の中で延々と響いている。それで頭が破裂しそうだ。風に吹かれてプルプル震えるチンポの感覚ばかりを気にしてしまう。この後どうすればいいのか、なにひとつわからない。

笑いで羽交い締めの拘束が緩んでいることにすら気が付かず、伊黒は下半身を文字文字させてなんとか自身の粗末なものを隠そうとするばかりだった。股を閉じ、足をバタバタ。腰を引き、鍛え抜かれた太ももでなんとか隠そうとしている。その動きはボディビルダーのそれとは思えないほど滑稽で、さらに残酷なことに動くたびに股間についた小さなチンポ、いやおちんちんが右に左に揺れて、いっそう小ささを強調していた。


「ほらほら、おちんちんが踊ってるぜ」

「体育祭の出し物の練習かよ」

「良いダンスじゃねーか、こりゃ俺たちだけで見てたら申し訳ないな」

「あ、そうだそうだ、ちゃんと撮ってやろうぜ」


思いつきの冗談のように、デカチン体育教師としての伊黒隆の死刑宣告は決まった。


四人のうち三人が一斉にスマホを取り出し、レンズを伊黒の下半身に向ける。それは伊黒にとって、銃を突きつけられているに等しかった。


「あ、あ、あ、だめ、だめ、やめてくれ、やめてくれ! と、撮らないでくれぇ!」

勿論そんな願いが聞き入れられることもなく、カシャ、カシャと静かなシャッター音が次々に鳴った。

伊黒の耳にはどんな大会でのシャッター音よりも大きく、その音が聞こえた。

いつもは自分の筋肉を称えるように聞こえるその音が、一つ一つ絶望の音として伊黒の鼓膜をノックする。

カシャ、カシャ。

右から左から、交互にシャッターの音が聞こえる。撮られている。隠し通してきたこの股間の一物。おちんちん。子供以下の小さな短小チンポを。


スマートフォンのカメラだ。今どきの高性能高画質なうえ、いつでもネットに繋がってしまう。

いつでもネットに。



「――で、どーするよこれ」

不良生徒が伊黒に聞こえるように顔を覗き込んできた。見せつけてきたのはつい今しがた撮ったカメラの映像だ。改めて見るとひどい姿だった。


「待ってくれ、け、消してくれ」

生徒はゆっくりと指を動かし、SNSのアプリを起動した。伊黒の入賞した記念の投稿を探し出し、そこをタップした。

「コレ、ここにさ、リプ送ったら……多分一瞬ですげえ人数が先生のコレ、視ることになるよな」

「そ、そんな、やめてくれ、俺のチンポの写真消してく――」

「チンポォ?」


伊黒の声を遮るように、お調子者が笑った。


「チンポって、え? どこに写ってる? この写真のどこに、チンポなんて立派なものがあるよ」

生徒はそう言いながら、ぐりぐりとカメラを伊黒の頬にこすりつけた。伊黒のすぐ目の前に写真が見える。羽交い締めにされたゴリラのような体育教師の中心、つるりとした無毛の股間で揺れる弱小のナニが写っている。小さい。本当に小さい。だが、この写真のすべてを支配するほどに目立っている。くっきり写ってしまっている。


「これ、なんて言うのが正しいんだろうな? な?」

ちゃんと言い直せ。

言外に生徒はそう要求していた。伊黒に歯向かう事はできなかった。


「あ、………お、ちんちん……。俺の、おちんちんの写真、消して……ください………」


返答したその瞬間、伊黒は完全に不良生徒たちの『下』の存在となった。

不良と体育教師。その力関係は、チンポの大きさという一点のみで完全に逆転してしまったのだ。



◆◆



「そ、それでは、皆様御覧ください、これより行います、こ、このポージングは――サイドチェスト。その名の通り、鍛え上げた大胸筋の形をはっきりと誇示するもので、腕の太さ、脚の太さも――」

「すみませーん、腰の膨らみはまーったく見えないんですけどー」

「アハハハ! 胸の形だっつってんだろー」


この写真、言うこと聞かなきゃネットにばら撒く。

ただ一言、そう伝えるだけで鬼教師と恐れられていた伊黒は生徒たちの操り人形と化した。自分たちのいいなりとなった強面親父教師に、不良たちはそれぞれ思い思いの条件を突きつけた。


『そのおちんちんを晒して、自分たちに誠心誠意謝罪したならば、写真をネットに拡散するのだけは勘弁してやる』

『そうだ、せっかくだからいつもやってるポージングショーを見せてみろよ、生徒から何も言われなくても自信満々に見せつけてただろ』

『それからセンズリ、オナニーもしろよ、そのちっちゃいのでどうやってるのか気になるからさ、俺たち生徒に教えてくれよ』

『とっととやれ、はっきり自分の名前を言いながらな。この粗チン教師が』 


「ご、御覧ください、サイドチェストォ……ッ!」

ポージングはボディビルダーでもある伊黒にとってやり慣れた行為だ。いつも誇らしげにやってきた。黒々と焼いた肌、磨き上げられた筋肉、完璧な力の入れ方。どれも繰り返し繰り返し、鏡の前で、人前で、大会で、何度もやってきたことだ。

だがしかし、唯一違った。

下半身を隠していたビルダーパンツがなかった。

あの小さな布一枚。その差が途方もなく大きかった。


「おー、確かにスッゲエ逞しく見えますねー先生」

は口ではそう言いながら彼らの視点は明らかに強調されている筋肉ではなく、下の方を見ていた。

ぷらぷらと揺れる短小チンポ。

筋肉を力ませた振動ですら揺れるほどに小さく軽い。

美しく筋肉を強調すればするほど、ポージングが完璧であればあるほど、その滑稽なバランスが際立ってしまうという皮肉。あまりに小さすぎるペニスが、肥大した筋肉を喰っていた。


「つ、続きましてはァ……アドミナブル&サイッ、この通り、割れた腹筋と脚を強調するポーズです……!」

「ほらほら先生、ポーズだけじゃなくてさァ、もっとちゃんとポーズしている人のことも教えてもらわないと、ほらさっき教えたように名乗って」

酷な要求だ。だが反抗は許されない。

「お、俺の名前は伊黒隆、……○○高校の体育教師で……ぼ、ボディビルの……」

「名前がよく聞こえませんでしたー」

「い、伊黒隆ですッ!!」


張り上げた大声とともに、圧縮されていた腹筋が縦に伸びた。その小さな衝撃だけで、小さなイチモツが上下に激しく跳ねた。

名前を名乗ると同時に短小が自己主張をする。その間抜けな姿に、吹き出す音が聞こえた。


「で、なんでこんなもん使ってたの」

「お、俺は……そ、の……そのぉ」

「なんだよ、そんなに拡散されてーのか、しょうがねえなあ、ほんとあまえんぼチャンだな」

「あっ、く……!!」

「嫌だったら、ほら、チンポ触って自己紹介だ」

「―――は、ハイ……ッ。俺は……こ、こんな厳つい顔で、低い声した筋肉男のくせに、ちっせえチンポだってことがバレたら、ば、バレたら、みっともなくて、情けなくって……もう二度と生徒にデケえツラ出来ねえと思ったからです!!」

隠し続けていた真実を晒しながら、伊黒は自分の粗末なチンポを指で触れた。

震える手ではうまく摘むこともできない小ささだ。


「ま、そりゃあそうだよなあ」

「デケえツラもなにも、こーんなにちっちゃいんだもんなあ、絶対無理だろ」

そう言って生徒の一人が伊黒の真似をするように指を動かした。


「――てかさ、これ普段どうやってシコってんの? つーか、シコれんの?」

「う……あ、それは」

「いちいちどもってんじゃねーよ、答えろ」

「ハァハァ……はい。あ、あの、ふ、普段はこうやって……」

伊黒は言われるがまま、普段しているようにチンポを指先で弄った。勃起前の柔らかいチンポは、妄想と刺激で大きくしてやらなければうまく摘めない。だじからまずは弾くように指先でイジって、刺激してやるという動きが必要だだった。

その動きが面白かったのか、不良たちは手拍子をして笑い出した。

「うわまじで、うまく摘めてねーじゃん」

「そ、そうです……。ま、まずデカくしないと摘めねえから、俺は……こうやって、ちょっとづつ大きく」

「デカく大きくするって……、おいおい、これホントにでかくなるのかよ」

「ハハハ、腕の太さに比べて差がありすぎだろ、やべー」


生徒たちは口々に体育教師を嘲る。伊黒はそれを聞きながら、小さくなって肉棒を弄くり続けた。

屈辱と怒りで手の震えが止まらない。逞しい広背筋を所在なさげに丸める。ハアハアと荒い息がずっと止まらない。


「ほらほら先生、しっかりしっかり、堂々としてよホラいつもみたいにさあ」

「は、ハイぃッ!」

しかし命令が下れば、すぐにポーズを変えなければならない。

教師が生徒の言いなりだ。一人チンポを丸出しにして、生徒の言葉に絶対服従。

「ど、どうぞご覧ください! これが――生徒にキツく当たっていたコンプレックス丸出しマッチョの、チンポコですッッ!!」

胸を張ろうが、腰を突き出そうが、そこにあるのは小さく短い細いナニ。どんなポージングをしても、どう強調しても、小さいとしか形容しようがない大きさがボディビルダーの中心でブラブラ揺れる。


「つかさ、隠すだけならまだしも、なんでデカイ振りなんてしたんですか。リスクあるっしょ」

「そ、それは……!」

「それは?」

「それは、デカマラのほうが、生徒たちに威張れるからですッ! デカマラ教師の伊黒ほうが、普通のおちんちんの伊黒よりもッ、生徒から憧れられと、そう思ったからです! 生徒よりチンポが小さい教師なんて、舐められちまうと思っていたからです!!」

自分の口から子供じみた価値観を説明させられる。新たな屈辱が、体の内側から伊黒をグチャグチャにする。外からの笑い声。内からの震え声。両面から挟み込まれて、伊黒の精神はヤスリがけされるように削れていった。

男は素っ裸の状態からも、まだ脱ぐものがあるのだとわかった。心から色々な感情が剥がれ、溶けて、剥き出しになっていく。


どいつもこいつも……ガキのくせに、俺よりでけえもっこりさせてる。


呆然としながら、伊黒は生徒たちの股間を見つめていた。

自分より大きく逞しいものがあの中には詰まっている。まだ見ぬ事実に、すでに伊黒のプライドはグズグズと音を立ててふやけていく。


「おいおい、伊黒のやつ俺らのチンポ気にしてねえか?」

「アレだよ、俺たちもニセもっこりじゃないかとか気にしてんだよきっと」

「ダハハ、あーんなもん。伊黒以外に誰が学校でやるってんだよ」

生徒たちがふざけて各々の股間をまさぐるのが見えた。


「しかし小せえな、俺これの五倍はあるわ」

「お前いくらなんでも盛りすぎだって、五倍はないない」

「いやほんとそれくらいあるって、だってさ、五倍つったってコレのだぜ?」


股間を触っているうちに気分が乗ってきたのか、三人の生徒がそれぞれ自分の竿の太さ大きさを語りだした。


「なあ」

その三人をみて、脱色頭が提案した。

見せてやろうぜ。コイツに。ホントの男の竿ってもんをよ」

伊黒に対して特に強い恨みを持っているであろう猫背の不良だ。より屈辱を与えるならば躊躇わないのだろう。ベルトを鳴らす音が一つ、カチャカチャと鳴った。

ほどなくして二つ。そして四つ。悪乗りした生徒たちが自分から制服のズボンに手をかけた。


伊黒はただそれを見ていた。

発言権はない。

だが、喉の奥でかすれた声が出ていた。

待ってくれ。やめてくれ。見せないでくれ。

本能が危機を察していた。


「よっと」

あれほど恐れていた伊黒と比べてまるで別物のようにあっけなく、不良のガキどもは下半身を露出した。

ムッと蒸れた熱気が四人分。陰毛とふてぶてしくぶら下がった肉棒が伊黒の視界に現れた。まだ色素沈着もまるで起きていない、若々しい。青臭いといってもいい肉棒だ。

それにも関わらず、その太さ長さ亀頭の大きさ。なにひとつとっても伊黒の短小チンポとは比べ物にならない立派な男のものだった。

「ぁぁ……………」

伊黒はうめいた。

小さく、しかしそれは絶望的な悲鳴だった。

改めて見る男の一物に、伊黒は打ちのめされていた。


自分が勃起しても、あれ程にはならない。


まだ教育を受けているような若いガキ共の萎えチンポにすら、ただの少しも勝てはしないのだ。

改めて目の前に突きつけられた事実に、伊黒はガクガクと震えて呆然としていた。

勃起しても駄目。がちがちになっても萎えチン以下。どんなにバキバキ本気勃起させても、バカ話している生徒に勝てない。


「あれ、お前ってそんな皮あったっけ」

「普通じゃねえのこういうの」

そんな絶望に包まれる伊黒を放置して、敢えてだろうか、生徒たちは各々のチンポの特徴を笑いあった。

たとえどんなに揶揄したとしても、あのマッチョ教師の短小チンポには負けないというセーフティラインがある。だからこそ、安心して見せあっている。つまり伊黒のチンポはその程度の存在だと、そういうことだ。


太いチンポ

包茎チンポ

毛の少ないチンポ

右曲がりのチンポ。


特徴は様々だ。

共通しているのは一つ。どれもが全て、一つ残らず伊黒の勃起状態よりも大きいということだ。


「ハァ………ぁぁ、そんな、そんな、ハァ、ハァ、ン、ハァ……」

伊黒は生唾を飲み込んだ。

現実にジクジクと脳を焼かれている。普段虐げてきた生徒たちの竿に囲まれている、ただそれだけなのに腹をぶん殴られたかのように息が詰まる。


デカイ。

いや、違う、俺が小さい。

圧倒的に俺のチンポが短く細く小さいのだ。

敵わない。完敗だ。負けを感じちまう。 

殴打。

ただただ、自分よりでかいイチモツがずらりと並んでいるだけで打ちのめされる。あれが勃起したらどうなってしまうのだ。勃起によりサイズ変化には個人差があるだろうが、それでも小さくなるようなことはない。

自分が勃起したよりも大きい。

自分がガチガチにさせたよりもデカイ。

なんて立派なチンポ。

羨ましい。羨ましい。あのチンポが羨ましい。

短小チンポの俺には、あのチンポが羨ましい。

「おい、見てみろよッ」

無視していた太った不良が声を張った。


その視線の先は、伊黒の下半身の粗末なものに注がれていた。

「あ………あぁぁッ………あああッ………」

伊黒は気がついた。

なかなか勃起しなかった愚息が、一気に芯が通っている。

カッと火が焚べられたかのように熱くなっている。

わけがわからない。

屈辱のあまり頭がおかしくなったのか。

チンポが狂ってしまったのか。


ただ、完全に勃起していた。


「なになに、え、あれで勃起してんの?」

「そうだろ、だってほら見てみろよ、上向きになってるぞ」

「でもよ、勃起しているのに俺らの誰よりも小さいってマジ」

「こんなんじゃ、マトモに入れられねえだろ」

「ああーーーああーー!!!!」


よりにもよってこのタイミングで。比べられてしまうこの時に。

勃起を見られた。チンポを見られた。デカくなっても小さいままの情けないガキチンポを生徒に見られた。

伊黒はポージングをキメたまま、ビンビンになったチンポを晒し続けていた。

体が動かない。

屈辱で、逃げたくて、やめたくて仕方がないはずなのに、興奮で体の自由が利かない。

カウパー腺液が体の内側からドバドバと溢れている。

精液を保護する弱アルカリ性の粘液が、膣内に入ることはなく無駄にダラダラと垂れ続ける。


「うわすっげベタベタ」

「ちっさいくせに機能はしっかりあるんっすね先生」

「入れたいよ入れたいよ―って汁がすげえドバドバじゃん」

「お、俺は、俺は……………」


やめてください。質問しないでください。

答えさせないでください。謝ります。もう威張り散らしません。デカマラ偽装もしません。だからこれ以上、俺を溶かさないでくれ。

伊黒隆の願いは、叶わなかった。


「先生、やっぱ童貞なんっすか」

「――――はぃぃ、お、俺、こんな短小包茎チンポだから、も、勿論童貞ですッ!! 童貞童貞、ド童貞ッっすッ!! 俺は粗チンの童貞教師ぃいッ! で、デカマラめちゃくちゃうらやましぃぃぃいッ!!!」


ついに口にしてしまった。

その瞬間、プツンと張り詰めていた糸が切れるような音がした。

脳の中でなにか変わった。


伊黒は誇るかのように両腕を盛り上げて、腰を思い切り突き出した。

突然の大声に生徒たちは面食らったようで、目を見開いて伊黒を見ていた。その評定に、さらに頭の芯がカーっと熱くなった。


「女にも男にも見せられねえ粗チンビルダー! 俺は粗チンのボディビルダー! ガタイは良くてもチンポは短小! チンポつまんで毎日シコシコッシッコシコォ!」


頭の中が壊れてしまった。

チンポを見せつけられたことで、いよいよ完全敗北が頭にキマってキマって、狂ってしまった。

「ハァハァ、ハァハァァッ!!」

伊黒はガチガチになったチンポを摘んで、思い切り―――シコリだした。鍛え上げた二の腕が豪快に動く。その筋肉の躍動、弾ける汗の玉は凄まじい迫力だ。だが、ツンと伸びた指先にチョコンと勃ったチンポは、それらすべてを台無しにして余りあるほど滑稽だった。


「アッハッハ!! ばっかみてぇ!!!」

爆笑が起きた。

笑い声には一切のわざとらしさがなかった。伊黒を傷つけるためではない。ただただお間抜け過ぎて笑っている。伊黒にとって涙が出るほど恥ずかしく、みっともなく、そして気持ちが良かった。


「ハァ、ハァ、気持ちいい、気持ちいい、ちいせえチンポ気持ちいい、高速シコシコ気持ちいい、粗末なくせにいっちょ前ッ、短小ビルダーシッコシコッ!!」

「おい誰がセンズリこけって言った、生意気だぞ」

「し、失礼しました、デカマラ様ッ」

理不尽な叱責に対しても、伊黒は敬礼でもしそうな勢いで答え、アレほど夢中になっていたセンズリをピタリと止めた。

「なにがチンポだよ、これはおちんちんだろ。おちんちん。ガキのおちんちんにセンズリなんて偉そうなことする権利あると思ってんのか」

「こうやって男らしくシコっていいのは俺たちみたいな大人のチンポだけだろって、な?」

不良生徒たちは半分吹き出しそうになりながらそんなフザけたことを言ってきた。

「う、うっすそのとおりです。皆さんのようなデカマラ、に比べたら……おれのはガキチンポ、赤ちゃんチンポ。デカマラ……デカマラ……羨ましぃ……」

「へへ、そうそう……素直になってきたじゃねえか。俺達みたいなデカマラになりたいか」

「おいおいナニ調子乗ってんだよお前。よく言うぜ、デカマラってほどのサイズかこれ?」

「いいんだよ、伊黒のやつに比べりゃあ日本中みーーんなデカマラだって」

そう言いながら、太った生徒は見せ付けるようにゆるゆると竿を扱きだした。手でがっしりと掴んで上下に動かす、男のチンポ磨きに違いない。堂々としたものだ。


「ハッハッ……あぁぁ、いいなぁ……うらやましい、たまんねえ……」

伊黒は扱いている本人よりも騒々しい声を上げ、犬のように舌を出した。


「へへ、そうかそうか」

「俺らが勃起したらいよいよお前の立場ナイなあ短小教師さんよ」

「うっす……粗チンビルダー伊黒隆は、デカマラの前じゃこのおちんちんのように……ちっちゃくて立場がありませんッ」

生徒たちにとって、伊黒の姿は決して美女の裸体のようなおかずではない。

だが、アレほど高圧的だった教師が自分たちに服従している姿、彫刻のような筋骨隆々とした男を従えている心地よさ、あなた達はデカマラですとおだてて褒めそやされる気分の良さは、存外悪くのないものだった。


「ああいいなあいいなあセンズリうらやましいッ」

「俺たちのチンポ見て勃起してるぞ、このホモ教師」

「俺たちがシコるの見るのそんなに楽しいか変態」

「わ、わかりませんッ! でも、デカマラを見ていると……どうしても、その……」

「なんだよ、言ってみろ!」

返答を要求されたが伊黒自身にも本当にわからなかった。本来、他人の肉棒に興奮を催すような性癖はなかった。その筈だった。だが理屈はどうあれ、屈辱、羨望、羞恥、様々な感情が混じって、それらが全て下半身の血流へと変わってしまう。それが事実だ。


「き、きっと、み、皆様のデカマラを見ていると、自分もデカマラになった気がして……気持ちいいからです!」

結局伊黒は、頭の中に浮かんだ答えをそのまま口にした。

「ははは試してみろよそれ!」

その返答が存外に面白かったのか、一番のお調子者が妙なことを要求した。

「デカマラになった気で扱いてみろよ、そのチンポ、じゃなかった、おちんちんだったな」

「おお、いいじゃんいいじゃん面白そう」

「う、うす………ッ」

「デカマラだったらもっと堂々しろよ! 伊黒!」

「大きく股開いて、そうそうもっと胸を張ってみろ、いっつも生徒に見せつけているみたいによ」

「うっす……、わ、わかりましたァ……!!」

伊黒は指示されるがままにポーズを取り、まるで重いものでも腰にぶら下がっているかのようにガニ股になった。そして、彼らが言う通り『デカマラ』のように自分の短小を朗々と語りだした。

「お、俺はデカマラ教師伊黒隆だァ! デカマラ自慢の、体育教師だぞォ! 見ろ、見ろ俺のデカマラ、自慢の太マラッ、立派な長マラァッ!! ンホォ、デカマラシコシコォッ!!」

デカマラからの命令は絶対だ。伊黒は自棄になったように吠えて、ガニ股で腰を振った。

「おいおい、ちっちゃいのつまみながらなにか言ってるぜ!!!」

「そら頑張れ頑張れデカマラセンセー」

誰が見てもバカバカしいその姿を、生徒たちはそれぞれ直球で馬鹿にしたり、敢えてノッたり、思い思いに弄りだした。


「ハァハァッ、デカマラはすげえだろ、偉いだろッ、オラ、オラオラ見てみろ俺のデカマラッ、がっしり太い幹、でっかい亀頭、掴みきれねえ長え竿ォッッ!!」

何一つ持っていない要素を叫びながら、伊黒は指先だけでひたすらスリスリと擦りまくった。

「鍛え上げたマッチョな体! ぶっとい二の腕ッ、分厚い胸板ッ、引き締まった腹筋ッ! そしてデカマラ、ごっついチンポォォ!!!」

有名ボディビルダーに相応しい本物の筋肉と、偽りでしかない短小チンポ。2つ同時に誇って見せつけ、力の限り強調する。驚くほどにパンプする肉体と、これっぽっちも大きくならないチンポ。逞しさが情けなさを、大きさが小ささを、男らしさが惨めさを、それぞれ見事に対比して際立たせる。

隠し続けてきたものを自らの鍛えた肉体で暴く恥ずかしさに、伊黒の脳は悲鳴を上げ、頭を掻きむしりたくなるような衝動に駆られた。

だが、体と声は止まらなかった。そして、脳からドバドバと溢れてくる快楽も止まらなかった。

もうなにもわからない。ただ、全身を貫くような快感だけが伊黒の意識の中心にハッキリとあった。


(あっぁ……ナニしてんだ俺は、俺は、こいつらの前で、ああぁこのチンポたちのまえで、あぁぁ……おちんちんきもちぃぃぃいい)

自分を構築していた脳細胞が片っ端から破壊されていく。残らず燃え上がっていく。



男は素っ裸になっても、さらにその先があった。

そして、さらにその先があった。



何もかもなくなっていく。消えていく。

ああもう知ったことか。俺はチンポ。俺はこの短小チンポの付属品。今はいい。それでいい。それが気持ちいい。もうダメだ。もういいんだ。

コイツらの前で自由になった。デカマラ生徒たちの前で自由になった。

ああ、気持ちいい。

粗チンをシコシコするのが気持ちいい、それでいい、もうそれでいいそれだけでいいもう我慢しないでいい。

この生徒たちに平服して、このままイッちまおう。この小さいチンポからビュッと飛び出す濃い雄汁を見てもらおう。

ああ情けない。

小さいチンポだから勢いがすごいんだ。射精がめちゃくちゃ飛び出るんだ。

きっとそれも笑われるだろう。

臭えうぜえと笑われる。

想像しただけで屈辱で頭がおかしくなりそうだ。いやもうおかしくなってるんだ。おかしくなった頭がますますおかしくなるだけだ。

なんだそんなの、たいしたことじゃねえじゃねえか。


真っ逆さまに堕ちていく自分の人生を感じながら、伊黒はどこか安堵にもにたような


「あぁぁあ~~チンポが、チンポが気持ちよくなってきましたああ!! 見られて命令されてシコシコさせられて、体育教師は気持ちよくなりすぎて変にムラムラしてきましたァァ!!」

「なんだよ、お前もしかして……」

「うっす! 射精しちゃいそうっす、うっす! 俺の……俺の……俺の! 俺の……デカマラ――違う、俺の、短小おちんちんから……体育教師の種汁が出てきそうっすぅぅう!!」

「こんな小さいのからいっちょ前に精液でるのかよ!!」

「うっす! 出ます! すげえ勢いで出ます! 量も多いっす! でも俺、こんなにちいせえから種付けしたことないっす! いっつも自分の右手に出して、ティッシュにだして、便所に出して、無駄撃ちしてますッ!! うっすぅ!!!!」

「イクのかよ、マジで生徒の前でイク気かよ、うっわ、変態、ド変態だな!!」

「アァァ~~俺は短小のくせに、生徒の前で射精するドスケベ変態ボディビルダーですッ! 生徒の前で射精する、教師失格ビルダーですッ! どうか、どうか、どうか射精させてくださいッ! おちんちんからビュッビュだすのゆるしてくださいッ! お願いしますッお願いします!!」

「いいぜ許してやる、ほらー先生、画面の前の皆に向かって射精しな」



――え。



その瞬間、伊黒は信じられないものに気がついた。

スマートフォンだ。四台目の。

三台のスマートフォンで写真を撮られた。それをよく覚えている。それぞれのスマホのカバーをハッキリ思い出せるほど、強烈な思い出だった。

だが、視界に入っていながら気づいていなかったもう一台。ずっとずっとそこに立てかけられていたスマートフォン。


「そう全部撮ってる。最初っから。撮ってるっていうか……中継? ライブ配信中」


嘘だ。

嘘だ。


「だ――って、え、……公開……しないって」

「ああ。命令を聞いたら、写真だけは公開しないでやるって言ったよな。写真、だけは」


射精寸前まで擦っていた手を止め、伊黒は石になったように固まっていた。

そんな伊黒を見て、金髪の生徒は立て掛けていたスマホを持ち上げ画面を伊黒に見せた。


そこには大量のコメントが流れていた。


『変態』『やばすぎwwww』『マッチョってチンポこんなに小さいものなの?』『ほんとにちっちゃい』『俺の弟より小さいぞ』『あかちゃんのちんちん』『伊黒隆衝撃の事実』『やべーこれいまマジで?』『さすがに草『筋肉すげえのにほんとに小さいな』『伊黒隆ってこの前のコンテスト優勝してたよな』『前にすれ違ったことある。あのもっこり作りものかよ』『すげえ勢いで擦りだした』『ポージング完璧すぎて草』『体罰してたって噂マジ?』『うわ気づいた』『やっほー先生みてるー?』『ついにネタバラシだ』『コレドッキリとかじゃなくって?』『因 果 応 報』『短小チンポ縮んじゃうwww』『世界中に中継中です』『アップになるとますますちっちゃ!!』


伊黒が有名なボディビルダーだったからだろうか。

ホモに妙な人気を持っていたからだろうか。

この生徒たちがネットではフォロワー数が多かったのだろうか。

かなりの数の視聴者がそこにいた。

そして、その数だけの短小チンポに対する嘲りがあった。


こんな大勢の人間の見世物になっていたのだ。このチンポが。この筋肉が。このセンズリが。

伊黒は自分がいた場所が、底も底の底辺だと思っていた。もうコレ以上はないと思っていた、だからある種の安堵感の中で変態行為を行っていた。

不良生徒たちにバカにされ、玩具にされ、尊厳を破壊されて、ここが人生の底だと思った。だから安心していた


底は抜けた。抜けていた。


世界中に晒されていた。

伊黒という男は、粗チンを隠して生徒に暴力を奮っていたうえ、それを暴かれ興奮する変態マッチョだと、皆に知られてしまった。知られていたのだ。


「あ……あ、あ…………あっ❤」


脚が動かない

足元が崩れ落ちる。

底が抜ける。


それは錯覚ではなかった。伊黒は崩れていた。膝が折れて、鍛え上げた腹筋や胸板を仰け反らせて、ブリッジのような格好で倒れていた。青い空が見える。笑い声が聞こえる。

そして、短小チンポがいまだにビンビンに反り返っているのを感じる。


「おーい先生ー、まだ撮ってるんだから、ちゃんとしてくれよー」


空の上から声がする。

この声はデカマラの生徒様だ。

あはは、生徒様が笑っている。俺を見下ろして笑っている。

あはは、ははは。気持ちいい。気持ちいい。

きもちいいきもちいいきもちいいい終わりだ終わりだ何もかも積み上げてきたもの全部おわりだきもちいきもちいいきもちいいい。


「うわすっっげヘロった顔、やっばッ」

「ハハハハッアヘ顔っていうんだよ、マッチョのアへ顔、ほらほらせんせ―ぴーすぴーす」

「こんなカッコでも勃起だけはしてるのやっばッー」

「はへッはへッ❤」


伊黒は体を痙攣させ、チンポを脈動させ、へらへらと笑い続けていた。

脳の許容量を遥かに超える屈辱。絶望。そして……それらを全てがとろけていくほどの快感。


ビンビンに勃起した肉棒だけが、触ってもいないのに動く。

どくり。

どくり。

どくどくりどくり。


「おい、まさかこのままイクのか?」

「え、それはさすがにないっしょ、こんな状態でイクやついるか?」

「射精するわけねえよなー体育教師がこんなことで」

「触ってもねえのにイクのか? 変態すぎだろそれって」

「ああ、あ、あ、あ、あ❤ アヘ❤ アヘッハヘッ❤ アヘッッ❤❤」


こみ上げる。

こみ上げる。


どくり。どくり。もう目の前まで来てる。来てる。


駄目だ。変態だ。嘘だろ。

そう言われれば言われるほど、全身の筋肉が収縮し、ケツの穴が締り、短小弱小最底辺ガキおちんちんが持ち上がる。


出る。イク。射精する。外だし。漏れる。爆ぜる。飛び出す。


「あ゛ぁぁぁあああイグゥウウイグゥゥゥウ❤❤ イッぢまぅぅぅぅううう❤❤ ンおっぉおぉお゛ォォッッーーーーー❤」


ついに伊黒は射精した。


指導してきた不良たちに爆笑され、見下していたネットの人間たちに馬鹿にされ、ボディビルダーの逞しい体を台無しにするような仰向けのポーズで、隠し続けてきた短小チンポをこれでもかというほど強調し、実績もイメージもなにもかも崩れ去っていくのを感じながら、最高の快感を全身にコレ以上ないほど味わいながら、ついに伊黒は射精した。


「うわ、マジですげえ勢い」

「ちいせえくせによ」

「変態花火が一発見事に上がったなー」

「……まじでどうしようもねえな、伊黒先生」


「あ゛❤ あぁ゛❤ へ……へ………へへへ❤❤」


イカ臭い雄汁を全身に浴びながら、伊黒は嫌悪感の一つも見せずに笑い続けていた。

ナニを言われても、もう伊黒は立ち上がれなかった。もうナニも考えられなかった。ただ永遠のように続く快感を味わっていた。自分の小さな小さなチンポからこみ上げる巨大な快感に、鍛え抜かれた筋肉とプライドは完全に飲み込まれていた。


「へ、へへッ❤❤」

画面に写ったコメントの一つが読めた。

『伊黒隆、変態すぎ、終わってる』

そのとおりだった。


「へへ❤❤❤」

全てが終わった。

そのことを理解しながら、しかし伊黒はへらへらと廃人のように、幸せそうに笑い続けるのだった。




終わり



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