このランダ王国が淫魔帝国に吸収されてからというもの、私たちニヴェス修道院の暮らしも様変わりしました。
静謐だった礼拝堂では、いつも誰かが交わっていて、淫らな嬌声が響いています。
聖堂だけではありません。
宿舎でも、食堂でも、中庭でも、廊下ですら、昼夜を問わず、誰かが交わっています。
姦淫を禁ずる掟はどこへやら。
修道院のあちこちで、シスターが、見習いの少女が、互いの身体を貪り合い、歓喜の声を上げています。
それを咎める者はもういません。
誰もがそれを我慢できないことを、我慢する意味もないことを知っているからです。
国王が淫魔帝に屈し、国を淫魔帝国に吸収合併させると布告したあの日。
この国の空は赤く染まりました。
進駐してきた帝国軍の兵士によると、これは”淫獄化”という現象らしいです。
淫魔帝は自らの領域の法則を書き換えることができ、いままでもこうして新たに編入した土地を淫魔に都合の良い空間――淫獄へと造り変えてきたのだとか。
淫獄となった領域では、淫魔は快楽を感じるだけで生きていくことができるようになり、すべての生き物が淫魔に近しいものへと変わっていくそうです。
世界のありようすらも捻じ曲げるのは、もはや神の御業の領域と言って良いでしょう。
初めはそのようなことを淫魔ができるということ自体、信じられませんでした。
しかし、淫獄化の影響をほかならぬ私たち自身が受けることで、淫魔帝の力を認めざるを得なくなりました。
空が赤く染まってからというもの、私たちは激しい性衝動を感じるようになりました。
それは、いままでに経験したことのない、抗いがたい衝動でした。
私たちは聖職者ですから、禁欲には慣れています。
ときおり、淫らな行為に耽りたいという衝動が湧き上がっても、神に祈り、沐浴をして身体を清めれば、その衝動を抑えることができました。
しかし、王国が淫獄化してからというもの、衝動はそのような生易しいものではなくなりました。
一日中、身体中の性感帯がムズムズと疼くのです。
その感覚は飢えや渇き……なにより痒みによく似ていました。
強い意志で衝動に抗い続けてなお、気が付くと手が秘所や胸へと伸びているのです。
夜になってベッドに潜り込んでから眠りにつくまでのあいだは、最も苦しい時間でした。
身体を動かしていない分、衝動はより強く、私を責め苛みます。
いますぐ乳首をつねり上げ、秘所をほじくったら、どんなに気持ちよいだろうか。
疼く乳房を揉みしだき、硬くなった乳首を指先で転がしたら。
勃起した肉の芽を摘み上げたら……。
はしたない妄想が次から次へと湧き上がって、私の頭の中を支配しました。
空が赤く染まってから数日は、湧き上がる性衝動をなんとか我慢することが出来ました。
このころはまだ、神に祈りを捧げ、心を強く持てば、淫魔の誘惑など跳ね返せると思っていたのです。
けれど、すぐに限界は訪れました。
性衝動は日に日に高まり、それに呼応するように、私たちの身体は淫らに変わっていったのです。
日ごとに胸とお尻は大きく張り出し、腰はキュッと括れていきました。
修道服越しにもわかる起伏に富んだボディラインは、見るだけで情欲を煽ります。
肌は染みひとつなくなって妖しい艶を帯び、体臭も変化してどこか甘く芳しい香りを放つように。
修道院内には私たちから発せられた人の官能を刺激する媚香が常に漂っていて、それを嗅ぐだけでお腹の奥が切なくなり、股の間から熱いものが滴ってくるのを感じます。
いままで同性を性的に見たことのなかった私も、同僚が隣にいるだけで、ムラムラと劣情を催すようになりました。
修道院内では、スキンシップを取るシスターたちの姿が段々と多くなっていきました。
手と手をつないだり、隣に座って肩を触れさせたり、抱き付いたり……。
遠目からはただじゃれているように見えたかもしれません。
しかし、シスターの誰もが、その行為の本当の意味を知っていました。
淫らに変質しつつある私たちの身体は、わずかな刺激にも敏感に反応するように変わっていて、少し触れ合うだけでも性感が高まるようになっていました。
例えば、ハグをしただけでも、たわわに実った乳房が押し合い、乳首が擦れて、痺れるような快感が走るのです。
手を握り合い、指を絡めれば、触れ合う指の股から快美感が湧き出てきます。
耳元で囁き、息を吹きかけるだけで、背筋がゾクゾクして、腰砕けになるほど感じてしまうのです。
これはただのじゃれあいなのだと言いわけをしながら、私たちは互いに密やかな愛撫を楽しみ、爆発寸前の獣欲をなだめようとしていました。
いま思えば、このころすでに私たちは悦楽の虜となっていたのでしょう。
宿舎では、夜な夜なシスターたちのくぐもったあえぎ声が響くようになりました。
誰もがベッドの中で声を殺し、密かに快楽を貪っていたのです。
密かに、と言っても、宿舎は基本的に二人部屋ですから、同室のシスターには当然気付かれてしまいます。
しかし、そこは互いに見て見ぬふりをして、行為に耽るのです。
かく言う私も、隣のシスター・ベロニカのベッドから漏れ聞こえる悩ましげな吐息をオカズにして、自分を慰めたものです。
赤髪とそばかすが愛らしい、シスター・ベロニカ。
いつも私の愚痴を嫌な顔ひとつせず聞いてくれる優しい子でした。
そんな彼女をオカズにするなんて……と罪悪感を覚えながらも、私の手は止まりません。
屈託のない笑顔が素敵な彼女の顔が、いまどんなふうに歪んでいるのか。
それを想像しながら、秘所を慰め、胸を揉みしだくと、恐ろしいほどの快感が腰骨を震わせました。
私の欲望を反映するかの如く、スイカを思わせるほど大きく肥大化した私の乳房は、その先端も親指ほどに肉厚に育ち、まるで乳牛の乳房のような様相を呈しています。
ベロニカのあえぎ声に耳を澄ませながら、胸の巨大な肉毬を握りつぶすように揉みしだき、乳頭を指で挟んでシコシコと刺激します。
そうすると、ベロニカと自分が交わっているかのような錯覚に陥り、快感が二倍にも三倍にも膨れ上がるのです。
想像上のベロニカは、悩ましく眉をハの字にして、涎を垂らし、私の名前を呼びながら絶頂を迎えます。
私もそれに釣られるようにして、口を枕に埋め、声を殺して達しました。
一度その快感を味わってしまうと、もう後戻りは出来ません。
いままで禁欲していた分、その反動は凄まじく、私は夜毎ベロニカの淫らに喘ぐ声をオカズにして自慰に耽りました。
ある満月の夜、私はとうとう我慢ができなくなりました。
自慰では身体の火照りを解消できなくなり、いよいよ本物のベロニカと肌を重ねたい……。
そんな欲求が抑えられなくなったのです。
指でぬかるんだ媚肉をほじくり返し、肥大化した乳首を抓み上げれば、絶頂に至ることはできます。
でも、足りないのです。
この先があるのだと、本能が訴えかけてくるのです。
自慰で絶頂に達するたび、確信は深まります。
この身体は――淫らに造り替えられたこの肉体は、自慰をするためのものではない。
セックスをするためのものなのだと。
悦びをわかち合うために、淫魔帝に与えられた造形物なのだと。
そう思うと、居ても立ってもいられなくなりました。
ベロニカと愛し合いたい。
一度芽生えた欲求は、とめどなく膨れ上がります。
私は欲望を実行に移しました。
とりつかれた様にふらふらと歩いて、ベロニカのベッドの横に立ちます。
全身に淫らな熱がわだかまっていて、酒に酔ったようにふわふわとした心地でした。
確かなのは、臨界点ギリギリまで昂った性欲だけ。
あとはもう、それを吐き出すことしか考えられません。
耳を澄ますと、盛り上がった布団の中からくぐもった声が聞こえました。
「んっ……んふぅっ♡……あっ……ああっ♡シスター・メリッサぁ……♡♡♡んんっ……♡♡♡」
私の名前を呼びながら、ベロニカはは自らを慰めているのです。
それを知った瞬間、私の中の獣が暴れ出しました。
理性のタガが外れ、獣欲が脳を支配します。
もう、止まりません。
「ベロニカ」
私は名前を呼びながら、布団を剥ぎ取りました。
ベロニカは一糸まとわぬ姿で、自身の胸を揉みしだき、股の間に指を這わせて、自慰に耽っていました。
私は衝動のままに、ベロニカにのしかかり、その細い手首を押さえつけます。
私たちの乳房がぐにゃりとひしゃげ、乳首がこすれ合って甘い快感を脳に送り込みます。
「んんぅっ!♡♡♡えっ……シスター・メリッサっ!?」
突然の出来事に驚く彼女の口を唇で塞ぎ、そのまま舌をねじ込みます。
ほんの一瞬、ベロニカは困惑の表情を浮かべましたが、すぐにうっとりと顔を緩め、舌を絡めてきました。
私たちはくちゅくちゅと卑猥な音を立てながら唾液を交換し、お互いの舌の感触を味わいました。
ベロニカの舌は柔らかくて、とても熱いです。
私たちは時折目を合わせながら、情熱的なディープキスを交わしました。
舌を絡ませるたびに、自慰とは比べ物にならないほど強い快感が私を襲います。
ベロニカの手首から手を離すと、今度は彼女の方から指を絡めてきました。
恋人繋ぎをしながら、濃厚で甘美なキスを交わし、いやらしく造り変えられた身体を重ねるのは、この上なく甘美なものでした。
股の間に膝を割り込ませ、むっちりとした太ももで秘所を刺激し合うと、腰が抜けるほどの快感が走ります。
胎の奥が強く疼き、股の間から熱いものがとろとろと流れ出すのがわかりました。
私たちは無我夢中で互いの身体に触れ、舐め回し、秘所を擦り付け合いました。
粘膜と粘膜、肌と肌をこすり合わせるたびに、私たちの身体は火照った体温を分け合い、次第にその境目が曖昧になります。
全身が甘く蕩けるような感覚。
法悦と至福が、私の脳をドロドロに溶かします。
私たちは一晩中、互いの身体に溺れました。
互いに秘所を撫で、かき回し、舐め合い、擦り付け合い……胸を、尻を揉みしだき、しゃぶり、吸い、噛みました。
昼過ぎになって目覚めたとき、私たちは互いの体液でドロドロに汚れていました。
あれから数え切れないほどベロニカと身体を重ねましたが、初めての晩はいまでも特別です。
恍惚と陶酔。
絶頂に次ぐ絶頂。
いままでの人生で感じたことがないほどの喜び。
もっと早くベロニカと肌を重ね、互いの身体を貪り合えば良かった。
なぜもっと早くこうしなかったのか、後悔がつのります。
ああ、愛し合うことのなんと素晴らしいことか!
天上の法悦は、私の信仰心を打ち砕き、代わりに限りない愛欲を魂に刻みつけました。
修道院の他の皆も、その日を境に変わり始めました。
スキンシップという建前すら失った愛撫や接吻が人目をはばかることなく行われ、日中であろうと肉欲にまみれた声が響くようになったのです。
私たちは呼吸をするように、互いの身体を求め合い、貪り、愛し合いました。
最後まで抵抗していた修道院長も、ついには自らの獣性に負け、礼拝堂の聖女神像前で修道服をたくし上げて、皆に愛撫をねだったのは記憶に新しいです。
精神の堕落に呼応するように、私たちの身体の変化も加速度的に進んでいます。
胸や尻のボリュームがさらに増して、より肉感的に。
耳の先が尖り、舌が伸びて、瞳が赤い魔力の燐光を放つようになりました。
下腹には淫紋と呼ばれる淫魔の刻印が浮かび上がって、股間にはクリトリスが変じたふたなりペニスが備わりました。
私たちは身も心も着実に淫魔のソレに近付いています。
朝目覚めて、自身の股間に男性器が生えているのを見つけたとき、私は驚きよりも喜びを感じました。
これでベロニカともっといろんな方法で愛し合える、と。
実際、指では届かない肉洞の奥底を、新たに生えた逸物で突き、突かれるのは、頭が真っ白になるほど気持ちが良いのです。
特に、後ろからベロニカを串刺しにして、上気し汗の浮いた背筋が震える様を眺めつつ、彼女の両腕を手綱のように引きながら腰を打ち付けるのは格別です。
ベロニカの膣内は熱く潤んでいて、無数の肉ヒダが私の逸物に絡みついてきます。
子宮口をノックするたびに、別の生き物のように肉厚な膣壁がうねり、精を搾り取ろうと吸い付いてきます。
私はそれに抗うことなく、欲望のまま彼女の一番奥深くに精を放ちます。
すると、ベロニカの胎は歓喜に打ち震え、子宮口を鈴口に吸い付かせて、私の子種をゴクゴクと飲み干します。
私の射精は貪欲に蠢くベロニカの肉壺に長く長く引き延ばされて、思わず腰が抜けそうになるほど気持ちが良いのです。
その幸福感と言ったら、他に例えようもありません。
私たちはは純潔の誓いを忘れ、淫蕩の限りを尽し、教えに背いた欲望を貪るようになりました。
このニヴェス修道院は、堕落と退廃の園へと生まれ変わったのです。
でも、背教の罪などもう誰も気にしません。
聖女神への信心を捨て去った私たちは、こんなに幸せで、愛に満ちているのですから。
淫愛の素晴らしさを教えてくださった淫魔帝には、もはや感謝の念しかありません。
余計な枷から解放された私たちは、淫欲の赴くままに毎日を過ごしています。
朝も昼も夜も、所かまわず肉欲に溺れ、互いの身体を貪り合います。
淫魔に変わりつつある私たちの身体は、もうほとんど睡眠や食事を必要としないようで、一日中でも繋がって愛し合うことができます。
気分転換に、散歩をしているシスターたちも見かけます。
仲の良い二人が、手をつなぎ、睦言を囁き合いながら歩いていく姿はとても微笑ましいです。
私もたまには修道院の庭をベロニカと散歩をすることがあります。
もうサイズが合わなくなってしまった下着は付けずにいるため、歩くだけで修道服が直接乳首に擦れて、もどかしい快感が常に私を苛みます。
熱いものが秘所から湧き出して、太ももを伝って修道服を汚すのも、もう慣れてしまいました。
修道服の上からでもはっきりわかるほど乳首を勃起させ、股座にシミを作りながら修道院を闊歩するシスターなど、以前であれば悪魔憑きとして祓われていたでしょう。
しかし、淫獄化後のニヴェス修道院では、そういった光景が日常となっています。
最近は背中や頭がムズムズと疼くことが多く、道行く帝国兵士のような素敵な角や翼が生えてくるのも近いのでしょう。
翼が生えて、飛べるようになったら、淫魔帝のいらっしゃる帝都まで行って、直接感謝を伝えたいものです。
その日を夢見て、私は今日もベロニカと愛し合います。