ナギさんのお話です。
ナギは現在迷っていた。 精神的に、ではない。 肉体的に、である。
簡単に言えば『迷子』だ。
以前より入っていた隣町での仕事を終え、バスに揺られて帰るも、ナギは正直焦っていた。
「(早く帰らねば……!)」
ここ数日の店長の運の悪さは、正直笑えたものではなかった。
空き缶が飛んでくる、野球ボールが飛んでくる、どぶにはまる、乗ったタクシーがパンクする。
そして昨晩、彼はカラスに襲われていた…。 マジかよ…!
仕事はキャンセルできない、とにかく早く終えて彼を見守らなければ何が起こるか判らない! だが、地形上隣町からは目の前に広がる巨大な森をグルッと迂回しないと帰れない。
ジリジリしている彼の目の前を、三羽のカラスが飛んでいったのが良くなかった。
「(!! 奴ら、キバトラ(ナギか付けた店長のあだ名)を襲う気か……!!? 奴らにバンダナを引きちぎられ、唯でさえ剥げた頭をついばまれたら、あいつ、もう二度と笑ってくれないかも知れん!!)」
次の停留所でバスを降り、一気に森に突っ込むナギ。 位置的に考えれば直線で抜ければ住宅街の外れあたりに出るはず、タクシーを拾えれば先回りできる!
迷わない自信があった。 ナギは『獣(けもの)寄り』で鼻が利くからだ。
『獣寄り』は獣人の中でも『獣』の特性が強い者だが、『人寄り』の者達に「ケダモノ寄り」と呼ばれて軽視、軽蔑、侮蔑の対象とされる為、まず口外しない。 ナギも同様である。
この『獣寄り』、実際はかなり便利なのだが今回は完全に裏目に出た。
森の匂いが強すぎたのだ。 ナギは逆に方向感覚を失い、完全に道に迷ってしまった。 どっちを向いても同じ景色でさっぱり判らない。 おまけに一つ、大問題が発生していた。
おしっこしたい、凄いしたい
ナギは『立ちション』をしない。 インテリを気取っている、というのもあるが、やはり問題は『獣寄り』である事だ。 便器などに向かえば問題ないのだが、木や電信柱に向かうとどうしても”アレ”をしたくなる、その姿を見られれば一発で『獣寄り』だとバレてしまうからである。
ともあれ今は森の中、周りに誰かが居るはずもない、そして膀胱はレッドゾーン
「……仕方があるまい……」
迷子、尿意、焦り、それらの全てが彼の認識能力を鈍らせ、誰かが近くに居るのに全く気が付かなかった。
テクテクと森を進む店長。 気持ちの良い昼近く、ソレは突然視界に飛び込んできた。
いつもパリッとしたスーツを着て、渋い姿のナギさん(宴会時ははっちゃけてたが、あれは例外)が、下半身丸出しで片足を木にかけて、豪快におしっこしていた。
頭が真っ白になる店長、目が合った瞬間、あのナギさんが大粒の汗をかき顔を真っ赤にした。
長い沈黙
そして暫くして店長の口から出た言葉は
「ど、どうも…こんにちは…ナギさん…」
何とも間の抜けた挨拶であった。
そして森には再び長い沈黙が戻ってきたという……
続く
……ヤバイ、本当に文才無い。 長いし。 駄目っぽいよ、自分?
ちなみにナギさん、仕事の時は『バス派』です。 顔を覚えられたくないから。 ホイル包みは次回に。
トラトラ
2025-04-21 04:38:00 +0000 UTCY.K
2025-04-18 13:51:49 +0000 UTCトラトラ
2025-04-17 10:14:31 +0000 UTCトラトラ
2025-04-17 10:13:56 +0000 UTCY.K
2025-04-17 08:09:44 +0000 UTC海渚
2025-04-17 07:13:38 +0000 UTC