お世話になっております。若林です。
今回のご質問はこちら。
「漫画家になって感じたやりがいはありますか?」
→人に楽しんでもらえることで、自分を好きになれることですね。
プロとして漫画を描くまで、僕は何を描いてもつまらないって言われてたんですよ。
自分でも、自分で描いてるものが面白いと思うこと、ほとんど無かったですし。
一度、自分の中で「面白く描けた!!」って思ったものが、プロの先生から「全くキャラが立ってない」って言われた時は、何が悪いのか全然わからなくて、本当に落ち込みました。
そもそも漫画って、自分が面白いと思ってるものを形にするわけじゃないですか。
面白さも、単純な笑いの時もあれば、複雑な感情の時もあって、いろんな人間性がそこに含まれますよね。
それがつまらないと言われれば、人格を否定されてるような気分にもなります。
「作品を否定すること」と「作者本人を否定すること」が別だということは、頭ではわかってるんですけど、それでも作品を否定されたら、作者自身を否定されてるような気持ちになります。
なので、ようやく面白いものが描けるようになった時、初めて「自分」という存在を他人から認めてもらえたような気持ちになったんですね。
人から面白いと言ってもらえることは、こんなにも嬉しいことなのかと、満たされた気持ちになります。
そこで初めて、自分を好きになれたような気がしましたし、自信が持てたような気がします。
でも「人に認められる」という高揚感は、麻薬的な快楽に近いところがあって、もっともっとと求めてしまうところがあると思うんですよね。
そのために、承認欲求ばかり強くなって、ちょっと壊れてた時期があったような気がします。
プロになって最初の頃は、ちょっと上手くいかないことがあるとすぐ自信を無くしたりとか、他者を否定することで自分を肯定するとか、他人の評価に期待しなくなったりとか、不安定なところも多々ありました。
落ち着いたのは、「徒然チルドレン」が終わった頃だったでしょうか。自信の一番のヒット作が終わって、「幸せカナコ」で自分のペースを取り戻して、「ぱちん娘。」みたいな売れない漫画を気楽に描いてから、ようやく承認欲求も落ち着きました。
それでも、他人に嫉妬することもあれば、些細なことで落ち込むこともありますけど、立ち直りは早くなりましたし、何かを否定して自分を肯定することも無くなりましたね。
今は人の反応も、最初の頃の高揚感は無いですけど、素直に嬉しいと感じますし、それくらいがちょうどいいなって気もします。
いつまでも、人に楽しんでもらえる漫画を描き続けたいものです。
zaehar
2021-06-05 11:44:15 +0000 UTC