お世話になっております。若林です。
なんか今日はいろんな人からいろんな相談を受けた日でした。
中にはDMで初めて話してくれた人もいました。
人から頼りにされる経験ってあんまりないので、嬉しいです。
もちろん全部漫画についての相談だったのですが、その中で一つ共通した話題があったのでお話しします。
「読者が求めてるものがわからない」という人が、たまにいます。
つい最近も、雑誌で連載を目指して……
「アンケートを取らないと連載できない……」
「でも読者が何を求めてるのかわからない……」
「どうすれば読者の求めてるものがわかるんだろう……」
と悩んでる人がいました。
不特定多数の読者が求めているものを捉えるのは難しいです。
ただ、自分の読者が求めているものを捉えるのは、ある程度簡単にできます。
僕はいつも、まず自分の描きたいものを素直に考えるようにしています。
他人の求めてるものに考えるのは、その後です。
まず自分の描きたいものが、他人からどういうふうに見えるか考えます。
「徒然チルドレン」だったら、第一印象は「ラブコメ」でしょうか。
他にも「4コマ」「高校生」「群像劇」など、いろんなキーワードが思い浮かぶかと思います。
これがその漫画の「看板メニュー」になります。
「看板メニュー」に「ケーキ」と書いてあったら、そこには「ケーキ」を食べたい人が集まりますよね。
それと一緒で、「ラブコメ」には「ラブコメ」を求める読者が集まるんです。
では「ケーキ」を食べたい人が「ケーキ」に何を求めてるかといえば、いろいろありますけど「甘さ」は必須じゃないですか。
では「ラブコメ」を求める読者が何を求めてるかといえば、とりあえず「胸キュン」は必須ですよね。
「4コマ」なら「手軽な読みやすさ」
「高校生」なら「若々しさ」
「群像劇」なら「いろんなバリエーション」
看板メニューから、客に何を提供すればいいかの方向性が見えてきます。
こんなふうに、「この看板を見て集まった人は何を食べたいのか」であれば、ある程度簡単に考えられるんです。
世の中の人が何を求めてるかを捉えるのは難しいですが、自分の読者が自分の漫画に求めてるものなら、「看板メニュー」を立てた時点でほとんど自動的に決まります。
次に「メニューの増やしすぎ」を防ぎます。
主力メニューはあくまで「ラブコメ」なので、それの足を引っ張るものは置かないようにします。
ケーキ屋さんでカレーの匂いがしてたら嫌じゃないですか。それと一緒です。
この考え方なら、自分のやりたいことと、読者の求めてるものは、そんなに遠くならないはずです。
遠くにいる不特定多数の客ではなく、まず自分の店に来た客の満足度100%を目指すことが大事です。
……いかがでしょうか。
「自分の読者にだけ向けて描いていいのか……」と思うかもしれませんが、自分の読者が満足してくれれば他の人にも拡散してくれます。
世の中でタピオカが流行ってるからって、タピオカケーキなんて出す必要はありません。
ケーキ屋に求められてるのは、めちゃめちゃおいしいケーキです。
腕に自信があるなら、めちゃめちゃおいしいタピオカケーキも出せばいいかもしれませんが、中途半端になるならやめときましょう。
僕はいつもこういう考え方をするので、読者の求めているものについて悩むことがあまりありません。
最近では「幸せカナコ」でどの程度シリアスな話をやってもいいか悩むくらいです。
みなさん毒リンゴを食べたいお客さんだと思うので、これからもおいしい毒リンゴを作り続けます。
※追伸
僕の場合、企画を思いついたら、まずそれを妻に話します。
ざっくり説明した後「どういうものを想像したか」を訊きます。
そうして返ってきたイメージを聞きながら、どこが一致していて、どこが一致しないかを確かめます。
最近は「魔法少女ずっとピンチ」っていうネタを思いついたので、妻にそのネタを説明したら「萌え漫画」「ずっと『ふええ……!!』とか言ってそう」というイメージが返ってきました。
「萌え漫画」であることは僕の想定と完全に一致でしたが、「ふええ……!!」については僕の想定していた主人公像とは違っていました。
一致していた部分については、さらに「どういうことを期待するか」などの詳細を掘ってみたり、一致しなかった部分については「それが期待したものなのか」を確認したりします。
そして実際に描いたら、今度は「最初にイメージしたものとどの程度違いがあるか」「予想と期待はどう変わったか」を確かめます。
「ぱちん子」の時は、企画の段階では妻が全然興味を持ってくれなかったので、実際描いて見せて「意外と面白い」と言われた時は嬉しかったです。
こうやって自分の描こうとしてる漫画の方向性を、いつも企画の段階から整えてます。