カルボナーラが好きだ。
僕は。
カルボナーラが好きだ。
どうして、カルボナーラはあんなにもおいしいのだろうか。
チーズだから。
バカを言え。僕はチーズが嫌いだ。
ベーコンなどの具がおいしいから。
寝言を言うな。ベーコンなどない素のカルボナーラも十分うまい。
ブラックペッパーがきいてるから。
半分くらいはそれかもしれない。カルボナーラはチーズと黒コショウだからうまいのだ。
だが、何か根本的なところがある気がする。
フィットチーネ。
これだ。
俺の頭の中で、カチっとピースがはまる音がした。
カルボナーラの美味しさとは、フィットチーネだったのだ。
何を、言っている?
さっき言ったばっかりだろ、「カルボナーラはチーズと黒コショウだからうまいのだ」と。
麺がそれほどに主導権を握るものなのだろうか?
フィットチーネじゃないカルボナーラだってある。食ったこともある。
もう一度考え直すべきだ、と、少し思った。
でも、フィットチーネはおいしい。
それはそうである。
あの平たい、どん兵衛のうどんみたいな麺だと、カルボナーラが通常よりおいしい気がする。
ならば、どんなパスタでもフィットチーネにすればおいしくなるのではないか?
してみよう。フィットチーネで、カルボナーラ以外を食べてみよう。
カルボナーラ以外で僕が好きなパスタというと、ミートソースしかない。
僕は、その2つしかパスタを喰わないのだ。
僕はミートソースとフィットチーネを買ってきて、さっそくゆでてその日の昼食にした。
その日はちょうどAmazonから、予約していた「劇場版 仮面ライダージオウ OverQuartzer」のBlu-rayが届いていたので、フィットチーネミートソースを食べながら見ることにした。
・Blu-rayの写真は撮ったが、パスタの写真は一切撮らなかった
素のフィットチーネを盛りに盛って、テーブルにつく。すでにBlu-rayはプレイヤーにセット済みで、テレビにはメニューが表示されている。あとは麺にソースをかければ、食事と映画鑑賞のはじまりだ。
僕は、期待をこめてフィットチーネにソースをかけた。
僕は食べる前にはパスタを混ぜる派だ。そうすることによって、ソースが麺に均等に絡み合い、統一されたおいしさを保てるからだ。
フィットチーネとミートソースを混ぜる。
混ぜる。
混ぜ、
……………
混ざらん。全く混ざらん。
いつも食ってる素の麺と同じくらいフィットチーネを盛ったのが誤算だった。
面積が広い分いつもより量が多く、想定していた分のソースじゃ全然足りなかったのだ。
これでは、ミートソースを味わうことはできない。
僕は、最寄りのコンビニに走ってソースを買い、レンチンして継ぎ足した。
皿から溢れそうになるソースをなんとか土俵際で保ちながら、繊細に麺と絡めていく。
ようやく混ざった。
念願のフィットチーネミートソースが、完成した瞬間だった。
PLAY MOVIE。
僕はフォークを手に取り、全く巻けない皿でなんとか麺を巻いた。
いただきますと同時に、上映開始だ。
ゼーローワン!ゼーローワン!
「祝え!旧時代の歴史を塗り替え、新時代の幕を開ける令和の象徴!その名も“仮面ライダーゼロワン”! まさに生誕の瞬間である!」
こんなもんか。
映画とは裏腹に、フィットチーネミートソースの味は至極普通だった。
フィットチーネで、ミートソース。
ただそれだけだった。
全く感想が出てこないほど普通で、まずくもなく、かといってすごくおいしくもなく。
別々の食材が、ただそれぞれうまいだけ。
シナジーというシナジーが、
イマジネーションというイマジネーションが、
一斉に枯れはて、無になるような。
そんな何もない味だった。
気が付けば、皿には麺は残っていなかった。
食べている間の記憶は、映画しかない。
ひょうきんな織田信長が、外国人とイチャコラしている。
その記憶しかなかった。
フィットチーネミートソースとは、なんだったのか。
次にフィットチーネを食うことがあったら、カルボナーラにしよう。
そう思いながら、映画を見進めていった。
そんな、12時過ぎの出来事。
こんにちは。好きなパスタはミートソース、嫌いな野菜はトマト。kaLです。
おいしいカルボナーラソースを教えてください。市販でもレシピでも。それでは。