お世話になっております。若林です。
ちょっと前まで、高校生達の甘酸っぱい青春を描いていたのに、最近は殺し屋漫画やパチンコ漫画なんかを描いているので、元々のファンからは心配されたり、知らない人からは人間性を疑われたりすることがあります。
別に僕も、人から嫌われたいわけではないですし、あえて人の神経を逆なでするものを描こうとしてるわけでもありません。
基本的に「思いついたなら描きべき」だと思っているので、描いてるだけです。
(その思いついたものが、どうしても社会的に問題のあるような内容の場合は、もう世には出さず内々で回して読んで、僕が死んだ後にでも発掘されてくれって思ってます。)
「幸せカナコ」は、レビューとか見てても賛否が分かれます。
好きな人はすごい好きって言ってくれるし、嫌いな人からはすごい嫌われます。
もちろんそうなることは最初からわかってましたし、なんなら嫌いな人達の意見にも共感します。
こんなに命を軽んじたり、面白半分に断罪するなんて、普通に悪趣味ですよね。
SNSでよく見るネットリンチを具現化したような漫画だとも思いますし、実際殺される人のネタはそういうところから拾っています。
じゃあわかってて何で描くのか。
「好きな人は好きだから」です。
もしかしたらそれは普段からネットリンチをしてる人達かもしれません。
でも僕の予想では、たぶんこの漫画に一番共感するのは、そういうこともできずに我慢してる人達なのではと。
そういうことが下品でどうしようもないということをわかってるけど、怒りのやり場が無い人達……じゃないかなって個人的には思ってます。
(もちろんネットリンチが趣味の人も読んで下さい。)
誰だって「あいつを殺したい」という気持ちはあると思うんです。でもそれをどこにも吐き出せない。
だからそういう気持ちをせめてフィクションの中で吐き出しせるようにと、描いてるんですね。
今までの名作では、殺す相手がほとんど巨悪や極悪人ですけど、「幸せカナコ」ではほんとにどこにでもいる小悪党、なんなら誰でもです。
中には僕自身も入ってます。2巻の最初で遅れた納期の電話してる奴いるじゃないですか。あれは当時原稿を遅らせて迷惑かけてた僕がモデルです。
あとはしょっちゅう出てくるパワハラ上司。僕もパワハラの素質があるので、自戒を込めて描いてます。
そういうのに情けもかけず、殺した後の酒が上手いとか言ってるんだから、そりゃ悪趣味だよねと。
でも、それでも。
ムカつく奴はいます。
殺したい奴、いっぱいいます。
そいつにも事情があることはわかってます。
もしかしたら今日、たまたま機嫌が悪くて、言動が粗雑になってしまっただけかもしれない。
今まで誰にも優しくされなかったせいで、あんなことしちゃったのかもしれない。
一歩間違えたら、それは自分だったかもしれない。
お互い様なのかもしれない。
だからって、許せっていうのかと。
ふざけんな。
わかった許してやる。
ふざけんな。
でも許してやる。
でも、それでも。
お前は俺の中で殺す。
てめえら全員ぶっ殺してやる……!!
……みたいな情念で描いてるんですよね。
なんでしょうね。
僕も途中までがんばって言葉で説明しようと思ったんですけど、なんかもう気持ちの原石みたいになりました。
別に漫画は、道徳の教科書じゃないですし。
芸術作品である必要も無いですし。
誰かの暇つぶしになる娯楽作品であればいいですし。
今後も自由に描こうと思ってます。
※追伸
僕は自分のこと、すっごいピュアっピュアな人間だと思ってます。
だから高校生達の甘酸っぱい恋愛だって描いたりするんでしょう。
ただ僕の「ピュア」とか「純粋さ」とかって、清く正しく美しいことではないのだろうなと。
「徒然チルドレン」も、悪意の視点で、高校生達の恋愛をバカにしながら観れる視点があるから、あんなふうに描けたんだと思います。
善意も悪意も表裏一体で共存してるので、そういう作風になるんだろうなって、最近は思ってます。
s_ero3
2020-01-28 23:09:24 +0000 UTC