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【コラム】人に教えられることの限界

お世話になっております。若林です。


僕はこれまで、身近な新人に漫画の描き方を教えたり、コラムでその内容について書き連ねてきました。

その結果、自分の考えを整理できたり、新たな気付きを得ることができて、いい経験だったなと思います。


じゃあ教えられてる新人のほうにも何かいい変化が現れているかというと、どうかなと。


僕が見てる新人は、細かく教えてるのが一人で、たまに求められたら応じる程度の人が1~2人です。

特にこの、細かく教えてる新人については、賢くて素直なので、成長が早いです。

僕が教えるようになって1年半くらいですが、わかりにくい教えをよく理解して吸収してくれてます。


僕の当初の予想では、1年でプロになれるレベルになるのではと見ていました。

実際に、Twitterでバズったり、編集者から声をかけられたり、期待できる要素はいろいろありました。

でも1年経って見えてきた課題なんかもあって、もう少し時間がかかりそうです。


でもここに来て、人に教えらえられることの限界が見えて来ました。


知識を教えるのは簡単です。

漫画については、難しい知識ってそんなに無いので、ここで苦労する人はあんまりいないと思います。


技術を教えるのは少し難しいです。

特に作話の技術は、抽象的な理解を求められるので、人に教えるのはそもそも難しいんだと思います。

それでも、一つの型に絞って、時間をかけて丁寧に教えていると、その通りできてくるものです。


でも、本人の描きたいものや描けるものは、他人からは教えられません。


もちろん、何かしらヒントを提案することはできますし、他人から見てて気付けることもあります。

でも、本人がそれに「確信」を得られるかどうかは、本人次第なんです。

この「確信」に比べれば、他人から教わることのできる知識や技術なんて、本当に些末なものです。


正直、最初からわかってたことではありました。

それでも「自分ならその確信を得る作業を手伝えるのでは……」と思ったのですが、傲慢でしたね。


僕の漫画の作りは、キャラの何をどう見せたいかが自覚できてないと、機能しない作りになってます。

なのでまず型から覚えれば、キャラの何をどう見せたいかが逆説的に自覚できると考えたんですね。


でも、そのキャラをちゃんと想像できてないうちは、何をどう見せたいとか、そういう問題ですらないんです。

しかもこの「ちゃんと想像できてる」も、僕と他人とではそれぞれ違いますし。


「キャラ」そのものは教えることができません。

キャラは自分の中から作らないといけませんし、作れるようにならないといけません。

その作り方なら教えられるようにも思いますけど、作ったキャラに「確信」を持てるかどうかはまた別です。


人に教えてる中で、とにかくこれが「壁」だと感じるようになりました。


ちなみに僕は師匠のヒロユキ先生から、いまだに「君のキャラには欲望を感じない」とか言われます。

価値観の差のような気もしますが、言われてることも、それが重要なのも、なんとなくわかります。

結局、僕もまだまだ未熟なんだなあって思う今日この頃です。


※追伸

ヒロユキ先生のキャラには欲望を感じるっちゃ感じますけど、僕から見ると全部上っ面に見えるんですよね。

むしろ本当の恥部を、インスタントな欲望で隠してるようにも見えます。

僕が本人のことをある程度知っていて、そのギャップでそう思うだけなのかもしれませんけどね。


でもこういうことを言ってくれる人がいる環境は、本当にありがたいですし、運がいいです。

人に何かを教えること・教えられることの最大のメリットは、こういう環境作りかもしれませんね。

【コラム】人に教えられることの限界

Comments

俺も俺の漫画に同じように思うことはあるよ!(笑

漫画は描けないので読むだけの人間なのですが、キャラに感じる欲望と言うのがよくわからないです。それは例えばキャラが持つ内面のギラギラした何か、なのでしょうか。ごめんなさい。先生の言われていることを批判するつもりではありません。 気を悪くされるかもしれませんが幸せカナコはライトな絵柄で楽しく読むことができます。だから好きです。居場所のなくなった人生をヘビーな雰囲気で読む、というのは50を過ぎたおっさんにはしんどいのです。日常のちょっとした気づきをライトに包んで読ませていただき、いつもありがとうございます。 教える壁というか限界は当然あると思います。的外れな例えかもしれませんが、国語の勉強は教えられても読解力は教えられないのと同じではないかと。 でもコラムにいつも書いてくださっている論はいつも勉強になっています。 とりとめのないコメントを偉そうに申し訳ありませんでした。 これからもよろしくお願いします。


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