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ハイパー掃き溜めマガジン#8「かまぼこを追い求めよう」

12月29日、17時04分。

俺は唐突にこう思った。



「かまぼこが食べたい」



かまぼこが食べたい。

唐突に浮かんだその言葉を、頭で反復させればさせるほどかまぼこが食いたくなってくる。

かまぼこ。白身魚。俺ってビッグカツ好きなんだよね。うどんに入ってるかまぼこって美味いよな。



買いに行こう。かまぼこを。

いま食べよう。かまぼこを。



そうと決まれば善は急げだ。さっそく出かけよう。

しかし。

時刻は17時15分。

俺は1時間くらい前におやつを食べた。神羅万象チョコを。2つも。

もう1時間もすれば夜ご飯の時間だろう。

そんな間のタイミングで間食をしてもいいのだろうか。

不健康じゃないだろうか?


5分ほどその思いをめぐらせ、「たまに飲みもん飲んだりしてるのと変わんねえべ」と結論を出した俺は、擦れるとシャリシャリ言うタイプのコートを羽織り、無理矢理ウエストポーチ状にしたボディバッグをもって外へ出かけた。その時来ていた白いシャツが、実は肌着だったということはその時は知る由もなかった。


ピュウとふく風は太陽が落ちかけた夕方であるせいかとても冷たく、俺の生身の部分を瞬く間に氷のように冷たくしていく。俺はコートのポケットに手をつっこみ、「ズボンの方に手を入れた方がかっこいいかな?」などと思ってすぐにズボンのポケットに手を入れなおし歩き始めた。



コンビニに到着した。移動時間は1分もかからなかった。

まばゆく輝く店のロゴと、店の前でタバコを吹かすオッサンが俺の来店を迎えてくれる。

ズボンに手をつっこんだまま店内に入り、チルドコーナーへ足早に向かう。

おにぎりや弁当を横目に、俺はチルドコーナーにたどり着き棚を注意深く眺め始めた。



ない。


かまぼこが、ない。



確かにここのコンビニではかまぼこを買ったことなど一度もない。

確証がないまま訪れたのが悪いのだが、まさかかまぼこというポピュラーな練り物ひとつないとは思わなかった。ちくわはあるくせに。ちくわは2,3個バリエーションまであるくせに。それだったら一つくらいかまぼこに分けてやれよ。ほらかまぼこ泣いちゃったじゃん。あ~あ~!ちょっと男子~!謝んなさいよ~!


「あら、こんにちは」


はっと我に返ると、コンビニの店長さんがいた。

ここのコンビニには家とそこそこ近く、しょっちゅう行くので店員さんに顔が割れているのだ。


「こんにちャス」


軽い挨拶をして店長が視界からいなくなるのを確認すると、俺はそそくさと退店する。


かまぼこだ。

今はかまぼこのことだけを考えるのだ。


俺は思考をめぐらせた。

ここのコンビニからしばらく歩いたところに、スーパーがあったはずだ。


俺は走り出した。はやくかまぼこが食いたい。その一心で。



めっちゃ息切れた。

思えば、最近運動らしい運動を全くしていなかった。


元々運動が苦手で、体育の成績も3を超えたことはなかった俺は、いつの時代も持久走で息がカッスカスになっていたのだった。

それが最近ではさらに運動をしなかった結果、メチャクチャ息が切れるまでのスパンが短くなってしまったのだ。

カスッカスになりながら深呼吸を繰り返し歩くハメになった俺は、早歩きくらいで行けばよかったなと少しだけ後悔した。残りの思考はすべてかまぼこと夜ご飯ができる時間についてだった。


カスッカスも回復するころ、スーパーに到着した。

そして店の前で時間を確認しようとしたときに、初めてスマホを忘れて出て行ったことに気が付いた。


スーパーもしょっちゅう行くので陳列棚の配置はすべて覚えている。

俺はすばやくかまぼこを手に取り、会計を済ませた。

ちょうどを支払って気持ちよく帰りたかったが、2円足りなくて結局500円玉をくずすハメになってしまった。


スーパーから出ると、また冷たい風が俺の頭を通り過ぎ、今の季節が冬であることを再認識させてくれる。

俺は日も8割がた落ちて藍色になった世界を見ながら、歩いて帰ろうとした。



そういや近くに100均あったよな。


ふと、俺の頭にこんな考えがよぎった。

最近おもちゃを買いまくって、収納する棚がなくなってしまっていたのだ。

だから、買い足そうとは思っていた。


しかし、今か?

今買いに行くのか?

コンビニに行くって言って出かけて、もう何十分か経っているのに?


何十分も経ってるなら、もう十分くらい足してもええわい。

俺は、100均に向かい、アクリルの棚を一つ買った。


今度こそ家に帰ろうと、100均を出た俺は前を見て歩き始めた。

ふと、学生時代の思い出がよみがえった。


100均と家の間の道は、昔の通学路だったのだ。


「あんなことあったなあ」「こんなことしたなあ」「アイツは元気かなあ」「将来について作文書いたなあ」


「俺は今何をしてるんだろうなあ」



将来が、不安になった。


俺は将来、どうなるんだ?

マンガ家になる!なんていう小学生のころの夢は、幻想にすぎない。

別にマンガ家じゃなくたって、みんなに認められて、人気になれるものならなんだってよかった。

でも俺は、そのどれにもなれそうにない。

みんなは、どうだろうか。

あの頃の友人は、今の俺を見て笑うだろうか。


目頭が、少しだけ熱くなった気がした。




家に着いた。

将来の不安のせいで、かまぼこへの興味が薄れていた。

しかし、やっとの思いで手に入れたかまぼこだ。

俺は一本のかまぼこを薄く切り、食べた。




こんなもんか。


あれだけ強く追い求めていたかまぼこは、想像より何倍も「魚のすり身」の味がした。

そもそもかまぼこをあまり食わない俺が「かまぼこを食べたい」と思った時に頭に浮かべたのが、ビッグカツとうどんだったのが間違いだった。俺はその思い出の中のハーモニーを期待して、かまぼこの本質を見ていなかったのだ。


俺が追い求めていた味は、かまぼこじゃなく、ビッグカツだった。

俺は、今度のおやつはビッグカツにしようと思い、残ったかまぼこを味など気にもせずすべて喰らい尽くした。














こんにちは、ポッキーは極細のやつしか食べません。kaLです。

かまぼこのおいしい調理法、または食べ方を教えてください。それでは。

ハイパー掃き溜めマガジン#8「かまぼこを追い求めよう」 ハイパー掃き溜めマガジン#8「かまぼこを追い求めよう」

Comments

変換しなきゃいいのでは

-gaL

自動変換や〜

難しい漢字を使うね

-gaL

蒲鉾!大好き!おせちで蒲鉾ばっか食べる


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