Chapter10
「はいはーい、お待たせしましたぁ!ちょっと準備に手間取りましてぇ・・」
覆面の人物は、カメラにそう語ると、画角を下に向けた。
「こっからは、長時間やるのはどうしても無理なスペシャルコースなので、目に焼き付けるようにご覧くださいねぇ!」
ーカメラの先に居たのは・・
鼻口を完全にテープで塞がれた有栖と、顔を完全にテープで覆われた棗であった。
数刻後・・。
日は沈みかけて、体育倉庫の中に差し込む光量も減っていた。
「う・・」
マットレスの上で、意識を失っていた棗は目を覚ました。身体は自由になっている。
周りを見渡すと、自分の隣で、有栖と仁紫子が眠っていた。
今までの時間は一体・・?急に悪夢が覚めたかのように、棗はしばし呆然とした。
そしてふと、自分たちの前に、一枚の手紙と封筒が置かれているのに気付いた。
手に取るや否や、思い切り眉をひそめつつ、その文言を眺める。そこには謝罪なのか御礼なのか、なんとも判断のつかない文章があった。
「皆のおかげで、一財産気付くことができました。それについては、本当に感謝いたします。ただ、結果私が警察に捕まれば、どのみち人生は終わりです。ここいらは一つ交渉といきましょう。謝礼として、封筒にいくらか包んでおります。それを出演料としてお納めください。ただそれでも通報するというのなら、こちらももう捨て身でいきます。皆さんの恥ずかしいあの姿、きちんと保存してあるのですよ。もし私に捜査の手が近づいてるなと悟ったら、即座に身元を明かしてアップしてやります。もちろん私が一方的に優越しているのは承知ですが、結果お互いにトクしているようなものなので、それで終わりといたしましょう。」
ー完?