ー独り涙を流しつつ、彼女は自分の身に起きた出来事を思い返していた。
飲み会の帰り、酔い覚ましにと徒歩で家路についたのが運の尽き。いきなり背後から襲われ、車に引きずり込まれ・・・。
気が付くと、家具も何もない一室に転がされていた。手首と足首だけが、何かで拘束されている。
しばらく不自由な手足を振り回していると、その拘束を解くことができた。しかし、それもつかの間。自由になったと分かった瞬間、背後から何かに押し倒され、今度はさっきより厳しく拘束されたのだ。
自分を拘束していたのはテープだった。それが手首足首に加え、胸の上下と膝の上下、そして口に巻き付けられている。
ーしかし、ここで諦めるわけにはいかない。数十分もがき続け、彼女は再び、テープを引きちぎり、脱出を果たすのであった。
・・・それを待っていたかのように、三度魔の手が襲う。今度は先ほどの拘束に加え、ホグタイの体勢に縛り上げられてしまったのだ。猿轡の下からくぐもった声を漏らしながら、全力でそれに抗った。
そして・・・長時間の戦いの果て、彼女はまたしても拘束に打ち克ったのであった。
では、今はどういう状態か?これまでとは比べ物にならない程巻き付けられたテープ。床に完全に固定された身体。徹底的に封じられた口。
彼女は既に悟っている。”私を攫った人間は、私が逃げ出すのを待っている・・次の拘束の準備を整えた上で・・。”
ー諦めればそこで全てが終わる。しかし、今以上に抵抗しても・・・。
絶望の二択。独り彼女は、どちらに転んでも救いのない答えを出すべく、思案に暮れるのであった。
ー完