XaiJu
Yanaponte
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【ショートストーリー】現実風の虚構3 ―お互いを濃く感じる時間―

『全く、面倒かけやがる・・・』

特異な状態でうごめく銀色の塊をモニター越しに見つつ、男はそう呟いた。


事の発端は、約1か月前に遡る。

彼も所属する大学の陸上部において、部員同士のケンカが発生したのだ。

何が癇に障ったのか、突如として練習中に罵詈雑言の飛ばし合い。以来会ってもお互いに無視という状態であり、部全体のムードに悪影響をもたらしていた。


彼が講じた策は、罰則と和解を同時に兼ねるというものである。ー彼自身の癖を満たすという狙いもあるが・・・。


練習後、まずは片割れの部員を呼び出し、薬で眠らせ拘束した。もう一人のメガネが特徴の部員も同様に捕獲。銀のテープで全身を拘束し、部室のマットに横たえた。


カメラを目立たない位置に置き、両方目覚めるまで待つ。流石にこの異常な場面では、二人とも無視もケンカもしなかった。


『ちょ・・これ、どうなってんのよ!?』と、茶髪の女、理佳が声を上げた。

『わ・・わかんないわよ!!』と、眼鏡の女、史子も混乱している。


そこを見計らって、男は覆面で顔を隠し、倉庫へと向かう。手には理佳のシューズと、史子の靴下を持ってー。


不自由な身体でもがく二人の顔面に、彼はそれらを押し当てた。ずり落ちることの無いよう、しっかりとテープで補強して。


理佳の顔には史子のそれを。史子の顔には理佳のそれを。二人ともそれが何なのかすぐに察したらしい。思い切り顔をしかめつつ、必死でもがき始めた。



『流石にここまでやりゃ、ちったぁ懲りるだろ』


男は別室でその様子を見ながら、そう独り言ちた。モニタの横には、予め買っておいたチューハイと簡単なツマミが置いてある。


『お前らのケンカで部員全員が迷惑被ってんだ。罰として、あと仲直りのため、3時間くらいは放置しておくか』


そういうと、彼はチューハイの蓋をカシャリと、小気味よく開けた。そしてモニターの向こうで暴れる二人を見ながら、ぐいと一口、飲み干した。


『・・いいねぇ』


そう呟いた男の顔は、不気味に口角が上がっていたことを、見たものは誰もいない。


ー完


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