『えーと、あ、この部屋ね』 独り言をつぶやきながら、私はナビが示す場所に到着した。 白い壁とレンガで出来た、洋風のおしゃれなテラスハウス。 ここに来た理由を考えると、なかなか不釣り合いな組み合わせだこと。 細身のブルージーンズにカーキのパンプス。 半袖のドレスシャツの上に、5分袖のグレーパーカーを合わせる。 そして、目から下はマスクで隠している。 それが今日の私の出で立ちだ。 また、奇妙なことなのだが・・。 実はこの下に、競泳水着を着込んでいる。これは、指定された"オプション"なのだが。 私の仕事着は、普段色気を出さないように気を付けている。 誰から見ても目的を悟られないように―。 そう、男性の部屋に派遣されて・・という仕事をしに来たと、誰にもバレないように。 チャイムを鳴らすと、カーキのチノパンに水色のシャツという身なりのいい男が迎えてくれた。 『本当に"そういう目的"で呼んだの?』と不思議になるくらい、清潔感のある服装だ。 あまりにも丁重な歓迎に、普段なら絶対しないことを、今日の私はしてしまった。 それは、出された飲み物に口をつけること。危険だと店からも止められていたし、私も気を付けていたのに・・。 おもてなしに出された黒のコーヒー。それを飲んでから・・・・ ・・どれくらい時間が経ったかは分からない。気づけば私は・・ 全身を何かでぐるぐる巻きにされていた。おまけに何故か服は脱がされ、競泳水着姿だ。 しかも、覚えのない靴下を履いている。 併せてて身体をよじると、自分の手がダンゴみたいに固められているのが見えた。 『どういうこと・・?』あまりの焦りに、頬を汗が伝う。 いや、そもそも・・!この部屋の気温も、湿度も、異常に高くなっている。 ガンガンに作動する加湿器やエアコンが見える。冷静に意識を向けると、もう全身汗だくだ。 一体、何が、どうなって・・!声を上げようとした瞬間、部屋の扉が開く。 そして男が入ってくる。 『俺のしたいことって、お店でお願いしてもぜぇったいに拒否られるんだよね。 だからこうして来てもらって、ちょいと無理やりにお願いしようとしてるワケ。』 何が言いたいのかまるでわからない。男は私に近付くと・・。 乱暴に私の足首を取り、靴下を引っ張って脱がせた。 汗で湿っているのが分かり、恥ずかしさから赤面する私。 『あぁ、良い感じになってるねぇ』と男は気色の悪い微笑を浮かべる。 一体それを、どうする気?まさか、か・・・。 そんな不快なことを考えていると、男は私の後ろに回り込んだ。 そして、さらなる蛮行に、ソイツは及ぶのであった―。 ―続く