何者かに攫われた私は― 身体を縛り上げられた状態で、人気のないところに閉じ込められていた。 古ぼけたコンテナ、ひび割れて一部が剥がれた壁。 床はホコリが積もっていて、長年ここに誰も来ていないことが分かる。 扉の取っ手には鎖が巻いてあるのが見える。また、窓らしきものも見当たらない。 私をこんなにしたヤツが置いたのか、ランタン型の懐中電灯だけが、私を、室内を、照らしている。 つまり、抵抗しても恐らく無駄なのだろう。私は鼻からため息をついた。 だけど・・一番の問題は・・ この倉庫のとてつもない気温の高さだ。 湿気も高く、また換気もないことから、全身から汗が噴き出してくるのがわかる。 ・・・もともと、自分の汗かきな体質はコンプレックスである。 パステルカラーの服は汗染みが気になって着られないし、コンクリートの上に座るのもなんか嫌である。 誰か助けに来てくれるのかということより、今見た目的にものすごく恥ずかしいことになっていないか? そちらの方が気になって仕方ない。恥ずかしさからまた汗が噴き出てくる。 この汗でテープが剥がれないかと期待したけど、防水加工なのか、全く取れる気配がない。 焦りと恥ずかしさだけが募る。自由の利かない中、独りコンプレックスと向き合う。 『(この辱め・・いつになったら終わるの!?)』 気付けば誰かに拉致されたという事実より、そちらの方が気になっている私であった。 ―完