『びっくりしたわ・・。君って筋金入りのSなのね・・。』 拘束を解きながら、玲佳が言った。あれから1時間、僕らは呼吸制限プレイを満喫した。 まぁ、楽しんでいたのは僕だけかもしれないけど。 『苦しかったけど・・。嫌いじゃない、かなっ!』 そういうと、身体にいくつかテープを巻きつけたまま、 彼女は思い切り背伸びをした。 腋のところに大きな汗染みができていた。僕はちょっと顔を反らした。 『これでお互い隠し事は0だよね。むしろこれ以上ないほど、相性も良いって分かったし・・。』 そこまで言うと、拘束を解いた彼女は僕に近づいてきた。汗の甘い香りがする。 僕より10㎝くらい身長が低い玲佳。少し見上げる角度で、僕の目を見ながら彼女は言った。 『付き合おうよって言うつもりだったけど、もういっそ・・・。け、結婚してくれませんか?』 『えぁ?』 間抜けな声を僕は上げた。突拍子が無さ過ぎて、何の感情も湧かなかった。 時計のカチコチという音、エアコンの音、何故かそれらがハッキリと聞こえてくる。 眼前では、両手を祈りのポーズにして、競泳水着の彼女が僕を見ている。 その目は潤んでいた。 『は・・はぁ・・』僕は苦笑し、後頭部を掻いた。 『まぁ、嫌じゃない・・ですね。むしろお願いしたいです。こちらこそ、よろしくお願いします。』 喋りながら、僕は決意が固まっていくのを感じた。 不思議な出会いと相性だけど、一緒にいて楽しいのは間違いなさそうだ。そう思ったから。 玲佳の目が一層潤んだ。やがて眼から涙がこぼれ、彼女は鼻を鳴らした。 彼女が僕に飛び込んでくる。 僕はさっきの拘束の何倍も強く、彼女を抱きしめた。 『これからも・・"色々"よろしくです。』 泣きじゃくる彼女に聞こえたかは分からないが、僕はそう呟いた。 ―完