8月18日
「……国の首都だってのに、ちっせえなあ……」
育人は眼下の街を見下ろした。この国の首都はいうなればこの国で最も栄えている街。高層ビルが乱立し、世界有数の高さの電波塔もある。だがそれでも、それらすべてが育人の胸元にも及ばない。育人の身長は、ついに1000m、1kmを突破していた。山ですら低めのものなら凌いでしまう大きさだ。
「足の踏み場もねえ……」
と言いながらも、育人はビル街に足を踏み入れる。身長1kmを超える育人の足は、なんと長さ130m、幅50m近くもある。もはやそれはビルどころか街の一区画を超える大きさだ。6車線の道路すら育人にとっては平均台のように細く、巨大な足が踏み下ろされると、何十棟ものビルが育人の足の裏に触れて一瞬で砕け、地面にうずまるように潰れていく。天文学的な質量で地面ごと圧縮され、着地の余波で周りの車やビルが吹き飛んでいく。そうして育人が足を上げた後には大きくて深い足跡ができた。これが育人のたった一歩で起きるのだ。
そうしてしばらく下を見ながら街中を歩いて蹂躙していた育人だが、不意に足を止める。
(……つまんねーな……)
もうこんな破壊活動も三日目。身体が倍々に大きくなるため、サイズ感の違いによる新鮮さはあるものの、ほぼ破壊一辺倒の状況に育人は少し飽きが来ていた。もう人類は抵抗をあきらめたのか、首都だというのにミサイルの一つも飛んでこない。しゃがみ込んで戯れにビル――100mサイズのビルすら、今の育人にとってはペットボトル程に小さい――を持ち上げようとしてみるが、鉄骨とコンクリで作られたビルは育人の手に握りしめられた瞬間、まるで砂でできているかのように崩れ落ちてしまった。脆すぎ、と、育人はため息をつく。もちろんそれだけでも何百何千人という人間がビルと一緒に握り潰され空に放り出され、はたまた瓦礫で押しつぶされ死んでいるのだが、もう育人にとって虫より小さいサイズのそれらはろくに識別すらできない。
「……っと」
育人はその場に座り込んで脚を投げ出した。それだけで尻の着地点にあったビル――というか「街区」は、育人の天文学的体重に地下施設ごとまとめて押しつぶされ消滅する。かろうじて踏み潰されなかったビルたちも、育人の尻の着地の衝撃波で人間もろとも吹き飛ばされなぎ倒されていく。震度7どころかあちらこちらで地割れが起きるほどの揺れが首都を襲った。
「……へえ」
腰を下ろして見た視界に、育人は少しだけ胸がすく。自分の脚の間に、地図のような縮尺の街がおさまっている。股下500m近い育人が60度近くに脚を開けば、そこに収まる街の面積は10万平方メートルを超える。ドーム球場がすっぽり入ってまだ余りある広さ。育人の脚の壁は足先に近いところでも50mを超え、雑居ビルなどはその頂上すら拝むことすらできない。筋肉の塊である太腿はもはや比べられるものなどない太さを誇り、高さだけでも100m近い。太腿近くに建っていた高層ビルが何とかその高さと並んでいるが、育人の太腿が触れれば一瞬で折れてしまいそうなほど細く頼りなさげだった。
ビルを数棟押しつぶして後ろ手をつきながら、脚の間を眺める育人。ふと股間のあたりを見る。育人のチンコは弛緩していたが、それでもその長大な幹をだらんと地面に横たえていた。とはいえ身長1kmを超える育人のチンコは勃起してなくても長さは100m、太さは25mほどもある。幹線道路の車や雑居ビルを押しつぶしながら、その太さだけでその辺のビルの高さを超える怪物のような大蛇。血管がのたうち、土埃舞う周囲にむわりとした熱気と臭気を振りまいている。近くにいた人間たちは逃げようと右往左往しているもののそこは育人の脚の檻の最も奥。抜け出すどころか、そこが育人の股座だとすら気づかぬものがほとんどだった。
(……)
育人は自らの亀頭を見つめる。それだけでガスタンクのようにでかい亀頭はビル一棟を押しつぶしていた。その先にあった比較的新しめのビルは育人の亀頭と同じぐらいの高さだった。ビルに取り残されている人間たちは、脈動に合わせてぱくぱくと口を開かせる鈴口を窓越しに見つめているのだろうか。そう思った瞬間、ずぐっと育人の股間に血が集まる。
「……あっ……」
育人の竿がむくりと膨張して、亀頭がずごっとじめんをえぐりながら、目の前の、奇跡的に難を逃れたはずのビルに激突した。高さは同じだがそもそもの質量が違う。ビルはあっけなく砕け、折れ、そのまま亀頭に押しつぶされた。育人のチンコが半分どころか一割にも満たないほんの少し、勃っただけで。
「……ははっ」
チンコがほんの少し動いただけで、ビル一棟が押しつぶされる。中にいた人間も漏れなく死んだだろう。瓦礫とチンコの下敷きになって。チンコは成長するように膨らみ、うごうごと転がりながら動いて周りのビルを車を人間を押しつぶしていく。そうしてその地鳴りがふっと消える。ビルを何棟束ねても足りない質量の塊が浮く。正確には、育人の股間から勃ち上がった。ゆらゆらと揺れながら街の上に影を作るその肉棒。育人は右足を引いた。ズガガガっと既に育人の脚に押しつぶされた地面が50mほどの深さでえぐられ、瓦礫を周囲にまき散らしていく。ずん、と引き寄せた足を地面に穿ち、育人は再び立ち上がる。
「うぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
育人が咆哮する。声の衝撃波で瓦礫が吹き飛び、周囲半径5km以内の窓ガラスが粉々に砕け、人間の鼓膜は血を噴き出して使い物にならなくなる。育人は力強く自らの男根を握る。
「ちっさいし、脆いし、ほんと弱え……」
がしゅがしゅと竿を扱くと、先端から溢れた我慢汁がぼたぼたと飛び散る。もちろんその雫すらも質量兵器のようなもので、雫は触れた車やビルを容赦なく押しつぶしていく。育人の自慰だけで大地が揺れ、息遣いだけで空気が震える。
「いくぞいくぞいくぞ--っ!!!!!」
次の瞬間、育人の巨砲からドゴン、という音とともに白い砲弾が放たれる。戦艦の主砲すら比べ物にならない、速度、質量。初弾はなんと50㎞先まで届き、着弾した小さな町は衝撃波で丸ごと消し飛んだ。二発目、三発目もはるか遠くの場所に甚大な被害を与え、当然、育人の足元も真っ白に塗り潰される。
「っ……は~~……」
育人がチンコから手を離し、空を見上げて大きく息を吐く。射精の解放感で頭がすっきりする。
「……つまんねえって思ってたけど……」
目をつぶって、先ほどの情景を思い出す。亀頭一つでつぶれたビル。ただ暴れるだけで街を破壊する。だが、ほんの、ほんの少し動いただけでも、人間が見上げるようなビルが押しつぶされるのだ。
「……まだまだ、楽しめそうじゃん……!!」
ichiya
2025-04-01 13:51:01 +0000 UTC曹達(ソーダ)
2025-04-01 11:14:17 +0000 UTC