8月7日
「……いじ、誠二」
「ん……なんだよ……」
身体をゆすられて、誠二は無理やり夢から引き上げられる。ぼやっとした視界はまだ薄暗い。誠二の体感では、まだ起床の時間ではなかった。
「ん~……まだ早くね……?」
「いいから、いいからちょっと起きろ」
声の主は間違いなく育人だった。まだ眠い誠二は壁側に転がって抵抗するが、育人が誠二の腕をつかんで引っ張ってくる。それで仕方なく誠二はベッドから起き上がる。
「んだよもう……寝かせろって……」
寝ぼけ眼をこすりながらベッドから足を下ろし、ベッドの上段に頭をぶつけないように立ち上がる。そして、目の前にいる育人を見て、誠二はかんっぜんに目が覚めた。
「へへ……どうだよ?」
「い……育人、なのか……? お、おまえ、マジかよ……」
立ち上がった誠二がまっすぐ前を向くと、そこには自信満々な笑みをたたえている育人の顔があった。身長204cmの、誠二がまっすぐ前を向いた場所に、である。誠二は反射的に足元を見たが、育人の足は床についている。台に乗っているわけではない。そしてその足も自分と同じぐらいにはデカかった。
「よ~やく誠二に追い付いたぜ?」
追い付いたなんてものではない。元々身長150センチだった時に上級生顔負けの筋肉を身に着けていた育人だ。身長こそほぼ誠二と同じであるが、身体の大きさが段違いであった。がっちりとした筋肉の上に薄く脂肪が乗ったような大胸筋は、発達した広背筋を含めて誠二をはるかに超える厚みを誇っており、太い首を支える肩は、遠投も剛速球も思いのままになりそうなほど丸く盛り上がっている。上腕二頭筋と三頭筋が発達した腕はホームランをいくらでも量産できそうなほど太く、腹筋は脂肪が乗りながらも隠せないほどに隆起している。下半身は野球部らしく、尻も太腿もプロ顔負けなほどにどっしりとでかかった。誠二は驚きで口をパクパクさせる。
「ど、どんだけ、でっかく……てか、なんで裸……」
「でかくなったら破れちまったんだよ……へへ、困るよな……」
育人が右腕を曲げると、黒々とした脇の茂みがむあっと現れ、ゆっくりと力を入れると太い血管が絡みついた二頭筋がぼこっと山のように膨れ上がる。それを見て誠二は圧倒されてしまう。もはや、誠二が育人に勝てる部分はなかった。ほぼ同じになった身長に、圧倒的に差をつけられた体躯。そして、向かい合う二人の中心に垂れさがる、男の象徴も。
「なあ……ココも、比べてみようぜ……」
育人が腰を揺らすと、引っ付いているものがぶるんと大きく揺れ、筋肉がみっしりついた太腿に打ち付けられる。子供の腕と見間違うほどの巨大なチンコ。まだ勃ってないのにもかかわらず、一般的な巨根の勃起サイズを超えていそうな存在感。勝てない、と誠二は直感する。
「や、やめとく……」
「いいじゃねーか、いつも自慢してんだろ?」
及び腰の誠二の肩に育人がずいぶんとでかくなった手を置く。ずしっとした腕の重みに誠二は顔をしかめる。育人がそのまま強引に、しかも前とは比較にならないようなパワーで寝巻の短パンを脱がそうとしてきたため、誠二は「わかった、わかったから!」と押しとどめる。育人はそれを聞くと満足げに誠二から手を放す。
「上も脱げよ」
「なんで……わ、わかったよ」
育人のペースに呑まれながらも誠二は寝巻を脱いで全裸になる。裸のまま向かい合うと体格の差がより顕著になる。誠二だって高校球児としては十分育っているのにもかかわらず、今の育人の前では子供のようにしか見えない。
「んじゃ、比べようぜ……」
と、育人が30cmを軽く超えた足を一歩踏み出す。誠二にとっては残酷なことに、身長はほぼ同じなのに腰の位置は育人の方がずいぶんと高かった。育人はそれを見てニヤッと笑いながら緩く膝を曲げる。そしてぐっと腰を突き出した。
「ぐっ……」
「はは……俺の勝ち、だな」
正直なところ比べるまでもない。両方萎えているにもかかわらず、太さは育人の方が一回り、長さに至っては亀頭1つ分も育人の方がデカかった。育人の体温や体臭まで感じる近さに、誠二は「も、もういいだろ」と育人を押しのけようとするが、逆に育人は一歩踏み出した。ぐにゅり、と育人のチンコが誠二のそれを押しつぶす。
「ぅあっ! お、おい!」
「へへ…………」
誠二が後ずさろうとするもぐあっと腰を極太の腕で掴まれてしまい、誠二は簡単に引き寄せられてしまう。育人のぎっちぎちに詰まった肉棒が一回り小さな誠二のそれをぐりぐりと嬲る。
「おい、やめ、ろ……!」
「ほら、勃たせても比べてみようぜ」
誠二の抵抗を意にも介さず、育人は反対の手でぐりぐりと誠二のブツを擦りだす。元々性欲旺盛な年頃の運動部である。瞬く間に誠二のものは上を向き、ここ最近精力が桁違いの育人のモノも一気に勃ちあがる。それを見て誠二はもう言葉も出なかった。
「うわ~、こんなに違えのか」
(……デカすぎる、だろ……)
勃起した誠二のチンコは20cmを優に超える。500mlペットボトルにひけをとらないサイズだ。だが育人のそれは誠二のモノをはるかに上回るサイズだった。同じペットボトルで例えるなら1.5Lサイズ。もはや人間のものとは思えない大きさに、誠二は驚きよりもむしろそれが実際に使われることを想像してゾッとした。育人がまたぐりぐりと、その鋼鉄のような棍棒を誠二のそれに押し付ける。
「うぐ……」
「やべ……抜きてえ……」
「ばっ、ばか、お前やめろよ!」
流石にそれはまずいと誠二は焦る。最近の育人はどうも精力がハンパないらしく、毎朝裏林で抜いているのを同室の誠二は何となく知っている。しかも今じゃこの体格にこの巨根だ。寮室で出したらどんな大惨事になるか想像もつかない。
「は、はやく裏林で抜いてこい!」
「ああ……あ、でも服が」
「俺の使っていいから!」
誠二は何とか覆いかぶさるような育人の身体から抜け出すと、その辺に干していたTシャツとハーパン、ボクサーパンツを投げ渡す。育人はポリポリ頭を掻きながらそれをキャッチして着始めるが……
「なんかキツイな……」
「……」
身長は同じでも体格が違いすぎる。シャツは袖も胸もパンッパンに張り詰めていつ裂けてもおかしくなさそうだった。ハーパンも太すぎる腿で裾に余裕がないが、何よりその1.5Lペットボトル並みの巨大な肉棒はどうあがいても服の中に納まらない。
「……別に誰にも会わないだろ……そのまま行けよ……」
「おう、あ、あと靴借りるな」
「好きにしていいから……」
そういうと育人はドアを窮屈そうにくぐりながら外に出ていった。ドアが閉まり、誠二はその場に力が抜けたように崩れ落ちる。
「……なんなんだよ、もう……」
***
朝練に現れた誠二並みの身長とそれ以上の体格を持つ男が育人だと知って、部員たちは一様に口をあんぐりとあけた。誠二から借りたという練習着は、上背はともかくガタイが違いすぎてどうにも窮屈そうだった。どっしりとした尻や太腿の部分は筋肉のラインが浮き上がるほどパツパツで、否応なしにその力強さを見せつけている。曰く「ボタンが閉まらなかった」とノースリーブアンダーのみの上半身は伸縮性のある素材ゆえに、その厚く起伏のある胸板やボコボコの腹筋を顕著に浮き上がらせる。覆われていない肩や腕は言わずもがなだ。ニコニコと整列する育人と裏腹に先輩含め他の部員は動揺しまくりだ。流石に変だと休ませようとしたキャプテンは、上から覆いかぶさるようにして”誠心誠意お願い”する育人の圧に口をつぐんでしまう。もうその成長の異様さを指摘できるものはいなかった。
「ちょ、育人強い……!!」
そしてその肉体からくる身体能力も驚異的だった。ただのキャッチボールですら剛速球が飛び、10本ダッシュでは重戦車のようなガタイが誰よりも速く走る。急成長した身体に感覚が追い付いていないのか、投球や打撃の精度は若干悪くなっていたが、それを上回るほどの、無尽蔵の体力。一日中練習に明け暮れたにもかかわらず、育人は部員の中でただ一人だけピンピンしていた。
*
練習後の風呂も育人の独壇場だった。2m以上の背丈にさらに発達した筋肉、その上萎えててもスプレー缶くらいはありそうな長大なブツがぶらぶらしているのを見て普通にしていられるはずがない。数日前まで育人の頭をなでていた部員が今じゃ逆に頭を掴めそうなほど大きな手でなでられる始末。部屋着は誠二の持っている服の中で一番大きいものを借りていたが、それでも、余裕がないのは明らかだった。
「え、俺食堂で寝るんすか?」
風呂を終え食堂に寄った育人はキャプテンにそう告げられた。理由としては育人はもうベッドの上段に収まらないからだ。実は今朝も起きた時、伸ばした足がベッドの枠を蹴り壊しかけていてヒヤっとしたので育人もそれは願ったりかなったりだった。
「そんで、誠二、お前も一緒に寝ろ」
「えっ! 俺もっすか!?」
「同部屋だろーが」
加速度的に成長する育人が明日には上段ベッドをぶち壊して落ちてきて潰れるんじゃないかと不安だった誠二に食堂の話は朗報だったが、自分まで一緒なのは予想外である。だが先輩のいうことには逆らえず、しぶしぶ来客用の布団を引っ張り出してきて食堂の床に広げる。足がはみ出るので誠二は2枚、横幅まで大きくなった育人は3枚だ。
「こうやるとちょっと合宿みたいだよな~」
「あ、ああ。そうだな……」
消灯時間になり、電気を消して育人と誠二は布団に横になる。いつもと違う寝心地に治まりが悪い誠二は天井を見たままぽそっとつぶやく。
「なあ、育人」
「ん?」
「お前……どうしてそんなでかくなったんだよ」
「……ん~……わかんねえな……」
いつもは成長期だ、とかでかわしていた育人だが、誠二の声のトーンから正直なところを告げる。誠二はごろっと横になって育人の方を向く。仰向けになっても厚い身体の起伏は岩山のようにそびえている。
「わかんねえって……怖くないのか?」
「誠二よりでかくなれてすげー嬉しいけど?」
「お前……これ以上でかくなったらどうすんだよ」
そう、育人が2mを越えるまで、たった5日だ。しかも日がたつごとに大きくなるスピードは上がっている。今の身長で止まる保障などどこにもない。育人はごそごそと首を動かして誠二の方を向く。
「さいこーじゃん、そんなの」
こちらを見つめ二っと笑う育人に、誠二はゾクッと背筋が寒くなる。なんだか、身体が大きくなって、体つきが変わって、育人も変わってしまったような気がする。
「そ、そうかよ……」
「はは、明日にはまたでかくなってるかもな」
決して冗談にとれない育人の言葉を最後に会話が途切れる。育人が首を動かして目を閉じる。誠二の心臓はどくどくと早鐘のように鳴り続けていた。何も言えない。言いようのない不安が、誠二の心の中をぐるぐると渦巻いている。だが疲れというものはそうそう悩む時間も与えてはくれない。育人の寝息が聞こえてからしばらくすると、誠二の瞼がだんだんと重くなってくる。そうして練習の疲労がたまっていた誠二は、あっけなく眠りに落ちた。
ichiya
2024-05-30 11:32:04 +0000 UTC曹達(ソーダ)
2024-05-29 12:06:51 +0000 UTC