XaiJu
葉一
葉一

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ダークノア・恋人編(1)

〇リクエストのやつ。恋人がまだ出ないので焦る。ボート部×自転車部みたいな感じになると思います。


 1


 間違った選択肢を選び続けたというわけではないと思う。ただ、何かの間違いで俺はここに辿り着いてしまった。物語で言えば確実なバッドエンド。ロードしてやり直すしかないのに、現実にはセーブポイントはない。朦朧とする頭で、人生をやり直すとしたらどこからかを考えている。合宿に行く前か。大輔と付き合う前か。漕艇部に入る前か。大学に入る前か。全てがもう手遅れなのだということを確かめ、視界が絶望で暗くなっていく。

「どうした白浜。具合悪いのか」

 そんな無意味な空想への逃避を、現実は許さない。部長が心配そうに──本当に心配そうに、俺を気遣った。俺は「いいえ」とごく短く返事をした。元々、お喋りをする性質ではない。脂汗と先走りがローイングスーツにじっとりと染み込んでいくのが分かる。練習後の生臭さが、締め切られたコテージの中に、これ以上ないほど籠っていく。

「ああ、無理するなよ。もう限界になったらこれ被って早く楽になればいいんだからな……」

 部長は床に無造作に転がされていた黒光りするフルフェイスのヘルメットを取り上げ、俺に差し出した。何度目かの誘惑。これを被ればどうなるか、その光景は目の前に広がっている。臙脂色のローイングスーツの下に、筋肉が透けるほど──いやらしいほど薄く、肉体に密着する黒い膜に覆われた男達が、思い思いの淫行に耽っている。ローイングスーツの上からチンポを擦って自慰に耽る先輩。お互いの汗が絡まることを気にせず、ハグとキスを延々と繰り返す後輩達。そして、部員達を全て変態に作り変えた部長が、いつもの笑顔を浮かべ、腕組みをして俺達の前に立ちはだかっている。どんな急流でもオールを軽々と動かす逞しい両腕が、はち切れんばかりに膨れ、黒い皮膜を押し上げていた。勃起を隠そうともしないため、ローイングスーツはテントのように盛り上がる。その先には黒っぽい染みが広がっていた。

「さあ、お前らが戦闘員に堕ちる日を俺はず~っと待ってたんだぞ。まだ俺を焦らすなんて……ほんと、お前らは問題児だな」

 部長に対面する部員は俺を含めて残り2人となっていた。部長と同じようにローイングスーツをテントのように膨らませ、足は肩幅に開き、両手は背中に回して組んでいる。部長が「休め」と言ったのは大体2時間くらい前。俺達の身体はそのまま硬直し続けている。どういう仕組みなのかは全く分からないが、多分、戦闘員とやらの部長には特殊な能力があるのだろう。部長や先に戦闘員に洗脳された部員達を見続ける中、一人一人、欲情に屈したものから櫛が抜けるように脱落していった。

 ──イキてえ……

 肉体が部長に掌握されているのは何となく分かっている。チンポから涎のように先走りが流れ、ローイングスーツに亀頭が擦れる度に人生で最も気持ちの良い射精ができる、そんな予感がする。しかし実際は、堪えきれないような射精感だけがだらだらと続くだけで、ヘルメットを被り、洗脳され、悪の組織の一味にならなければ二度と射精できない。そんな馬鹿げた話だが、それは本当なのだ。だから、ここはバッドエンドの終着点で、俺達はこの運命から逃れられない。もう諦めてしまおうか、何度目になるか、そう思った瞬間、隣にいた犬飼の身体が揺れる。

「……おう、わりぃな……おれもう限界だわ…………」

 俺は何も答えられず、犬飼の髪の先に珠となった汗の雫を見つめていた。幼馴染でずっと一緒にボートをやってきた犬飼の身体で、欲情することは避けたかった。

「ホモじゃねえのに……勃起止まんねえし。あいつら見てたら、段々、羨ましくなってきた…………あぁ、イキてえ。あんな風に気持ち良さそうに精液ぶっぱなしてえ。一回考えたらもうダメだわ。それしか考えられねえ」

 犬飼が部長からヘルメットを受け取り、くるりとこちらを向いた。

「やめろよ……」

 喉の奥からは掠れた声しか出ない。そう言いながら、俺は心のどこかで、犬飼の端正な身体が真っ黒に塗り潰されるところを想像して、期待している。

「じゃあ、またな」

 犬飼は笑顔で恭しくヘルメットを高く掲げると、首を前傾させゆっくりと顔を押し入れていく。誰が嵌めても、まるで個々人にあつらえたかのようにヘルメットはぴったりと嵌まる。

「~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡」

 ヘルメットの中からくぐもった声が聞こえる。言葉にならない言葉。その漆黒のグラスの中で、犬飼の自我が溶け、犬飼ではないものに変質していることが分かる。背中を弓のように反らせると、ローイングスーツに浮き出たチンポがビクンビクンと脈打ち始めた。鮮やかな臙脂に黒い染みが広がっていく。犬飼の匂いがむわっと沸き立つ。ヘルメットから粘性の高い真っ黒な液体がどろりと溢れる。焦げ茶色の肌が瞬く間に黒く塗りつぶされ、部長や、他の部員達と同じ姿に変わっていく。戦闘員に相応しい肉体になるべく、胸板は厚く、股間は大きく成長した。足の指一本一本までが黒に染まると、犬飼は手足の指を何度か曲げ伸ばしした。まるで新しい自分の肉体を確かめるように……。

「ぷはっ!」

 ヘルメットを自ら脱ぐと、汗だくの犬飼が戻ってきた。無造作にヘルメットを床に転がし、俺と対面する。ぱっと見は、全く犬飼は変わっていない。しかし、瞳の暗さや笑顔の歪さなど、幼馴染だからこそ犬飼が決定的に変質してしまったことが分かった。

「良い仕上がりだな」

 部長がそう言うと、犬飼はぼうっとした目で部長と舌を絡ませ始めた。くちゅ、くちゅ、くちゅ、と卑猥な音が響き渡る。犬飼は感じ入ったかのように目を瞑り、頬を赤らめていた。とろんとした、熱っぽい瞳で部長と見つめ合う。舌が離れると、唾液が幾筋も糸を引いた。

「ぶちょお……♡」

 舌足らずな甘い声を出して犬飼は更なる淫行を求めた。部長が手で諫めると、犬飼は胸に手を当てて戦闘員の忠誠のポーズをとった。

「おれは、たった今、ダークノアの戦闘員に生まれ変わりましたっ♡身も心も、部長達とおんなじです!ああ~、抵抗してたのバカみてえだっ♡こんなに気持ち良いなら早く洗脳されれば良かったぜ♡」

 犬飼は俺を一瞥すると、見せつけるかのようにローイングスーツの中に手を差し込み、陰茎を扱き始めた。「イクっ!」と小さく呟くと、真っ黒な精液がローイングスーツ越しに溢れ出す。犬飼は汚れた右手を俺の眼前まで近付けた。ぷんと精液の匂いが香る。俺は顔を背けるだけで精一杯だった。

「なあ、誠一。お前も早く楽になれよ。洗脳されるのは素晴らしいぞ。おれ達はダークノアの下僕になることで、本当の仲間になれるんだ」

 犬飼が盲信の表情で俺を説得する。片手にはいつの間に拾い上げたのか、先程自分を改造した洗脳器具──ヘルメットを持っている。

「やめろ……やめてくれ…………」

 いやいやをするように、俺は首を左右に振る。

「本当は自分で被ってもらいたかったんだが、仕方がない。まあ、白浜は素体適性が高いから大丈夫だろ」

 穏やかに部長がそう言うと、力強く俺の両肩を抑える。犬飼が俺の頭にヘルメットを強引に被せ、電子音と共にロックが掛かった。部員達の汗やら涎やらでじめじめと湿り、異臭が鼻を突く。しかしそれすらも最早、俺にとってはオカズになっていた。視界は黒一色だったが、フェイスシールド部分が発光し、ゆっくりと明滅しながら映像を映し出す。それは、極彩色の渦だった。俺はその中心部から目が離せない。同時に、頭の中がぼんやりと靄が掛かったようになっていく。

「う、あ……、あああ……」

 声を出すと、遠くから自分の声が返ってくる。パニックから穏やかな気持ちになっていく。

『戦闘員になれ』

 野太い男の声だ。聞けば、部長のものと分かる。

『戦闘員になろうぜ』

 犬飼の声だった。俺の心は抵抗を失いつつある。声を受け入れるほど、気持ちが良くなる。首元に熱い液体が零されていくのが分かる。

『誠一くん。戦闘員になろうよ』

「あっ、ああっ♡なるっ♡俺、戦闘員になってるっ♡すげえ!全身改造されてる♡大輔、見てるか♡俺、人間じゃなくなっちまう♡おおっ♡おおおおおおおおっ♡」

 洗脳が完了したと自分でも分かった。もう抵抗する気も嫌悪感もない。今や俺は、他の部員達と同じように、完全な戦闘員になることを待望していた。心が屈したことを受けて、部長の戒めが解かれる。ローイングスーツにチンポを擦り付け、人間最後の射精をした。

「あああああっ♡出る♡出る出る出る♡ザーメン全部出てるっ♡すげえ♡すげえすげえっ♡」

 俺もいつの間にか犬飼の時のようにのけ反り、同じようにたっぷりと吐精する。ぐちょぐちょに湿った股に、ダークスウツが広がっていく。俺の心身がダーク様によって永遠に汚されていく。それすらも嬉しかった。俺は自分が完全に洗脳されてしまったとしっかり自覚していた。足の指先までダークスウツに包まれ、新しい俺が完成する。自分の意志で洗脳を受けられなかったことだけが悔しい。今度は自分の闇に染まった手でヘルメットを外した。髪から汗が雫となってぽたぽたと散る。目の前には仁王立ちをした部長と犬飼がいた。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」

 呼吸が犬のように荒い。戦闘員としてやるべきことは脳味噌に擦り込まれている。俺はダークノアの敬礼のポーズを取る。厚みを増した胸が、曲げにくくなるほど膨らんだ二の腕が、ローイングスーツに浮かび上がった陰茎のシルエットが、俺の戦闘員としての性能を物語っている。

「白浜誠一郎は、ダークノアの戦闘員に洗脳・改造されました。永遠の忠誠を誓います!」

 だくだくとチンポから黒精が溢れ出る。その量と質が上質なものだと自分でも分かった。犬飼が俺を正面から抱き締め、肉厚な身体を擦り付けた。汗と精液でローイングスーツがぐちゃぐちゃに汚れていく。雄と雄の匂いが混ざり合う。キスするだけで俺は絶頂してしまった。

「最後まで時間が掛かったんだ、分かってるよな」

 部長が俺の肩に手を置く。部員達が隷従の証であるダークスウツを身に纏い、俺を見つめている。物欲しそうな目。萎えることのないチンポ。

「…………はい♡俺を好きなだけ使ってください♡」

 その後は、正しく文字通りの輪姦だった。部員達のチンポが次から次へと差し出される。俺はケツで、脇で、両手で、両足で、口で、顔で……とにかく全身で部員達の獣欲を受け止めていく。全身をダークスウツの上から濃厚な黒精でコーティングされ、ローイングスーツも漆黒に染め上げられた頃、力尽きてようやく解放された。ずしりと腹が精液で重く、口内も生臭さで満ちている。俺は戦闘員としての充足感と多幸感で満ち溢れていた──のだが、一点だけ、心が晴れない事情があった。犬飼がまた近付いてくる。「な、もう一回だけ仲出しさせてくれよ。な。いいだろ」。俺はぼんやりと頷きつつ、自分で両足を持ち上げて犬飼にアナルを差し出した。犬飼の巨根の圧迫感で胃がせり上がる。

 ──大輔、ごめん。

 自宅で待つ恋人を思いつつ、俺は犬飼とキスを交わし、更なる淫欲に身を委ねた



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