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葉一
葉一

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TwitLongerで出した未完のやつまとめ

〇ボディビル編(未完) 0 どうしてこうなってしまったのか、と今更ながら考える事もある。 4年前に出た筈の門をくぐり、俺は再び学び舎へと戻ってきた。何ら変わり映えのしない校舎に、春のうららかな日が差している。 変わったのは俺か。ぱつんと膨らんだ胸と、窮屈なスラックスの腿を覆うダークスウツが、否応無く俺の所属を教えてくれる。 すれ違いざまに野球部員がぴしっと一礼をする。若々しい彼らからは、俺が嗅ぎ慣れた邪悪な気配を感じた。黒のアンダーシャツは勿論擬態だ。真面目な表情でランニングを続ける彼らの本当の姿を俺は知っている。見なくても想像が出来る。俺もその内の一人だから。 サッカー部、水泳部、レスリング部……思いの外、計画は順調に進んでいる様だった。俺が来なくても、と考えるのはもう十分に人員が足りていると思うからだ。 「あの」 呼び止められて振り向くと、柔道着を着た男が立っていた。年は2、3上くらいだろう。厳つい体格をしており、練習した直後なのか汗をかいている。湯気が出そうだと俺はぼんやり思った。中には黒いアーマーを着ている。柔道家も素肌では無く柔道着の中にシャツを着込むのが定着して久しいと、そんな見当違いの事を考えた。 「須田先生ですね」 俺は頭の中に入れておいたリストから、適合しそうな人物を呼び起こす。鰐型怪人だったのではないだろうか。 「新任の井上と申します。宜しくお願い致します」 まあいい。須田先生をじろじろと値踏みしながら俺は心の中で着任を喜んだ。全てはダーク様の為に。 1 身体を鍛えるのが趣味、という変わった人間だったとは思う。特にそれくらいしかやりたい事が無かったのだ。でもそれだけで食っていける訳でもないし、大学生の時は教職課程も履修していた。体育大学には珍しい、何となく併設された経済学科に在籍していたので社会と体育、両方の免状があるのもまた変わっている。勉強は好きではなかったが、やればそこそこの成績は取れる。器用貧乏という奴で、体育の成績も普通よりは優れているがプロ並みという訳では無かった。 ボディビル部に入ったのも、体を鍛える便宜上都合が良かったからであり、何となく気恥しいものもあった。先輩や後輩には恵まれていたと思う。やり始めてから分かった事だが、ボディビルのように競技的な筋トレや食生活をすると自分の身体が目に見えて変化する事が分かる。成果が分かりやすいので、俺にしては珍しく競技そのものにのめり込んだ。 3年目の秋に、教職の履修関係上から引退になるだろうと思っていた。次の大会で上位に入るかどうかで、判断しよう――そのはずだったのだが。 「お前さ、次の大会勝ちたくないか?」 ロッカーでそう声を掛けたのはレスリング部の植松という男だった。高校時代からの同級で、親しい仲ではある。彼がそんな事を言うから、俺は「勝ちたいよ」と答えたのである。すると、 「覚悟があるなら付いて来いよ」 そう言ってシングレット姿のままロッカーを出て行ってしまった。俺は奇妙に思いながらも、渋々付いて行った。 その時に、植松が急に肉体改造の結果か以前より逞しくなっていた事や先日の大会で好成績を収めた事を思い出した。もしかしたら特訓の秘密を教えて貰えるのかもしれない。そう思った。 植松が案内したのは、校舎の地下であった。防火扉の奥に隠された階段があり、それをずっと下へと下るのである。その間、植松は一言も口をきかなかった。階段を降り切るともう一枚扉があり、それを植松は躊躇い無く開ける。ロッカールームよりも濃密な男の汗と、そして精液の匂いが俺の鼻腔を突いた。 広い部屋だった。足の踏み場も無い程に衣服が散乱し、その上で男達がセックスに耽っている。みな逞しく、この大学の学生であるとすぐに分かった。見知った顔も少なくない。レスリング、ラグビー、剣道、フェンシング。そこら辺の部員達は全員居た。全ての者が首から下を全身タイツの様なぴっちりした黒いものに覆われている。 「こ、れは…………?」 辛うじて声が出た。 「みんなダーク様に身体を改造して頂いたんだ。勿論、俺もな」 植松がシングレットを脱ぎ去ると、下履きの黒いスパッツが変形していく。瞬く間に周囲の人間達と同じ姿になると、彼は俺に微笑みかける。 「井上も改造して頂くんだ」 茫然としている俺の腕を掴み、部屋の奥へと導いていく。拒絶しようにも腕の力が尋常では無く、植松が人間以上の力を出し得るのはすぐに理解出来た。非現実的な光景であったが、その力が雄弁にこれが現実であると伝えている。 部屋の最奥には、大きな椅子に座った青年が居た。丁度、甲子園等でよく見る顔立ちの整った野球部員が、全身タイツを着た感じである。その男の周りには、少しだけ色の違う全身タイツを着た男が三人、囲う様に立っていた。赤、青、黄、が仄かに滲んだタイツである。屈強なその男達は後ろに手を組み肩幅に足を開き、微動だにせず立っている。しかし竿は天を突かんばかりに屹立しており、そのギャップが異様さを際立たせていた。黄色の方は、植松と同じ部活の後輩だったのではないかと思う。 「お連れしました、ダーク様」 植松が恭しく立膝を突き、頭を垂れる。俺は何となく、もう植松が俺の知っている彼では無いのだと悟った。ダーク様、と呼ばれた高校球児は俺の全身を隈なく見て、一度頷く。俺はその視線に恐怖を覚える。逃れられない、と直感的にそう思った。周りの男達を見て、俺もこの姿になり、この中の一員になるのだと確信する。植松の反り返ったチンポが震え、先走りを床に垂らすのが見えた。 「お前はどうしたい?」 ダークが口を開く。俺に問うているのだとすぐには分からなかった。 「退屈なんだろう?」 そうだ、と思った。俺は退屈で仕方が無いのだ。ボディビルをやって楽しかったのも束の間、教員になればその趣味も潰えていくだろう。 「私はお前に快楽を、力を与える事が出来る」 迷った。否、迷いたかった。別人が身体を動かしているかのように、俺の口が滑らかに動く。 「俺を――改造して下さい」 黒い芋虫の様な指が俺の身体を這い、グレーのスウェットを脱がしていく。俺は無抵抗だった。全身から力が抜けてしまったかのように、そいつらの手足に弄ばれていた。脳裏にはダークの満足気な笑みが浮かぶ。それだけで恍惚とした気持ちになり、俺の心は傾いでいく。5、6人の男達が俺を生まれたままの姿にした。俺の鍛え上げられた肉体を、どいつも舐め回す様に視姦している。思わず顔をしかめてしまいそうな、汗と雄の香りがする。輪を縮めるように、幾本ものチンポが空を向き迫ってくる。 「どうした、井上?早くやってくれよ」 真正面に立っていた植松が気軽に話しかける。表情や仕草はいつも通りでも、俺の知る友人はこんな奴ではなかった。野郎のチンポをしゃぶるなんて、と思う自分も確かにいる。しかし、改造されて早く楽になりたいと思う俺もまた確かに存在した。恐る恐る口を開き、そっと黒い怒張に舌を這わせる。塩辛く、それでいてイカ臭い、想像通りの匂いと味である。植松の好色そうな顔が、快感から歪む。それを見て、俺の心は仄かに明るくなった。喜ばれている。味も匂いも、少しずつ気にならなくなり、むしろ甘美なものであるかのようにすら感じ始めた。改造、の二字が頭の中に過る。それが既に始まりつつあるのだと確信した。 「あ、すげぇ良い……井上、すっげぇエロいよ……」 汗ばんだ髪を掴みながら、植松は俺の口内を犯し始めた。同時に両手は誰かの熱くそそり立ったイチモツを握らされる。脚には何本もの突起が擦りつけられていた。汗と先走りが塗りたくられ、俺の素肌をテカテカにしていく。変態共に囲まれて、囲われて、俺は一分の隙も無く見られている。「すっげぇエロい」姿を、余すところ無く見られている。 「ん…………ふぅ、たまんね、あ、んんっ!」 アナルを貫かれ思わず声が出る。自分がそんな嬌声をあげられるとは思わなかった。勃起した俺のチンポを無遠慮に誰かが触る。脳髄にまで一瞬で伝わるほどの気持ち良さ。そうか、元々俺は人から身体を見られることに興奮する性質だったのかと今更ながら気が付く。苦しんで、努力して鍛え上げた身体を、男達に貪られる。その頽廃に興奮を覚える。『自分も変態の内の一人であったことに気が付かされる』。周囲の男達と俺の差は、今やほとんど無かった。喜んで男同士の交わりに身を委ね、異形の者へと身を堕としていく。焼けるように熱い液体が、俺の腹筋へと迸った。真っ黒で生臭い液体が、あちらこちらで噴き上がる。直腸な中にも出され、いよいよ俺が汚されていくのが分かった。これが不可逆なものであると、本能が告げていた。 「改造、されちまう…………!」 身体は喜んでいるが、無意識の抵抗かぼろぼろと頬に涙が伝った。幾本もの精液が弧を描いて俺へと放たれる。生臭さも、とうに慣れてしまっていた。俺の体表を、黒い液体が滑らかに覆っていく。それは化繊のようにぴっちりと俺を締め付け、衣服の様な形に変形をし始めた。周りの男たちの様に――植松の様な姿に、俺も変わっていく。覆われたところから、筋肉が音を立てて発達していくが分かる。胸筋はパンプアップされ、腹筋はしっかりと割れる。上腕の盛り上がりや太腿の筋がはっきりと見て取れる。 「がああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 筋肉の変化もさることながら、性的な感応も格段に良くなっていた。全身が性感帯とでも言うべき感覚が、常時俺を襲い続ける。足の裏から、指先まで、俺の身体をダークスウツはぴったりと密封してしまった。むせ返るような汗の匂いが、俺の身体からもしている。脳内を弄られているような感覚があり、ダーク様への忠誠心を植え付けていく。常識や倫理観といったものが、丸ごと洗い流されていくかのようだった。くだらないしがらみから解き放たれ、俺は野獣の如き劣情を剥き出しにする。バーベルやダンベルで出来たタコだらけのごつい掌が、俺の怒張したイチモツを包む。両手でも持て余す程の大きさのそれは、周りの戦闘員達の目を奪った。ゆっくりと手を上下させると、爪先が無意識に突っ張る。ダークスウツを着ていても、感覚は裸でいるよりも敏感だ。 「んお、射精るっ!!射精るっ!!!」 びゅる、と勢いよく放たれた精液が、俺の胸を汚した。真っ白な精子は濃く、勢いに乗れなかった大量の残滓は肉棒を伝って零れ落ちていく。俺の人間としての最後の抵抗の様に、精液はとめどなく溢れ続けた。徐々に精液の色はグレーへと変わり、最後には闇より深い黒色になった。俺の金玉にまでダーク様のお力が及び、俺が完全に改造されきったことが分かった。誇らしい気持ちでいっぱいになる。多分俺は呆けた笑顔で横たわっているんだろう。手に付いた精液を舐め、味を確認する。美味かった。自分の味覚までもが変えられている。立ち上がり、ダークスウツに浮かぶ淫靡な自らの肉体を眺める。ボディビルダーとしてより素晴らしい肉体へと変化したそれは、俺を十二分に満足させた。 「へへ、最高です……改造して頂き、光栄の極みです。ダーク様」 ダーク様は頷かれる。植松は歓声を上げて俺に抱き付いた。レスリングで鍛えた体と汗臭いその匂いが俺を欲情させる。第2戦は待つ間も無かった。 2  警察に階級があるように、俺達にも身分がある。彼等と違うところは、俺達にはそれが本能的に知覚されるという事だ。例えばそれは、人外の力をダーク様から授かった「怪人」であるかどうかとか、世間一般に言われるような改造されてから何年目であるとか、純粋に能力差であるとか、そういうもので決まる。  スラックスから飛び出た俺の黒い肉棒を、須田先生はとろんとした顔つきで舐めている。こうして力の強い者の精を分け与える事も身分の上の者の務めである事は言うまでもない。一見、新卒の俺がとんでもない事をさせているという図になる訳だが、須田先生の頭の中ではそれが至極当然のものであると理解されているだろうし、実際俺もなんの躊躇いも無かった。黒精を互いに貪る事で、俺達の能力はさらに発展するのだから。 「ん……上手ですね、須田先生っ…………」 汗で湿った彼の髪をくしゃくしゃに撫でる。本能が刺激されたのだろう、『びくんっ』と須田先生は身震いをする。その男らしい体躯は、ダークスウツにすっかり覆われている。柔道家として培われた筋肉が、ぎゅうぎゅうに押し込められているのが見てわかる。足元に無造作に脱ぎ捨てられた柔道着が、彼の今の姿を象徴しているようであった。たっぷりと汗を吸ったそれに、黒く生臭い雄汁が零れ落ちていく。須田先生の口から洩れたものと、彼自身のものだった。 「はは、『戻って』ますよ、須田先生……。いや、ダイル」 須田先生はいつの間にか醜い鰐怪人の姿へと変貌していた。ギザギザに尖った歯を剥き出しに、彼は金色の瞳を細める。 「いや、コーフンし過ぎちまって、恥ずかしいです……」 先端の尖った鰐のペニスからだくだくと黒精を漏らしながら、須田先生はぼりぼりと頭を掻いた。俺も怪人に戻るには至らなかったが、気持ちが高ぶって背広の中はダークスウツで既に覆われていた。俺は彼を胸に抱き寄せる。雄の強い匂いが、俺の鼻孔をくすぐった。 「もう一戦、するよな?」 鰐怪人はだらしない笑みを浮かべて応える。俺はしばらくこいつと交尾を繰り返すことに決めた。 3 「今日から1年間このクラスを担当する、井上命だ。命と書いてミコトと読む。よろしくな」 挨拶もそこそこに、俺は担任となった1年生のクラスを見渡す。あ行の生徒から順繰りに自己紹介をしていくが、流石にスポーツ校だけあってそれぞれ個性的な体格をしている。素体確保に最適な場所と言えば、何をおいてもここであることを実感した。挨拶を終える時の視線の絡み合いで、既に野球部とサッカー部の生徒はダークノアの戦闘員に改造されているとわかる。高校生の早い段階からダーク様にお仕え出来るだなんて、と俺は溜息を飲む。羨望と嫉妬がない交ぜになるが、勿論、みんな可愛い生徒で可愛い部下だ。年度末の修了式の日には、俺の生徒達みんながこの狭っ苦しいブレザーやワイシャツを脱ぎ捨て、ダークスウツで敬礼をしながらHRをしている。そんな場面を想像した。俺は不覚にも、スラックスの中で陰茎を固くしていた。 (これは良い目標が出来たぞ……) あどけない表情で、ある生徒は恥じらいながら、ある生徒はこんなものどうでも良いと言いたげに、自己紹介を済ませていく。その誰もが、まさか自分が洗脳され、改造され、1年の間に戦闘員にされてしまうとは思いもよらないだろう。彼らの身近にいる野球部やサッカー部の友人が、そうであったように。俺は満足気に頷いた。それは丁度、自己紹介をよく聞いていたかのように映っていることだろう。 「吉田修……です、部活は、えっと、格闘技をやっているのですが、この学校では応援団に所属したいと考えています。よろしくお願いします」 出席番号が最後の吉田が頭を下げる。背が低いものの、格闘技、という言葉に相応しく岩のような体つきが服を着ていても分かる。手元の資料には、総合格闘技、と小さくメモがあり、彼だけが俺のクラスで唯一の運動部以外の所属であった。放課後、道場のようなものに通うのだろう。俺は吉田の顔をよく見る。穏やかな表情を崩さないが、奥底に獰猛さを秘めている。俺の知っている限り、強い格闘家ほどそのような顔つきになるようだ。短く刈った髪と、潰れてしまった餃子のような耳が、拭い去れない圧迫感を与えている。彼は何か普通でない。そんな漠とした予感が俺にはあった。 「1年間、みんな仲良くやってくれ」 俺は本音でそう言った。1年間、少なくとも退屈することは無さそうだった。 〇ボディビル編(書きかけて忘れた方)  1   恵まれた体格に、異常なまでに強調された筋肉の分厚い鎧を纏って、今回のターゲットはスポットライトを浴びていた。人工塗料の黒色が映え、両腕に作った力瘤は熱源に近いのかうっすらと汗ばんでいる。しかし、その男は笑顔を絶やすことなく泰然とポージングをこなしていた。バリッと固められたソフトモヒカン風の黒髪に、綺麗に剃毛された素肌が、男のプロ精神を雄弁に表している。胸筋をアピールすると同時に、反った股間に目が走る。黒いボディービルダー用のブーメランパンツは、きちんと身体にフィットしていて、雄々しいイチモツの輪郭線も露わになっていた。 「36番、東雲剛でした!」 一礼すると、男はスッとステージの奥に引き下がる。左隣の男が歩み出て、東雲と同じ順番でポージングを始めた。しかし、俺はその男には目が向かない。手元の資料を確認する。東雲剛、26歳。D体大卒業。ボディービル一筋だが、スポンサー等は今のところ付いていない。駆け出しの若手だが、将来は有望視されている。が。   東雲は逞しい胸元に銀色のメダルを輝かせて表彰台に立っていた。 喜びの表情の中には、微かな戸惑いと苛立ちが含まれている。俺達の様に人様の肉体を見ている者なら分かるが、東雲は一位になり得ない大会だった。人より劣っているという訳ではないが、何か、プロ選手として圧倒的に欠けているものが彼にはある。人はそれを、才能、と呼ぶのかもしれない。一位に輝いた清洲というボディービルダーの周りに報道陣が駆け寄る。栄光のフラッシュを避ける様に、東雲はステージから足早に去っていく。俺はその後を追い、人目の無い場所で彼に呼び掛けた。 「なあ、君のその力、活かしてみたいと思わないか?」 怪訝そうに振り返る彼に、俺は名詞を渡す。勿論偽名なのだが、現在は実在のものとほとんど遜色の無い力を有している。『S高体育科課程主任 野球部顧問 堀田誠』。S高の名前はスポーツ界では強いらしく、東雲の目が輝くのが分かった。    2   こちらはスーツというフォーマルでかっちりした服装だったが、相手はパーカーにスウェットというラフ過ぎる格好。奇妙に不釣り合いな二人組になってしまったが仕方がない。東雲の逞しすぎる身体はその緩い服装の上からでも察する事が出来た。 「単刀直入に言うと、うちの高校の顧問になって貰いたい」 「へ?俺がですか?」 東雲は思いも寄らない、といった様子で聞き返した。そのリアクションから、彼がまだ若く、それでいて根が素直な男である事が分かる。もしかしたら、少し鈍臭いというのもあるかもしれない。 「俺、教職の免許持ってないですよ」 「顧問だから、部活だけを見て貰えば良い。トレーニングルームも使えるし、競技に従事してくれても構わない。結果が付けば、それだけ箔も付くからね」 願ったり叶ったりだろう、という条件を提示している。東雲の生活は既に調査済みだった。お金に困っているというのも、定職になかなか就けずにいる事も。独り身である事も大事な条件の一つである。この男が世間から数瞬消えたとしても、すぐには気が付かれないだろう。 「どうかな?」 駄目押しで月給で与えられる金額をさりげなく見せる。26歳という年齢では身に余る額だ。東雲は一も二も無く頷いた。あまりの単純さ、そして簡単さに俺は笑いがこぼれる。 「じゃあ、夏休みに研修をするのでそのつもりで」 それが東雲をダークノアの一員に改造する期間だった。  3 ドクターが東雲のデータを取りたい、と言った事からこの迂遠な計画は始まった。本来なら、ターゲットを拉致し、その場で改造すればすぐに事が済むし効率的である。しかし、東雲の様なタイプの体格をした戦闘員はダークノアにはおらず、サンプルとしても珍しいので出来るだけ生身のデータを取ってから改造したいのだそうだ。俺は命令に従い、その通りに全ての手筈を整えた。 研修初日は俺が校内を案内し、設備や部活動の説明を行った。東雲は体育会系らしく、礼儀正しかった。積極的にメモを取り、なるだけ仕事を覚えようと一生懸命なのが伝わってきた。俺は、残念ながらその努力は無駄になる事を知っている。脳内に直接刷り込まれる予定の事項ばかりだから、おそらくメモは無意味になるだろう。擦れ違う生徒の挨拶に、東雲も溌剌と応える。その生徒の中には、東雲がどのような目的でここに呼ばれたのか知っている者も居た。そういう奴らは性的な視線で東雲を見ている。半袖のワイシャツから覗く太い腕に、舐める様な視線を這わせていた。俺が指導に当たっている野球部の面々を視線で一喝すると、彼らは慌てて東雲から目を逸らした。後でヒドい罰を与えてやろうと思う。 生徒の大体半数近くが、制服の下に黒いアンダーシャツやスパッツ、ソックスを身に着けている。勿論、それはダークノアの証であるダークスウツの一形態だ。俺の身体も露出の無い部分にぴったりとそれが張り付いている。東雲は体育学校出身だから、あまりその光景に違和感を覚えない様だった。 俺は指令された通り、休憩に際して薬物入りのペットボトルを東雲に渡す。東雲は警戒する事無く、それに口を付けた。俺はそれをしっかりと確認してから、しばらく席を外して東雲一人きりにしておく。 「堀田です。ターゲットが薬品を経口摂取した事を確認致しました」 「了解。その薬は数分で効果が現れるから、それまでに人を用意して5号室にターゲットを運べ」 「了解。全てはダーク様の為に」 ぴっ、と軽快な音を立てて携帯が切れる。俺は食堂に居た柔道部の生徒を連れて、再び東雲の待機している部屋に戻った。電話でドクターが言っていた通り、東雲はがっくりと机に突っ伏して鼾をかいていた。    4   「うっ……あ、はっ……」 朦朧とした意識の中、東雲は苦しそうに喘いでいた。手術台の上で大の字に拘束され、逞しい筋肉を無影灯に曝している。熱を帯び、じっとりと湿った体表のあちらこちらに電極が張り付けられ、その働きに合わせて肥大した筋肉が微痙攣する。喘ぎ声は少しずつ大きくなっていく。白衣に身を包んだ戦闘員達は担当の計器を黙々と確認し続けている。その中心にいるのは、ダーク様の右腕とも言うべき男、ドクターであった。 「これで六回目か」 むくむくと起き上がっていく東雲自身を見ながら、ドクターは何の感慨もなく呟いた。搾乳機によく似た器具を東雲のイチモツに装着させると、彼の声は最早悲鳴のそれと変わらなくなった。 「射精まであと五秒……四……三……二……一……」 「んあああああああああああああっ!」 全身を剛直させて、搾乳機にたっぷり精を奪われていく。額の尋常でない量の汗が、それが素体にとっていかに負荷を掛けているのかを示す。俺はさりげなくドクターに近付いて、これ以上の実験の継続は止めようと進言しようとした。 「素体、意識レベルが覚醒状態まで上昇!」 「モニターを点けろ」 ドクターが眉一つ動かす指示をすると、即座に天井から液晶型のモニターが降りる。スクリーンセイバーの様な複雑な幾何学模様が次々に変容を重ねていく映像が流れる。うっすらと目を覚ましかけていた東雲の視線は、画面に吸い込まれる様に釘付けになる。目の光は段々と暗くなり、強ばっていた身体は徐々に弛緩していった。強催眠効果のある映像が、彼を何度も意識下の状態へと今まで導いていた。くたり、と萎びたチンポが再び刺激されて起き上がっていく。果てた精液の乾く間もないまま、東雲は陵辱の限りを尽くされていった。その光景は俺に何かを訴えかけている様で。そう、こんな気持ちになったのはアモンの時以来ーー野球部員を怪人に改造した時以来の気持ちだった。鈍い、頭の奥の痛み。身体のバランスが保てず、気が付けば床に倒れていた。 〇『椅子』(常識改変もの) 「さあ座って。遠慮することなんかない」 シゲさんは手招きしておれを呼んだ。座ってと勧められた椅子はじっとりと汗ばんでいた。逞しく鍛え上げられた身体を微動だに動かさず、男が四つん這いになっている。それがこの家の『椅子』。肉厚で広大な逆三角形の背中がベンチシートで、丸太のように太い腕がスプリング。モスグリーンの上下のコンプレッションウェアに淫靡な汗染みが広がっている。おれは少しだけ辟易しながら腰を下ろす。「ん゛っ!」とくぐもった声が『椅子』から響いた。おれは自分の尻の下でどんなことが起こっているのか察したが、知らんふりをしてシゲさんと向かい合った。もちろん、シゲさんも『椅子』に腰掛けている。筋肉隆々の男がだらしない表情で汗水と膨らんだ股間の先から粘液を垂らしている。モスグリーンのコンプレッションウェアはおれの『椅子』とお揃い。よく見れば『椅子』の髪型や顔、体型も瓜二つであった。 「私は結構、几帳面な性質でね」 知ってる、と思ったが口に出すのはやめた。昔からこの人と関わるとろくなことにならない。 「同じような『椅子』を探すのも楽しいけれど、双子の『椅子』をちょうどこの間見つけたんだよ……あまりに嬉しくってね、少し無理をして、その日の内に私のものにしてしまった」 「だからおれを呼んだんですね」 「そういうわけじゃないよ。私はね、君に非常に目をかけているんだ」 そういってシゲさんは足を組み直した。『椅子』に負荷が掛かる。「ん゛ーーーーーっ!!」。『椅子』の勃起から白濁した液体がどぷっと溢れ出す。フローリングは『椅子』の体液でべとべとに汚れていた。 「わかるかい?性欲猛々しい君達は最早『椅子』であるから、主人である私の所有物にすぎないんだよ。鍛え上げた肉体も、雄々しく力強い若さも、プロ選手として得た名声も、全部ここで私に弄ばれて消えるんだよ」 自分が『椅子』であることをシゲさんの言葉によって強く刷り込まれた双子達は、全身を震わせて何度も吐精した。言語による「説得」と魔力による「発動」これを繰り返すことでどんな男達も彼の思うがままになった。 シゲさんは本題に入らず、和やかに雑談をしていた。双子が素晴らしいアメフト選手であったこと。最初から2人とも『椅子』にするつもりであったこと。四つん這いにさせた瞬間、魔力でイキ狂いにさせたこと。それから一度も手を使って自慰をさせていないこと。ビデオも見せてもらった。最初は双子がアメフト選手として活躍するシーンを編集したもの。次に、2人が両腕を組んで顔を真っ赤にさせながらシゲさんの魔力に必死に耐えているところ。 「ゲームをしよう」 これがシゲさんの常套手段だ。自分は超能力者だ。貴方に一切手を触れずに射精させることができる。出来たら面白いでしょう? 大体ふざけるな、とかで終わってしまう。お調子者だとやってみろよ、となることもあるけれど。うまくいかない時、シゲさんは札束とかを相手に渡して、「10分だけやってみませんか。そうしたらそれはそのまま持ち帰ってかまわない」とか言う。そうすると相手は馬鹿馬鹿しいと思いながらも、シゲさんの前に立つのだ。それが取り返しのつかないことになるとは思いもせずに。そもそも、魔力だけで相手を屈服させることができるならば、このようなことをする必要はない。ポイントは「もしかしたら本当にこいつはそれができるのかも」と相手に思わせることだ。魔力は0を1にすることはできないが、0.01を1まで引き上げることは術者によっては可能だ。分かりにくい?それはうまい説明方法がまだないからだ。とにかく可能性の存在しないことを魔力で実現はさせられない。その可能性を思い込ませることが魔力を使役する上で重要ということ。 「あっ、あーーーーーーーっ!」 画面の中、まず最初に弟が声を上げ、股間を何度も脈動させる。黒のスパッツから濃厚な精液が滲み出していた。弟の痴態を目の当たりにして、兄の方も同じようになるのではないかという可能性を感じたのだろう、程なくして腕組みをしながら何度も吐精し、脚をガクガクと震わせていた。 呆然とする2人にシゲさんは追い討ちをかける。「四つん這いになるともっと気持ち良くなれますよ」。兄も弟も、恐る恐るといった様子で地面に膝をつく。両手を地面に当てがい、ちょうど現在おれの尻の下にいるような体勢になると、弟はそれだけで何度も、何度も狂ったように吐精した。兄も躊躇いはあったが、快感に屈してすぐに弟と同じ末路を辿る。今までの人生で培った価値観や道徳心を一瞬で崩壊させ、跪かせる。それがシゲさんの魔力の強さだった。 シーンが変わり、双子の退団式となる。「これから立派な『椅子』になるため、みんなと頑張った日々を糧に頑張ります」「アメフトやめても人間やめてもみんなと過ごしたことは忘れません」照れ臭い表情で、それでいて晴れ晴れとした表情で双子は口々にそう述べた。股間ははち切れんばかりに膨らんでいる。チームメイト達は笑顔でそれを見送り、惜しみない拍手を2人に注いでいた。 「前フリが長いんですけど」 「ごめんごめん、やっぱりちょっと自慢したくてさ」 シゲさんは軽々しく言った。『椅子』達は昔の自分を観てどう思ったのか聞きたいところもあったが、リアクションは想像できるのでやめた。 シゲさんの話はこうだ。双子で魔力を使いすぎたので、代わりにあれをこうしてほしい、というようなこと。おれに頼むのは、一つは魔力の種類がシゲさんとおれで似ていること。魔力が似ていれば、出来ることも似ているので、シゲさんのイメージ通りに物事が運びやすい。もう一つは、おれがどこにも属さない魔法使いであること。これはちょっと重要だが、込み入った事情でもあるので詳しくは割愛する。とにかく、何でもかんでも派閥があって、派閥から外れているやつほど都合が良いということだ。シゲさんは懐から写真を取り出す。海辺の写真で、ターゲットはウェットスーツ越しに逞しい体躯が見て取れる青年だった。髪は短く、海から上がったばかりなのか水滴がいくつも付いている。よく見ると海上保安庁の文字がウェットスーツにあり、いわゆる海猿であることが分かった。 「このターゲットを『籠絡』して欲しいんだけど」 「えーシゲさんがやればいいじゃないですか」 「私はね、もうちょっと疲れ過ぎて。『椅子』で色々目もつけられてるし」 「自業自得ですよ」 「身もふたもない……ほら、でもこれは逸材だよ……君の家、殺風景だしここいらで一つ家具でも」 悪くはないが、面倒だとも思う。シゲさんはお金も弾むと言い、相場の2倍近い額を提示してきた。 「まあ、それなら」 不承不承頷いたが、ここでシゲさんの魔力への警戒を怠らないようにする。 「用心深い」 シゲさんはおどけたように笑ったが、こちらは全然心安らかではなかった。 〇匂いフェチ(洗脳もの) 「そろそろいいか」 15分も経っていただろうか、監督は不意にテレビのスイッチを切った。俺は全身に重しをつけられているような、そんな倦怠感に包まれていた。身体のどこも自由にならず、呼吸は荒い。勃起も止まらず、我慢汁がスウェットに染みていくのがわかる。監督の言う『発情』が未だに続いている。 「どうだ?自分の身体じゃねえみてえだろ?」 監督が無遠慮に俺のパーカーの裾からゴツい手を入れ、胸を鷲掴みにする。監督は汗でぬめる俺の肌を、女のそれでも揉むように、5本の指を駆使して刺激を与えた。俺はぼんやりとした不快感を、心のどこか遠くで感じている。だが、男に胸を揉まれ、性的なハラスメントを受けているにも関わらず、それがどこか当然のことであるかのようにすら感じている自分もいた。監督の熱い息が、耳にかかる。 「お前は今から俺の所有物だ……立派な×××にしてやるよ、清水みてえにな……」 その不明瞭な言葉に、ぴくり、と俺の身体が反応する。それに頷いてはいけない、と本能が叫ぶ。だが俺の身体は、そして言葉は鈍重でどうにも動かない。清水は虚空を見据えたまま、何度も股間を脈打たせていた。監督の所有物、その実物が目の前にある。 「…………押忍」 俺の震える声は、監督の意のままに絞り出された。監督の手がスウェットの膨らみの頂点へ伸びる。我慢汁が糸を引き、監督の指先と俺のチンコの先を繋ぐ。監督に自分の痴態を見られているという恥ずかしさが、込み上げてくる。監督の汗の匂いが、俺の鼻腔をくすぐった。いつも嗅いでいる筈の男の汗の匂いが、何故か俺の心を捉える。もう一度嗅ぎたいという欲求を抑えきれずに、俺は監督のはだけた道着に鼻を近づけ鼻を鳴らしていた。勿論、『汗臭い』。熟した男の匂いもする。しかし、それ以外の何かがあるように感じられる。 「なあ、良い匂いだろ?」 全てを見透かしたように、監督は言った。俺は首を縦に振るだけで精一杯だった。何度も、気が遠くなる回数この汗臭い匂いは嗅いできた筈だった。自分のものですら気分が悪くなるのに、ましてや他の男のものなど有り得ない。そう思っていた。監督は俺の頭を鷲掴みにし、ぐっしょりと湿った道着に俺の顔を押し当てる。鼻の奥にまで抜けるような、汗の匂い。口で呼吸をすれば塩辛ささえ感じられる。監督の体臭に、俺はどうしようもなく興奮していた。 (汗、止まんねえ…………) 練習の時よりも汗をかいている今の俺には、自分の体臭ですら興奮し始めていた。普段は気にも留めない俺自身の匂い。こんなにいやらしい匂いをさせていたなんて。 「お前も『発情』してるからな。『発情』した雄からはフェロモンが出る訳よ。それを鼻の奥にある鋤鼻器が受容して、対象に様々な効果をもたらす…………わかんねえか。お前、もうぶっ飛んじまってるもんな?返事は?」 「んあ、オッス!監督」 「まあいい……俺はお前をまず『発情』させ、ちょっとした薬で鋤鼻器の力を鋭敏にした。本来、ヒトには必要のない器官だからな。これを繰り返していくことで」 ああなる、と監督は俺を目で促した。その視線の奥には、清水が、瞳を潤ませて立っている。 はだけた柔道着。 熱っぽい吐息。 膨らんだ股間。 短い髪からぼたぼたと滴り落ちる汗。 精悍な幼馴染の姿はそこになく、ギラギラとした欲情を辛うじて抑え込んでいる野獣が佇んでいた。 「監督、おれ我慢できねッス…………」 「おう、いいぞ。お前がやれ」 「オッス!」 監督が無造作に俺を突き飛ばし、清水に抱えられる。俺は満足に立ち上がることも出来ず、そのまま畳に転がされてしまった。 「清水…………」 俺の呼びかけに、奴は答えない。犬がそうするように、俺の首元に鼻先を押し当て、すんすんと鳴らし始めた。剛直したチンコ同士が、道着とスウェット越しに擦れ合う。監督よりも若々しく、それでいてつんとくる汗の匂いがする。これが清水の匂いか、と俺は快楽でいっぱいになりながら、そう思った。 「ん、猿渡っ!すっげえエロい匂いする!!くっせ、たまんねえ!!」 「んあっ、そんなとこ嗅ぐなっ!」 パーカーの腋に顔を埋め、清水は恍惚の表情を浮かべる。それは間違いなく悦びであった。無理矢理強制されている訳では無く、清水が、望んで、俺の汗臭い身体を嗅いで回っている。そして俺も、羞恥を感じながら、どこか清水に嗅ぎ回られることを悦んでいる……、もっと言えば匂いを嗅がれて興奮している。俺達の身体は汗でぬらぬらと湿り、いつの間にか股間は先走りでどろどろになっていた。俺の一日中汗だくだった腋を、一日中道着の中で蒸れていた股を、一日中畳と擦れていた足の裏を、清水は余すところなく貪っていく。監督は仁王立ちで俺と清水の痴態を眺めていた。まるでそれが、神聖な練習の一環であるかのように。 「姿見を見ろ」 柔道の型を確認する時に使う、壁の一面にはめ込まれた大鏡に視線を向ける。そこには汗を撒き散らしながら絡み合う野郎が2人いた。ようやく俺は自分があられもなく嬌声をあげていたことに気が付いた。匂いを嗅がれている、ただそれだけで。清水は柔道の練習の時に見せるひたむきな表情でも、俺とつるんでいる時みたいなやんちゃな顔でもなく、眉を八の字に歪め、寄り目のように焦点の合わないいやらしいスケベな顔をして涎を垂らしていた。犬。俺の頭に過ったのはその言葉だった。清水の姿形をした、雄犬。哀願するような眼差しを俺に向け、お伺いを立てるように監督を見る。監督は一言、「よし」と鋭く言い放った。 「んッ!猿渡ッ!!猿渡、猿渡ッ!!すっげ、興奮するッ!猿渡で俺、興奮してるッ!!発情、止まんねえッ!!」 スウェット越しに熱いものが染み渡るのを感じた。清水の道着を押し上げていたチンポから、白濁した汁がびくんっびくんっと何度も滴り、俺の太腿辺りに擦りつけられる。手も使わずに道着を擦りつけるだけで果てる清水に愕然としながらも、俺はその浅ましい姿に勿論興奮を覚えていた。俺を差し置いて絶頂に至った清水に、軽い嫉妬心すら抱いている。俺の鼻孔に、清水の雄の香りが届き始めた。監督とは違った、若々しく爽やかな汗の匂いと、濃厚に醸造された雄としての魅力が微妙に入り混じっている。これが監督の言っていたフェロモンか、と俺はようやく合点する。俺の身体からも、監督の身体からも、ほんの少し異なる匂いがあり、その微量な差異が俺の脳髄に興奮をもたらしていた。俺は清水の道着に鼻を押し当て、狂ったように――もしくは、犬のように嗅ぎ始めた。ツンと匂う刺激臭の中に、清水のものとしか形容できない匂いが入り混じっている。脇や頭皮など匂いが強い箇所ほど、それは強く感じられ、嗅覚が刺激される度に、興奮が全身を駆け巡った。一日中履き通して、蒸れた靴下を臭いと分かっていても嗅いでしまうように、それは決して快い匂いではないのだがやみつきになってしまう。 「清水……くっせえ清水の匂いたまんねえよぉ……」 そうだ、俺は最早抗うことを止め、植え付けられた匂いへの欲求に素直に従っていた。監督が「堕ちたな」と満足気に呟く。姿見で見るまでもなく、俺は今や清水と同じ犬となり、雄野郎の汗臭えフェロモンでガンギマリしていることが分かった。チンコが脈動し、ボクサーパンツにたっぷりと染みを作りながら今にも破裂しそうになっている。 「清水!お前で猿渡を完全に堕とせよ!!」 「オッス!監督!!」 清水は道着を肌蹴させ、履物を軽く下ろすとザーメンと汗で蒸れたチンコがぬるりと飛び出た。果ててなお勢いの衰えないイチモツは若さと野性を感じさせる。ゆっくりと俺の目の前に差し出されたそれは、明らかに俺を誘惑していた。 匂いを嗅いだら、もう後には引けないだろう。そんな逡巡が一瞬ほどはあった。 だが俺はその誘惑に乗り、躊躇いも見せず清水のチンコに鼻をあてがった。イカのような生臭さと一日の練習で籠った酸っぱい清水の汗の匂いが流れ込む。 「んはあっ、清水ッ!清水のイカくせえチンコっ!!」 「猿渡のチンコも俺が気持ち良くしてやるからな」 そう言うと清水は器用に足裏を使い、俺のスウェットの上からチンコを扱いていく。 「んッ!激しすぎっ清水ッ!!擦れ、あ、あああああ、擦れてッ!!」 「おい、親友から足コキされる気分はどうだ?」 「最高ッス、監督!俺、こんなド変態だったなんて知らなかったッス!!」 「そうだろ、清水も最初はそうだったんだ……己を知らなければ、柔道家にはなれないからな」 「あああああオッス!監督!!押忍!押忍!押忍!!!!!!」 どびゅっ、と勢いよくボクサーパンツの中で俺のザーメンが吐き出されたのを皮切りに、射精は小便のように止まらなかった。清水の足裏は汗とザーメンでねっとりと糸を引いている。俺はすかさず、舌で清水の足を清めていく。69の構図になり、清水は俺のスウェットを乱雑に脱がすと、ザーメンまみれになったボクサーパンツを嗅ぎ、布の上からチンコに舌を這わせていく。俺達は互いの匂いに夢中だった。 「また一匹『犬』が増えたか……これだから指導はやめられんなあ。猿渡、お前も毎日『特訓』だからな」 「押忍!!」 監督はテレビのスイッチを入れ、再びあの極彩色の渦を見せる。俺の嗅覚はますます過敏になり、より従順な『犬』となるよう教育が始まった……。


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