(仮)ダークノア・予備素体編
Added 2019-10-13 13:43:37 +0000 UTC1 狭い室内に巨大なベッドが置かれたその部屋は声が漏れないように気密性が高い。だから、いつまでも性と男の匂いが充満していた。 眠い。四肢に倦怠が満ちている。それでいて全身が熱い。和道は初めての経験に戸惑いと不快を覚えながら、それでもこの快楽に耽溺するという予感を抱いている。先程激しく穿たれたアナルにそっと指を這わせた。太い指が鈍い痛みと敏感になった肌を刺激する。どろりとした粘液がつられて指先に付着した。和道は不快感で顔をしかめ、真っ黒な指先に精液がこびりついて独特の臭気を放つのをまじまじと眺めている。視野の奥に、赤いランプが見える。三脚に固定されたビデオカメラが、和道の全てを映し出していた。同じベッドで、先程まで自分を犯していた級友がすやすやと眠りについている。あどけない童顔のくせに、そのくせ漆黒に染められた肉体は艶やかで、筋肉が必要な部位に必要なだけ付いている。和道はいつしか七尾を性的であると認識している自分に気が付いた。 和道は倦怠感に引きずられながら体を起こす。鏡張りのチープな壁面に、和道の柔道で鍛えた体が映し出された。厚い胸板、丸太のように太い四肢、それらをぴっちりと包み込んだ黒い皮膜。それが今の和道の全裸の姿だった。隣の七尾も同じ姿である。というか、七尾が和道にこの悪趣味な戦闘服──ダークスウツを着せた本人である。最初は脱ごうともがいたりもしたが、今やすっかり皮膚ともアンダーシャツとも判然としない何かとなってしまったこれを、ようやく和道は受け入れようとしていた。ビデオカメラに向かい、慣れない敬礼をする。全身をぞくりと快感が走り、萎えていた陰茎がむくむくと膨らんできた。青々とした坊主頭に、脂汗が浮かぶ。太い眉に大きな目といういかにも日本男児といった和道の風体が、ビデオカメラの小さなウィンドウに収まる。視られている。不特定多数の、同じ戦闘員達から。その意識が和道の緊張と興奮を高めた。 「予備素体番号T1801225、人間名・柳瀬和道はアナル開発に勤しみ、本日処女喪失したことを報告します」 自分の口から卑猥な言葉が淀みなく紡がれる。敬礼をすれば、和道は和道でなくなる。和道の形、肉体、声を持った人形にも等しいものだ。和道は屈辱と誇らしさで心がぐちゃぐちゃに乱れている。それは外身からは全く分からない。 「俺のケツマンコをご覧ください」 モニターの和道は真面目な表情で両足を抱えあげる。足の爪先までダークスウツに覆われており、形の良い足と、アーチ状になった土踏まずが詳らかになる。むちっとした大きい尻をM字に開脚し、ひくつくアナルが映された。下腹に力を入れ、腹筋が脈打つと、汚い音と共に精液がごぼりとこぼれ、カーペットを汚した。羞恥にまみれた和道は、終われ、と祈る。終わってくれ。 「もっと淫乱に洗脳してほしいっす」 そんなことは思っていない。 「早く改造されきって、ダークノアの一員として生まれ変わりたいです」 嫌だ。だが和道は破顔している。 「射精を、射精許可をお願いします」 懇願はスウツの、ひいては和道の所有者に届いた。開脚した姿勢のまま、勃起したチンポの戒めが解かれていく。金玉がせり上がるのが、はっきりと分かった。その瞬間、人形は和道自身に戻る。和道は快楽の奔流に抗えない。人間ではなく、獣性でそれを受け止めている。 「お゛おッ♡」 情けない声とともに、目が中央に寄る。三日ぶりの射精だった。これを心待ちにしていたと言っても過言ではない。濃厚な精子が奔流となって和道の顔や胸に溢れた。一回では止まらず、二度、三度と精液が飛ぶ。和道は何も考えられない。射精をする度に洗脳と改造が進行していくのは知っている。焦りも平常時はある。しかし、射精の瞬間には何も考えられなくなっていた。ようやく迸りが収まる。ダークスウツは濃度の高い和道の精子でべっとりと汚れている。 「射精許可、ありがとうございました♡」 これが和道の本心から出た言葉だと、和道自身は気付いていない。遠隔操作でビデオカメラの録画が停止する。和道は肩で息をしながら、ゆっくりと抱え上げていた足を下ろした。身体が鈍く、痺れている。汗も大量にかいていた。 「すげーエロかったね、和ちゃん」 ベッドの上から声がした。七尾が起き上っている。バスケ部に相応しい長身を折り曲げながら、器用に体勢を変え、和道の真正面に立つ。先程あれだけ和道に中出しをしたのに、七尾はまた勃起していた。これが完成した戦闘員なのか、と和道はぼんやりと熱っぽい頭で考える。一番最初に感じた恐怖は最早羨望へと変わっていた。早く七尾みたいになりたい。俺も完成したい。 ぐったりした和道の足裏を持ち上げ、七尾は香水でも嗅ぐかのように鼻を押し当てて息を吸い込んだ。柔道で素足になる機会の多い和道は、足裏の皮膚が固い。それがダークスウツ越しでも分かる。ほんのり酢のような匂いのするそれを、七尾は無邪気に楽しんだ。 「やめ、」 「おれ好きなんだー、和ちゃんの匂い。それで和ちゃんのこと堕とそうって決めたんだもん」 恥ずかしがる和道を無視して、這う様に七尾は匂いを嗅ぎ回る。股座、胸、腋。改造されたことによって、和道の男性ホルモン量は増加し、通常よりも強い体臭になっていることは間違いなかった。 「言ったっけ?おれ改造されるときにさ、ラグビー部の奴らにめちゃくちゃ犯されたんだ。可愛い可愛いって言われながら、毎日肉便器係だったのね?ソックスとか、汗だくのシャツとかそういうの嗅がされて廻されてる内に、匂いフェチになっちゃったっていうか。まあ、元々素質があったのを開発して頂いたんだけど」 湿った和道の腋は、鉛筆の芯のような強い匂いがした。七尾は「ここすっごいエッチな匂いするね」と言いながら、和道の厚い胸に溜まった精液をかき集め、べっとりと本人の顔に塗りたくる。和道は抵抗しない。 「いつまで白いザーメン出してるの、和ちゃん。もしかして抵抗してる?」 チェック、と七尾は言う。和道は人形に戻る。 「洗脳率47%、改造率77%、性感帯開発ログ:アナル、陰茎、足裏、乳首。洗脳改造終了までの想定射精回数残り16回です」 「あと16回で和ちゃんも完全に堕ちちゃうのかあ。このペースだとあと2か月持たないよ。頑張らないと」 言葉とは裏腹に、七尾は余裕しゃくしゃくの笑顔だった。和道は悔しさと焦りで沈黙している。 「まあ楽しもうよ。他にも予備素体増やしてるからさ」 「他にも、こんなことしてるのか」 「そうだよ。だっておれ戦闘員だもん」 悪びれずに答え、七尾は再び和道の身体を弄り始める。和道は無力感を噛み締めながら、また肉欲に溺れていく。 2 実のところ、七尾はT高校がダークノアの『牧場』となっていることに気が付いた最初の一般人である。その時はまだラグビー部の面々だけが戦闘員の予備素体として改造されているところであった。 体育館の空きまで、外練をすることになっていた。七尾はランニングを終え、汗をタオルで拭く。小用のために普段はあまり使わない外トイレへ向かった。 「あちぃな」 外トイレは換気が悪く、むっと夏の暑さが籠っていた。七尾は膝より少し長い丈のバスケットパンツを下ろし、スパッツをずらすようにして大振りのチンポを引き出した。七尾は自分の身体のアンバランスさが嫌いだった。明るい髪を短く小ざっぱりと整え、一見中学生のようなあどけない顔は女子から人気がある。それでいて身長は180を超える長身で、手足や陰茎の大きさはすっかり大人の男の平均を上回っている。そのギャップを、他者が知ったら気持ち悪いだろうな、と思っている。人気の無いトイレに来たのもそれが理由だった。 (そういえば最近抜いてねえな) 性欲が人一倍強いのも、七尾の困り事の一つである。甘いルックスのため、付き合ってくれる、それも性処理までしてくれる女子が常にいることはありがたかったが、七尾にとってそれはオナニーよりも上質なだけであって、どこまでいっても性処理にすぎなかった。頭の中で今日ヤレそうな女の子をリストアップしていく。陰茎が固くなり、少しずつ尿が切れ切れになり、慌てて七尾はチンポを振った。そのとき、背後の個室からがたん、と物音がした。 (誰かいるのか?) 誰も居ない事を当てにしてここに来たので、七尾は怯んだ。鍵が掛かっている様子もなく、油断していたのだ。耳を澄ますと荒い呼吸が聞こえてくる。 「おい」 七尾は声を上げた。返事はない。変態でもいるんじゃないか。そんな予感が、確信にとって代わる。七尾は躊躇い、意を決して個室の扉を開けた。 岩のように逞しい男が、便座の上で縛られていた。白いヘッドギアで、男がラグビー部と分かる。その容態が異常だった。全身を黒いアンダーウェアに身を包んでいる。少なくとも七尾はそう思った。五指の指先まで、黒い。布地をひたひたと濡らし、汁気を湛えたチンポが、黒々と屹立している。七尾はそれに釘付けになった。自分のものよりも大きいチンポを七尾は久しぶりに見た。太ましいむちむちした下半身も、同じように黒く染められている。膝下はT校のスクールカラーであるオレンジ色のソックスを履いていたが、七尾は直感的に男が爪先まで黒い何かに包まれていると確信した。個室は男の汗の匂いで充満している。 「あっ、はあっ、はあっ」 男は喘いでいた。丸い腹と熱い胸板が呼吸に合わせて上下する。目の焦点があってない。縛られているのは、両手と両足だった。便器にがっちりと括られた縄は赤く、卑猥なことに使う用途であるとすぐに分かる。 「お前、何してんだよ……」 当然見て分かることを、七尾は改めて尋ねる。男は返事をしなかった。というより、出来なかった。七尾には知る由もないが、ラグビー部2年予備素体の門崎静はこの射精を以って洗脳と改造が同時に完了することになっていたからだ。 「あぁ、すっげぇ、来るッ………」 静が呻くと、真っ黒な精液が勢いよく放たれた。七尾は男の瞳が濁り、輝きをみるみる失っていくのを目の当たりにした。男が何か、決定的に変質したことが、七尾にも分かる。静がだらしなく笑った。壊れてしまったのかもしれないと七尾は思った。黒い全身、黒い精液。それが何なのかは分からないが、眼前の異常事態に混乱を来し始めている。その時、トイレの扉が乱暴に開く。 「おーい静、そろそろ完成したか?」 何の衒いもなく、新しく入ってきた男は呑気にそう尋ねる。ラグビー部の白浜だった。七尾とは別のクラスだったが、同学年だから見たことがある。これもっまた、岩のような体格をしている。プラクティスシャツの下に、黒いアンダーシャツが見え、五指まで繋がっているのを確認する。短い丈のラグビーパンツから、ロングスパッツにパンパンに詰まった太腿が突き出ている。「おっ、七尾じゃん」。二の腕で額の汗を拭いながら、白浜は七尾に近付いた。温和な顔立ちだが、よく見ると静と同じ瞳をしている。光がないのだ。七尾は後ずさった。代わりに白浜が個室の前に立つ形になる。「仕上がってんなあ」。まるでナイスプレーを称えるかのように、白浜は笑顔で静の頭を撫でた。 「これでお前も今日から立派な予備戦闘員だな!」 「ウッス!やっと改造されたっす。やっぱ、先輩が言ってたみたいに抵抗してたのすげー馬鹿らしいっつーか、こんなに変態になるの気持ち良いんだったら早く堕ちれば良かったっす」 「静みたいな最初意地張ってた奴が堕ちたときほど可愛いよ。俺もすっげえ興奮してきた」 白浜が縄を解きながら、静にキスをした。無遠慮に、挨拶のように気軽に二人はむさ苦しく舌をまぐわせる。静はそれだけでまたイってしまう。「発情しっぱなしなんすよ」と照れながら静は弁明した。白浜はにっこりと笑うばかりで返事をしない。 七尾は事態を呑み込もうとしていたが、どうにも難しかった。とにかく、2人は最早普通の人ではないということが分かった。そう、2人は「戦闘員」というやつなのだ。七尾の頭にイメージされたのは、戦隊物などでやられ役だった。そんな陳腐で、馬鹿馬鹿しいものが、いま目の前の現実としてある。白浜は七尾に目もくれなかったが、そのまま逃がしてくれるほど穏当でもないと感じる。注意だけは常に七尾に向けられていたからだ。 「さて」 赤い縄をまとめて手に持ち、白浜が振り返る。穏やかな表情はいつもと変わらない。 「七尾にはバレちゃったからな。仲間になって貰わないといけないんだけど」 「お、おれもこうなるのか…?」 白浜は腕組みをして考える。 「でも俺達のこと内緒にしてくれるならいいよ。見逃してあげる」 先輩マジっすか、と静が驚く。七尾もぽかんとしていた。絶対に何かひどい目に遭うもんだ、と思っていたからだ。 「良いのか?」 「まあ、本当は良くないけど……『戦闘員』になりたかったらいつでも歓迎だけどね」 「なり、たくはないかな」 「あはは、正直だね。ここは俺達の牧場だからさ、やたらに仲間を増やせばいいって訳じゃないんだ。良い素体を見つけて、じっくり改造するのが目的だし」 こんな風にね、と白浜は静の顎を持ち上げる。白浜も誰かに改造されたのだと七尾は考える。こんな風に。自分の中にどろりと昏い欲望が芽生えるのを意識する。自分が戦闘員になれば、好きな相手を戦闘員にすることが出来るのだろうか。白浜が相手を選べるのだから、答えはイエスだろう。 (それなら、あいつのことも) 自分が戦闘員になることに興味はほとんどなかった。だが。 「じゃ、俺らはもう行くよ」 いつの間にか普通のラグビー部の姿に戻った白浜と静が背を向ける。アンダーシャツは手首までで、違和感のない色味に落ち着いていた。 「何か、勘だけど、七尾は俺達の仲間になる気がするなあ」 「何の勘すかそれ」と静が茶々を入れる。 「気が変わったらホント、俺んとこ来てよ。じゃあな」 にこっと笑って温和な戦闘員は去った。七尾は戸惑いながら、いまの光景を思い浮かべる。綺麗に清拭された便器を見て、何もかも白昼夢であったのではないかと思う。鼻を突く精液の匂いが、その甘い期待を裏切った。固くなったチンポに気付き、慌てて七尾は股間を押さえた。 3 七尾は思った。自分は間違えた選択をしている、と。 あの日、トイレで静と白浜を見てから2か月が経っていた。その間、七尾は約束を守り、誰にもその話をしなかった。当然、白浜や静も接触してこない。本当に見逃して貰えたのだと安心したのは少しだけだった。代わりに、七尾の目に映ったのは牧場としてのT校の裏の姿である。ラグビー部を中心に、カッターシャツやポロシャツの下にあの黒いシャツが見えた。瞳が濁り、輝きの無いあの目になっていく生徒達。数はごく少数だったが、見ればそれと分かった。七尾は気付いてしまった側だから、知らないでいた時のようには戻らない。同じクラスのラグビー部である、円加を盗み見る。円加は気付いたときにはもう最初から戦闘員となっているようだった。いつもと変わらないように話をする。だが、ポロシャツの下、暑い日が続いてもいつも同じような黒いシャツを着ている。 ああ、戦闘員なんだ、円加も。口には絶対にしないが、七尾はそう思ってる。円加が真っ黒なボディスーツのような姿で活動するところを想像する。人懐っこい笑顔ではなく、無表情で。そして、静のように淫猥なことをしているところを想像する。想像は容易に移り替わる。自分が同じ姿になったとしたら。あるいは。 「おい、七尾」 聞き慣れた声だったが、呼び掛けられて驚く。和道が帰ろうと仕草で示す。幼馴染だから帰る方向が一緒で家も近い。 「おれちょっと今日野暮用があるんだわ」 そう返すとあっさり納得して和道はバッグを担いだ。「じゃあな」。和道は微笑し、教室を出て行く。七尾は自分が限界に来ていることをようやく認めた。 全身を闇色に染めた和道を、見たい。 トイレで静を見たその日から、自分の中にその欲望が芽生えていたことには気が付いていた。自分はどうでもいい。和道のその姿が見たい。それは憧れのようなものだった。和道は七尾にとって昔からカッコ良い存在だった。力強く、逞しく、実直で。そんな男が、卑猥な姿になってしまったら?静のように和道が獣のような性欲に身を任せる姿をイメージし、何度も抜いた。そこまでしてやっと、七尾は自分もまた特殊な性癖を開発されてしまっているのだと気が付いた。静の姿を見たときか、白浜の言葉に耳を傾けたときか。それとも、この学校そのものに仕掛けられているものなのかは分からない。七尾は我慢した。2か月も我慢した。だから。 「それを着るとね、俺達と同じ予備素体になれるよ」 白浜はにこにこしながらロッカーから黒い布を一式取り出した。ラグビー部の部室は混沌としている。静がパイプ椅子に腰掛け、同じクラスの誼で円加が背後に立っていた。 「ったくよー、上にバレたらマジでやばかったんじゃねえか」 円加は砕けた口調で白浜を糾弾した。静もうんうんと頷いている。 「自分から戦闘員に改造されに来る奴なんかいねえよ。七尾で2人目らしいぜ」 「へえ、他には誰かいたの?」 「知らねえ。他校の野球部の奴らしいけど」 白浜の関心に円加は大して答えない。それよりも七尾の方に興味が向いているようだった。七尾は布を見聞する。ゴムのように薄く伸び、肌触りは化学繊維のシャツに近い。長袖のシャツは首まで覆うハイネック。薄い手袋、ロングスパッツ、五指に分かれた短い丈のソックス。どれも一様に黒く、均質である。 「七尾先輩が仲間になるなら俺もすげー嬉しいっす。俺のこと見てくれてたんすもん」 「ありゃあ事故だけどなー」 「静が露出狂になるなんて、これも予備素体の特徴か?」 そうかもね、と白浜が言葉を結び、視線を七尾に向けた。七尾は衣服を脱ぐのを躊躇っている。いつの間にか、ラグビー部の3人は戦闘員の姿に戻っていた。 「それを着たら、七尾は二度と脱げない。永遠にダーク様の下僕としてお仕えするんだ」 「ああ……」 白浜が七尾のカッターシャツのボタンを外してやる。七尾は抵抗する意志さえない。 「まずは予備素体と呼ばれるものになる。ここの素体は戦闘員として最適という訳ではないんだ。見込みがありそうな者、を優先的に予備素体にしていく。洗脳も改造もゆっくり進むから、時間が掛かる。それが終わると、君は予備戦闘員、つまり俺達と同じ身分になる。まあ、配属前みたいなもんだな。高校をいきなりやめる訳にもいかないし。正式に戦闘員になる前に、特殊な改造をされる奴もいる。その後は、まあ、分かるよな」 「予備素体からじっくり改造された方が良いって話もあるくらいなんだぜ。ある程度、性癖とかを開発できるからな。S高みたいなエリートがいきなり戦闘員になるんじゃなくても、時間掛けて戦闘員になるメリットもあるってこと」 円加が調子づいて話を足した。ライバル意識があるのだろう。T高とS高のラグビー部は実力伯仲であるが、S高の方がやや上手であることは周知の事実である。七尾はその話を半分も聞き取れていなかった。早く着たい。早く戦闘員になりたい。そんな気持ちが沸き上がってくるのが不思議だった。 上着を脱ぎ、シャツに袖を通す。二度と脱げないという言葉通り、服は身体をタイトに締め付ける。その後、熱と共に皮膚と一体化するような感覚があった。制服のズボンを下ろすと、一緒にボクサーパンツも下がり、陰茎が外気に晒された。その躊躇の無さに、円加が口笛を吹く。ローファーとスニーカーソックスを脱ぎ、スパッツに足を通した。一度布を丸めて、引き上げるようにして肌に密着させると、スムーズに穿く事が出来た。 「ここはよく馴染ませねえとな」 円加が無遠慮に七尾の股間を揉んだ。既に敏感になり始めたそこは、布地を引っ張り上げ、コンドームのように勃起したチンポにぴったりと張り付いた。 「んッ…………」 「感じてんのか?もうエロい身体にされてんの分かるだろ?」 「分か、る……おれ、もう変態にされちまってるのか……?」 「はは、さすが自分から志願してきただけのことはあるね。ラグビー部にはなかなか七尾みたいな身体のやついないからなあ」 白浜も遠慮なく七尾の腰や筋張った腹筋を撫で回した。七尾は身体をびくん、びくん、とその度に震わせる。静の気持ちが今なら分かった。快感が波のように押し寄せる。抗えない。人の話を聴いてる余裕などない。あまりの快感に、七尾は思わずイったと思った。実際は先走りがダクダクと溢れ出るばかりで、空イキしただけだった。射精したい。それができないという欲求不満で七尾は頭がおかしくなりそうだと感じている。 「予備素体は誰かしらの戦闘員の射精許可がないと射精できないんだ。最初に説明しておかないといけなかったね、ごめん」 白浜は済まなそうに言ったが、手では七尾の陰茎をぐりぐりと責め立てていた。 「イカせて、早くっ……おかし、なるっ…………」 「最後まで着たらな」 円加がソックスとグローブを手渡す。七尾は悶えるようにしてそれを身に着けていく。熱が迸り、袖口とグローブやソックスの継ぎ目が一体化する。七尾は全身タイツのような姿にようやくなった。 「かわいいね、七尾」 白浜がキスをした。七尾は無条件にそれを嬉しく感じてしまう。白浜はおそらくキスに関連する性癖があるんだろうと思った。全身が蕩けるような快楽に、七尾は息も忘れて顔を赤らめている。歪んだラグビー部の姿見に、新しい己の姿が映った。バスケで鍛えた、スリムだが長い手足を一分の隙も無くダークスウツが覆っている。ここ2か月、夢にまで見た理想の姿だった。勃起したチンポの先から、とろりと糸を引きながら先走りが落ちる。何度も、何度も、乾くことなく溢れていた。ラグビー部に比べれば貧相な身体に見えるが、バランスは良く、それなりに筋肉質なのは改造が既に進んでいるのだろう。ダークノアに関する知識も、まるで白紙に墨をぶちまけるかのように、七尾の脳内に染み渡っていく。これが洗脳なのか、と七尾は思った。戦闘員になったとしても、女子とセックスするんじゃないかと七尾は考えていたが、それが戯言に過ぎないと身を持って痛感する。「予備素体に過ぎないおれが、自由意志でセックスするわけがない。しかも、ダークノアに貢献しない女と」。自然とそう考えるようになっている。 「自分で自分の仕上げが出来るなんて、光栄なことで羨ましいな」 白浜がそう言うと、円加も静も羨望の眼差しで七尾を見ていることに気が付いた。七尾は沁み込んだ邪悪な知識の中から、やるべきことを考える。それはすぐに分かった。鏡の前の七尾が、拳を胸に当て、敬礼のポーズを取る。 「定着……ッ!」 七尾は躊躇わずにそう言った。みしり、と音がしてダークスウツが意志を持ち、七尾を締め付ける。これまでの快楽はほんの先触れに過ぎなかったと思い知らされる。足の裏から頭のてっぺんまで、気持ち良いところしかない。表情を保つ余裕もなく、すぐにだらしない表情になってしまう。敬礼のポーズを解かないまま、七尾は噴射するように射精した。誰から射精許可を貰ったのか、問うまでもない。ダークその人が、新たな手先の誕生を祝して許可したのだ。 「ありがとうございますッ!ありがとうございますッ!」 声を枯らすほどの大声で、七尾は感謝を示した。これまでの洗脳がほんのささやかなものに過ぎず、これまでの改造がほんの微々たるものだったことがようやく骨身に沁みて分かった。七尾の思考や人格を上書きするのではなく、快楽によって一度ばらばらに崩し、ダークノアを中心に据えて再構成される。白浜も、静も、円加も──同じように洗脳されたのだと感じると、七尾は更に興奮した。姿見にどろりと付着した精子は、白からグレーに変わっている。自分の洗脳が進んでいる証と分かって、七尾は満足した。 「七尾先輩すげえ……もう洗脳され掛けてるじゃないっすか……」 「素質があるんだろうな。さすが、自分から志願しただけあるぜ」 静も円加も、自分が一番最初にダークスウツを着させられた時のことを思い出していた。屈辱と反抗心に、肉体が負けて情けなく射精した記憶は、2人にとって恥となっている。素直にダークノアに下らなかった、忌々しい過去だ。 射精が一段落し、七尾は改めて白浜に向き直る。ぴんと天を指し示したチンポは、どろどろに汚れて異臭を放っていたが、七尾は恥じることはなかった。バスケの試合直後のように荒い息で、茶色の髪から汗の雫を滴らせた彼は、達成感すらある清々しさを放っていた。 「予備素体番号T1801210、人間名・安藤七尾は自ら予備素体として洗脳改造されることを志願し、本日ダークスウツの定着を終了したことを報告します」 「よくできました。気分はどう?」 「すげえ気持ち良い。もっと早く白浜に、いや、あの日トイレでそのまま改造して貰えば良かった」 照れ笑いしながらそう言い放つ七尾に、一番昂奮しているのは白浜だった。太い陰茎から先走りがだらりと零れる。穏やかだが、彼もまた獣欲に身を任せ、洗脳改造を終えた戦闘員なのだ。チェック、と白浜が命じる。予備素体専用のコマンドの一つで、洗脳や改造の度合いを報告させる事が出来る。倒錯的で、白浜は好んで使っていた。 「洗脳率82%、改造率44%、性感帯開発ログ:陰茎。洗脳改造終了までの想定射精回数残り4回です」 おお、と円加が驚きの声をあげた。七尾は破格のスピードで洗脳改造が進んだことになる。通常よりも5倍以上速い。静も感心しすぎてぽかんとした顔になっていた。白浜はにっこりと笑う。やはり自分の勘は正しかったのだ、と。 「じゃあ七尾、俺のチンポを舐めてくれないかな。あんまりにも七尾がエロいから収まりが付かなくなっちゃった」 「あっ、ずりい白浜。俺も頼むぜ」 「七尾先輩、俺も良いですか」 3人が駆け寄り、七尾はこれから廻されるんだとよく理解していた。それを楽しみに思っている自分もいる。太すぎる白岡のチンポに舌を這わせながら、戦闘員に改造された幸運を感じた。そして、最初の目的を快楽に流されながらも思い出す。和道の逞しい肉体が、闇色に染まるところを思い浮かべ、七尾は戦闘員として本能的な興奮が疼くのを感じていた。
Comments
ありがとうございますー。年頃の男子の自由意志を制限していきたいです。
葉一
2019-10-20 12:28:28 +0000 UTC洗脳率や改造率を自己申告させるのが、大変にエッチで好きです。本人の尊厳を踏みにじっている感じがあって、とても良いと思います。
くろねこ@9605
2019-10-19 16:03:14 +0000 UTC