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(先行)メイド・イン・ポイズン〜悪いセクサロイドに絡め取られ、崩壊する名家の話〜 第5パート


屋敷に異変が生じていた。


それは余りにゆっくり進行したが故、誰にも気が付かれなかった異変。


時計の秒針そして長針が正しく時を刻むのに、短針だけが気付かれない程度のズレを少しずつ広げていくような狂いだった。


やがて誤魔化しきれなくなった歪みが露呈すると、屋敷のあちこちに重篤な不調和が現れた。

俺含め、かろうじて正常な機能を維持していた数体のアンドロイド達がそれに気づいた時には全てが手遅れになっていた。


初めそれは屋敷の維持を行うアンドロイド達に現れた。

普段のハウスキーピングの最中には邪魔をするなと言わんばかりの近寄りがたい雰囲気を纏っているメイド達が、このところ皆どこか上の空で精彩を欠いている。


手を止めて何かを思い出すようにぼーっとする時間があった。

窓の外を見つめたり、うっとりと何か綺麗なものに縋るような眼を浮かべている。


俺が声をかけるとハッと我に返っていつも通りの冷たい視線を返してくる。

1人や2人ではない、そのような兆候が多くのメイド達に現れていた。


その結果、以前は塵ひとつないほど清潔に保たれていた館に少しずつ汚れが目立つようになった。

家具や調度品に積もったホコリは指ですくえるようになり、オイルの切れた燭台が放置されているせいで昼間でも屋敷がどこか薄暗い。


手入れの回らなくなった庭は荒れるに任されて、樹に張ったジョロウグモの巣では蝶が殺されている。

綻びの見え始めた館内をそれでも辛うじて維持しているのは、トミノをはじめとする数人のアンドロイド達であった。

残された彼らは仲間達の異変に戸惑いながらも健気にハウスキーピング作業を続けていた。


ある日の朝、大広間に行くとそこではトミノが一人でシュンを待っていた。テーブルの上には主のために作られた朝食が手付かずのままで冷え切っていた。


「トミノ、ほかのメイド達は?」


「見ての通り誰も朝の務めに出てこなくなったんだ。みんな自分の部屋にこもったきりさ」


「やっぱりマコトの影響か──」


トミノは「わかり切ったことを」と言いたげに肩をすくめた。不調和の決定的な原因がメイド長:マコトの失踪であることは明白だった。

マコトが居なくなってからというもの、屋敷内の規律は完全に失われてしまったに等しい。マコトをメインハブとして統率されていたメイド・ネットワークは散逸したも同然だった。

背表紙を切り落とされた本のように、各メイドロイドと屋敷との連携が失われ、拠り所をなくした彼女達は彷徨するかのように思い思いに振舞い始めた。


屋敷の異変と比例して、アリスとブレアによるシュンへの性教育カリキュラムは苛烈さを増していた。


シュンは食事や入浴の時以外にはほとんど部屋から出てこなくなっていた。学校へも行っていない。

憔悴しきったシュンは、こちらから話しかけても怯えるだけでそれ以上ろくな反応を返さなくなっていた。


俺はチューターに備わる緊急の通信回線を開いて、外部との連絡を何回も試みた。

通信先はシロヤマ社内のアンドロイド管理部だ。城山家のアンドロイド達はその部局で24時間遠隔モニタリングをされていた。アリスとブレアを城山家に送り込んできたのもそのチームだった。


アンドロイドの異変にはとっくに気付いているはずの彼らだが、ただ1文「継続せよ」との短文をよこしたきり沈黙した。


誰もが漠然と不安を抱えて過ごす日が少しばかり続いて、そしてソレは起きてしまう。


ピピ──ッ、ピピ──ッ


ある日の深夜、システムのアラートが鳴り響いて目が覚めた。こんなことは初めてだ。ポップアップを確認すると『開始』とだけ書かれたウインドウが黄色く明滅していた。


「なんだこれ──」

俺は邸内のコントロールパネルを開いた。すると俺以外のアンドロイド達が屋敷から忽然と消えていることが判明した。


それどころか、だだっ広いこの屋敷の中で、動く物影1つすらない。

シュンの部屋ももぬけの殻だ。俺はただならぬ胸騒ぎを覚え、廊下へ飛び出した。


普段は夜でも煌々と眩しい廊下のLED灯が落ちている。月明りに照らされた青暗い廊下が影に混じって向こうへ伸びている。

明らかな異変、だがそれを俺は誰にも報告することができない。


メイドたちと共有されているチャットルームにアラートを共有しても誰からの返事もない。一方的なこちらからの呼びかけだけが空しくログツリーに記録されるだけだ。

念の為に屋敷のあちこちを探して回った。

大広間、メイド部屋、浴室にキッチン──。だが誰一人、何一つ見つからない。

屋敷のドアや窓にはセキュリティロックがかかっていて、俺は外に出ることができない。ただ、それはいつものことだった。


チューターは屋敷の外に出る必要がない。


この時改めて、俺は自分が外では生きられない水槽の魚だと気がついた。

槽の中に捕食者が這入りこんでいたとしても、外に伝えることができない──。


「あははッ──」


途方に暮れたその時、笑い声が聞こえた。一人のものではなく、複数人で楽しそうに嗤うような。──それは遠く背後からだった。


「あははっ──ッ」

青暗い廊下の向こうから微かに反響する女の声。


「ほら、はやく───」

廊下の突き当たりから聞こえるその声は、だんだんと遠ざかっていく。

俺は息を殺して声の方向へと近づいた。


それは倉庫のある辺りから聞こえたようだ。1階の隅、日当たりも悪く普段は見向きもされないような一角だ。


「ここって……」

俺はその場所にリンクする古い記憶を思い出していた。確かあれは10年以上も前───。


シュンが子供の頃、俺達はよく屋敷全部を使ってかくれんぼをしていた。


広大な館は隠れる場所が多すぎて、どちらが鬼になっても見つけられないのが常であった。

そうした場合、大抵はお互いが飽きてしまって、自然とお開きとなることが少なくなかった。


だがある時、シュンが隠れたままいつまで経っても出てこないことがあった。

俺はシュンの名前を大声で叫び、かくれんぼの終わりを伝えて回ったのだが、シュンは屋敷の何処かに潜んだまま姿を現さない。


夕食の時間になってもシュンは消えたままだった。アンドロイド総出で屋敷の捜索にあたったのだがそれでも見つからない。

仕事から帰宅したお父様やお母様もひどく心配していて、いよいよ警察に連絡しようかという頃、あっさりシュンは見つかった。


本当に突然、シュンはひょっこりと現れた。その場所というのが、この廊下の一角だった。


皆の心配をよそに何事もなかったかのようにきょとんとしていたシュン。

その時の彼が奇妙なことを言っていたのを俺は今になって思い出した。


「掃除道具置き場の先に、屋敷と同じくらいの広い空間があった」


もちろん掃除道具入れの中を入念に調べてもそのような痕跡は見つからなかった。

気味悪がった両親はわざわざ家大工まで呼んで扉の中を調査させたがそれも徒労に終わった。


結局どこかで眠り込んだシュンが夢でも見たのだろう、という笑い話に落ち着き、次第にこの話が語られる回数も少なくなった。


俺は廊下を慎重に進み、扉の前に立つ。

赤く塗装された木戸のドアノブに手を掛けると、意を決して扉を押し開けた。


もしやと予想はしていたものの、俺は驚愕した。

掃除用具が押し込められているはずの半畳にも満たない小部屋は、闇を湛えた大きな空間として広がっていた。

地下へと潜るように続く階段、壁には中世調にデザインされた燭台の明りが並んで、石段を照らしている。


「なんだこれ──」


自分の見たものを信じられず、十数秒ほど固まったあと俺はようやく声を出すことができた。

設計図にもない、ネットワークからも独立している区画。恐らくアンドロイド達の誰もが認識したことすらない闇の広がり。


自分の立てる物音が暗闇の向こうに鈍く反響する。周波数の間延びした反響音が示すのはその闇の奥行の深さだ。石段はらせんを描いて地下へ地下へと降りている。


その向こうから、先ほどの女たちの声が遠くに聞こえてくる。

こんな場所が──生まれた時から住んでいる屋敷にあるなんて想像もしていなかった。


区画が誰からも隠されていたことから想像できるのは、ここが途方もなく危険な場所であるということだ。

所有者のお父様でさえ知らない、城山家に極秘裏に作られた場所。背後にあるのは、恐らく城山家を破滅させようとする計画──。


言うまでもなく、シロヤマとの連絡ラインは機能していない。最高レベルのアテンションで呼び続けても、なんの返答もない。


俺は息を殺したまま、階段を下りて女たちの声のする方へと向かった。足音や絹擦れの音に最大限気を払い、闇に潜水するように。


スタ。スタ。101段の長い階段を降りる。段差の隅に長年の埃が積もっていることから考えて、この空間は遥か昔から使用される時を待っていたようだ。


階段を降りきると開けた踊り場のような場所にでた。声はその先の角から聞こえてくる。俺は壁に張り付くようにして慎重に顔を覗かせた。


「──っ!?」

その先の大広間のような場所で、俺が目撃したものは、予想を超えて凄惨な光景だった。


『じゅるぶっ♡じゅぽ♡』


石壁に反射し、連響する水音。

出処は女の口穴、そしてそこから逃げようと藻掻くペニスだった。


じゅぶぼっ♡ ジュブぶっ♡


知己のメイド達が複数人で少年を組み敷いて、ペニスを暴力的にしゃぶり上げている。

一瞬、その少年がシュンかとも思ったが違った。安堵したのも束の間、事態はより最悪であった。


「ァァ゛オ♡♡ァ゛ァ゛♡♡♡」

喉を枯らして叫ぶその声に聞き覚えがあった。血管の浮き出ていない卵殻のように滑らかな少年の肌は、その持ち主がアンドロイドであることを示している。


「ぁぁ゛♡♡みんなッ──♡゛♡ヤメデ゛゛♡♡おぉ゛゛♡♡」


鳴き声からわかる感情パターンは、俺がこれまでアンドロイドから聞いたどのパターンとも符合しない。

それもそのはず、性愛の感情などシュンを除いて記録されたことがないからだ。


泣き声とも嬌声ともつかない叫びを張り上げているのはトミノだった。

シュンの身の回りの世話をつかさどる執事のアンドロイド──普段の利口で少しマセたような面影はない。


「あは゛゛んあ゛イクっ──♡゛♡んぅア//゛゛」


じゅぶぶっ──♡゛♡

じゅぶるるレルっ♡♡


真っ赤に腫れて磨かれた竿、唾液の輝きだけがツヤツヤと白い光を反射する。

一本の竿を取り囲んでディナーを急ぐのは複数の唇だった。


「みんな゛゛♡♡イく!ぁ゛やめで゛゛♡♡──♡゛♡」


トミノの善がる声を通奏音に、その音階のうえで舌は踊り狂う。


ザラついた大きな舌肉。

1枚や2枚ではない。


ジュブぼっ♡♡ じぢゅるっ♡


──合計6枚の女舌が、トミノをリアルタイムで苦しめている。


メイド達の表情は抜け落ちて、何の感情パルスも読み取れない。

うっとりとした恍惚を下敷きとする弛緩的幸福にまどろんでいる。


アヤメ、ヒナギク、アンズ、スズラン、ガーベラ、ライラック。

庭花から名付けられた6人のメイド達は、その願いである可憐さとは正反対の淫らな捕食者になっていた。


瞳のディスプレイには大きなハートマークが浮かび一心不乱に目の前のペニスを追いかける。


じゅぶぶぶ──♡゛♡

レロレロンっ♡♡じゅる♡♡゛

じゅるぅ……じゅるぅ♡♡♡♡


竿がどこへ倒れ、逃げようとも舌肉群はぴたりと追従して亀頭をくるむ。

射精の兆候を感知した舌は、尿道をつつきまわして、マフラーのようにカリ首を締め上げる。


じゅぶルル♡♡

じゅるれるっ♡♡

じゅるぶぷ゛゛♡♡゛


「ア゜いく゜っ!♡♡──♡゛♡」


びゅるる──♡゛びゅるる──♡゛

びゅっ、ぶびゅっ──♡゛♡


痙攣したトミノの竿から特濃の精液が飛び出す。


トミノをボロボロに犯す口淫の輪は、親鳥に餌をねだる雛のような貪欲さで竿から飛び出る精液を無数の口が我先に奪い合う。


じゅるるぅじゅぶぶっ──♡゛♡

じゅっぷ♡♡──♡゛♡じゅるぅ//♡♡


協調とはむしろ真逆の競り合い。各々が精液を独占しようと争い合うような舌肉の渦。中央に磔になったトミノのペニスはその肉の濁流になすすべなく洗われている。


「舐っめ゜ナいで゛゛♡!イ゛ってル!いってる途中ぁ゛♡♡//」


トミノの竿を中心に放射状に広がる6人のメイド達の女体。雄しべを起点に咲く肌色の花のようだ。床に大の字に広げられたトミノの四肢に、それぞれが体重を掛けて動かなくしている。


じゅぽっ゜♡

じゅぶぶぷっ゜♡

じゅるぷぶっ゜♡♡


女の口花の興味は唯一トミノの肉竿にのみあった。

温かな唾液を塗りつけられ、先端から滲みだしたトミノの透明な雫を厚い舌の腹が舐めすくった。


「んぁ゛♡♡゜くぅ゛ぁ、ら゛メみんなっ──♡゛゛」


天を仰ぐようにのけ反り、投げ出された頭部。トミノと目が合う。彼が俺に気付いたかはわからない。


光度が半分ほど失われたトミノの網膜ディスプレイには苦悶の色が浮かんでいた。

性感が一際強く襲い来る瞬間、縦横に走るノイズのチラつきが痛々しい。


「ぷち」物理ボタンを押し込むような音がしてトミノの目から光が消えた。

焼けるような電気刺激に、トミノのセーフティが作動して緊急避難的に意識が落ちた音だった。


『じゅるり』──ゼリー飲料を吸うときのような格別な水音が上がり続ける。

トミノの眼には電源を落としたブラウン管のような黒が映っている。


だがメイド達がフェラチオをやめる気配は全くない。ナメクジのような厚ぼったい舌肉をうごめかせ、ペニスの表面を躙っていく。


ぷるぷるの濡れた唇で亀頭を左右から挟み込み、吸い付くようにキスをする者。

胡桃大の睾丸をほおばり、口中で嘗めまわす者。脚の付け根に舌を這わせ、滲んだ汗を舐めとる者。まるで「そうすれば続きが楽しめる」と知っているかのように──。そうこうしているとトミノの目に起動時の光が灯って、再起動のプロセスが始まった。


「──♡゛ぁああッ。また、またッ!!──♡゛♡」


快適な目覚めとは余りにかけ離れた絶望、そして夢精の何千倍も強い快楽。瞳液晶の光はずっと弱々しく黄変し、辛うじて正気を保っているトミノの精神はいままさに蝕まれようとしている。


隣では別のアンドロイドの男女が欲望のままに交わっている。

彼ら、彼女らは既に堕ちてしまった者達だ。快楽のままに呻り声をあげてお互いの首筋にかみついては、腰を深く練り合っている。互いが互いを食うようであった。


そのような男女の塊が3つ、4つ。そこにマコトの姿もあった。

「マコト───」思わず叫びそうになり、俺は慌てて口を閉ざした。


忽然と屋敷から姿を消したマコトが無事だったことを喜んだのも一瞬だった。──マコトはもうマコトではなかったから。


「イケ♡イケッ♡イケ──♡」


狂喜の声を上げて、マコトは新人のアンドロイドに跨って腰を振っていた。

全てを見透かした涼しい目元は、泥濘の如く淀んだピンク色に染まっている。


ぐちゅく♡ぐじゃっ♡

水を吸ったスポンジを捏ねるような音が結合部から鳴り響いている。


「あはっ──♡゛ぁハっ♡゜♡」


どじゅく……♡じゅっゅぷ♡!

どじゅる♡ぐりゅる♡!


木馬の玩具に跨るように、マコトの大きな臀部が少年の細腰を潰す。

ぎしっ。ぎしっ。と木ベッドのフレームが痛いほど鳴った。

真っ赤なエラー画面を映した少年の目には、WARNINGの表示が無数にポップアップしている。それでも官能系は生きているようで「消費」されている最中の少年アンドロイドからの五感のデータが俺にいきいきと流入してくる。


マコトはそんなことなど全く意に介さずに、恋人のように握り込んだ手を手綱のように動かし、錯乱状態の騎乗位のまま犯している。


「ふんっ♡ はあっ!♡ んんっっ!♡」

何よりも規律を重んじた彼女は、欲望を一切隠すことなく肉欲を求める獣のような声を上げてセックスに堕していた。周りを見渡すと、これと全く同じような光景が幾つも広がっていた。


貪られているのはいずれも男のアンドロイド達だ。喜悦や苦悶の表情を浮かべる男アンドロイド達の体に平均で2~3体のメイド達が張り付いている。


部屋の隅には仰向けやうずくまった姿勢のまま動かなくなっているアンドロイド達の姿もあった。そして彼らが二度と目覚めないこともわかった。


酸鼻を極める景色に、俺は絶句したまま立ちすくんだ。


──「そろそろ来る頃と思っておりました……♡」


後ろから声を掛けられた。


「アリス……!!ブレアっっ!!」

怒りに振り切れたまま俺は振り返る。

そこには平然とした表情のまま立つ、元凶たる2体のセクサロイドがいた。


「お前たち、皆に何をしたッ──!!」


「何、と言われましても……性教育の『仕上げ』のカリキュラムですが」


あくまでも白々しく続ける。深底に邪悪な笑みを湛えた作り物の表情のまま。


「屋敷のネットワークをハッキングさせていただきました……♥ 毎晩少しずつファイヤーウォールに細工を施したのです。『仕上げ』には準備が必要ですからね」


「それと同時にメイド長様を筆頭にメイド達の性愛パラメーターをちょっと弄り回したのです。音量のツマミを回すように簡単な仕事です」


「それにしても、城山家のセキュリティの甘さには正直驚かされました……♥」


「──お前らの目的は何だ」


俺は一度感情を押さえて、2人のアイカメラの向こうにいる奴らに言った。これほど大掛かりな仕掛けだ。アリスとブレアの侵入から屋敷の支配までをアレンジした背後の「人形回し」がいる。それもかなりの力と地位を持つ人間が。


「それはとても難しい質問ですね……♡ 人類の発展と言っておきましょうか」


「悲しくはございますが、城山家はその為の犠牲──いえ、礎になったのです」


2人はクスクスと拳を口元に添えて笑う。

バカにするような嘲笑の態度で、2人は部屋を見渡した。


「名残惜しいですが、これで城山家はオシマイです♥、旧式の皆様もまとめて『処分』となりますので♥」


ブレアが近くにいたマコトの体を撫ぜた。少年アンドロイドの身体を抱き潰していたマコトの身体はピクと気持ちよさそうに震えた。


「ふふ、もう手遅れですのよ♡ 屋敷の外部回線は全て掌握済みですので」


「私達が屋敷の正常を装っているので、外部の人間はこの異変に気が付きません……♥」


「そうですね……事件が判明するのは、お父様が次に屋敷にお戻りになる数か月後でしょうか♡」


「そんな……」


俺は絶望して言葉を失った。

ここ数日、俺がシロヤマ宛に必死にレポートしていた異変は全て彼女達によって捻じ曲げられ、握り潰されていたに違いない。


「天音様もすぐに性愛の深い沼に堕として差し上げますわ♡──でも、まずは『特等席』でシュン様が大人になるところをしっかり記録していてくださいませ」


「──それが最後のチューターの仕事になりますから」


そう言ってアリスとブレアが視線を移した先。

部屋の一番奥には、赤い豪奢なベッドがある。シュンはそこにいた。


つー。つつー。

一糸纏わぬ全裸の肢体の上に女の手指が滑る。指の美しい側近のメイド達が花の香油を伸ばしていた。指先からこぼれた琥珀色の精油がまだ薄いシュンの胸板に液溜りを作り、女の指が円を描いてそれを広げる。


枕元は庭から切り取った可憐な花で囲まれている。その光景は天国的で、そしてまるで葬式のようでもあった。


「シュンっ──!」


俺はシュンの元に駆け寄る。横のメイド達を突き飛ばし、華奢な肩口にすがりついては何度も名前を呼んだ。それでも反応は鈍かった。意識を保持するのが精いっぱいという様子だ。


「──シュン様は天音様が来るのをずっと待っていたのですよ……♥」


「最高のセックスのため、何百回という寸止めを耐え、よく頑張っていました♡」


「でもそれもようやく終わり、この苦しみからシュン様も解放されるのです」


セクサロイド達はシュンを見下ろすと、シルクの薄布をほどいて床に脱ぎ捨てる。

表面に存分に艶を湛えた肌は、素焼きの陶器のようにしっとりと隈一つない。


「では最後のカリキュラムです」


「これまでは悪い女に子種を奪われないことを主眼としていましたが、最後はその逆……♥」


「『孕ませる』決めた女の膣へと、ありったけの精液を注ぐ授業です」


「歴史上の権力者たちはその若きから、自分の世継ぎを可能な限り多く残すため毎晩のようにセックスに明け暮れていたとか」


「──当然、絶倫でなくては体がもちませんねぇ……♡」


肉感美をゆっくりと揺らして、丸みを帯びた二体のボディがシュンのもとに近付いてくる。極上のセックスのために。


「これから、私たちが本気でシュン様のザーメンを絞り切ります……♥」


「おちんちんが勃たなくなっても。精嚢を雑巾のように搾る時の苦痛が快楽を上回っても……♡ 2つの雌穴が射精を求める限り、シュン様には犯され続ける運命が待っていますわ」


大きな胸、強い腰、表面を伝う水滴の軌道が一目に分かる流麗なボディ。

一糸まとわぬ最新機のボディを見て、俺はそこに込められた悪意を瞬時に理解した。──それは蜘蛛の胎を見た時に感じる、甘い加害欲。


「ようやく私達も自分を開放できそうです……♡」


2人が無毛の臍下をさする。太ももの付け根、陰の濃い部分が柔らかくひしゃげて強調される。完全な女性美と匂い立つ女の色気。


「では早速セックスに参りましょう……♥ 最初は私がシュン様を『食べて』差し上げますね♥」


ベッドの縁に乗りかかったブレアがシュンの額にキスをする。その動きのまま腰の上にゆっくりと跨り膝を曲げた。シュンはそれを見ていることしかできない。


「見えますか、シュン様……♥ すべすべの肌に似つかわしくない下品に濡れそぼったおマンコ……♥」


シュンの瞳に焼き付けるようにして、ブレアが指で股の間の亀裂を広げる。

「くちゅ」と小さな音がやけにクリアに響いた。ブレアが指を広げるたびにピンク色のスリットは幅を増し、やがて濃い赤色が見えた。


シュンも生唾を飲み込んで、目の前の光景に集中している。


『ぷっちゅ♥』

温かな泥濘を押し広げたような濡れた質感。


「では、いただきます……♥ これで童貞卒業ですね……♥」


ブレアがゆっくりと腰を下ろしていく。


ずにゅぷっ……♥ずにゅにゅぅ♥

固く勃起した竿が肉の割れ目に沈み込み、みちみちとした悲鳴を残した。


ずぷぷっ……♥ ずぷっぷぷっ♥

くちゅん。


「んぅ……♥挿入完了♪ シュン様の生チンポがあんまり美味なのですぐに壊してしまいそう……♥」


「はぁぁ……!♡はぁ、気持ちいッ……♡」


竿をキツく締めあげながらも柔らかいままの肉壁がシュンを包み込んでいた。

結合部はキュっと入口をすぼめて、肉厚の土手がペニスをしっかり捕らえる。


入れてすぐだというのにシュンはもう息も絶え絶えだ。

長時間の寸止めにより、睾丸はぱんぱんに膨れている。


「くすくす、まだ挿入しただけですよ♥ ほら動きますよ……♥」


ずりゅ──♥

ずちゅ♥──

ぬちゅっ──♥


ブレアがゆっくりと腰を上げて、下ろす。深呼吸のようなストロークが始まった。

尻肉が細腰とぶつかる度に、『ぱちり♥』といやらしい音が部屋中に響く。


「はっ♡゛はぁ……っ♡おまんこ……すご……いぃ♡♡」


とろけそうな声をあげてシュンの体が赤く紅潮していく。

ゆっくりだった腰の動きが、徐々に速くなっていく。


「あん♪ 亀さんコリコリですよ♥ エラを張り巡らせて必死に主張しているのですね」


ぶぢゅ♥ぱちゅっ♥

ずっち゜ゅん♥ずじゅっ♥


少しずつ重たい水音へとシフトして膣肉が竿を舐っていく。


「はぁぁっ♡ ブレア……っ、もっと♡もっと激しくっ……♡♡」


「えぇ、もちろんですわ♥では遠慮なく……ほらぁ♥」


ぱんッ──♥

ぱんッ♥!

ずちゅんっずっちゅんっ!!


言葉と共に腰の動きに激しさが増す。

一突きごとにブレアの大きな尻が波打って、シュンの竿を膣ヒダが咀嚼しては吐き出す。


ぐにゅっ♥ぐちゅんッ♥ぐちゅる♥ッ


「はぁぁ゛ぁ゛っ♡あ、あっ!んぉ゛ぉっ♡」


「うふっ……♥うふふふっ♥どうです私のおまんこは気に入って頂けましたか」


「す、好きぃ♡コレすきいいっ──♡゛♡おまんこ好きぃぃ゛♡」


既に限界まで射精をお預けにされていたらしいシュンは、完全に理性を飛ばしていた。必死なシュンをブレアは見下ろし、妖艶な蛇のような表情を浮かべる。


「……♥ではそろそろ本気を出しちゃいますね♥」


ブレアはシュンを眼下に見下ろしたままひざ立ちになると、腰を大きくグラインドさせ始めた。前後にすり潰すように腰をすべらせ、ペニスを仰向けで固定したままで膣肉と絡ませる。


に゛ゅちゅぅ……♥

ぐちゅぅぅぅゅっ!!♥♥


「んぃい゛ぃっ!?♡♡ぁ///は♡」


一足飛びに滑らかさを増した腰の動きに、シュンの体がびくりと跳ねる。

シュンをいたぶることを楽しむようなグラインド。竿が膣壁と擦れあうグニュグニュとした音が膣外に鳴り渡る。


ぐりゅんっ♥ ぐりりゅう……♥ ぐりゅん♥


「イクっ゛あ゛♡──♡゛ぁっ──♡゛♡」

「シュン様ったらもうイくのですね……♥いいですよ。子宮に存分に精液を注ぎなさい」


どちゅぅ!ぐずちゅっ!ぐちゅぅぅ!!♥♥


「お゛♡んぉっ♡んあ゛ぉおお゛っ♡」


ブレアが腰を打ち付け、膣内粘膜をペニスの裏面に擦り付ける度、シュンは体を跳ねさせて悶える。紅潮した白い肌の表面には玉のような汗が浮かんで捻れる体躯の表面を滑っていく。


びゅるッ──♡゛♡

びゅびゅうぅ……♡!びゅくん!♡びゅるっ──♡゛♡


シュンが絶頂した。

脚先をピンと伸ばして腰を浮かせ、騎乗位で跨る膣肉にペニスを捧げる。


ビュクク♡ ビュルっ♡♡びびゅゅ♡♡


「あらあら、もうイッてしまったのですね……。でも終わりません……♥ ほら天国に連れていって差し上げます」


ずりゅっ♥

ぬぢゅるるっ♥

ぶ゛ちゅっ!♥♥


「//ン゜ひぅ゛!?♡お゛ぉぉっ!?♡」


射精の余韻に浸る間もなく、ブレアが腰を振りたくり始める。

その膣ヒダの一枚一枚がシュンを絶頂へと追い込んでいく。


ぬ゛りゅり゜♥゜♥゛

ぬぶる♥゛りゅり──♥゛♥


「あぁ゛♡♡ぁはぁ゛──♡゛♡」


「ぴっちりと閉じたヒダヒダをおちんちんでこじ開けさせられる感触が気に入りましたか?」


「足を苦しそうに振るわせて、お行儀が悪いですよ……♥」


ぶりゅりっ♡

びゅるる──♡゛


「まだこんなに出るではありませんか……♥ 膣奥でゴム鞠のように膨らんだ亀頭が暴れて、ぶっ濃いザーメンを吐き出しています。ぴゅっぴゅ中の裏スジにおマンコの壁を押し当てて『ずりゅ♥ずりゅ♥』磨いてあげれば……はい天国ですね♥」


ぶびゅっ……♡

びゅるるっ……♡

ぶぴゅるる……♡


「お疲れ様でした……♥ 少し休憩、といいたいところですが……♥ふふアリスが待ちきれないようです」


ブレアはそう言うと騎乗位からシュンを解放し、嫉妬の炎を燃やしている友人にその座を明け渡す。大人の重みから解放された小さな肢体は、余韻を味わう暇もなくアリスの下敷きとなる。


「──では次は私ですね。ブレアに初物の童貞ザーメンを取られてしまいましたから、私は『量を』要求します……♡」


ブレアと位置を交換し、アリスがシュンのペニスを膣奥に挿入しようとする。

アリスの体は火照っていた。純白の肌に桃色の赤みが差して、熱を持っている。

はぁはぁ吐息を荒げて、目はとろけている。


アリスは目の前で散々焦らされた影響か、半ば怒っているようにも見えた。


「待って……、まってぇ……!」


「いえ。ブレアに散々特濃の精液を捧げたのです。休憩などさせません……♡」


ぐちゅり──♡゛♡


アリスは厚みのある臀部をシュンの腰上に落とした。

ギシッとベッドの軋む音が鳴る。


「ほら、プリプリのグミのようなおマンコです……♡ 凶悪な搾精構造でシュン様を犯しますので、初めからガマンなさらずにザー汁をぶちまけなさい」


ぐちゅん♡ぐちゅん──♡゛ぐっちゅん♡

アリスが腰を前後に揺さぶり、ピストンを繰り出し始める。


ごりゅ。ぶりゅり。

シリコンの搾精ヒダが圧を受けてシュンのペニスを咀嚼する音が上がる。

吸盤が亀頭に吸い付いては外れるクポクポとした音がピストンごとに鳴った。


ぐっじゅり♡♡ぶじゅり……♡ぶりゅ♡♡


「あぁ゛!何これ!ヤバイ、すごすぎるっ゛!!」


シュンの肢体が乱れてよじれる。

アリスの膣に挿入後、尋常ではない暴れ方を見せている。


眼下でのたうつシュンを見て、アリスは満足気に微笑む。そして体を重ねるように耳元に口を運び──「♡♡イケ」と命令を発した。


ぶりゅりゅっ──♡゛♡

ぶりゅりゅ──♡゛♡


驚くべきことにたった数秒の内にシュンは絶頂した。


ぶりゅりゅ──♡゛♡ぶりゅる──♡゛♡


「ナカダシ中にとろとろの膣肉でカリ首を柔らかく締め上げています……♡」


ぐりゅんっ♡

ぐりぐりゅん──♡゛♡

ぐりゅう──♡゛♡


「きゅうきゅうカリ傘が軋んで、絞め殺される小動物の甘い鳴き声のよう……♡ 恋人のようなディープキスをしたまま『キスハメ』いたしましょう……♡」


「ム゛♡♡んぁ゛♡♡♡!!!っ!!」


ブビュぅぅ……♡

ぶりゅ♡♡!!ブビュ


アリスのねちっこい強圧ピストンはいともたやすくシュンの精液を奪っていく。

丸く重たい臀部がシュンの腰を「ばちん」と圧し潰し、力量差をわからせるレイプの如きピストンを練り込んでいく。


ぐりゅんッツ♡

ぐりゅんっ♡

ぅぐりゅ゛ん♡♡


「あ゜//んぁ゛♡♡、んくむっ────♡゛♡」


セラミックの腰関節が噛みあい、レールを往復するようになめらかに滑る。


ぐりゅんっ♡ ぐりゅんっ──♡゛♡

ぐりゅぅぅんっ♡♡


スナップの効いたアリスの丸い腰がシュンの骨盤から減速しながら持ち上がる。放物線のように頂点に近づくほど抽迭にブレーキがかかる。


この減速はその後の力強い腰の打ち付けに備えたものだ。

頂点付近で女腰は数秒の溜めを作り、下に落下する。


──ばっちゅんぅぅ♡゛♡


「んぅぐっ♡! んぅ゜っぐ♡♡゛んぐっぅ♡゛♡゛」


深いキスで塞がれたシュンの口は、嬌声の代わりに喉から直接の嗚咽を漏らす。


シュンは本気で逃げようとしている。

結合部を何とか逸らし、細い肢体が右に左に捻れる。


「2回目……♡、そのまま3回目……♡」


びゅるる!!゛♡♡びゅる!!゛♡♡


結合部から大量の精液が噴き出し、ボタボタ垂れ落ちる。襲うアリスの膣肉は柔らかいままに張り詰めるという矛盾した質感を獲得している。


「4回目……♡ ん、5回目早いですね」


アリスの膣は、シュンの悶絶の悦びと比例してフルスロットルで振り落とされた。

逃げ出そうと藻掻くシュンの顔を両掌で抱きしめ口いっぱいに濃赤色の分厚い舌を押し込む。


ンジュれる!♡♡

べロレル♡♡じゅるるん♡♡


ぐゅりゅん♡♡!ぐゅりゅん♡♡!


膣内には豆球のような小型バイブレーターが鈴口、裏スジ、カリ首のといった性感帯にぐるりと配され、シュンのペニスを確かな振動で蹂躙する。


シュンの目からは涙が零れる。

被虐の恐怖と強制的に押し付けられる快楽で、瞳は上ずり白目の割合が多くなる。


「んんッぐむんっ♡♡゛んふ゛♡」


ブビュぅぅ!ぶりゅ♡♡゛ぶっぴゅる♡♡


「んふぅ♡ 6回目……♡ 追い込みます♡」


ばっちゅんっ!♡♡ どっちゅぅ♡♡

ぐりゅうん!ぐりゅうん!♡♡


ピアノ線で四方八方から吊ったように伸び切る手足。ピンと張り詰めたその先端はアリスの膣肉が捻りを伴い落ちる1回ごとに痙攣する。


シュンの瞼は半開きに脱力し、白目を剥いた眼球が涙の川を頬に残した。

アリスのとろける乳房に鼻から下を覆い潰されて、甘悲しい鳴き声も許しを乞うような言葉さえも聴こえない。


「ナカをきゅーっ♡て絞り上げて、ヒダやイボが亀さんに絡みついて離さないように♡♡ ──『しゃぶり尽くしてあげますね』」


「んっ───!!゛♡♡♡いく゛♡♡んっ゛イグ!!!」


プツリと糸が切れたように弛緩する。

重力のままに投げ出されたシュンの表情は見ていられない程に凄絶だった。


「すご〜い♪好き放題イってます……♡♡ 幸せ過ぎて死んじゃいそうです……♡」


ベアリングの恩恵を存分に受けた容赦のないピストンが、シュンの体奥から精液を直接吸い取った。


「はぁっ♡゛♡゛♡! んはぁぁ゛ッ──♡゛♡」


呼吸まで制限するようなディープキスから解放されたシュンは酸素を求めて喘いでいる。半分朦朧として酸欠の肺に急いで空気を取り込む。


「ほら、トドメ……♡ぁむ……♡」


アリスが再びシュンの唇を奪う。

舌肉を深く差し入れて、再び酸欠状態となったシュンは溺れるように藻掻く。

──そこに先ほどの激しいピストンが襲い掛かり、シュンの意識を飛ばしにかかった。


どちゅっ──♡゛♡どちゅんっ──♡゛♡

どちゅっ♡゛どじゅっ♡どちゅん──♡゛♡


ビュルっ♡♡゛゛!

びびゅるるっ♡♡゛!!

ビュクク゛!♡♡


「んむ──♡゛♡!!んむ゛゛♡♡♡!!──。。」


ばたり。

刹那の痙攣の後に、筋肉が弛緩する。

シュンは今度こそ本当に意識を失った様子だ。


アリスは抱き締めたシュンの表情を観察しながら念入りに十数回のピストンを振り落とした。本当にシュンが気絶しているか、演技ではないかを確かめるため。


どちゅん──♡゛♡どっち゛ゅ♡ずぷちゅっ♡゜♡


ぶしゅっ♡♡! ぶしゅしゅっ──♡゛♡ ぶりゅ♡゜♡

そのピストンに応じて、吹き出すように精液が結合部から零れ落ちる。苦しそうに呻きこそするがシュンが意識を取り戻すことはなかった。


「……♡ごちそうさま♪」


シュンの鼻先で小さく呟いて、アリスは肉の檻からシュンを開放した。

吸精を終えた結合部からは『ぼたた──♡』と子宮のキャパを超えた分の精液がこぼれた。


「んお゛ぉぉ……♡♡ ん゛ぁッ……♡゛」


一方的な捕食から解放されてからも、シュンの喉は余韻を反芻して呻き声をダダ漏れにしている。文字通り、抱きつぶされたシュン──俺は何もできずにそれを見ているだけだ。


「はい、では一回戦はこれで終わりにしましょう……♡」


「どうですか天音様?シュンさまが本番セックスを終えて立派な大人になるところは。とてもステキだったでしょう……♥」


アリスとブレアは自分たちの体を撫でるとすくっと立ち上がって、俺の方を見た。

俺はシュンと同じかそれ以上に茫然自失の状態になっていた。


たった今目の前ですべてが終わったという現実を受け入れらなかった。

これですべてが終わりだ。城山家も、この屋敷もシュンも。

だが俺自身にもそれ以上に最悪な事態が迫っていることにまで気が付かなかった。


「そうそう♥ 私達から天音様へのプレゼントがありますの♥」


俺を後目にアリスが部屋の最奥の扉を開いた。

ギイと軋んだ蝶番。深い暗闇の向こうから2人の人影が現れた。それは今まで見たことのないアンドロイドだった。


水色と銀色の髪を靡かせ、艷めく美しい長身の肢体が俺の前に進みでる。

口角を持ち上げ、含むようにニヤニヤと微笑む2人は、邪な瞳で二回りは小さい俺を見下ろす。そのサディスティックで危険な視線に俺は彼女達の役割をすぐに理解した。


「この子達は私達と同じ、最新型のセクサロイド達です」


「今から天音様を抱きつぶしてくれる、とっても腹ペコの女の子たちです♪」


水晶の瞳、長い睫毛。そして邪悪な瞳。

言葉を交わさずとも何を考えているかわかる。


「私達と同じ型ですから、妹みたいなものですね……♥いやらしく、卑猥で、絶倫で──」


「天音様のことを壊したいほど、だ~い好き♡にチューニングした2人です」


「今から奥の部屋で天音様が受け取れる限りの幸福を無理矢理にでもたっぷり注いでくれますの♥」


「──では、我々はシュン様を起こして続きをしますので、これでサヨナラですね」


アリスとブレアは手を振る。

初めて2人が屋敷に現れた時のように優しい目で。


「さようなら、チューターさん♡」


「そちらも末永くお幸せに……♥」


水色髪のセクサロイドがまるで赤子のように軽々俺を抱きかかえて持ち上げる。

そのまま、部屋の奥に運ばれていく。


「シュン──!しゅんっ──!!」


これが最後となることを知って、喉を張り上げて俺は必死にシュンを呼ぶ。

だが真っ白に塗りつぶされたまま戻らないシュンの意識には届かない。


名も知らないセクサロイドの腕の力は強く、振りほどけない。

逃がさぬよう強引に俺を抱きとめる女の肌の柔らかさに、一瞬で俺は自分を待つ運命を悟った。


俺はこの後、皆と同じような結末を辿るだろう。


「ぁあっ!!そんなっ!!シュン──!!」


広間が遠ざかっていく。

声帯のスピーカーボリュームを振りきって電子ヒューズが弾けても、俺は叫ぶのをやめなかった。半ば断末魔の絶唱のような声に似たノイズ。見かねた銀色の髪のセクサロイドが口づけで無理やりに俺の口をふさいだ。


『かぷ。』


口づけの瞬間、ショートのように電撃が流れた。モゴモゴと舌を絡め合った、まさにその一瞬のうちに意識がおちる。数ミリ秒のオーダーでクラッキングは終わった。「圧倒的な」というのもおこがましい程の彼我の差がある。


銀髪は子を寝かしつける母のような困り笑いを浮かべ、電子的惨敗を喫した俺を見下ろしている。


全身の力を制御するシステムが壊れ、手足が弛緩する。続けて、自我をつかさどる基幹部分がマウントされた。


数億センテンスにも及ぶソースコード、数万ページにも及ぶ設計図や回路図が一瞬のうちに読み取られ、情報を抜き出される。

敵アンドロイドの触腕に神経表面を直に読み取られるような身の毛もよだつ気色の悪い感触。

だが、極めて従順に、俺はそれを受け入れなければならない。


猛烈な麻痺毒を口から流し込まれたかのようだ。なすすべもなく全システムのコントロールを奪われる。

最新型のアンドロイドのハッキング能を前に、俺はたったの一瞬でさえも持たなかった。


このままでは、全て消えてしまう──。

意識が急激に鈍り、脳みそがとけていくようにぼやける。


屋敷の記憶、お父様やお母様の記憶、メイド長の、みんなの記憶。普段は見向きもしないデータ達が表層に現れては消える。

人間が死際に見るという走馬灯とはこのようなものなのだろうか。もっとも今の俺にはこれが自力で見る夢なのか、クラックの結果呼び出された幻なのか、わからない。


最後の瞬間、とっさの思い付きで俺はとあるデータ領域に自分の知覚データを焼き付けた。さながら、沈む船から宝物を急いで海へと投げ捨てるように。


「2人だけが知る秘密のデータの隠し場所」そう誓ってシュンとあの日作った場所だった。


そこにはシュンがまだ小さかったころの思い出が保存されていた。

初めての旅行の時の笑顔。川下りの時の真剣な表情。優秀生徒の表彰を受けた時の恥ずかしそうな顔。

──埃をかぶったトロフィー室のような古いデータ領域に、俺は最後のデータを転送した。


誰か、このデータを、わずかでもいい──。


正常の1%未満の意識レベルで俺は最後の仕事をやり切ると、ふふっと笑った。

「?」と不思議に思ったセクサロイドが俺を再スキャンするが、収穫はない。


消えていく意識の中、同じデータ領域に保存されていたシュンとの膨大な記憶の数々が走馬灯のように再生されていった。


【終】

(先行)メイド・イン・ポイズン〜悪いセクサロイドに絡め取られ、崩壊する名家の話〜 第5パート

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