XaiJu
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スケブ作品 部族化大崎姉妹

「こんな創作みたいな出來事、有るんだな・・」 俺は砂浜に腰を下ろし、 南国特有の強い日差しに肌を焼かれながら海を眺めていた。 どれくらい経ったか分からなくなるほど照らされた御蔭か、 俺の肌は現地の人間と見紛うほどにすっかり黒くなっていた。 いや、見紛うのはなにも肌の色だけではない。 「肌は兎も角・・この刺青はなあ・・」 俺は己の腕に刻まれた不思議な模樣の刺青を撫でた。 刺青は腕だけではなく、腹部や背中や下半身、 はては顏にまで刻まれていた。 生きていく為、仕方なくとはいえ、己の選択とそれに就き合わせる形になってしまったあの子たちの事を想うと今でも心が苦しい。 「一体どっちが正しかったのか…痛っ!!」 不意に背中が激しく痛んだ。当然だ。あんな無茶をして大怪我してから大した日も経っていない。我ながら無茶をしたものだ。 「・・そろそろ村に戻るか・・二人も心配するだろうしな」 俺は傷を労りながらゆっくりと立ち上がると再び海の向こうに目を向けた。ぽつりぽつりと見える小島以外は果てしなく続く水平線。 打ち寄せる波の音と鳥の鳴き声だけが、 澄んだ空気に響き渡っている。 「・・あれからもう二年ほどになるか・・」 アルストロメリア初めての南国海外ロケは無事終了。 俺は心の荷が一先ず下りてとても安堵していた。 異国の地でのロケなんて不安の種は尽きない。 ましてアイドルを預かる身として調整や段取り、 安全面への配慮等気を抜く暇が無い。 俺のストレスはかなりのものだった。 だがそれもひと段落。 大役を務め上げた事も有って、俺は浮かれていた。 ロケ終了後はすぐ帰国する予定だったが、 先方の計らいで一日余分に日程をおさえておいた御蔭で最終日は自由時間となった。 降って湧いた自由な一日。 当然三人ははしゃぐ。 俺も内心はしゃいだ。 「プロデューサーさん!海!みんなで海に行こ!」 最終日の自由時間。朝食後に甘奈が満面の笑みで俺に向かって言った。俺はあんなに水着ロケをしたのにまだ海に行きたいのかと理解に苦しんだ。しかし甜花や千雪も同意見だったようだ。俺は半ば三人の若さに引きずられる形で同伴を承諾してしまった。まあ自由時間とはいえ三人から目を離すワケにはいかないし、俺もたまにはビーチを楽しみたく思っていたし、丁度良いかと思った。 「水着・・買わないとな」 「ビーチで水着になるなんて何年振りだ?」 俺は慣れない外人用水着でビーチに立ち尽くしていた。 サイズが大きく、変な動きをすると脱げ落ちそうになる。 俺はその度に周りの目を気にする。 しかし周りには他の客がちらほらと見受けられるが、 殆ど人がいない。 それもその筈。ここはホテル専用のビーチなので、 利用客以外は入れない。ここが高級ホテルともなれば猶更だ。 「こんな立派なホテルを宛がってくれた先方には感謝だな」 俺が安堵する中、 三人はそんな事などお構い無しにはしゃぎながら海へと入っていく。 俺はやれやれとため息を吐きながら、 ビーチに並べられたビーチチェアの一つに腰をおろしつつ 三人を眺める形で監視を開始した。 心地よく照り付ける太陽。 ゆったりと頬を撫でる風。 潮の飛沫と遠くに聞こえるみんなの笑い声。 「ふああ・・ん・・平和だな」 連日の心労から解放された気の緩みと眠気を誘う平穏な空気に、 俺は溜まらず欠伸をする。眠い。 監視開始から何時も経たず、身体はうつらうつらと舟をこいでいた。 (いやいや、いかんいかん) 俺は顔をぴしゃりと叩き、纏わりつく眠気を何とか追い払う。 己のだらしなさに半ば呆れながら、俺は再び沖の三人に目を向けた。 「ん?なんだ?」 三人の様子が何かおかしい。いや、二人? 一人足りない? 誰だ? 千雪が此方を向いて叫んでいる。 甜花? 甘奈? ぐるぐる巡る思考をよそに、俺は慣れない水着に脚を取られながらも 全力で海に駆け込んだ。声を上げる余裕もなく、一目散に三人の元へ泳ぎ寄った。 「プロデューサーさん!!甜花ちゃんが!!」 近くで千雪の声が聞こえた。 俺は泳ぎを止めずにそのまま海の中へと潜る。 たちまち広がる静寂と、光が差し込み青く輝く美しい世界。 そこは思いのほか深かった。 監視などど言いながら、遠目に眺めていただけの己を悔いた。 辺りを見回すと、ゆっくりと底へと沈んでいく二人の影が見えた。 (二人?) よく見ると甜花の手を摑んだまま共に沈みゆく甘奈の姿も見えた。 甜花を助けようとして溺れてしまったのだろう。 俺は急いで泳ぎ寄り、二人の手を摑んだ。 幸か不幸か、二人とも気を失っているようで暴れられる事も無く比較的容易に水面へと連れていけそうだった。 その時、俺の身体がぐいと底へと引っ張られた。 俺は戸惑い必死に藻掻いた。身体が動かない。 いや、いくら泳いでも身体が上に進まない。 (海流が急に!?) いきなり現れた海底へと流れる海流に恐怖しながらも、 俺は必死に抗い泳いだ。 しかしそれもむなしく、 身体は三人ごと底へとどんどん引き摺り込まれる。 ごほ!!ごぼぼ!! 俺は焦りから思わず息を吐き出してしまった。 (しまった!!) 後悔しても遅い。 一気に押し出される空気、入れ替わりに流れ込む海水。 無意識に死を覚悟し震える身体。 そのくせ妙に落ち着いた頭。 死の間際に出るとかいう脳内麻薬のせいか? こんな時にどうでもいい思考を巡らせる自分に少し腹が立った。 そうこうしているうちに、身体はどんどん海底へと沈んでいく。 押し寄せる後悔の念。 あれだけ気を張っていたくせに、最終日に気を抜いた瞬間にこれだ。 俺は薄れゆく意識の中、心底自分が情けなくなった。 (甘奈、甜花・・すまん・・) 迫る暗闇の中、俺は手探りで二人の身体を抱き寄せた。 今以上の後悔をしない為に。 誰かの声が聞こえた。 話声だ。しかし何を話しているのか分からない。 (天使ともなるとさすがに日本語で話してくれないか) 俺は妙な結論を勝手に導き出つつ起き上がろうとした。 しかし身体が動かない。 激務で寝落ちした時によく味わった、所謂金縛りに似た感覚だった。 「うう・・」 何とか起き上がろうとしているうちに自分の呻き声が聞こえた。 するとそれに反応したのか、誰かの声が再び聞こえた。 「gれちおkお」 それは全く理解出来ない言葉だった。少なくとも英語や日本語ではない。俺は置かれた状況を忘れ、興味を引かれた。訪ねるために声を上げようとすると、突然顔に不思議な匂いのする煙が吹きつけられた。 俺は溜まらずそれを吸い込んでしまった。すると即座に身体が浮き上がるような激しい恍惚感が全身を襲ってきた。それと同時に身体の感覚が失われていく。まるで心が空へと溶けだし散っていくような奇妙な自然との一体感。そんな不思議体験の最中でもこれだけはよくわかった。 (コレは麻薬だ。このままでは不味い) 俺は無意識に危機を回避しようと身を捩ろうとする。 すると何かしら複数の手が身体を押さえ付けてくるのを感じた。 それは不思議と嫌ではない心地よい感覚だった。 俺はいつしかその感覚に身を委ね、深い安寧の闇へと落ちていった。 (暑い・・いや、熱い?) 暑気とも熱とも取れる不快な感覚に、俺はのそりと起き上がった。途端に頭が酷く痛んだ。 「痛っ!!」 俺は溜まらず頭を押さえ呻いた。 飲み過ぎて起きたときの不快な感覚。 久しく味わっていなかった懐かしい痛み。 (飲み過ぎた・・いや、違う) 寝起き特有のガラクタ頭を意識の鞭で叩き起こす。 (・・そうだ、俺はあの後・・) 解れた記憶の糸をゆっくりと解く。 溺れた事、謎の言葉、麻薬、甘奈、甜花・・ (そうだ!!二人は!?) 俺はそこで初めて顔を上げ目を見開いた。 寝起き特有のぼやけた視界が次第にはっきりしてくる。 そして眼前の余りに異質な環境に、思考が再び迷子になる。 草木で編まれた簡易的とも取れる原始的な小屋、立ち込める不思議な香り、熱帯の気候に蒸された独特の空気、坐して俺をじっと見据える老人。どれをとっても詳しい説明を聞かねば整理がつかない。 ただでさえ情報過多なのに、眼前の老人の出で立ちが追い打ちをかける。浅黒く焼けた肌全体に刻まれた幾何学的な模樣の刺青、老人を彩るビーズや羽根飾りであしらわれた無数の裝飾、何より一番驚いたのは、彼には覆い隠されるべき衣類にあたるモノが一切ないという事だった。それは彼の露になったシンボルとて同様だった。 「気が付いたか」 呆気にとられた俺に、老人が語り掛けた。 (日本語?) 俺は老人から発せられた耳に馴染む言葉に一瞬混乱した。 (先刻聞いたあの謎言語ではない。言葉が理解できる。だがこれは日本語ではない) 「すまない。あんたは?」 俺は言葉も整理も付かずに思いついた言葉を紡ぎ出した。そしてまた混乱する。俺が今喋った言葉も日本語ではない。だが理解出来、操れている。俺は訳が分からなくなり、まるで吹き替え映画を見ているかのような感覚に陥った。 「戸惑うのも無理はない。だが案ずるな。お前たちは無事我らが神の寵愛を賜る事が出来た。既に我らの仲間だ」 老人はにこりと笑い、優しく俺に語り掛けてきた。だが妙な胸騒ぎを覚えた。 「寵愛?いったいどういう事だ?」 俺は相手が目上の人間という事を思い出し敬語で話そうと努めたが、今の不思議な言語のままではどうにもうまく話せない。 老人はそんな事など全く意に介さず話を続ける。 「お前たちの身体に刻まれた印が、我らが神の寵愛を示す証だ。お前たちは再びこの世に生を受けたのだ」 老人の言葉に胸騒ぎが一層増した。俺は恐る恐る己の肌をじっと見つめる。 「・・どういう事だよこれ・・おい!」 そこには老人と同じ模樣の刺青が全身に刻まれていた。見る事は出来ないが、おそらく顔にも。無駄だと思いつつも擦って落とそうとするが、当然落ちない。それは本物の刺青だった。 そしてそこで初めて俺は自分が裸であるという事に気が付いた。 老人は動搖し、今にも摑みかからんとしそうな俺を見つめながら落ち着いた態度でゆっくりと口を開いた。 「それは神の寵愛だ。お前たちは一度死んだのだ。それが為されなけばお前たちは既にこの世には居らぬ」 突然の超常的な話をされ、俺は唖然と固まってしまった。 「理解が及ばないのも無理もない。初めから話そう」 老人は目を閉じ再びゆっくりと話し始めた。 老人の話によるとここは外界と隔絶された島のなかの村で、 昔から独自の文化と文明で生活しているという。 勿論外部との接触はないが、それでも十分自給自足の生活でやっていけているらしい。村は長老である老人の下、いくつかの役割分担を以てして平穏無事に生活しているが、極めて稀に外部よりの漂流者が存在するという。漂流者はみな島に流れ着いた時点で息絶えており、そこで彼らの言う「神の寵愛」を賜る儀式が執り行われるらしい。曰く、呪術師の調合した秘薬を用いて祭壇に祈りを捧げつつ漂流者の身体に神の紋様を刻むとの事だ。そこで運よく神の寵愛が賜れれば、漂流者は神よりこの島に受け入れられたと見做され息を吹き返すらしい。今回はかなり久し振りの儀式だったが、無事三人とも息を吹き返しとてもめでたい事だと語った。 「三人!?じゃあ甘奈と甜花は!?・・も?」 俺は二人の無事が確認できた嬉しさと同時に、そのことの意味も悟った。 老人は俺の言葉に無言で頷き、小屋の外に向けて何かしら声を掛けた。すると程なくして外から複数人の足音が聞こえた。 扉が開くとそこには村の男と思われる若者に連れられて見慣れた二人の姿が有った。 「甘奈!甜花!無事だったか!!」 俺は近寄って抱きしめたい衝動に駆られたが、二人の様子に理性が働き思いとどまった。 危惧していた通り、二人とも裸の状態だった。そして恥ずかしそうに手で隠しているも、その全身には居れと同じような刺青がびっしりと刻まれている。二人は泣き腫らした顔を俺に向け、複雑な感情が入り混じった表情を浮かべた。 「・・プロデューサーさん・・甘奈・・どうしよ・・」 甘奈が絞りだすような泣き声で俺に語り掛けてくる。甜花は甘奈の影隠れているが、動搖を隠せていない樣子だ。 「・・あう・・プロデューサーさん・・甜花たち・・元に・・もどれる?」 哀しい詰問に、俺は言葉を見つける事が出来ずにいた。 俺たちの動搖した様子を見て、長老は少し思案して口を開いた。 「お前たちにこの家を与える。心の整理も有るだろう。お互い話し合ってこれからの事を決めるといい。お前たちはもう我々の一員だ。協力は惜しまない。だが島から出る事は思いとどまった方がいい。ここから出て行こうとした者は皆命を落として流れ着く。神の寵愛を無下にするな」 そう言い残し、長老は若者と共に小屋を出て行った。 これが奇妙な三人共同生活の始まりだった。 現代社会に慣れ親しんだ俺たちにとって、 村の生活は何から何まで不思議なモノだった。 まず部族民の出で立ち。やはり皆衣類の類を身に付けていない。 身に付けているものといえば各々自作した裝飾くらいだった。 ここが熱帯の割には通年過ごしやすい気候環境というのもあるのかもしれないが、それでもほぼ全裸での生活というのはかなり異質だった。俺も二人も、これには慣れるのにかなり時間を要した。 そして村の生活スタイル。これはほぼ自給自足で賄われており、各々が狩猟、農耕、漁業など割り当てられた役割をそれぞれ全うしていた。全ての收穫は村の共有財産として、長老たち指導者の下で平等に分配されているようだった。そのせいか、俺は村に着いてから争いごとらしいものに出くわしたためしがない。 村の仕事は当然俺たちにも割り当てられ、俺は他の男たちと共に狩猟を、甘奈と甜花は女たちと共に農耕栽培に共に慣れない手つきで勤しんでいる。 最後に一番気になった事が有る。 それは村の性概念だ。ここの人々は至極性生活に鷹揚らしく、日中から空き時間が有ればそこかしこで人目を憚らずに行爲に勤しんでいる。最初見た時は度肝を抜かれたが、月日が経ってみればそれもごく当たり前の光景に思えてきた。というか、この島に来てから俺も二人も何かしら妙な気分になる事が増えたのだ。最初はお互いの姿もあり、あまり肢体に目を合わせないような会話をしていたが、日を追うごとに互いの距離と身体が近付いていった。 最初に関係を持ったのは甘奈だった。或る日俺が仕事終わりに一人で村はずれの川で水浴びをしている際、いつの間にか背後から近づかれ言葉も無く背中から抱き締められた。俺は背中に触れる膨らみを肌で感じた瞬間、どこかで何かがはち切れた。それからはもうアイドルとプロデューサーなどという肩書や体裁はどこかに消え失せ、あとは取るに足らない二匹の獣だった。お互いの欲望を極限まで相手にぶつける。俺はその日、甘奈の中に何度も自身の滾りを放った。 次の日、同じように俺が川で水浴びをしていると背後からそっと抱き締められた。俺はまた甘奈かと思い振り返ると、そこには酷く恥じらいながら伏し目がちな甜花が居た。 「・・プ、プロデューサーさん・・甜花、も、なーちゃんと・・同じ・・」 顔を真っ赤にしておずおずと絞り出すような声で、甜花が俺に話かけてきた。その姿に俺はまた昂りを抑えきれなくなり、甜花の小さな唇を己の口で塞いだ。甜花の眼は大きく見開かれたが、すぐに察したのかそっと瞼を閉じ俺の身体に腕を廻してきた。 (見られていた、か) 俺はそう心の中で思いつつも、不思議と特に後悔の念は無かった。寧ろ激しく自身が昂るのを感じた。そして今は目の前の甜花と行為に勤しむ事だけしか考えられなくなっていた。俺は半ば強引に甜花を畔に押し倒し、半ば戸惑う甜花をお構いなしに貪るように愛した。俺は甘奈の時と同じく愛撫もそこそこに甜花の内部に侵入した。二人とも初めてだというのに秘所は準備万端だった。俺はこの性衝動と同じようになにかおかしいと感じ始めていた。いつもなら阻んでくる筈の理性が全く機能しない。 (やはりなにかがおかしい・・) 俺は漠然とした違和感に対して論理的な思考を巡らせようとしたが、汗ばんだ甜花の甘い匂いに脳をやられまた一匹の獣に戻り、何度も甜花を求め果ててしまった。 一線を越えてしまえば後はもうなし崩しだ。 俺はその日から毎日のように甘奈と甜花を交互に愛した。合図やしめしあわせなどというものはなく、何かの拍子にどちらかが片方に近付き、ごく自然と行為に及ぶ日々。全身への刺青という心身ともに重い印を負わされて日々塞ぎがちだった二人も、俺との交わりと言う拠り所を見つけてからは少しずつ以前の元気を取り戻してきたように思えた。もちろんそれは俺も同じ事だった。プロデューサーとして担当の子に手を出すなど以前は考えもしなかった事だが、劇的な環境と身体的変化に二人と同様重いストレスを抱えていた。だが今では二人の存在は俺の心に無くてはならないものとなっていた。 「あ・・♡あは♡プロデューサーさん・・甘奈の中、気持ちイイ?」 「にへへ♡・・プロデューサーさん・・甜花のなか・・いっぱい♡」 同じ顏で見せる違う反応を交互に楽しむ。俺はいつしかそんな役得に感謝しつつも、この旺盛な性衝動の正体を何となく感じ取り始めていた。この島には稀薄ではあるが、妙な甘い香りが絶えず立ち込めている。それは沖合の漁をした時に初めて気が付いた。沖と島では微妙に空気の匂いが違う。そしてその匂いには覚えが有った。初めて村に連れて来られて横になっている時に嗅いだあの麻薬。あれと同じ香りだった。おそらくこの甘い香りは島に自生している植物のもので、あの時の麻薬は呪術師が濃縮し調合した麻酔薬だったのだろう。麻薬を麻酔薬として使用し、俺たちに刺青を施術したと。 ・・まあ飽くまで俺の勝手な想像だが。 島に来てから約一年。時計もカレンダーも無いがそれだけは分かっていた。何故ならば甘奈と甜花、二人ともそれぞれ元気な女の子を出産していたからだ。避妊もせずに来る日も来る日も行為に及んでいれば当然の結果だった。二人の子供の誕生に、村は総出で御祝いムードだった。俺は村の男たちから囃し立てられ祝いの言葉と共に自製酒を振舞われ、甘奈と甜花も村の女たちから祝われながらそれぞれ手製の装飾品を賜っていた。甘奈も甜花も未成年とはいえもう子供ではなくなった。これからは二人とも一人の母親として生きていかねばならない。それには支えとなる伴侶が必要になってくる。日本では法に抵触するが、ここではそんな枷は無い。俺はもう腹を決めていた。 二人が産後の傷も癒えた頃、俺は一つの行動に出る決心をしていた。 この島では、己の伴侶となる女性に、その身を飾る品を夫となる男性が採取、加工し贈る風習がある。それらは命を懸けて採取され、危険を冒し採取した品ほど誉れが高いとされた。採取は夫となる男性が一人山へ入り行われる。島の山は不思議な鉱物が多数存在し、山の頂き、崖、谷底、洞窟深く、人の手が入りにくい場所ほど手つかずで良い鉱物が採れる。しかしそのぶん危険性は増す。採取に出て帰ってこなかった者も存在する。決して形だけの儀礼ではないのだ。 「それじゃあ行ってくる」 俺は革袋に荷物をまとめ、愛する双子と我が子に別れを告げた、 「プロデューサーさん・・ちゃんと生きて帰ってきてね・・」 甘奈が我が子を抱きかかえながら不安そうに告げる。 俺は甘奈と子供の頭をそっと撫でた。母親としての艶を増したその肢体に、俺は場違いにも隆起しそうになり些かの罪悪感を覚えた。 「もちろんだ。留守をよろしくな」 俺が甘奈にそう告げると、今度は甜花が上目遣いで口を開く。 「・・プロデューサーさん・・、甜花、心配・・」 甜花はまるでぬいぐるみを抱くかのように抱えた子供に聞かせるようにそう呟いた。甜花の仕草は前と変わらない。しかし甘奈同様、その身体に母としての資質を垣間見せ始めていた。 俺は甜花の身体にも刺激され、必死に込み上げるものを押さえつつ甜花の頭も撫でた。 「大丈夫だ。心配するな。留守を頼んだぞ」 俺は気休めにしかならないと分かっていながら甜花にそう告げた。 正直、採取がうまくいくかは分からない。村の男たちからその危険性と助言は聞かされているのである程度は理解しているつもりだ。 しかし生来ずっと日本で安寧とした暮らしを続けていた自分にとって、死の危険がどういうものかという事を俺は身をもって知ることになる。 この島は本当に不思議な島だ。 色とりどりの鉱石が山のそこいらで見掛けられる。 石の事はよく分からないが、とても綺麗なものばかりだ。 中でも村の人間を魅了して止まないのが金にも似た金属だ。 これらは村の男たちの手によって加工され、女性たちの身を彩っている。村でも稀少な金属らしく、今回のような採取活動で一番の目的にされる。ただしその需要に反してその採取量はかなり少ない。運よく採取出来たとしても、当然皆求める金属なので近場で採れる量はたかが知れている。そういう事も有ってか、皆手つかずの奥地に向かいがちだ。人が滅多に立ち入らない奥地に向かえば危険が増す。だがその危険を冒して採取に成功した者は、その行為と結果によって部族の誉れとなる。 「金か・・。そんなものこの島では役に立たないと思うんだが。その魅力は万国共通ってことか」 俺は山へ向かいながら一人呟く。 或る程度慣れたとはいえ、ほぼ裸に裸足は辛い。 そこまでして採取する価値が有るのかどうか、甚だ疑問だった。 しかし村の女性が身に付けている金細工、あれを羨望の眼差しで見ていた二人を見てからは考えを改めた。甘奈はともかくとして、甜花もそれに惹かれていたのには驚きだった。それから俺は採取に向けて色々と準備を始めた。愛する者をの欲求を満たしたいと思うのも万国共通らしい。俺はそれから無心で歩を進め続けた。 一日近く歩き続け、ようやく俺は目的の場所に着いた。 岩山を暫く登ったところにある切り立った崖。そこから見下ろす場所に目的のモノが見えた。 「あれか」 俺は無意識に身を引き締めながら呟いた。話に聞いた以上の場所に存在している。崖を少し下ったあたりに辛うじて存在する張り出した岩場。そこに大きく黄金色に輝くものが見える。村の男たちの間で噂になりつつも、あまりの危険性や犠牲者の話で今では誰も近付かない場所。それを乗り越えられればあの大ぶりの金鉱石が手に入る。 そんな危険なものに拘らなくても、もっと安全な場所で小ぶりな鉱石を採取すれば良かったのだ。しかしそんな話を聞かされては居ても立っても居られなくなっていた。どこかで「伝説の○○を主人公がいとも簡単に・・」という安直なサクセスストーリーを自分に投影していたのかもしれない。我ながら子供じみた性格だと自嘲した。 「よし」 俺はもう陽も傾き始めてきた事も考慮して、明日に備えて道具の最終確認をし夜営する事にした。 不安な夜を過ごしながら、無意識に頭を巡らせる。 危険を冒してまであれを採取する必要があるのか? 採取した時、それを贈る俺の選択を二人は許してくれるだろうか? そもそも本当に成功するだろうか? 失敗した時みんなは許してくれるだろうか? ここから生きて帰れるだろうか? 眠れぬ焦りと明日の事を考えているうち、 俺はいつしか眠りに落ちていった。 「さて、いくか」 次の日の朝、俺は軽い朝食を済ませ眠たい頭を振り起しながら道具を取り出した。蔦を結わえて作ったロープ、狩猟した動物の革でつくったザック、手製の石斧、木杭。それらに加えてマンガやテレビで培った付け焼刃の山岳技術を駆使してゆっくりと崖を下り始めた。 生兵法は何とやら。俺はいくらか下り始めてもう後悔していた。 (思った以上にきついなコレ・・) 締め付ける命綱、尖った崖、照り付ける太陽、滲む汗、時折崩れ落ちる足場。 俺はゆっくりと降りながら心の中でごちた。 いつか見た栄養ドリンクのCMが思い起こされる。 (あれって満更噓でもない分けなんだな・・) 苦しみを紛らわせようとどうでもいい事を巡らせながら降り続ける。 どれくらい時間が経っただろうか。俺はゆっくりと近付いてきた岩場の張り出しに安堵した。焦りと疲れを抑えながら恐る恐る岩場に降り立つ。しっかりと確認し、思いのほかしっかりしている岩場に胸をなでおろした。そして俺は少し休み心を落ち着け、改めて目の前に聳え立つ岩の小山を見つめた。誂たようにそそり立つ大人ほどの大きさの岩、その頂きに輝く黄金色の塊、それこそ正しく皆が追い求めてたものだった。その輝きに俺は我を忘れ石斧を振り下ろす。そしてすぐこの場所の危険性を思い出し手を止めた。そして後から溢れ出る冷や汗を感じながら深呼吸をし、ゆっくりと作業を再開した。 塊は大人の握りこぶし位だった。コレがもし本当に金塊だったらどれくらいの値が付くだろう。俺はこの島では全く役に立たない勘定をした自分に湧き上がる笑いを抑えながら、慎重に作業を進めた。 そして時間を忘れて作業に没頭した末、漸くそれを岩から引き剝がす事に成功した。取り出したそれは埋没部分も含めると握りこぶしより少し大きい位だった。俺は初めて目にする本物の金塊をうっとりしながら見つめた。 (価値如何にかかわらず、人はこの色に魅了されるよう出来ているのかもな) 俺は柄にもなく、そんな詩人めいた臭い台詞を頭で回しながら取り出した金塊をそっとザックにしまい込んだ。安堵も束の間、ここから登らなければならない。俺は暫し憂鬱になりながらも、崖を登り始めた。予想はしていたが、下りとはくらべものにならない程に辛い。おまけに大きな負担を背負っている。半分も登らないうちに俺はへばってしまった。 (まずいなこれ・・金塊ってこんなに重いのか) 知っているのと体験するのでは大違い。そんな言葉が後悔の念と共に湧き上がる。しかし止めるわけにはいかない。俺は疲れ切った腕で手がかりとするべく岩を摑んだ。 がらり。 スローモーションのように摑んだ岩と共に空を切る己の腕が映った。 (まずい!!) 俺はそう咄嗟に想いながら落ちていく恐怖の中で両手で命綱を摑んだ。 びん!と蔦のロープが張るのと、俺が岩肌に叩き付けられる音が同時に感じられた。酷く打ち付けられた全身、蔦のロープが激しく食い込む腹部。俺は一度に訪れた様々な困難に一瞬意識が遮断された。だが現状の危機を認識していた俺は素早く意識を集中し、現状把握に努めた。 蔦のロープのおかげで、俺は地面から数メートルの位置でぶら下がっていた。よく見ると下はむき出しの尖った岩肌だった。恐らくロープが無かったら即死だっただろう。だがまだ安堵というには早すぎた。身体の彼方此方から見える赤いもの、激しく痛む腹部、決して無事では済まなかった。 (何とか安全な場所に降り立たねば) 俺は痛みに耐えゆっくりと降り始めた。もう上へ登る力は残っていなかったからだ。それに背負っているザックさえ有れば上に残してきた荷物への未練は無い。経過時間を勘定する間もなく延々と崖を下り、俺は漸く地面へと降り立った。そしてすぐに倒れ込む。そのまま眠ってしまいたい誘惑を払いのけ、俺は肩で息をしながら起き上がり、ザックから取り出した薬を使い覚束ない手つきで傷の手当を始めた。 (使う事は無いと思いながらも、村の女性たちに強引に手渡された薬をまさか使う事になろうとは) 俺は朦朧としながらも患部に薬を塗り、包帯に見立てて長い葉を巻き付け縛った。俺は応急処置の仕方を教えてくれる子が嘗て身近にいたことに心底感謝した。打ち付けられた背中が酷く痛むが、これはどうしようもない。折れていない事を祈るしか無かった。 一通りの処置が終わると再びその場に倒れ込んだ。 (取り敢えず帰還のための体力を回復・・) そう自分に言い訳しつつ、俺はばつの悪さを感じる間もなくすぐに意識を失った。 どれくらい寝ていたのだろうか。俺はひやりとする風に目を覚ました。重い瞼を上げると辺りはすっかり暗くなっていた。俺は慌てて身体を確認した。腫れあがった傷はそのままだが、痛みは或る程度引いていた。どうやら薬が効いたらしい。俺は安堵して立ち上がろうとした。すると思ったほど力が入らず無様に倒れてしまった。不思議に思い脚を確認すると、痛みの割に片方の足が酷く膨れ上がっていた。その腫れ方は寝る前より酷くなっている。 (これは・・折れているのか?) 俺は不思議に思い思案した結果、一つの結論に辿り着いた。 「これのせいか・・」 俺は貰った傷薬を鼻に近付けた。すると覚えのある甘い香りがした。 「乱用は避けるべき・・今は仕方ないか・・」 俺はそのまま薬を脚に塗り、火をおこし朝を待ち休むことにした。 痛みに眠りを阻害されつつ三日目となった朝。 俺は手近な木を簡易的な松葉杖代わりに仕立て上げ、 痛みを堪えつつ村へと歩を進めはじめた。 健常体でもきつかったのだ。重い荷物に加え、手負いともなれば歩みは牛歩でしかなかった。しかしそれでも前に進む。 「待っててくれ・・甘奈、甜花・・」 俺は無心で歩を進めた。打ち付けた背に負う荷は、じわじわと身体を傷め続ける。ロープで強烈に締め上げられた痕は鈍痛となって続いている。次第に俺の意識は稀薄になり、今が倒れた末の夢なのか現実なのかの区別さえ曖昧になっていた。 (少し休みたい・・) そう頭は思っていても、行動には移せずにいた。今休むために止まってしまえば、再び起き上がれる自信が無かったからだ。 (コレって雪山で言うところの「寝たら死ぬ」ってやつかな) そんな笑えない例え話をしたとこころで、俺はもう嗤う元気さえなくなっていた。村まであとどれくらいか分からず、只管に歩を進める。 そんな俺の引き摺る脚が、路傍の石に引っ掛かり受け身も取れず盛大に倒れ込んだ。その瞬間俺の脳裏に「終わった」という言葉が浮かんだ。それと同時に、この苦しみから解放されるという喜びも浮かんできた。全身に力が入らない。いまは只、大地に横臥し眠る欲求が何よりも勝る。閉じた瞼に、出立の時に観た二人の心配そうな顏が浮かぶ。 (すまん) そう心の中で二人に謝罪した後、俺は意識が霧散していくのを感じた。 遠くから呼ぶ声が聞こえた。 いつもの聞きなれた声だ。 甘奈か。 どうしてそんな大声で呼ぶんだ? そうか、また俺は事務所で寝てしまっていたのか。 「・・・さん!!」 だからってそんなに大声で呼ばなくても。 「・・デューサーさん!!」 分かったから、ちょっと待ってくれ。 「プロデューサーさん!!」 俺がぱちりと目を開けると、俺を覗き込む泣き腫らした双子の顔が見えた。俺の反応にぱっと顔を明るくして、二人がかりで抱き付きながら一層の大声で叫ぶ。 「プロデューサーさん!!よかった!!」 「プロデューサー、さん・・うれしい・・!」 二人は各々の反応をありったけで俺にぶつけてきた。左右から訪れる柔らかい感触。直後に走る激痛。俺が情けない呻き声を上げると二人は同時に慌てて俺から離れた。俺は痛みを堪えつつ辺りを見回した。そこは今となっては懐かしい我が家だった。 「・・ここは・・俺は、どうして・・?」 俺は訳が分からず痛みも忘れて二人に問うた。 二人によると、俺は村から少しいったところで倒れていたとの事だった。遅くとも二日目で戻ると思われていたが、三日目になっても戻らないため猟仲間の男たちが心配して捜索に出てくれたらしい。俺を発見した後は急遽村に連れ戻され、即座に手厚い治療が施されたとのだった。しかし最初の手当以外は、二人がつきっきりで看病してくれていたと知って、俺は申し訳ないやら情けないやらで心が一杯になった。安易な勇者気取りで無謀な採取に出てしまった己を、心から恥じると共に二人に心底感謝した。俺があの日から二週間ずっとそのまま昏睡状態だったと知らされたともなれば猶更だ。 「・・プロデューサーさん・・あのね」 甘奈がおずおずと切り出した。 「甘奈、その、プロデューサーさんが無事ならなんだっていいから・・誰を選んでも気にしないから・・」 俺がきょとんとした顏をしていると、横から間髪入れずに甜花が割って入った。 「・・て、甜花も!・・プロデューサーさんは・・元気で、居て、欲しい・・」 二人の神妙な顔に、俺は訳が分からなくなっていた。 「つまり・・どういう事だ?」 俺は二人に明確な答えを求めた。 「だ、だから!プロデューサーさんが甜花ちゃんを選んでも気にしないから!無理な採取はもう止めてっていってるの!」 甘奈が顔を赤くしながら、俯き気味で声高に言った。 「て、甜花も!」 慌てて言葉足らずながらに甜花も続く。 そこで俺は察した。二人はお互いを想った上で、お互い相手の為に身を引こうと思っているのだと。俺は今更ながらに面映ゆくなった。 そして我が家の片隅に置かれた自分のザックに眼を留めた。 「俺のザックを取ってくれ」 俺はどちらに語るでも無しに言った。すると比較的近くに居た甜花が袋を取って俺に持ち寄る。俺は礼を言い徐に袋からあの金塊を取り出した。それを目にした二人の顔が、たちまち輝いた。 「プ、プロデューサーさん!!これ!!すごい!!」 「すごい・・おっきい・・」 二人とも度肝を抜かれたらしく、たちまち語彙力が低下する。 無理もない。こんな代物日本でもお目に掛かれない。俺はしたり顔で二人に自慢する。 「どうだ?すごいだろう。これくらい無くて足らないからな。なんせ二人分だ」 俺の言葉に、今以上の顔をして二人がきょとんとする。 「え?・・プロデューサーさん・・それってどういう?・・」 「え?・・え?」 複雑に入り混じった感情が、二人の顔に浮かび上がる。 「どうって、言ったとおりだよ。長老に確認して許可も得ている。村始まって以来の夫一人、妻二人の三人婚だ。前代未聞だって笑ってたよ」 俺の言葉が終わる前に二人は先ほどの事も忘れ、俺に勢いよく抱き付いてきた。俺は痛みを堪えながら二人を抱き締め返した。そして二人の爆発した感情の嗚咽を、目を閉じたまま心地よく聞き続けた。 目を覚ましてからこっち、俺はすっかり村では勇者扱いだった。 誰もが知っているあの金塊を採取し生還する事に成功したのだ。それに加えて俺たちの前例のない結婚も周知されたのだから、当然と言えば当然だった。俺は回復を待たずして長老たちからお褒めの言葉を賜り、仲間の男たちからは連日のように祝いの言葉と酒を振舞われた。 とはいえ俺の怪我は想像以上に酷かった。各部位の骨折と打撲、それに締め上げられた場所への内臓ダメージは完治までにかなりの時間を要した。そして回復してから更に花嫁への裝飾細工の加工だ。これまた前例のない量だったので、他の男たちの手を借りてでも加工にかなりの時間を要した。そして気が付けば、あの日から約一年が経とうとしていた。 婚礼儀式当日、俺は砂浜で一人物思いに耽っていた。基本、婚礼儀式のための礼装準備は女たちだけで行われる。夫が妻となる女に出会えるのは礼装が決まった後だ。それまでは女たちで集まりあれよこれよと姦しく飾りつけを吟味する。こういう文化も或る意味共通らしい。 夫は儀式で特に着飾ったりする文化は無く、儀式まで暫しの休息を与えられ体調管理に努めさせられる。それは結婚儀式での酒攻めを暗に想像させられた。この村でつくられる酒は癖が強く、度数もキツい。俺はどうにも馴染めずいつも酒の席で辟易とさせられていたので、今から憂鬱だった。 俺は一先ずあれこれと考えるのを止め、村に戻ることにした。 そろそろ礼装の準備が終わっている頃だろう。 俺は村に戻り、我が家の扉をたたく。 「二人とも、もういいか?」 俺がそう扉の外から声を掛けると、中でバタバタと音が聞こえた。 「あ、プロデューサーさん?うん、いいよ!」 元気そうな甘奈の声を聞き、俺は内心心を躍らせて扉を開いた。 そこには二人の花嫁が村の女たちに付き添われ恥ずかしそうに立っていた。俺が採取した金塊は色々な形に作り替えられ、彼女たちの身を着飾っていた。髪飾り、首飾り、腕輪、足輪。どれもこれも苦労して俺が村の男たちと作り上げた自慢の逸品だった。 決して華やかとは言えないが、俺は感慨深げにその姿を見入っていた。 「・・プロデューサーさん、ガン見しすぎ・・」 「・・プロデューサーさん、えっち」 その視線に、二人が恥ずかしそうに身を捩る。 その拍子に再び大きくなったお腹が揺れる。 あの日を境に、俺たちの愛は一層深まった。 その結果、俺は怪我が癒えるのを待たずに連日二人と愛を確かめ合った。今度は交互ではなく、いつも三人一緒に。 その結果、二人は二人目となる子供を身籠っていた。 婚礼儀式は呪術師により厳かに執り行われた。 俺たちは奉られた祭壇の前に仰々しく座らされ、その前で呪術師が呪文のようなものを唱え、大きく乱舞する。神に捧げる踊りらしい。それに呼応するかのように傍らに居た巫女と思しき女性たちが奉納舞を披露する。湧き上がる歓声。そして儀式の為に用意されたキャンプファイアーのような巨大な炎が燃え盛る。俺はどこかそれを夢のような気分で眺めていた。ふと二人を横目で見ると、炎に照らされた横顔が艶めかしく映し出された。俺はその姿に見惚れていると、視線に気付いた二人は此方を見返し、にっこりと微笑んだ。俺はその仕草に思わず隆起しそうになった。 儀式が進み、最後の段階に入った。 それは婚姻の証を花嫁に施す事だった。 俺は最後の贈り物を取り出した。それは二つのリングだった。 この村では既婚女性の証として、鼻輪を付ける習わしらしかった。 夫がそれを拵え、儀式の最終段階で花嫁に穴をあけ鼻輪を通す。 辛い儀式だが、この村で生きていくためには耐えるしか無かった。 呪術師から俺に針が手渡される。その際に二人は口に薬草を含む。 甘い香りはいつもよりキツい匂いがした。 薬が効いたのを確認し、俺はそっと震える手で針を二人に通す。 「っ!!」 二人は小さく悲鳴を上げ涙を流した。俺は手を止め樣子を確認すると、二人は堪えながらゆっくりと頷いた。 俺はそれを確認すると、そっと二人に鼻輪を通し封印した。 泣きながらにっこりと微笑みかける二人に、俺はまた心奪われた。 二人の流れる血を巫女が薬で止めると、呪術師が婚礼成立の合図を出した。 長老がそれを視止め、立ち上がり婚礼成立の号令を下す。 湧き上がる歓声、総出で行われる喜びの宴、俺たちはすっかり取り囲まれ、彼方此方から酒を注がれ祝いの言葉を投げ掛けられた。 そんな騒乱とした宴の中、花嫁が俺に顔を近づけてきた。 「これからよろしくお願いします。あなた♡」 「これからも、なーちゃん共々、甜花と、よろしく。あ、あなた」 そう言い終わるや否や、二人は女たちに、俺は男たちに引っ張られ引き剥がされた。後はお互い想像通りの未来が待っていた。 俺は離れていく花嫁たちを目で追いながら、 今この瞬間を心からこの島の神とやらに感謝していた。 愛する妻と子供を、命を懸けて守っていく。 俺はそう決心すると、進められた酒を一気に飲み干した。 この決意が揺るがぬ誓いとして。 その味は心なしか、少しだけ甘美なものになっていた。 個人的理由で長らく間を空けて申し訳ありませんでした。 皆様も体調管理には十分ご注意ください。 入院生活は監獄ですよホント・・。 というわけでスケブにてご依頼頂いた大崎姉妹部族化花嫁です。 一度双子を同時に部族化させたかったので、渡りに船でした。 しかもボテ指定とあれば、受けない理由が無いですよね! 今回は頑張って長文駄文を書きましたので、 よかったらセットでお楽しみ下さい!

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