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享楽の幕開け

謁見前に円香が変異して幾日、円香は今や同族となった王との営みを続けていた。王との謁見の日に円香が変異し倒れてしまい、王が望んでいた「他種族の女奴隷の所有」という当初の目的が不可能になったので、王の側の者たちは大層動搖した。一人の大臣が王に恐る恐る報告をしたが、返ってきた答えは予想外の物だった。王は同族と化した円香に並々ならぬ興味を示したのだ。王は大臣からの報告を聞くや否や、円香が目を覚まし次第連れてくるようにと大臣に命じた。 倒れた後、円香は意外にもすぐに目を覚ました。 いつもの見慣れた自室の天井が見えた。 (身体が軽い) 何かとんでもない事があった筈だがと頭を押さえるが瞬時には思い出せない。しかし頭を押さえる己の腕を見てからの脳の回転は円香を即座に覚醒させた。 緑の肌、大きく張り出した角と牙、漲る力、クリアな視界、全てが異質な世界になっていた。 「・・ア・・アア・・アアアアア!!」 円香は自分でもわからず無意識に咆哮を上げていた。 そして辺りの物に構わず当たり散らした。 机、壁、ベッド、 溢れ出る力はまるで紙細工のようにそれらを容易く破壞させた。 破壊を止められず、手近な壁を只管に殴りつけ砕く。 次第に円香の拳が血を流し始める。しかし円香は殆ど痛みを感じなかった。それよりも己の身体から流れ出た血が赤ではなく紫色だという事に衝撃を受けていた。 「・・なニ!ナンナの!」 円香は殴る手を止め、震えながらその両手を見つめた。 するとシュウシュウと音を立ててその傷が塞がり始めた。 程なくして傷は塞がりまるで何事も無かったかのように元通りになってしまった。 円香は連続する衝撃が大きかったのか、呆然自失し己の両手を見つめたままその場に立ち尽くした。 破壊音を聞きつけ、部屋の外で待機していた兵士が乗り込んできた。 即座に円香は兵士たちに取り押さえられた。 円香は抵抗することなく、糸の切れた人形のようになすがままに扱われた。 兵士たちに部屋から連れ出された円香は、侍女たちに身支度を整えられて別の部屋へ連れて行かれた。部屋に入ると応接室のような場所で、一人の男が備え付けのソファに腰掛けていた。フードを被った黒衣の男、円香を召喚した魔導士だ。 「スワレ」 自分と対面のソファを目で見やり円香に促した。 円香は半ば呆けたまま立ち尽くしていたが、兵士たちに半ば強制的に座らされた。 魔導士が兵士たちに眼で合図すると、兵士たちは退室した。 円香と魔導士、二人だけのしばしの沈黙。それを破ったのは魔導士のほうだった。 「スマナイ」 意外な魔導士の謝罪の言葉に円香はぴくりと反応し、顔を見上げた。 それを認めた魔導士は淡々と話し始めた。 曰く、今回の事は全くの予想外だった事。 原因は円香の身体に入ったトロルの強い遺伝子が、円香の身体を侵蝕してしまった事。 トロルの一族は強い再生能力を持っており、それは他種族の体内に侵入した場合でも有効だったと今回の出来事で初めて解ったという事。 他種族を召喚したこと自体が今回初めてであり、元通りに戻す手段は現状無くこれから研究を進めていくという事。 当初の契約は反故にするつもりはなく、こうなった責任は必ず取ると約束するという事。 故に当初の契約である、王の下へ今一度出向いて欲しいという事。 円香は魔導士から視線を逸らさずじっと話を聞いていた。 魔導士の話が終わると、今度は円香が口を開いた。 「フ・・ドウデモイイニンゲンニ、ズイブントリチギナコト。」 円香はトロルの言葉で返した。牙が邪魔をして日本語が発音しづらかった為だ。 「ワカッタワ。ワタシガキョヒシテモ、ドウニモナラナイワケダシ。」 円香は半ば自嘲気味に返事を漏らした。 期待していた返事を聞くことが出来、魔導士は上機嫌でうむと頷いた。 「サッソクデスマナイガ、オウニアッテモライタイ。ソナタヲココロマチニシテオラレル。」 魔導士は立ち上がり、さあと円香を促した。 「ミスターキングハオイソギノヨウネ。アワテルコジキハナントヤラ。」 円香はやれやれとため息交じりに立ち上がった。そして魔導士に案内されるままに王の間だと言う場所に着いた。 魔導士が部屋の前に待機する兵士たちに合図すると、兵士たちは見えない部屋の主に到著を告げ、部屋の扉を開いた。 「ココガオウノマ?」 円香は怪訝な表情で魔導士に問うた。それは想像していた謁見の間などではなく大きな寝所のような所だった。 豪華そうなベッドと調度品。まるで元の世界でいうところのスイートルーム。こういう部屋に連れてこられたという事はそういう事だなと円香は合点がいった。 「ワガキミ、オツレシマシタ。」 魔導士が姿の見えない主に向かって恭しく礼をした後にそう告げた。 円香も魔導士に倣って礼をする。 すると部屋の奥から声が聞こえてきた。 「ヨシ。サガレ。」 野太い男の声だ。姿は見えないが声に威圧を感じる。 魔導士は今一度礼をして、部屋を出た。 その際に円香に小声で耳打ちをしていった。 「ソソウノナイヨウニ。」 円香が溜息で返事をすると、また奥から声が聞こえてきた。 「チコウ」 来いという事か、と円香は作法で教えられたように静かに声のする方へと歩みを進めた。 すると部屋の死角になった場所のソファに座る一人の大男が目に入った。どうやら声の主らしい。 円香は膝をつき、恭しく礼をした。 「オメシニヨリ、サンジョウツカマツ・・」 円香がそう述べたところで大男が立ち上がった。身の丈はいつも見ている男のトロルより遥に大きい。声の威圧感に相応しい風格をしていた。然しその男の股間を見て円香は声を失った。 男の陰茎は巨大にそそり立っていたのだ。 「・・ア・・アア・・ア」 それを見た瞬間円香の思考は停止した。眼は陰茎から離せず、ポカンと開いた口からは涎が滴り、秘所は驚くほど濡れそぼっていた。小刻みに震え、呼吸は荒くなり、体が火照る。頭は否定しつつも身体が如実に物語っていた。 (アれがホシイ) 目の前の大男、トロルの王はその樣を認めると満足そうに口角を上げた。 「モトニンゲン、コイ。」 その言葉を聞き、円香は「待て」を解かれた犬の如く礼の姿勢から四つん這いになり、そのままゆっくりと王の下へと近寄っていった。 長い享楽の夜が幕を開けた。

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Comments

嬉しいお言葉ありがとうございます!今回は文章がメインになっちゃいましたね。脳内から妄想を押し出しただけの文章ですが、そう言って頂けると救われます。うれしい!

囚人六号

いいですね! 個人的には文章が本編です(絵ももちろん素晴らしいです) 駄文なんて言わないで下さい


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