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【SKEB進捗】冷酷無比なマフィアの女ボスロリババアが下っ端のチャラ男にガチ恋して組織も人生も全て捧げるマゾ雌貢ぎ奴隷に堕ちる話

プロローグのみ全体公開。

以降は支援者限定で公開していく予定です。

まとまったらピクシブにあげます


プロローグ~1000年ぶりのときめき~


 香港の片隅に、世界最大規模とも称される巨大カジノがある。ベガスのカジノに勝るとも劣らぬ賑わいと活気を見せるそこには世界中から集められた珍品奇品が並び、ありとあらゆる美食や美女が客たちを楽しませる。

 ――と、ここまで聞けばまさしく夢のような場所であるがその運営に関わっているのは“冥龍会”というマフィアだ。

 中国のみならず世界中に構成員が存在し、実質的に大陸を裏から支配されている。当然政府もおいそれとは手出しができず、事実上公認の不可侵組織(アンタッチャブル)として扱われているのが現状だ。

 そして、ごく一部のVIPしか立ち入れぬ“裏”カジノにおいては連日非合法のオークションが催されている。その景品となるのは“物”ではない。


「調子はどうだ?」


 腹の底から響くような声に、支配人は思わずビクッと身体を震わせた。暗がりから姿を見せた男を見るやシルクハットを取り、深々と頭を下げる。


「こ、これはこれは! まさかボス直々にお越しくださるとは……!」


 山のような巨漢は支配人の前でピタリと止まり、口を真一文字に結んだままギロリと睨みつけた。その場に居合わせる誰もがごくりと生唾を飲む中、彼の後ろからすっと姿を現す者がひとり。


「よい。楽にせよ」


 ともすればアニメに出てくるように甘く、幼女然とした声音。聴けば誰もが頬を綻ばせてしまうようなそれを前にしてなお、支配人は姿勢を正そうとはせず頬を引き攣らせる。

 声の主は、傍らの男の腰ほどもない背丈の少女であった。薄紫色の艶やかな髪をふたつに括り、身体のラインがピッチリと浮き出るようなチャイナ服を身に着けている。面立ちも外見相応に幼いが目つきは鋭く、ゾッとするほど冷たい色を宿していた。

 およそこの場には似つかわしくない、あどけない少女である。にもかかわらずその場にいる誰もが彼女の一挙一動に注目し、固唾を飲んで見守っている。

 何を隠そう彼女こそ冥龍会を統べる頭目――名を、咒冥。傘下の者たちからは畏怖と敬意を込めて咒冥姫と呼ばれる女傑であった。


「面を上げよ」


 ポン、と。支配人の肩を扇子で叩く。

 すると彼はバネ仕掛けのように勢いよく姿勢を正し、媚び諂った笑みを彼女へと向けた。部下たちへのあたりがキツいことで有名の男であったが彼女に対してはまるで頭が上がらないらしい。


「して、今日の目玉はどうなっておる?」


「も、もちろん仕込みは万全でございます。ささ、こちらへ……」


 支配人に促されるまま奥へ向かうと、そこには今日の景品がずらりと並んでいた。

 咒冥とさして変わらぬ背格好の少女はもちろん、異国情緒を感じさせる褐色肌の美女や赤子を抱く妊婦の姿までもあった。いずれも裸に剥かれ、逃げられないよう手足を鎖で繋がれている。

 怯えた表情を見せる者、怒気を滲ませる者、助けてくださいと命乞いをする者まで様々であるが咒冥はその姿を一瞥するや愉快そうに喉を鳴らした。


「いつ来ても飽きんな、ここは」


 彼女らはもう“人”ではない。故に同情する義理もなければ道理もなかった。


「お待たせしました。こちらが今日の“目玉”でございます」


 芝居がかった様子で支配人が示したのは小さな折――そこでは一匹の“雌”がジッとこちらを眺めていた。

 その様を見た咒冥はぷっと噴き出したように笑い、薄く目を細める。


「中々いい姿になったではないか――アンナ」


 かつて、冥龍会を壊滅させようとした秘密組織があった。家族や友人を奪われた被害者らを中心として発足したそれは冥龍会の傘下にあった組織や施設を次々と襲撃し、着実にその勢力を拡大しつつあった。

 狂犬のアンナと呼ばれた女は、その中核に位置する人物であった。


「売り飛ばされる前に伝えねばならんと思ってなぁ。お前が流した情報のおかげで、鬱陶しい羽虫どもを一掃できた。感謝しておるぞ、アンナ」


「わんっ♡ わんっ♡」


 使命と決意に満ちた面立ちはふにゃりと蕩けただらしない笑みへと代わり、鍛え上げられた肢体はもはや見る影もない。乳房は以前の倍ほどまでも膨れ上がり、いくつもの注射痕が残る右腕は紫色に変色している。

 潜入に失敗した彼女は徹底的な調教と媚薬漬けの果てに人格を破壊され、立派な雌犬へと変わり果てた。すでに咒冥に対する敵愾心も失せてしまったのか舌を突き出したままへっへっと甘えるように擦り寄る。

 仮にも大事な景品ということもあり、しっかりと手入れはされていたのであろう。腰ほどまで伸びた赤髪を手で梳き、懐から取り出した小瓶を開いた口へと差し込む。


「~~~~~~~~~~~~ッ♡」


 ぐるんっと白目を剥いた直後、股座から打ちつけるような潮が上がった。完全な媚薬中毒に成り果てたアンナはごろんと仰向けになるや胸を揉みしだき、ぐちゅぐちゅと股座を弄りだす。


「ほほほほほ! いつ見ても痛快じゃ!」


 コロコロと鈴の音のような笑い声を響かせながら、くるりと踵を返す。


「……見ていかなくてもよろしいので?」


「よい。あのザマではどこぞの変態に買われ、捨てられるのがオチであろう」


 側近たちはそれ以上何も言わず、彼女を連れてカジノの外へ出た。黒塗りの高級車に乗り込むやカジノを離れ、とあるアジトへ向かう。道中小腹が減ったのでドライブスルーに立ち寄り、適当な軽食を買い込んだ。


「チッ……おい」


 心底嫌そうな顔をしてハンバーガーからレタスを抜き、側近の男へ投げる。彼は慣れた様子でそれを受け取り、口へと運んだ。

 対する彼女は小さな口を目いっぱい開けてハンバーガーへとかぶりつく。が、残る歯形は成人男性の半分にも満たない。ソースが口から滴るのも構わず頬張る姿は年相応に愛らしいが側近たちはピクリとも表情を動かさぬまま、ティッシュでその口元を拭ってやる。

 見た目こそ童女然としてこそいるが彼女の実年齢は男たちよりも遥かに上だ。それこそ彼らがスラム街の孤児であった頃から咒冥の姿は変わらない。噂では数百年以上生きている――などという風説さえあるほどだ。


「着きました、ボス」


 やがて辿り着いたのは雑居ビルが立ち並ぶ、寂れたビル街であった。咒冥は食べかけのハンバーガーを運転手の男に渡し、側近たちを伴って近くのビルへと向かう。


「お、お待ちください!」


 と、そこでひとりの男が咒冥の前へと飛び出してきた。全身ボロボロでたっぷりと髭を蓄えたみすぼらしい風体をした男は、かつて冥龍会の幹部であった男だ。

 無数の銃痕が残る禿げ頭を地面に擦りつけ、彼女の足元へと縋る。


「咒冥姫! どうか私にもう一度チャンスを……! つ、次こそは必ず……!」


 男は以前、麻薬組織の運営を任されていた。

 数か月前、イタリアンマフィアとの大きなしのぎがあったのだがそこをアンナ率いる秘密組織に強襲され積み荷をすべて奪われた挙句、イタリアンマフィアの重鎮に大怪我を負わせた。

 当然相手方との関係は悪化し、冥龍会の面子も潰された。むしろ命があっただけ有情であっただろう。


「おい、離れろ!」


 側近たちはすぐさま彼を引き剥がそうとするが、咒冥がそれを遮る。彼女は口元を扇子で隠しながら、氷のように冷たい眼差しを男へと向けた。


「それが人にものを頼む態度かえ?」


「……え?」


 土下座の姿勢を取る男に対し、咒冥はふんっと嘲るように鼻を鳴らす。


「諸手もつかず、何が誠意か」


 風にたなびくシャツ――男の右腕は、すでに失われていた。組織を追われる際けじめとして斬り落とされたのである。


「そ、れは、そんな、無体な……! お、お願いです! どうか、どうかお慈悲を!」


 目に涙をためる男は慌てた様子で頭を振り、五体を投げ出すような土下座を見せる。けれどもそれは正しい“土下座”からはあまりにも程遠い。


「おい」


 合図を受けた側近たちはすぐさま彼を咒冥から引き剥がし、数人で取り囲んでリンチを始める。力任せに踏みつけ、蹴り飛ばし、殴りつける。

 彼らにとっても彼は尊敬すべき人物であったが組織を追われた以上もはや他人だ。かけるべき情などあるはずがない。

 咒冥はそれを一瞥し、そのままアジトへと向かう。背後で大きなクラクションと悲鳴が聞こえてきて、ついつい口元を綻ばせてしまった。

 今にも倒壊しそうなビルの中へと入り、カモフラージュが施された隠し通路を使って地下室へと向かう。

 コツ、コツ、コツ、コツ、コツ――。

 ヒールの音を響かせ進んだ先に、固く閉ざされた鉄門があった。独特のリズムでそれをノックすればギィッと軋んだ音を立てて扉が開く。

 いちいち面倒だ……などとぼやきながら入ろうとした直後、


「あ? なんだお前」


 ふと、上から声が降ってきた。

 よもや自分にそんな無礼を働く輩がまだいるとは。是非その顔を拝んでやろうと視線を上に向けた瞬間――ヒュッと掠れた呼気が漏れた。

 そこにいたのは見るからにチンピラといった風情の男。年も若く、触れれば切れるナイフを思わせる粗暴な雰囲気を纏っている。

 だが、そんな相手に怯む咒冥ではない。彼女が息を呑んだのはもっと別の理由だ。


(新顔、か……?)


 ごくりと生唾を呑み込み、男の顔を注視する。

 ギラギラとした輝きを放つ切れ長の目とスッと整った鼻筋。うねる髪を緩いオールバックにまとめ、耳には十字架を象ったピアスを身に着けている。

 軟派な雰囲気の裏に生来の粗暴さが見え隠れする、どこか野性の獣を思わせるような男であった。


「もしかして迷子か?」


 ふと声をかけられ、小さく喉を鳴らす。

 側近たちほどではないが背丈も大きく、足はスラリと細長い。鈍く光る金髪はおそらく染めているのだろうが、深い琥珀色の瞳は間違いなく自前だ。じろりと睨めつけられただけで全身の産毛が逆立つような感覚を覚え、下腹がビリリと痺れる。

 彼は憮然とした表情を向けていたが、やがて小さなため息を零すや背を屈め、


「ここはガキの来るとこじゃねえよ。大人しく帰りな」


 と、あろうことかボスである彼女の頭を撫でてきた。

 突然の出来事に目を丸くする咒冥であったが襟首を掴まれて投げ飛ばされた男を見てハッと我に返る。


「馬鹿野郎! ボスになんてことしてくれやがる!」


「は、はぁ!? ボス!? そのがきんちょが!?」


「てめぇ! よくもそんな口を……!」


 地面に転がる男はあっという間に袋叩きにされ、長身痩躯の男が慌てふためき彼女の前へと跪く。


「申し訳ございません! なにぶん新参なモノで……! いっそこの場で始末を……!」


「よい。お前たちもその辺にしておけ」


 鶴の一声を受けた男たちはすぐさま居住まいを正し、訓練された軍隊のようにピシッと端に並んだ。ただひとり、地に伏す男だけがのそのそと立ち上がり口端から流れる血をシャツで拭う。

 咒冥は口を噤んだままゆっくりと彼の前へと歩み寄る。その時、誰もが男の死を予感した。

 外見こそ愛らしい童女であるがその力は桁違いだ。仮にこの場にいる全員が銃を乱射したとしても彼女の肌には傷ひとつつけられないであろう。

 男の眼前にやってきた咒冥は深く息を吐き、


「貴様、名は?」


「――凌牙。獅子道凌牙」


「日本人か」


 ブスッと頷く男――凌牙。

 その頭を小突いた組長が腰を低くしながら咒冥へと語り掛ける。


「少し訳アリの男でして……」


「構わぬ。それを言い出せば我らも似たようなモノであろう?」


 含みのある笑みを向けてやると組長はグッと言葉に詰まる。これ以上は口を開かない方がいいと判断したのか黙って頷き、部下たちに合図を送って上納金が入ったアタッシュケースを渡す。

 そこに至ってようやく追いついてきた側近たちにそれを渡し、未だ納得がいかない様子の凌牙へと向き直る。

 なぜ揃いも揃ってこんなガキの言う事を聞いているのだ――とでも言わんばかりの表情だ。実際、事情を知らぬ者からすれば子ども同然の咒冥にひれ伏す男たちの姿はさぞ滑稽であろう。


「おい」


 ちょいちょいと手招きをしてやると彼は心底めんどくさそうに身を屈めてきた。咒冥は乱暴な手つきでその胸ぐらを掴むやおもむろに唇を重ねる。


「ッ!?」


 ギョッと目を剥く彼に構わず、薄い舌で唇を割り開き唾液を流し込む。

 すると顔中の腫れが見る見るうちに引いていき、切れていた口端もたちまち塞がってしまう。あまりに現実離れした光景であったが側近たちはおろか傘下の者たちも微動だにしない。彼らにとってそれは幾度となく見てきたモノだからだ。

 驚き戦慄く彼を揶揄うように舌を絡め、もったいぶって唇を離す。互いの唇を唾液の糸が繋ぐ様は息を呑むほどに扇情的だった。


「……マジかよ」


 驚きを隠せない様子の凌牙を前に咒冥はふふんっと得意げに鼻を鳴らし、踵を返してアジトを後にする。車にへばりついた肉片を処理していた運転手は彼女の姿を見るやすぐさま運転席へと乗り込み、一行はそのまま帰路に就く。


「……今日は、随分と機嫌がよろしいのですね」


 側近がそう漏らすのも無理はない。アレだけの無礼を働いたにもかかわらず咎めるどころか傷まで癒すなど、普段の彼女からは考えられないことだ。

 それこそ本来ならば彼女直々に始末していてもおかしくはない。

 咒冥は肯定も否定もせず、微笑を零して唇をなぞる。未だそこに残る感触を確かめるように唇で撫ぜ、窓の外へと視線をやった。


『ここはガキの来るとこじゃねえよ。大人しく帰りな』


 彼の言葉が、頭に感じた掌の大きさが――未だ残って消えずにいる。

 頭を撫でられたことなどいつぶりであろう。もはや忘れつつあった幼少の記憶がフラッシュバックする。

 優しく声をかけられたこともいつぶりであろう。こちらを気遣うような言葉など久しくかけられたことがない。

 ピシッと芯の通るような低い声も。

 猛禽を思わせる鋭い眼光も。

 野生じみた逞しさを宿す面立ちも。

 思い出すだに味がする。


「ボス。大丈夫ですか? 少しお顔が……」


 言われて、誤魔化すように舌打ちをすると運転手は慌てて窓を開けた。

 涼やかな夜風を浴びても高揚は治まらず、彼のことが頭から離れない。

 その感覚には覚えがある。けれど、あまりにも昔のこと過ぎてすっかりと忘却していた。

 胸を焦がすような甘く切ない感情を紛らわすが如く、煙管を取り出し紫煙をくゆらせる。それでもなお胸の奥の疼きは取れず、ますます膨らんでいくばかりであった――。



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