壮年紳士は幼婆に傅く・2
Added 2020-07-16 00:27:00 +0000 UTC屋敷の地下には石造りの部屋が広がっている。かつては拷問部屋として使われていたそこは薄暗くてジメジメしており、今でも血の匂いが染みついている。 幼い頃何か悪いことをすると父親に放り込まれたものだ。散々泣き喚いて戸を叩き、恐怖のあまり失禁しても当然ながら誰も助けてはくれない。 子どもの頃の自分にとって、あの場所は恐怖の代名詞だった。 ――それがまさかこんなことになろうとは。 地下室に続く階段を下りながら、四谷圭吾は口端を歪める。 心臓がドキドキと痛いほどに跳ねる。恐ろしいわけではない。期待と興奮が交じり合った胸の高鳴りだ。ゴクリと大きく喉が鳴り、ランプを持つ手がカタカタ震える。 やがて階段を下りきり、地下室に躍り出た。等間隔に設置されたろうそくが室内を淡く照らしている。やはりというか不気味さは変わらない。ずらりと並ぶ拷問器具が一層おぞましさを醸し出す。 「ただいま参りました」 静謐な地下室に声が響いた直後。 部屋の四隅で影が蠢き一所に集まっていく。それらはやがて紡ぎ重なり、人としての形を成す。 そして現れたのは八重に勝るとも劣らない美貌を持つ少女。 艶やかなココア色の肌をきつく締め付けるようにエナメル素材のベルトが巻き付けられている。ベルトはそれぞれ金属のリングで接続されており、首輪と下着に直結していた。 下着は鋭角なV字を描いており、中心部にはジッパーが走っている。小ぶりな乳房は完全に丸見えで薄桃色の乳頭がツンと張りつめるさまも見て取れた。 「ッ」 圭吾の顔がグッと歪み、姿勢が前のめりになる。股間に走る鈍痛に耐えるように身を丸め、何度か深呼吸を繰り返して意識を逸らして勃起を鎮めた。 ぶはっと息を吐き額に浮かんだ汗を拭う。一瞬でも気を緩めればまた勃起してしまいそうだ。 「……ふふっ」 ふと、少女がこちらに挑発的な笑みを向ける。不揃いに刈り揃えられた前髪によって左目は完全に覆われているものの、残された右目はしっかりとこちらを睨めつけている――黄金を埋め込んだような金の瞳だ。 それ以上に目を引くのは少女の背から突き出た蝙蝠じみた黒い羽と細長い尻尾。羽は肩甲骨のあたりから皮膚を突き破る様にして生えており、尻尾も尾てい骨のあたりから伸びている。 彼女も八重と同類……つまるところ、人間ではない。 「圭吾。おいで」 思わず見惚れていた圭吾であるが、少女の声でハッと我に返る。彼女は片膝を抱きながらクスクスと笑い、ハート型の尻尾を圭吾の方へと向ける。 「ほら、早く脱いで」 微かに頷き、言われるがままシャツを脱ぎ捨てる。筋肉質な肉体だ。薄皮の下に鍛え上げられた筋肉が凝縮されている。 続いてズボンを脱ぎ、パンツに手を添えたところでわずかな逡巡。少女を見やる。返ってくるのは無言の微笑だけ。 とうとう意を決しパンツをずり下す――と、逸物に取り付けられた貞操帯が露わになった。南京錠が取りつけられた金属製のモノで、ほんのわずかでも勃起すれば激痛が走る仕組みである。 貞操帯を嵌められてから今日でちょうど一週間。その間自慰をすることすらできなかった。 けれどようやく解放される――そんな思いを見透かしたように少女は嗤う。 「そんなに待ちきれなかったの?」 尻尾の先端が腹筋の溝をなぞりあげる。ほんのわずかな刺激ではあるが、散々焦らされ続けた男にとっては溜まったものではない。一気に股間に血が集まり、貞操帯によって勃起が妨げられる。 思わず白目を剥きかけるほどの痛みに膝を降り、全身にびっしょりと汗をかいて悶える。それを知っていてなお、少女は責めの手を緩めようとはしない。 「どうしたの? ずっとこうされたかったんでしょう?」 少女の声は砂糖菓子のように甘ったるく、嘲笑すらも心地よい。 可憐な足先が武骨な顎を跳ね上げる。視線が交叉し、少女の目元が嗜虐的に歪んだ。 彼女が何を求めているのかはすぐに理解した。乾いた唇を舐め、そのままゆっくりと足に舌を這わせる。水分をたっぷりと含んだマシュマロのように柔らかく、甘い。特に指の間は味が濃く、夢中になってむしゃぶった。 「おねがい、します……これを、外してくださいませ……」 ぴちゃぴちゃと音を立てて舐め啜りながら惨めに懇願する。なるべく意識しないようにしているが、女の柔肌と甘い匂いは否応なく逸物をいきり立たせる。 貞操帯によって戒められ完全なる勃起には至らず、窮屈な檻の中で震える逸物はとろとろと我慢汁を零す。 対する少女は彼の嘆願を一笑に付し、 「ダメよ。もっと誠意を見せてくれなきゃ」 口元を歪に曲げ、圭吾の顔を足で踏む。時に強く、時に優しく。神がかり的なバランスでの調教だ。 いつしか彼の顔は自身のよだれに塗れ始めるが、それでもお構いなしに舐め続ける。涙を滲ませて懸命に。それが彼女に示せる唯一の誠意だと理解しているのだ。 そうしている間も逸物は痛みに苛まれ続け貞操帯を壊さんばかりの屹立をきたし、気が遠くなるほどの激痛に見舞われる。意識を逸らして鎮められるモノではない。 痛みと快楽に支配され、ただひたすら解放を願い媚びることしか許されない。男としてのプライドも、人としての尊厳もかなぐり捨てて奉仕する――奴隷同然の扱いであった。 「そうそう……上手よ」 彼の奉仕は満足に足るモノであったのだろう。少女は慈しむように圭吾の頭を優しく撫で、軽く指を振るう。南京錠がカチャリと硬質な音を立て、貞操帯が外された。 抑圧から解放された余韻に浸る間もなく最大仰角に達する。一週間も射精も禁じられていたからであろう。通常時よりもさらに張りつめており、臍につかんほどに反り返っている。 「圭吾」 少女が名を呼ぶ。 女王然とした彼女はわずかに足を開き、下着のジッパーをゆっくりと下す。ピタリと糊付けされたような割れ目が露わになり、陰唇に指が添えられた。そのまま指を開いてV字を作り薄桃色の秘肉――とヒクつく尿道口を見せつける。 ぴくぴくッと小刻みな痙攣をきたしたかと思った直後、黄色い液体が放物線を描いて吐き出され顔面に直撃した。 口に入っても嫌な味はしない。それはさながら少女の果汁であった。 気づけば大口を開けて熱っぽい液体を迎え入れ、ごくごくと喉を鳴らして嚥下する。顎の下に両手を添え、一滴たりとも無駄にしないようにした。 そして彼女の排泄につられたかのように逸物も射精へと昇りつめた。ビュービューとすさまじい勢いで放たれる精液は少女の身体を鮮やかにデコレートする。褐色の肌が白く染め上げられる様はカフェオレにミルクを垂らしたようだ。 放尿と射精が治まるのはほぼ同時。少女がぶるりと身体を揺らすと飛び散った尿がぴちょん、と名残惜しげな音を立てる。 言われるよりも早く、彼女の陰唇に口づけした。小ぶりな陰核に淡いキスを寄こし、そのままゆっくりと舌で縦割れをなぞる。ちゅうちゅうとみすぼらしく音を立てて尿道の奥に残った残滓までをも吸い取った。 「っ」 頭皮に柔らかさを感じる。頭を撫でられていると気づき顔を上げると妖艶な笑みの少女と目が合った。薄い唇をピンク色の滑らかそうな舌がぺろりと這い、 「いい子にはご褒美を上げないとね」 その言葉に期待を滲ませたように逸物がピクンッと跳ねた。 *** 人の欲は限りないモノだ。 高い地位と巨万の富を得ようとも尽きることはない。どころかより貪欲に肥大化していくばかりだ。 四谷家を復興させた男の孫はまさしくそのタイプである。すでに日本有数の財閥として十分すぎるほどの地位と資産を得ていたにもかかわらず、さらなる高みを目指した。 八重の加護によって四谷家には繁栄が約束されているもののそれにも限度がある。新規事業に乗り出しても得られるのは微々たる成果だけ。次第に頭打ちになっていき、完全に行き詰った。 その時である。当時異国から伝来してきた魔導書に巡り合ったのは。 錬金術、召喚術――摩訶不思議な術の数々に魅入られた男は書斎にこもりがちになり、家族との接触も避けるようになった。会社の経営も息子に丸投げし、金にモノを言わせて魔導書の類を買い漁る。 無論、その大半は紛い物であったし親戚中から白い目で見られもした。けれど男は確信していた。この探求の果てには栄光が待っていると。 ――そして結果的に、男の目論見は成功することになる。 屋敷の地下室に描かれた魔法陣から現れたのは人ならざる姿をした褐色の少女。彼女は自らを悪魔だと名乗った。大願成就の瞬間である。 しかし、歓喜に咽び泣く男をよそに悪魔はどこか退屈そうな目をしていた。またかとでも言わんばかりに大きなあくびを零し、うっとうしげに前髪を指で弄ぶ。 『願いを、願いを叶えてくれ! 私に富と栄光を!』 男が叫ぶ。ここまでは完全にテンプレ通りだ。 後はいつも通り適当に願いを叶え、対価を得て魔界へ帰る――はずだった。 『――八重』 男が何かを口にした直後、壁に現れた裂け目から無数の手が現れた。反撃する間もなく全身を絡めとられ、呪詛の籠った帯を巻きつけられる。 『なっ、あ――っ!?』 『ははは! そう簡単に逃がすわけがないだろう! お前の力は私のモノだ!』 呵々大笑する男とその傍らに控える童女を睨みつける。けれどどれだけあがいても無数の手からは逃れることができず、帯に描かれた呪詛によって反抗心が削がれていく。 『よくやってくれた、八重』 『……えぇ。でも、私がいるのに他の方を求めるなんていけずなお人』 『なに、を――ごちゃごちゃと!』 『おっと、暴れても無駄だ。その帯には特殊な呪詛が込められてある』 男は薄ら笑いを浮かべながら歩み寄り、悪魔を見据えた。目は完全に血走り、口端には泡が乗っている。狂気の形相であった。 『お前は未来永劫、私たちのために尽くすのだよ。二度とここから出られない――そう思え』 フーフーと荒い息を吐く男は悪魔を中心に新たな魔法陣を描く。彼女の魂をここに縛り付ける術式だ。 一日に二度の術式の行使――還暦間近の男には身体的な負担も大きい。目から口から血を垂れ流し、それでも手を止めようとはしない。彼は欲望に取りつかれた哀れな亡者と成り果てていた。 『さぁ、言え! 貴様の名を!』 魔法陣を描き終えるなり男が怒鳴りつける。悪魔は唇を噛みしめ頑として喋ろうとはしなかったが、意志に判してその口がゆっくりと動き出す。呪詛と魔法陣による二重の強制力だ。 『り、な……リリナ=リヴェナリリス』 名前を口にした瞬間、心臓を鷲掴みにされたような感覚に見舞われた。 悪魔というのは契約に準ずる存在である。その性質を逆手に取られた。 悪魔――リリナは男と契約を結ばされた。四谷家に尽くし、この家から離れることができないという呪いじみたモノを。 『やった! やってやったぞ! 私は、私は……!』 両腕を振り上げて歓喜の雄たけびを上げる男だったが、不意に足取りがおぼつかなくなりそのまま力なく後ろに倒れこむ。胸を押さえて目を白黒させ、盛大に喀血してそのまま動かなくなった。 理由は明白だ。自分の容量を超えた魔力を行使し、生命力を使い果たしたからだ。 リリナはしばし唖然としていたが、やがて八重の方へと視線を移す。 『……あなた、ひょっとしてこうなることがわかっていたんじゃないの?』 『えぇ。正直、あの子のことあまり好きじゃなかったんですよね。部屋は汚すし服は脱ぎ散らかすし、本当に嫌になってしまいます』 八重はさも当然のように言い切った。見た目こそ子ども然としているが彼女も本質はリリナと同じ魔性である。どれだけ愛らしかろうが、親しげに接していようが人間とは価値観も思想も何もかもが違うのだ。 身体に巻き付いていた手が離れていく。リリナは不機嫌そうに立ち上がり、パッパッと身体についた汚れを手で落とした。 『ともあれ、契約は滞りなく結ばれました。あなたはもうここから逃げられません。でもご安心ください。ここにいる間不自由はさせませんから』 『……へぇ?』 『娯楽も食事もなんでも提供しましょう。お望みであれば、人間も。退屈しのぎに弄ぶにはちょうどいいでしょう? 彼ら』 嗚呼、と。ようやく腹の内を曝け出したかと口元を緩める。 口調こそ穏やかであるが八重の目は一切笑っていない。 二人の魔性は互いに頷き合い、クスクスと笑い合う。 腹の虫が収まらないわけではない。だが、退屈はしなさそうだった。 *** あれから百年以上――本当に色んなことがあった。 八重と大喧嘩して屋敷を半壊させたこともある。 慰み者として寄こされた男娼たちを一晩で食い散らかしたこともある。 四谷家に産まれ出でた男たちの貞操を奪うのも今では自分の役目だ。 最初はどうなるかと思った地下室暮らしも環境としては魔界に近いし、娯楽もある分こちらの方がだいぶマシだった。 一応契約だけは残されているので未だこの家から離れることはできないがそれでも不自由を感じたことは少ない。八重と――もう一人の同居人と暮らすのもそれなりに楽しかった。 何より、今は最高の玩具がいる。 「ふふふっ。こんなに硬くしちゃって、女の子みたいね」 リリナは蠱惑的な微笑を讃えながら圭吾の身体に手を這わせ、硬く尖った乳頭をついばむ。甘やかな刺激に男根がビクッと跳ね、先走りが撒き散らされた。 圭吾の口にはボールギャグが嵌められ、目元はアイマスクで覆われている。ここだけ切り取ってみれば彼が大企業の社長だとはだれも思わないだろう。ましてその隣に控えているのは娘ほどの見た目の少女なのだから。 リリナはほっそりとした脚を圭吾の身体に絡ませ、乳頭と逸物を同時に責め立てる。エナメル製手袋のつるつるとした不思議な感触に腰が蕩けそうになった。竿全体を掌で舐めるように撫でたかと思えば、今度は柔らかいタッチで陰嚢を揉みしだく。 八重に負けず劣らずの手練手管――だが、リリナの方が嗜虐心は強めだ。 「んぐっ、ぅぅぅッ!」 乳頭に歯を突き立てられくぐもった呻きを上げる。鋭く尖った犬歯が肉を突き破る痛みにくんッと背が反りかえり、アイマスクの下から涙がこぼれた。必死に身を捩って逃げようとするがリリナは華奢な見た目に似つかわしくない膂力で圭吾を抑え込み、その反応を楽しむかのように血のにじんだ乳頭を舌でちろちろと舐め遊ぶ。 鍛え上げられた肉体も人外の前では形無しだ。どれだけ激しく抵抗しようとも小枝のような腕の一捻りで押さえつけられてしまう。 (嗚呼……本当、面白い) 今まで数えきれないほどの人間たちを見てきたが、その中でも圭吾は特別だ。 彼は出世欲や金銭欲といったモノを持ちえない。上昇志向がないわけではなく、単純に関心がないのだ。 その分、彼の心には破滅願望じみた被虐心が眠っている。 四谷家の人間は元服の際、リリナの元を訪れて願いを叶えてもらうのが慣例だ。大半は取るに足らない願いばかりである。いい女を見繕ってくれだとか今まで自分を虐げてきた奴らを殺してくれだとか……けれど、圭吾だけは違った。 『この身をあなたに捧げます。どうぞお好きなように』 そう言いながら足にキスをしてきた時、驚きで目玉が飛び出そうだった。 思えば、最初出会った時も彼は他の男たちとは違っていた。 彼が初めて地下室に来たのはちょうど七つになった頃である。今でこそ筋骨隆々の大男だが当時は背も低く、華奢で女の子みたいな顔つきだった。 めそめそしていて、なよなよしていて――見ているとなんだか無性に虐めたくなる。そんな雰囲気の少年である。 だから欲望のままに押し倒して弄んだ。身体中を舐め味わい、ピンポン玉のような大きさの陰嚢と小さな逸物をまとめてパクッと咥えこむ。わざと犬歯をギラつかせると顔がクシャッと歪んだ。 それが面白くて、楽しくて――気がついたら彼は床に大の字で倒れ、愛液と唾液に塗れながら可愛らしく勃起した逸物をぴくぴくと震わせていた。ヒューヒューと息を途切れさせつつも実に幸せそうな様相で。 それからである。彼がたびたび地下室に訪れるようになったのは。 自分は悪い子なのだと。だから“お仕置き”をしてくれと。 次第に八重も混ざる様になり、途中でもう一人も加わって――充実した日々であった。 (本当に……愚かしくて愛おしい子) 慈しむような手で彼の顔を撫でる。髭のじょりじょりとした感触、深く刻まれつつあるしわ、乾いた肌を伝う熱い涙――。 リリナは彼の腕をギュッと強く抱きすくめた後おもむろに身を離し、傍らに置いてあった馬上鞭に手を伸ばす。無論、視界を塞がれている圭吾には彼女が次に何をしようとしているのか予測するすべはない。 だからそれは完全に意識の外からの一撃であった。 「――ッ!?」 ヒュッと鋭い風切り音の直後、逸物に奔る激痛。 逸物が千切れたかと錯覚するほどの痛みに脳がパニックを起こす。ビタンビタンと陸に上げられた魚のようにのたうち回り、声にならない悲鳴を上げる。口端からはぶくぶくと泡が溢れ、しかし男根は萎えるどころかさらに硬さを増した。 二度目、三度目の打擲。亀頭と陰嚢が弾かれる。特に敏感な部分への打撃に意識が明滅を繰り返す。 「こんなことで悦ぶだなんて……へ・ん・た・い・さん♪」 甘い囁きが鼓膜をくすぐる。耳穴に滑った舌が滑り込んできた。喘ぎと水音の二重奏が脳を直接蕩かしていく。 「フーッ! フーッ!」 「うふふっ。痛いのが気持ちいいのよね。だからもっと虐めてあげる。嬉しいでしょう?」 コクコクと何度も頷く。だからもっとしてくれとばかりに。 なんとも浅ましい姿だ。なればこそ愛おしい。 馬上鞭でぐりぐりと男根を押しつける。鈴口に先端をねじ込み、陰嚢をぺしぺしと焦らすように叩く。垂れ流しの我慢汁を手で掬い肉棒全体にまぶすのも忘れない。 ――SMとは決して一方通行ではない。Mの求めにSが応え、Sの奉仕にMが応える。どちらかのバランスが狂っていては成り立たず、己の全てを預ける信頼関係があってこその行為だ。 リリナの視線は熱っぽく、興奮度合いを示すかのように秘裂からとろとろと雌蜜も零れだす。彼女もまた、興奮していた。 「射精、したいのね」 細やかな指先で亀頭をクリクリと弄る。鈴口に指先をねじ込むとぷちゅっと音を立てて先走り汁が弾けた。射精にはギリギリ至れない絶妙なソフトタッチだ。圭吾はわずかに身を捩って少しでも快楽を貪ろうとする。 が、 「誰が動いていいって言ったのかしら?」 思わずゾッとするほど低く、怒気の籠った声――直後、尿道に冷たい金属の棒をねじ込まれた。頭の中で無数の火花が弾け、腰ががくがくと震えだす。 射精感を覚えながらも精は放たれない。尿道プラグによって精液をせき止められているのだ。異物を挿入された痛みと違和感、それに反して心地よい快感がじわじわと下腹部を中心に広がっていく。 傍らに控えるリリナは尿道プラグをリズミカルに抜き差ししながら、クスクスと冷たい微笑を零す。 「ふふふっ。射精できなくて残念ね。でも、あなたが悪いのよ? 我慢のできない悪い子には“お仕置き”しなくちゃいけないんだから……ね?」 ぐりッと根元まで尿道プラグを差し込むと「ンォッ!」と低い喘ぎが上がる。円を描くように捩じると面白いように先走りが溢れた。射精感には見舞われているのだろう。逸物がきたしている痙攣は紛れもなくそれだ。 「ねぇ、圭吾。わかってる? これは“お仕置き”なのよ? これで悦ぶなんて……躾が必要かしら」 チッと舌打ちされ、逸物を平手打ちされた。馬上鞭とは別種の痛みがこみ上げる。 謝罪を口にしようとしてもボールギャグを嵌められていてはまともな言葉は喋れない。うーうーと不明瞭な呻きを上げ、ぼたぼたとよだれを零す。 ――が、どれほど誠意を見せようが逸物を屹立させながらでは説得力が皆無だ。いくら謝罪を口にしようとも身体が、心が快楽と痛みを欲しているのである。 それを一瞥したリリナははぁ、とこれ見よがしにため息をつき、圭吾のアイマスクを取り外す。涙にぬれた瞳がこちらを見据えてきた。縋るような視線だ。ゾクゾクする。 「そんな目をしてもダメよ。我儘な子にはもっとキツイ“お仕置き”をしなくちゃね」 リリナは圭吾に背を向け、台座の上にあったペニスバンドを腰に巻き付け装着する。 ディルドの大きさたるや、成人男性の平均を大きく超えて余りある。圭吾も相当な巨根だがそれはリリナの二の腕よりも太く、先端に至ってはげんこつほどはあろうかという有様だった。 リリナはそれにローションをまぶし、圭吾の尻を鷲掴みにする。先端がめり込み、亀頭がゆっくりと菊穴に埋もれていく。 「んぐぅぅっ! んーっ! おーっ!」 メリメリと音を立てんばかりの勢いでアナルが割り開かれていく。尿道プラグを差し込まれた時以上の強烈な異物感と圧迫感。目の前がチカチカとして、恐怖で身体が震え、それらすべてが快感として脳を震わす。 バチンッとすさまじい打擲音とともにディルドが根元まで挿入された。その衝撃で圭吾はぐりんと白目を剥き、逸物を大きく震わせる。 余韻に浸る時間はない。すぐさま抽挿が開始され、極太ディルドが腸壁を無遠慮に責め立てる。リリナはただ腰を振るだけでなく緩急をつけて責めに強弱を生み、特に敏感な前立腺を集中的にコツコツと穿つ。 「あははっ! 圭吾。さっきからずっとビクビクしてるじゃない。イってるの? お尻を犯されてイってるの? どうしようもない変態ね!」 痛烈な平手打ちが尻に炸裂する。何度も何度も、腰振りに合わせて。 本来であればすでに射精に至っているだろうが、尿道プラグによって精を放つことすら許されない。ぐつぐつと腹の下で劣情と快感が滞っていき、頭が壊れそうなほどのもどかしさに支配される。 あどけない少女に肛門を犯され、女のように哭き喘いでいる――自分を惨めだと思えば思うほどに興奮が高まっていく。 「こんな姿、あなたの部下が見たらどう思うかしらね? 特にあの秘書ちゃん。気づいてる? 彼女、あなたに気があるみたいよ? でもきっと幻滅しちゃうでしょうね。憧れの社長が実はこんな変態マゾだなんて」 リリナの罵倒はさらに鋭さを増していく。心身ともに苛まれ、圭吾はまたしても絶頂へと昇りつめた。 ガクンッと前のめりになった直後、ボールギャグが外される。唾液の塊を吐き出し、ゲホゲホと咳き込んで新鮮な空気を吸い込む。 「ひぃっ、あっ! あぁぁぁああ……!」 一息つく間もなく尿道プラグを抜き差しされる。腰の動きに合わせてにゅぷにゅぷと。声が震え、涙がこぼれた。膝ががくがくと震えて今にも崩れ落ちそうになる。 背中に寄りかかるリリナの柔らかさと熱もまた、興奮を助長させるファクターだ。彼女は左手で逸物を優しく撫で擦りつつ、右手では尿道プラグを激しく弄る。中と外の絶妙な刺激――巧みな技によって、圭吾は容易く腰砕けにされてしまう。 ほんのわずかに責めが緩まったと思った次の瞬間、悪魔の囁きが聞こえてくる。 「イきたいんでしょう? なら、その口でちゃんと言いなさい……『イかせてください』って」 嘘ではないぞ、と言わんばかりに尿道プラグが抜けるギリギリまで引き抜かれ――また根元まで叩きこまれた。 快楽で茹だった頭では正常な判断などできるはずもない。 「イかせて、ください……」 一切の躊躇なく、圭吾はキーワードを口にした。やっと楽になれると一縷の望みを抱いて。 けれど彼の予想に反してリリナは「んー」と首を傾げ、 「聞こえないわね。もっと大きな声で言ってくれないとわからないわ」 また腰と手の動きを再開させていく。 これで終わると思っていたところに不意打ち気味の刺激。心身にさらなる追い打ちがかけられていく。 もう、なりふり構ってなどいられなかった。 「イ、かせて! イかせてください! イかせてくださいイかせてくださいイかせてくださいイかせてください!」 何度も何度も駄々っ子のように泣き叫ぶ。もはや羞恥心といったモノは欠片も残っていない。 ただ、射精したい。恥も外聞も捨て去って懇願する。 「嗚呼……みっともなく鼻水まで垂らして。そんなに射精がしたいのね。いいわ。許してあげる。思う存分、味わいなさい」 一際深く尿道プラグが差し込まれ……一気に引き抜かれた。排尿にも似た、けれど比べ物にならないほどの開放感と快感が炸裂する。 それに合わせてディルドも深々と突き刺さった。系統の異なる二つの衝撃がぶつかり合い、爆発する。 「――――――――――ッ!」 それはもはや、絶頂などという生易しい言葉では表せなかった。 自我と呼べるモノが軒並み白い光にかき消されていき、今まで蓄積されていた快感が一気に放出されていく。忘我に至るほどの射精など生まれて初めてだ。一週間ぶりの射精だからだろうか、初めて自慰をした時以上の濃度と量だ。 地下室の床に精液たまりが形成されていく。ぼちゃぼちゃと重苦しい水音を立ててスライムじみた精液が吐き出される。 膝は不随意に震え、腸壁はさらなる快感を求めて蠢きだす。もし仮にディルドではなく本物の逸物であれば、リリナも今頃射精に導かれていたであろう。 圭吾は完全に気を失っていたが、それでも逸物だけはビクビクと歓喜の痙攣をきたしていた。五分ほど、断続的な射精を繰り返した後萎えた逸物の先からとろりと粘り気のある精液塊が糸を引いて垂れ落ちる。 「んっ……」 ディルドを引き抜くと支えを失った圭吾はそのまま前のめりに倒れこむ。地面にぶつかる寸前でリリナが抱きすくめた。 そっと地面に寝かせ、ペニスバンドを外す。ふぅっと息を吐いて肩の力を抜いた。満足げな彼の表情を見ているとなんだか自分も満たされていく。 けれどまだ足りない。下腹部は痛いほどに疼き、溢れた雌汁がほっそりとした内ももを伝う。 我慢していたのは彼だけではない。リリナもこの一週間、今日が来るのを楽しみにしていた。 ゆえに気を失っている圭吾の顔をまたぎ、そのまま陰核をキュッと抓る。 プシィッと炭酸飲料の蓋を開けたような音とともに潮が噴きあがり、圭吾の顔に降りかかった。覚醒し、しばし目をぱちぱちとさせていた圭吾だが頭上のリリナを――より正確に言うのであれば彼女の姫割れを見て身を固くする。 当の彼女はニィッと含みのある笑みを浮かべ、 「一人だけ満足して寝ちゃうなんて……やっぱり礼儀がなっていないわね。今日はとことん躾けてあげる」 そう、期待を滲ませた声で言い切った。
Comments
ありがとう!ございます!リリナさんグッジョブ!!!双方の硬い信頼のあるSM最高でした!!
teto
2020-07-16 09:59:45 +0000 UTC