【全体公開版】スケベスキルで世界最強~やっぱ最強はちんぽっしょ!!~10
Added 2021-03-28 09:58:03 +0000 UTCエギザクタ家と言えば、コートリル王国で知らないものはいないほどの名家であり、騎士の家系として名高い。確かに元をたどればアーミライト家の分家であるのだが、元老院にすら名を連ねる当主、グリッジ=エギザクタを抱える一門にそのようなイメージを持っているものなどわずかだろう。
それでも、グリッジをはじめとしたエギザクタ家はアーミライト家を目の上のたんこぶのように思っており、そのことが跡取りであるフォッグライ――フォグには理解できなかった。
現在の地位は確実にエギザクタ家の方が上であり、政治力もある。アーミライト家は皇族の血を持つため歴史は古いが、それだけだ。堅実すぎる家系ゆえに政治には疎く、皇族のはしに名を連ねていても、その権威を笠に着たことなどない。
フォグにとって、現アーミライト家の当主であるジェイルラル=クリン=アーミライトは尊敬すべき人物であり、政敵とみなしたことなどなかった。
だが、フォグがもつ親愛は最初からあったわけでは当然ない。
真面目な彼は父からの教えを真に受け、アーミライト家を倒すために同じ部隊に籍を置いたのだから。
配属された当初、フォグはジェルが嫌いだった。
『神風』と名高い国一番の武人、ジェルの腕前こそ知っていたが勝たなければならないと思っていた。そうでなくては父に認められず、家を継ぐことなどできない。最強の名を奪ってこそ、父に認められるのだ。
フォグは厳格に取り繕った仮面の下で憤怒をたぎらせ、人よりも鍛錬に勤しんだ。それこそ、血のにじむ努力を彼はしてきたのだ。実力者が集まる部隊の中でも頭角を現すのにそれほどかからず、ついには副隊長の地位まで得た。
しかし、それでも父は認めてくれない。
やはり最強の冠以外は目に入らない。
「だから何だと言うのだ。俺がお前を育てたのはあいつの下に甘んじている姿を見るためではない。もう下がれ。俺は忙しい、くだらないことで時間を取らせるな」
なんて言葉を投げかけられたのは副隊長就任の報告をした時だった。
執務室まで出向いて報告したところで、返ってきたのは興味もないという意思表示。
にべもなく冷たい言葉は、フォグの心に突き刺さる。わかってはいた。一縷の望みが鋭利な凶器へと変化するのは当然であったが、それでも彼には期待をなくすことなどできなかったから。
父に認められるために、武勇を研いできた。それでもまだ足りない。
だが、いったい何時になればあの高みへ届くのか。『神風』は遠く、早く、熊の手では掴むことさえできていないのに。
副隊長になったことを祝ってくれる友などいない。周りはすべて出し抜かねばならぬ敵であり、気を許すなど父が許してはくれなかった。
窮屈な感情は胸を締め付け、息苦しさに喘ぐだけ。言葉も出せずに何度呼吸を繰り返しても棘は抜けてくれなかった。責任を自分に求めるきらいがあるフォグは自らの努力不足をなじり、眠ることもできずに夜が深まった部隊の訓練場に足を運んでいく。
誰もいない場所でフォグは剣を持ち、早く強くなりたいと焦燥が手を動かす。それがどんなにいびつであったとしても、立ち止まることを許容できるほど彼は器用ではなかった。
遮二無二剣を振り回すフォグはこぼれた涙をぬぐう代わりに剣を振るう。
彼はこれでしか感情を発露できず、これ以外の方法を知らない。そうやって育ってきた。
どうしたらいいのかわからない。どうしたら父がこちらを見てくれるのか。あの『神風』に勝てるのか。
嗚咽を切り刻むように剣を振るっても、感情はまとわりついて消えやしない。苦しさは呼吸を乱し、唸り声となって喉を振るわせる。自分の弱さが憎くてたまらないけれど、克服することもできないもどかしさにいら立ちが募るばかり。
そもそもが脆く、父から認められることでしか自己肯定ができなかったフォグにとって、勝てる見込みのない目標は日々心をむしばんでいた。
このままでは行き場のない殺意に飲まれて心が砕けてしまいそうになるのも時間の問題だ。だがそんなフォグを救ったのは、優しい狼の声だった。
「どうして泣きながら剣を振るっているんだフォグ。今日は君のおめでたい日じゃないか」
熊の潤んだ視界に映るのは、慈しむような笑顔を月明りに溶かした狼で――――
****
「フォグ」
名前を呼ばれて熊は我に返った。湿り始めた目頭をこすってごまかすと、声の方へ顔を向ける。
「なんだリブラ。何か聞きたいことでもあるのか」
娼館の一室で獅子に応答するフォグは普段通りの顔だ。真面目そうで融通が利かない、皆が知っている『竜の爪』副隊長としての。
対してつまらなさそうな顔が標準装備されている獅子は、フォグの質問に答えることなくしゃべりだす。この獅子は自分のしゃべりたいことだけをしゃべる唯我独尊な男だが、フォグはもう慣れている。
「お前はこれから知恵と魔の派閥『リカヤ派』筆頭の一人であるリンドンを相手にする。特にリンドンはスキル研究の第一人者であり、お前にどんなスキルがかけられているのかを解析するにはもってこいのやつだ」
傭兵街スニーグスでしのぎを削る五大派閥の一角、知恵と魔の派閥『リカヤ派』。
その筆頭を務めるリンドンを相手に、これからフォグは体を売る。他の派閥と違いリカヤ派は三人の筆頭からなっているが、そのうちの一人を抱き込めば町の掌握がまた進む。
だが、彼らにとって重要なのはそこではない。
フォグにかけられたスキルを解析することで、異世界人がどこに消えたのかを探るためだ。
「もし本当にお前に何かスキルがかけられているとするならば、それはお前の父であるくそ野郎、グリッジの策だ。そこに手を加える、または解除することは、お前がエギザクタ家の意志に反することになるんだがそれでも――――」
「構わない。おれは『竜の爪』副隊長としてなすべきことをするだけだから」
食い気味に言葉をかぶせると、リブラの口角が上がる。面白いものを見つけた捕食者の顔で、熊を見据えて笑った。
「くくっ、変わったなお前。前までは怯えた小動物のような目をしていたくせに、今のお前はとても遊びがいがある」
「そこまでか?」
「ああ、態度こそ毅然を取り繕っていたが、その実誰よりも脆かったじゃないか。おれ様としてはいつ壊れるかと楽しみにしていたんだが、この調子だとそんな未来はなさそうだ」
どうやらばれていたようだと、フォグは嘆息する。性格以外は優秀な獅子にとって、他人を測る物差しは面白いかどうかで、同僚が壊れようとどうでもいいのだ。
「ちなみに、スキルのあたりはつけているのか?」
「大体は。親父の投資先くらい把握している」
「ほう、抜け目がなくて何より。あの天然狼の代わりに策事はお前の仕事だから、これくらいはしてもらわねばな」
「お前も手伝ってくれると助かるんだが。好きだろ、他人を陥れるの」
「好きだが、めんどいことは嫌いだ」
「はいはい、そう言うと思ったよ」
これからリンドンとの予定に向けて、フォグを着飾るのはリブラの仕事だ。他のスタッフに任せても良かったのだが、意外なことにリブラが名乗り出た形となった。
毛並みを整える手つきも慣れたもので、本当に性格以外は優秀なのだと改めてフォグは思う。
「ヤードも反骨精神を丸められるわ、お前も成長するわ。おれ様のご主人様は思った以上に人たらしだぞ」
「そういうお前はどうなんだ」
「おれ様か? さあな。おれ様はもともとご主人様のことが好きだぞ。あいつさえいればきっと面白いことが起こるはずで、おれ様は退屈をしないで済む」
だが、それはいなくなったものを取り戻そうと思うほどの執着ではなかったはずだと、フォグは気づいている。退屈を薄めてくれる存在を愛しているとはいえ、基本的にリブラは他人に興味がない。いなくなれば明日には忘れている存在、それがリブラと異世界人の関係だったはずだ。
ヤードがいなくなった穴埋めとして冒険者ギルドへの根回しや、商人ギルドを母体とする金と絆の派閥『ナハトラ派』へのコネづくりなど。
これらはすべて、獅子が以前つまらないと切り捨てた政治活動だったはずだ。だからこそリブラはあふれんばかりの才能を持っていながらも『竜の爪』という部隊へ流された。
それを指摘すればこの獅子は怒るだろうか。なんてフォグはうっすらと考える。
「それでも、おれ様は自己分析くらいできる」
整えた毛並みの根元に薄く香料を塗りながら獅子は続ける。少し華やかなトップノートから誘惑を思わせる甘さをミドルに、そして事後を感じさせる透き通る香りをラストへと続かせる香料はリブラの調合だ。
ふわりと香る華やかさに混じって、苦笑する声が一つ。
「……まあ、入れ込んでいるのは間違いないな」
「珍しい」
あまりにもそっけなく、それでいて素直なものだから、フォグは驚いて口に出してしまった。フォグがこんなリブラを見たことは今まで一度もなかった。
ラメを目の下や体に少し振りかければ熊の剛体が雌の色を纏う。黒い鼻に軟膏を塗って艶やかさを演出すれば、武骨な武人は娼夫へと早変わり。
娼館生活で化粧技術がかなり向上した獅子はその後もフォグを勇ましく、淫らに装飾し、雄と雌の顔を持つ極上の存在へと作り変えていく。
「リンドンはおっぱいが好きなようだ。まあお前を好む客は大体がそうなんだが」
「わかってる。これでも胸部関係のスキルもかなり鍛えられてきているんだ、並みの雄なら問題ない」
「それでもお前だからなぁ。まあおれ様は不器用に頑張るお前を見ながら楽しませてもらうとしよう。今日はドラゴンおちんぽらも来る予定だからな、何かあれば混ざってやってもいい」
素直に助けてやると言わないのが、この獅子のめんどくさいところだ。だからフォグはそこには触れないでおく。
「あんまり性癖を捻じ曲げてやるなよ。またゴライザに殴られるぞ」
「あんな筋肉馬鹿には二度と後れをとらん。おれ様が勝てないのはジェルだけで十分だ」
美丈夫が馬鹿にするように鼻を鳴らせば、娼夫が心配そうにため息を吐く。異世界人が帰ってきた時に、どちらかが戦闘不可能になっていなければいいなとフォグは強く思った。
ようやく準備が整ったのか、リブラが一歩引く。今のフォグはそこいらの雄を堕落させる淫魔さながらの魅力を手に入れた。鍛え上げた肉体は今や、ちんぽのためだけに彩られた看板だ。自分は雄をたぶらかしますと、何も言わずとも察知できる。
筋肉で膨れ上がった体にまとう薄すぎる布は優雅にはためくものの、随所につけられた金具が鎧のような雄々しさを演出している。股間部分や陥没乳首は完全に透けており、少し前のフォグなら服という認識すらなかっただろう。
完成した自分を鏡でためつすがめつしながら、熊は驚きを隠せない。何度うけても前後のギャップがすさまじく、打倒ジェルのためだけに心血を注いできた武人には縁のない華やかさだ。それでいて雄としての側面を損なっていないのだから恐れ入る。
「……相変わらず、素晴らしいな。お前ならどこに出たって生きていけるよ」
「当然だろう、おれ様だぞ。なにをやらせても絵になるし様になる。お前はおれ様と違って不器用なのだから、何でもできると思い込むのはやめるんだな。できないことはできないと割り切ったほうが人生楽だぞ」
「ひょっとして、慰めてるのか」
「馬鹿が。おれ様がそんなことすると思うか。おれ様は事実しか言わん」
相変わらず人を馬鹿にするような顔で尻尾をくねらせる獅子だが、どことなく丸みを感じさせるのは気のせいではないだろう。
「さあ行け。あの知識だけしか詰まってないような世間知らずをお前の魅力で篭絡してこい」
「ああ、ありがとうな」
そろそろ時間であり、熊が足を進ませる。
異世界人が消えたのは絶対に自分のせいだという負い目が、フォグの足音に決意をにじませる。
それでも、昔なら父の策に逆らおうなどとは思わなかったはずだ。昔のフォグにとって父の存在は絶対であり、意をくみ取ることばかり考えていた。
(あのくそ親父、ジェル様の足を引っ張るなら容赦しないからな)
なんて考えられるようになったのは成長なのか。少なくともフォグはようやく、反抗期に入ったと言える。それは自立への一歩であり、自我の確立に他ならない。
半透明で服とも呼べない軽装から金具のぶつかり合う音が鳴り、これじゃあ本当に踊り子みたいじゃないかと熊が苦笑する。リンドンの好みを反映させたのだろうが、果たして不器用な自分にできるのか、それが不安だった。
だがやらねばならない。俗物である父のしりぬぐいをするのは自分の仕事だとフォグはしっかり前を見据えた。
最近一層逞しく豊満になった肉体を弾ませて、熊は行く。
その後ろ姿を過去と見比べて、リブラが楽しそうにつぶやいた。
「今の方がいじめがいがあってなによりだ」
****
リカヤ派の筆頭が一人リンドンはスキルオタクとして有名だ。様々なスキルを研究することを生きがいにしており、リカヤ派の中でも研究者から支持が厚い。傭兵街どころか大陸一の頭脳ともいわれるほどの知能を有し、数多くの発見をしてきた。
著名な論文も多く出しており、この街に来たのも緩衝地帯ゆえに様々な人材やスキルが集まるからである。
他に教育機関や図書館の長も務めるカルハバ。
実戦派魔法使いの中では最強と言われるヤカブ。
この三人からリカヤ派は成り立っている。彼らの全員が魔術師ギルドの管轄ゆえに、リカヤ派は三つの勢力がひしめき合うことになってしまった。
研究オタクと名高いリンドンがなぜこの娼館に入れ込んでいるのか。当初こそ人々は懐疑的なことを口にしていたが、リブラなどはすでに承知している。
リンドンは大の巨乳好きであった。それも雄の。
ゆえに、こうして大枚はたいて傭兵街一のおっぱいといわれるフォグへのアプローチをとりつけたのだった。
「ばぶみましまし母性多めのおぎゃりプレイで頼む」
開口一番リンドンが放った言葉を、フォグは半分も理解できなかった。
背の高い兎の風貌は遠目で見れば整っていると言える。眼鏡も理知的に光り、一見すれば知性溢れた研究者だ。娼館にくるということでしっかり身なりも整えてきたのだろう、研究室に寝泊まりしていると聞いていたフォグが思っていたほど不潔には感じなかった。
何を言っているのかはわからないが。
少しやせているが健康的な体だとフォグは判断する。薄い灰色の毛並みは艶を失ってはいない。どうやら不摂生はそこまで兎をむしばんではいないようだ。
最上位の娼夫であるフォグが扱う部屋はとびきり豪奢で、成金趣味が気に入るように作られている。煌びやかでムーディな部屋にはうっすらと香がたかれ、非現実的な雰囲気を醸し出している。
だが、リンドンはそれらの調度品のすべてを無視して、真っすぐにフォグを、正確にはおっぱいを見据えていた。
「えっと、リンドン様? おれにもわかるように教えてくれると助かるのですが……」
「おっとすまん、リップママ。ママには私を産んでほしいんだ」
(いや全く理解できんが?!)
フォグの源氏名にママをつけるこの知識人を何とか理解しようと努めるものの、脳みそが理解を拒んでいるように入ってこない。そもそもママとは? から始まるのだが、いっそ思考を放棄してしまおうかとすら思っていた。
リブラからリンドンの性癖については聞いていたが、実際に対面すると反応に困ることこの上ない。それっぽく胸部の布をはためかせてみると、薄くぼかすような布地を貫かんばかりに視線が食い込んで、兎の鼻の下が伸びた。
「私は生後数か月の乳幼児バブ。ママのおっぱいが大好き。いいかな?」
「何が?!」
これが大陸一の研究者と名高い男なのかと、フォグはめまいがする。賢い人はどこかネジが飛んでいるものなのかもしれないと、リブラと並べながらあきらめることにした。
要するにそういうシチュエーションでしたいということなのだろう。フォグはそう理解して、リンドンを呼んだ。
「リンドン様、でしたらこちらに……」
「もっと母親が呼ぶように」
「えぇ……。リンドン、おいで」
「はぁいママ」
(気持ち悪いぞこいつ!)
嫌悪感がわいてくるものの、腰振り射精などでなじんだ価値観からすると拒否するほどではない。
リンドンは嬉々としてフォグの膝に頭を置いて、突き出ているおっぱいをうっとりと見上げている。腹肉との境目に手を入れたり、乳輪をなぞったりと、満足そうに顔をほころばせている。
「ああ……揉み心地も最高だが大きさも最高だ。やはり傭兵街一と言われるおっぱいはだてではないな」
「(いつの間にそんな不名誉な称号を……!)ありがとうございます、リンドン様。心行くまでお楽しみください」
「ママは子どもにそんな言葉遣いをしない」
(なんだこいつ……)
マズル持ちでありながらパイズリフェラできるほどに巨乳のフォグが気に入ったのか、両手で執拗に揉んでくる。手のひらから零れ落ちそうなほど肉厚な霜降りは、片手でつかみきれるものでは到底ない。
しかもこの街に来てスキルを鍛えたせいでさらに発達しているのだ。もはや普通のシャツでははちきれんばかりに膨らんでしまうフォグおっぱいだが、雄を誘うのにこれ以上の適任はいないだろう。
「ママ、僕は最近論文を三つも執筆して疲れたんだ。いい子いい子して」
「リンドンは偉いでちゅねぇ。賢くていい子いい子」
「えへへぇ❤」
大の大人をあやすことに違和感しかフォグは覚えないが、当の本人は勃起しながら嬉しそうにしているので問題はないのだろう。兎の目はだらしなく緩み、ちんぽからは先走りも浮かんでいた。
この調子でいきたいフォグだが、その次が浮かばない。撫でてあやして、どうしたらいい?
そんなフォグのことを見ていたリンドンに、だんだんと理知的な色が戻ってきていた。
冷めてしまったのかなんてフォグが焦っても、どうすることもできない。
「なるほど」きりりとした声が兎から出て。「リップママはもしかして、パパやママから愛されたことがないのか?」
――――思いっきりフォグの地雷を踏みぬいた。
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