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とある家具の遍歴

「おぉ゛ー! あ゛、あ゛、あへぁ❤」  けだものの声がする。知性を無くしたけだものの声が。おれは尻尾を振りながらおれの命令を待つシャチ野郎を見ながらため息をついた。最初は面白かったが、飽きるというのは人の性なのでこればっかりはどうしようもない。 「ちんぽっ! ちんぽくらさい! 極太おちんぽ一突きぐちゅぐちゅしてください!」  何がそんなに楽しいのか、シャチはニタニタ笑いながら腰に手を当て股間を突き出してくる。えーっと、こいつはどういう『設定』にしたっけか……ああ、そうだ、確か自販機をモチーフにしたんだっけか。 「ちんぽ一突きで3分間しこしこできる! それがこの俺、自販機シャチ!」  そうそう、ちんぽ一本突っ込まれるたび3分の自由行動を許してるんだった。もっとも、その3分はこいつの自慰行為に全部消費されるんだけど。なんで3分なのかというと、ちょうどインスタントラーメンが出来上がる時間だからだ。別に深い意味はないな。  ちんぽを硬貨に見立て、商品をザーメンに見立てた自販機シャチ。最初は面白いと思ったんだけど、ここまで頭がぶっ壊れてるとほかの玩具と差がなくてすぐ飽きたんだっけ。もっと反抗的な意思でも残しとけばよかった。そうすれば3分でもっと楽しいことができたのに。  いくらおれの好物がいかつい雄のとろけ顔だって言っても、常時とろけてるとありがたみが薄れるというものだ。こいつはもういいや。廃棄にするか。 「誰か俺のけつにちんぽぶっこんでくれよぉおぉおおぉおおぉぉ!」  見た目はごつくて雄臭いという好みど真ん中ではあるが、しょうがない。飽きやすいのは自分の悪い癖なのだが、どうしようもないことだ。  こいつは一体どこで拾ってきたやつだったか。確か、なにかで目に留まったから持ってきたはずだったのだけど。  まあいいか、今から捨てるやつの遍歴なんて考えても時間の無駄。とっとと廃棄してしまおう。 「『廃棄』」  一言つぶやいた途端、シャチがその筋肉を震わせる。そして、さっきまでとろけていた顔に理性がともりはじめ、同時に絶望色が濃くなっていく。自分が今までしていたこと、させられていたことがフラッシュバックする。この瞬間がたまらない。この自分ではありえないことをしていたという記憶に苛まれて絶望するこの表情。 「あ……おれ……」  脆弱ではあるが理性の灯は確実に明かりを強くしている。しかしそれは、絶望の影色を濃くする諸刃の剣。自由を取り戻したシャチはへたり込み、おれをおびえすくんだ目で見上げていた。 「お、まえ……おれに、なにを……」  何を、などと今更まどろっこしい解説が必要だろうか。脳みそをとろけさせすぎて知性が下がったのかもしれない。  答えるのも面倒くさいがこれも一興か。おれは雄のとろけ顔も好きだが、同じくらい絶望した顔も好きなんだ。 「実感くらいはしてるだろ。おれはお前らみたいな凡夫を自在に操ることができるんだよ。おれが命令するだけで、お前らは記憶も性格も作り変えられる。それこそ、テレビを切り替えるみたいにな」 「う、ぐぅ……そんな……」  ああ、このゆがんだ顔がたまらない。自身のアイデンティティがいかに脆弱かを理解してしまったがゆえの不安と、果たして今の自分が自分かどうかも分からない足場への猜疑。 「だけど安心してほしい。おれが『廃棄』したんだ。お前はもうおれがいじる前のお前だ」  そう言って体をずらし、出口への道を開けてやる。すでに興味は尽きている。どこへ行くなりなんなりとしてもいいんだ。どうでもいいし。 「ああ、でも、復讐するのはおすすめしない。お前ごときがおれに勝てるわけがないし、なによりその展開はもう飽きた」  もうちょっと前なら牙をむく獣をしつけるのも楽しかったのだけど、さすがに何度もされると食傷気味だ。すでにこの部屋にはそんな馬鹿どもの末路がいくつも展示されているのだから。  目と鼻をふさがれて座ってもらうことを待つだけの牛の椅子。ブリッジの姿勢でちんぽをいきり立たせるサイの机。浴槽で全身オイルまみれにしながらおれを待つ鮫の風呂。  どいつもこいつも愚かな選択をしてしまったがために人生を棒に振った馬鹿どもだ。  もちろん、このシャチはそいつらのことを知っているだろう。廃棄する前までは何とも感じなかったかもしれないが、今では牙を折るのに役立つ愉快な思い出へと様変わり。  だから、逆らうことがいかに愚かということを理解しているはずだ。  絶対に勝てない。シャチがこぼす涙は恐怖だけではなく、情けない自分への憤りもありそうだ。うーん、なんか腕っぷしが自慢だった気がするから、余計にみじめさを感じていそうだ。いい顔をしている。  緩慢な動作で四つん這いになって、ゆっくりとドアへ向かう。周りを極力見ないようにしながら、幸せそうな家具たちの様子を振り切って。  筋肉の塊みたいなくせに、その様があまりに情けなくて。あまりにかわいかったから。  ――――気が変わってしまった。  逃がしてあげようと思ったのだけど、残念。 「は、え……?」  ガタガタ震える四肢で這うように出口へと向かっていたシャチのしっぽを思いっきり踏みつける。無様な悲鳴が聞こえたけど、知った事ではない。 「なんだよぉ……逃がしてくれるって言ったじゃねえか……」 「やっぱりやめた」  死刑宣告にも等しい発言を受けて、シャチの顔がさらに絶望を強くする。拳の一発でも入ればおれなんて吹き飛ばせそうな体つきをしているくせして、そこには絶対的強者への畏怖しかない。  にたりと笑う自分の性格が悪いことはわかっている。でも、楽しいのだからしょうがない。 「逃げていいのか?」  問いかけを一つ。水面に波紋を浮かべるかのように。  それに対してシャチは何をいまさらと言わんばかりの顔で、だけど、おれを刺激するのを恐れて言葉を選びながら恐る恐る。 「逃がして……ください……」  おれごときの体重で縫い留められた豪傑は、うかがいながら口を開く。恐怖によって生産された美味なるスパイスを鼻腔一杯に吸い込むと、得も言われぬ心地よさが広がった。  さて、さて、それでは、すこし戯れを始めよう。 「『本当に』?」確認をもう一度投げつけて、足の裏で尻尾をやさしくなでていく。 「もう嫌だ、こんなところ……狂ってるだろうが……なんだよ、自販機って……」 「『本当に嫌だった』?」根元の太い部分まで、足の指でくすぐりながら。 「嫌に決まってる、あんな馬鹿みたいな真似。どうして俺が、こんなことを……」 「『でも、幸せそうだった』」 「……! それは、お前のせいだろうが……! お前が、俺をおかしくしたんだ!」  怒りや羞恥といった感情を混ぜ込んだ雄の顔には、朱というには濃すぎるほどの色が浮かび上がってきている。なんてかっこいい。こんな雄のとろけた顔が、おれは何より好きなんだ。 「『思い出して』」復元された精神に刷り込むように、言葉を染み込ませる。 「何をだよ……お前、もうしゃべるな……しゃべらないでくれよぉ……」 「『君は自販機として、とても幸せそうだった』」 「やめろ! やめろやめろやめろっ! 思い出させるな! そんなわけはない! 俺は、もうおかしくなんてないんだ!」  足の指は尻尾の付け根が硬くなっていくのをしっかりと感知している。いかに人格を元に戻したとしても、刻まれた快楽は、幸福は、決してこいつを日の当たる世界に戻さない。  だからそれを掘り起こしてやればどうなるだろうという実験。普通の人では味わえないような幸福を味わったこいつが、本当に元の世界に戻りたいと願うのだろうか。  それを、見てみたくなったのだ。 「『君は幸せだった』」毒に浸して、沼へ沈めて。 「違う違う、ちっがう゛っ! おれは、幸せなんかじゃ……」 「『君は、ちんぽをはめてもらうのが、何より好きだった』」二度と這い上がれないように。 「お゛っ、おで……は……そんなの、い、らな……」 「『本当に?』」 「本当だっ! 本当に、おれは! もう、おかしくなんてないんだよぉ! やめろやめろやめろやめろやめろやめてくれ頼むおかしくなりそうだ気持ちよくって幸せでおれがおかしくなるっ! 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁっ嫌だっ、あ、あ、あ❤ちんぽなんていらない、いらないんだ……」  足をどけたというのにシャチは頭を抱えてうずくまってしまった。椅子にちょうどいいが、座るのはもうちょっと待ってやろう。 「違う、おれはおかしくなんてない、おかしくなんてなってない、だからちんぽなんていらない、ちんぽのあとにしこしこするのだって全然したくない、違う、違う、おれはそんなのいらない……やめろ、やめてくれ頼むぅ……」  自販機としての経験がいかに幸せに満ちたものだったか、わかってもらえておれも元持ち主として本望だよ。  おれは何もしていない。ただちょっと記憶を鮮明にしてあげただけ。  こいつが勝手にそこに価値を見出しているんだ。逃げたいならば、おれは追わない。 「『本当に?』」 「うっぐああぁ❤やべでぇぐれぇ! あ、あああ、ここから出たら、おれは……おれぇはぁ。もうちんぽがもらえない。もうご主人様に見られてしこしこできない。違うっ! 違うんだよぉおぉおおおおおおおおぉぉぉ!」  うわ、おもしろ。涙と鼻水を垂らして泣きじゃくってる。大の大人が、それもこんなに強そうな雄が、丸くなって震えている。  ちょっとムラムラ来てしまった。今すぐこいつを使いたいけど、廃棄してしまったからなぁ。  とっとと終わらせて、別のやつでも使うか。 「『本当に?』」「『本当に?』」「『本当に?』」「『本当に?』」「『本当に?』」「『本当に?』」「『本当に?』」「『本当に?』」「『本当に?』」「『本当に?』」「『本当に?』」「『本当に?』」  麻薬以上の多幸感と快楽を思い起こして、捨てられないとわめいている。  シャチは白目をむきながら獣以下の支離滅裂な言語でうめくだけ。 「『ちんぽは嫌い?』」 「嫌いじゃない! 好きだ、大好きだ! ちんぽがもらえればおれはしこしこできる違う違う違うおれはもう自販機じゃない!」  もう限界が近いのだろう。シャチは無様な顔でおれの足元に縋り付くと、額をこすりつけそのまま土下座の体勢に移動した。 「ゆ゛、ゆるじでくだざい……おれをもう、壊さないでください……」 「……」 「このままだど、おれ゛、おかしくなる……ちんぽのための自販機になっちまう……」  どうしよう、思わず笑ってしまいそうだった。  こんなことをすれば、おれが喜ぶのなんてわかりきってるのに。必死すぎて頭が回らないんだ。ばっかだなぁ。  おれのちんぽはびんびんのぎんぎんで、すぐにでも犯したいと言っている。  本能に忠実だから、我慢なんてできないんだ。  勢いよくパンツを下ろし、勃起したものをさらけ出そう。 「……おぉ、ちんぽぉ❤」  あれだけ泣きじゃくっていたくせに、ちんぽを見ると途端に破顔する壊れかけの自販機。  しかし、それがすぐに恐怖にゆがんだ顔へと変わるのは、自分が終わっていたことに気づいたから。もう、どうしようもないほどに壊れてしまったと。 「あ……あ、おれは……」  蒼白な顔も悪くない。思わず舌なめずり。 「もしここから逃げたいのなら、質問に答えてからだ」  沼に頭まで沈めてから、もう一度。これで最後の問いかけだ。 「『逃げていいのか?』」  ここから逃げてしまえば、もう二度とちんぽは手に入らない。いや、手には入るだろうが、そこから得られる幸福感はこいつが求めるものとは雲泥の差がある。  そんな生活に、果たしてこの中毒者が耐えられるのか。  ぽろぽろ、ぽろぽろと。シャチの目からは涙が止まらない。  ずいっとちんぽを前に突き出して答えをせがめば、くぎ付けにされて動くことすら忘れてしまった。  完全に壊されてしまったことを自覚した、哀れな贄。理性が戻ってきてしまった分だけ、それはより自身をさいなむことだろう。もう元の生活に戻れない。満足できない。  ちんぽがなければ、いや、おれがいなければ生きていけない。決して長いとは言えない自販機生活で、こいつのすべてはねじ曲がっていた。    ――――そんな奴の出す答えなんて、わかりきっている。 「んふーーーー❤❤❤」  おれのちんぽにむしゃぶりついて、吸いつきながらフェラをする。  それが、こいつの答えだった。 「っま、わかってたことか。どうだ変態、ちんぽの味は」 「さいっこぉおぉぉおぉぉおおおっ❤❤ちんぽうめえ❤たまんねぇ❤もうだめだ、おれ、こわれちまった❤こわれちまったああああぁぁああぁ❤❤」  涙はとめどなく流れているのに、口角は歓喜に上がる。自己の変質を嘆きながらも、与えられる幸福に酔いしれるちぐはぐで脆い精神がよく反映されていると言っていい。  シャチが顔を動かすたびに、空気を吸い込む音が部屋に響いていく。舌を絡ませ、掃除でもするかのようにしゃぶりあげる。 「ズッボォ❤❤ずぞぞぞぉ❤んぅ❤ちんぽっ❤んーチュッ❤❤❤」 「逃げなくてもいいのか?」 「おれぇもう壊れちまったからぁ❤ちんぽがないと、だめ、だめなんだよぉ❤❤❤ヂュルゥ❤ヂュウゥゥゥ❤❤」 「そっかー壊れたのか。壊れた家具は家に置いとけないなー」 「!!!!❤❤❤ヤダ、嫌だぁ❤またお傍に置いてくらさいぃ❤❤❤今度はもっと気持ちよくする❤もっどご主人様を満足させてみせますからぁ❤だからおれのこと、捨てないでぇ❤❤❤」  命令による精神の変質なんてしなくとも、こいつは従順な僕と化した。おれに捨てられることが、快楽から遠ざかることが、どれほど恐ろしいか理解した様子だった。  前に逃がしたやつらは例外なくあの幸福感の奴隷となりおれの元へ帰りたがる。もっとも、そんな奴らに興味など毛頭ないので、適当な好き者に売り払って終わりにしているが。  おれの気を引こうとバキュームフェラをやめないこいつを、さてどうしようか。自販機は飽きたからなぁ。  そもそもの問題として、常時とろけ顔だったから飽きが早かったところに起因しているんだ。なら、オンオフ切り替えられるものがいいだろう。それも、とびっきり面白そうなもの。  ……あれ、そういえばこいつの職業って。  そこまで思い出せたなら、あとは一直線だった。  ザーメン欲しさに吸いつくこいつの頭に手を乗せ、言葉をかける。 「お前、――――になれ」 ****  いつのまにか、世間であのシャチは人気になっていた。  元が格闘家だということを、というかそもそもこいつを拾ったきっかけが何かのインタビューだったということをやっと思い出したので、せっかくだからその設定を活かすことにした。  今やシャチはお茶の間の人気者として、様々な番組に顔を出している。戦えばあまたの勝利をおさめ、その恵まれた体格も相まって男女問わず人気が高い。  まあ、対戦相手をいじるのなんておれには簡単だったし、こいつを天才に仕立て上げるのに何も問題はなかった。ギャップ欲しさに動いたのだが、思ったより手間がかかったのは計算外だった。  でもいい。成果は十分にあった。  具体的に言うと、おれは楽しめた。  おれの前にあるテレビからはシャチが戦う様子が映し出されている。りりしい顔に汗を散らし、太い足が蹴り上げる。  パンツだけでたくましい上半身をさらしたその股間では、マンコがちんぽに媚びるために蠢いていることを誰も知らない。おれだけが、知っている。 「ご飯できたぞー❤」  甘い声がして、画面にいるシャチと全く同じ顔が部屋に入ってきた。雄々しい肉体は変わらず、しかし、装いは画面とは全く違って。  今のシャチが身に着けているものはレースのついた黒いパンツとブラ。こいつみたいなごつい雄でもきれる特注サイズ、いわゆる女装用の下着をつけている。  ご丁寧にガーターベルトまでつける涙ぐましさよ。ちなみに、おれがこいつに言ったのは外では天才格闘家になれ、家ではおれの妻になれだ。どういうことをするのかは本人の自主性に任せている。だって、そっちの方が面白そうだから。 「んっふっふっ、今日の飯は自信作だ」  嬉しそうな顔をする女装下着の天才格闘家。わざとらしくでかいけつをおれに向けながらかいがいしく世話を焼く姿に、テレビでの雄姿は重ならない。まさかこいつが家では女性下着をつけて変態プレイをするだなんて、想像できる奴はいないはずだ。  ブリッジしている机に料理を置いて、おれの隣に座る。巨漢の体重はきつかったのか、椅子が苦しげに射精した。続けて使ってもらったことがうれしかったのか、机も射精した。あとでこいつに掃除させよう。 「はい、あーん」  と言いながらおれに料理を運んでくれる。こいつの妻像はどうなってるんだとたまに問いただしたくなる時はあるものの、基本的には面白い。  人を家具にしている家で、新婚プレイをする。それがいまのおれのマイブームだった。  おれのそばにいることで興奮してきたのか、シャチのちんぽが緩やかに立ち上がっていく。いくらプレイ用の女性下着とはいえやはり薄い生地には荷が重いようで、シャチちんぽはだいぶ窮屈そうだ。 「はあ❤はあ❤」  顔も蕩けていき、性欲に支配されているのがわかる。画面の中ではあんなに勇ましく敵を倒しているというのに、実際のシャチはただのちんぽ狂いなんだ。  料理を食べ終わるころには、シャチはすっかり出来上がっていた。下着からはちんぽがはみ出し、レースはぐちょぐちょに濡れている。  汗臭い体でおれに密着し、太ももに手を這わせる。こういう仕草はとても上手になった。媚びることに慣れてきた、とでも言えばいいのか。 「なあ、この後しようぜ❤テレビ見ただろ、今日勝ったんだからさ。お祝いにザーメンをオナホマンコにぶっ放してほしいんだぁ❤❤」  離れて尻を突き出せば、薄いレース越しにでもわかるほどひくつくマンコが目に入る。屈強な体には似つかわしくない雌の部位を見せつけ、おれを誘う。 「お祝いをする前に、まずは掃除だろ?」 「はぁい❤❤❤」  どうせならもう少し試合を鑑賞したいというのもあって、シャチに待てをかけた。シャチは従順に返事をすると、ブリッジ状態で勃起している机のちんぽの前にしゃがみこむ。 「お掃除フェラしまーす❤❤❤」  いかつい顔がためらいなくちんぽにしゃぶりつき、汚い音を立てて吸いつき始めた。大股開きのため、勃起ちんぽから蜜を垂れ流しているのが画面に反射して見えてしまう。  画面に拡大された勇ましい顔の横で、バキュームフェラをしながら勃起している姿が並ぶ。その蕩けた顔との落差に、思わず腹を抱えてしまいそうだった。 「ずちゅううううぅぅ❤❤ぶちゅっ❤ぞぞぞっ❤❤んっふぅ、やっぱちんぽうめぇ❤❤❤」  画面からの歓声を受けながら、フェラをするこいつはどういう心境なのだろうか。その顔から心底幸せを感じているのはわかるが、まさかここまで壊れているとは思わなかった。 「おっ❤おおぉおぉ~~❤❤ぴゅっぴゅっでてるなぁ❤❤❤こんな汚いザーメンはお掃除しねえと❤❤❤」  顔にぶっかけられながらもシャチが嬉しそうに舌を這わす。テレビでは、ちょうどシャチが勝利を収めたようだ。アナウンサーに讃えられ両手を上げている姿がなんともカッコイイ。 「んふう~~❤❤❤床もこんなに汚れてるじゃねえか❤まったく」  その本人がまさか椅子が漏らしたザーメンを舐めながら床掃除しているとはだれも思うまい。尻尾まで揺らし、享楽にふけっている様は実に無様だ。  このギャップがとても楽しい。  さて、勝ったというのはどうやら本当らしいので、こいつにお祝いでも送るかな。 「またがれ」  一言告げると、掃除中のシャチはすぐさま嬉しそうな顔でおれにとびかかってきた。下着をずらすのも慣れたもので、おれのちんぽを難なくくわえ込んでいく。 「んひいいぃいぃ❤❤ご褒美ちんぽぉおぉ~~❤❤❤」  対面座位の姿勢で、下着姿のシャチは嬉々として腰を振る。負荷が強くなり、掃除したばかりの床に椅子のザーメンがまき散らされた。 「こ、子作り❤❤子作りは夫婦のたしなみ、だからぁ❤もーっとザーメンくれよぉ❤❤❤」 「今更だけど、今日の下着は黒か」 「そうだぞ、お前が喜ぶかと思って❤この前の賞金で買ったんだ❤❤おれ、体がでかいから特注品だ❤❤❤どうだ、似合うか?」 「ああ、似合ってるよ」 「ふへへへぇ❤❤❤そうかそうかぁ❤それなら、今日も子作り頑張ろうな、あ・な・た❤」  腰を振りながらも両手を頭の後ろに回し、下着を見せつけながらシャチは笑う。あまりに勢いをつけると椅子が壊れることも理解しているせいか、大股を開きながらもしっかりと足を地面につけている。 「おおぉおぉおぉおおおおおぉぉぉ~~~~❤❤❤❤ちんぽ奥にきっくぅうぅ❤❤❤子宮に゛ぃ、ごんごんっでぇへぇ❤」  すっかり根底からちんぽ狂いに壊れてしまったシャチから、唾液と嬌声が降り注ぐ。今の自分は完全におれの妻だと思っているせいか、言葉の端々に雌としての自覚があふれ出ていた。 「旦那様のおちんぽぉ❤すっげえたくましくって、だーいすき❤❤❤早く受精させてぇ❤」  ちんぽをくわえ込むマンコは名器として調教されていて、おれに絡みついて離してくれない。呼吸をするのと同じように、ちんぽをくわえ込むことはこいつにとって日常だ。 「こんなにスケベなおマンコになって。コーチやらライバルやら、食いまくってんだろ?」 「そんなことじでないっ❤おれが好きなのは旦那様のちんぽだけだからぁ❤❤このちんぽだけッ❤このちんぽが好きなのぉぉおおおぉ❤❤❤」  そうそれが不思議なのだ。おれはあの日以来こいつに何一つ命令などしていない。『』などつけていない。  それなのに、こいつはおれの言ったことをすべて実行し、ここまでの変態マンコ野郎に落ちていった。ちんぽに恋をし、雄に媚びる事が当然になった哀れな贄。にもかかわらず、股を開くのはおれにだけという矛盾。  思い込みの力もあるだろうが、元からの素質もあったのかもしれない。  ああ、とおれの口角が上がっていくのを抑えきれない。  喜んでくれていると勘違いしたのか、シャチも嬉しそうに笑い返してくれる。 「旦那様のおちんぽ、マンコの中でびくびくしてるぅ❤おれのマンコ、気持ちいかぁ❤おれはすっげえ気持ちいぞぉ❤あっひぃ❤❤射精してしてぇ❤❤❤」  おれはずっと人の思考を書き換えて遊んできた。  だけど、このシャチのように、わずかなきっかけを与えることで予想もしない方向に成長させたなら。常識という枷を振り切った自由を与えたなら。  その時、人はどうなってしまうのだろう。どこまで落ちてしまうのだろう。  ああ、それは。  ――――どれだけ面白いのだろう? 「おおぉほおぉ❤いきそぅ❤❤愛しい旦那ちんぽでメスアクメきちゃうぅううぅう❤❤❤」 「おれも、もういきそうだ」 「やったぁ❤出して出してだーしてぇ❤❤❤旦那様のザーメンでおれの雄子宮妊娠させてぇ❤❤❤」  女性下着をつけたチャンピオンが媚びるように腰を動かして甘い息を吐く。リングの上で魅せる常識的な仮面をかなぐり捨てた、今のオナホこそがこいつの本性だ。  腸壁すべてでちんぽに媚びる。おれの尿道から精液が駆け上がってくるのを感じる。 「いぐぅ❤あ、あ、ああ❤❤❤」  おれのちんぽが硬くなったことをマンコで悟ったのか。シャチが幸福で崩れた笑みをおれに向ける。  優勝して嬉しそうな顔よりも、ずっと下品で汚い雌の顔。だけど、最も幸せを感じているのは間違いない。  その落差が、おれのちんぽに最後の一押しをした。 「いくぞっ!」 「ああっ❤きてっきてええぇええぇええ❤❤❤❤」」  おれが射精をするのと、シャチがいくのは同時だった。  マンコの中に熱いザーメンが広がり、シャチは喜悦に叫んで絶頂した。 「んっほおおおおおおおぉぉぉ❤❤❤旦那様の子種ぇえぇええええぇっ❤❤」  シャチの射精は頭上を越え、真っ白な噴水がビュルビュルと噴き上がっていく。屈強な筋肉は痙攣し、支えることもできなくなっておれにしなだれかかってくる。 「受精してえよおぉおぉ❤❤❤旦那様の子種ぇ、着床してくれえええぇぇえ❤」  おれが射精している間、シャチのでかい尻が無我夢中で奥へと押しつけられる。もっと奥へ、奥へと種を導くけなげな行為をするこいつに、オス同士は妊娠しないという常識が残っているのかどうかも怪しい。  おれを強く抱きしめて、尻で咥える姿はけなげな雌そのもの。おれは何も命令していないというのに。 「……っふぅ❤もうちょっとこのままでいてくれ❤お前のザーメンを子宮で泳がせてやりてえんだ❤❤」 「何言ってんのかわかんねえけど、まあ好きにしろ」  ここまで壊れてくれると、逆に面白い。前こいつに飽きたのは、おれが押し付けた一様で量産品的なとろけ顔だったからなのだろうと察している。  自分の意志で壊れてくれた人の顔は、こんなにも面白い。 「次の試合、おれは手助けをしないけど、勝てよ」 「まーかせろ❤最愛の旦那様に勝利を捧げるぜ❤」 「そうしたらいい落差が味わえる」 「わかってる❤でも、俺が勝ったら……」 「もちろん、たくさん犯してやる」 「ふひぃ❤じゃあぜってぇに勝たねえとな❤❤❤」  キスの雨を降らせながらシャチにマーキングをする。親愛を口唇で表現するこいつは心底おれに惚れているようにしか見えない。  そういえば、ふと思った問いを投げかける。  こいつに妻になれとは言ったけど、まだこれを聞いていなかった。  非人道的な椅子の上で絡み合い、おれは聞いてみる。 「なあ、おれのこと愛してるか?」  どうして今まで聞いていなかったのか。我ながら疑問だったけど、そんなことは簡単だった。  何故ならそれは聞くまでもない事だったから。  人として終わっているほど汚れた顔で、無邪気に、淫蕩に、シャチは笑ってこう言った。 「もちろん、世界のだれよりも愛しているぞ、あなた❤」  ああ、これが自分の意志で選んだ末路だというのだから、なんて面白い。  次は、いったい誰で遊ぼうか。


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