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田原摩耶
田原摩耶

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【↑100】痛定思痛①※【4,500文字/サダ×美甘/本編後日談】

 俺はサダが好きで、サダも俺が好きで、だから付き合ってる。  自分にこんな風に想ってくれるような恋人が出来るなんて思ってもいなかっただけに、関係の変化にまだ慣れていない自分もいた。  それは多分、今まで俺たちが友達だった時の方が長くてしっくりきていたから……だと思う。  サダは人前ではそんなに変わらないけど、二人きりになった途端少しだけ空気が変わる。  学校帰りにサダの部屋に遊びに行ったときのこと。相変わらずご両親不在のそこは気兼ねなく遊ぶには丁度いい場所だった。  そしてサダの自室にて。 「……美甘、あのさ」 「な、なに……?」 「寒くないか? 俺一人の時あんま暖房付けないから分かんねーんだよな、こういうの」 「平気。つか、丁度いい」 「そうか? ……」 「……? どうかしたのか?」 「いや……お前ずっとコート、脱がないから」  ソファーの上で膝抱えて丸まっていたところ、サダはそれが気になったらしい。寒いのかと思って、とごにょつくサダにハッとする。  確かに外から帰ってきてずっと上着を脱ぐタイミングを忘れていた。けれど、改めてこうして指摘されるとなんか……なんか変な感じじゃないか? 「忘れてた。……そうだな」 「いや、別に脱ぎたくないなら脱がなくていいからな。その、催促してるわけじゃないんだ」  なんか急に口数が多いし慌ててるのが余計怪しさあるが、分かってるつもりだ。俺よりもそう言ったところに過敏になるとは思わなかったが。  なんだかサダの目の前で脱ぐのも照れ臭くなり、そのままソファーの上、サダに背中を向けた俺は上着の袖から腕を抜いた。そのまままだ暖かいそれを膝の上にかける。 「……美甘、それハンガーに掛けようか」 「いや、いいよ。そこまでしなくても。……それよりサダ、お前も座れよ。さっきから立ちっぱなしだろ?」 「俺はいいんだよ。美甘は客だし。……おやつ、お前が来た時のために取っておいたのがあるから持ってくる」  そう言うや否や部屋から出ていった。  付き合う前はサダのこと、スマートでなんでも卒なくこなす器用なやつだと思っていた。  けど、今なら分かる。――サダ、緊張してるな。  そしてその緊張はしっかりと俺にまで伝播している。  あの日から――燕斗と縁を切ってからというものの、なんだかサダは無理してるような気がした。  肩肘張り、俺の機嫌を取るように俺のことばかりを気にしてる。自分はどうなのかと聞きたくなるほど、自然体のサダを見ていない。  ……こんなことになる前まではしょっちゅう見ていたはずなのに、それすらも遠い記憶のようだ。  暫くもしない内に扉が開いた。  二人分のジュースと菓子をトレーに乗せてもってきたサダ。それを受け取ろうとすれば、「お前は座ってろ」とサダに止められる。  そのままテキパキと用意される飲み物たちを眺めながら俺はただソファーの上で座ってた。 「お茶でよかったか? ジュースが切れてて今スポドリくらいしかなかったからあれだったら買いに行ってくるけど」 「い、いいから、そこまでしなくて。……俺、なんでもいいし」 「……美甘、遠慮とかしなくていいからな」  ――遠慮してるのはお前じゃないのか、サダ。  喉元まで出かかった言葉を呑み込み、「ああ」と頷いた。  別に意地悪されているわけではないのに、居心地が悪い。そしてそれもサダには伝わっているのかもしれない。 「……美甘、あのさ」 「サダ、いいからお前も座れよ」 「……美甘? って、おい、引っ張るなよ」 「さっきからサダ、働きっぱなしだろ。……ほら、こっち、ここお前の部屋なんだからゆっくりしろ」  サダの腕を引っ張り、半ば無理矢理ソファーの上、隣に座らせさせる。おい、と驚いたような顔をしたサダの肩にそのまま額を押し付けた。 「……み、美甘……?」 「……」 「お、おい、どうした? 苦しいのか?」 「……ち、違えし」  触れて、頑張って念じていた。  お前は無理しないでくれ。そんなことしなくても俺はお前のこと、好きだって。  そうすれば触れ合った額と肩伝いに俺の念が通じるのではないかと思ったが、どうやらそんな都合のいい話はなかったようだ。  そっと俺の肩に触れたサダは、「デコ、赤くなるぞ」と俺の前髪をそっと掻き上げる。そのままやや擦れてヒリヒリするそこを撫でてくれた。  サダの指が冷たくて少しだけ顔をしかめる。 「……美甘、泣いてるのか?」 「外寒かったから、それでだ」 「そういうものなのか」 「……ん、そういうものだ」  額を撫でていたサダの指の動きが止まりかける。そのまま頬へと伸び、ゆっくりと顔を上げさせられれば目の前にはサダの真剣な顔があった。そのまま真っ直ぐに顔を覗き込まれると、視線のやり場に困る。 「美甘の頬っぺた、暖かいな」 「お前と変わんないだろ」  ほら、とサダの頬に手を伸ばす。栄都にやられた傷も大分癒えたそこを撫でれば、胸の奥が呼応するように痛んだ。  多分、恋人といえばこういう時にときめいたり愛しくなったりするのだろう。けど、俺はサダと向き合う度に胸が締め付けられる。苦しくなる。見たくない自分と向き合わされてるような気分になる。  くすぐったそうに目を細め、俺の指を受け入れていたサダの表情は段々と崩れていく。 「なあ……美甘」  触りすぎ、と手を握られて、そこで無心でサダを撫でていたことに気付いた。 「サダの頬っぺ、柔らかいな」 「お前には負けるよ。美甘」 「そんなことは……ないだろ」  多分、と今度は自分の頬を触って確かめようとサダから離れようとした時、そのまま腕を掴まれた。 「……っ、さ……だ」 「……」  “こういう”とき、サダの口数が少なくなることを知った。  じっと何かに耐えるように俺を見つめる。掌越しに伝わってくる熱の熱さに皮膚が耐え切れずに溶けていくみたいだと思った。 『あいつらにはたくさん触らせていたのに?』  聞こえないはずの声が頭に響く。  俺はサダのことも好きだし、世話になってる。だから、恩返ししてやりたいと思うこの気持ちだって嘘偽りないはずだ。  見たくもない自分と向き合わされ、認めざる得ない。  サダに対する義務だと思いたくない、その感情だけは間違いないと。  背筋を伸ばし、サダの唇に自分の唇を押し当てた。 「さ、サダ……電気、消してくれ」  きっと俺は酷いやつで、最低で、あいつの言った通りとんでもないクズ野郎で、それでも俺は、そんな俺でも好きだって言ってくれたサダを向き合いたかった。  それだけだったのだ。 「っ、ん、……っ、さ、だ……っ」  体の負担にならないようにとベッドに寝かされ、覆い被さってくるサダを見つめる。サダは宝物にでも触れるように大事に俺に触れる。殴ることも、摘むことも、噛み付いて跡に残るようなこともしない。  何かを上塗りするみたいに肌蹴るシャツ。捲り上げたインナーの下から露出する皮膚に唇を這わせる。 「い、いいから、……っん、お、俺のことばっか……」  サダに気持ちよくなってほしいのに、サダはなかなか俺に触らせてくれない。それどころか、触ろうとすれば「俺は大丈夫だ」とか言い出すのだ。  平らな胸を撫で、その中心で硬くなっていた乳首に絡みついてくる舌先に全身が飛び上がる。 「ぁ、う……っ、さ、だ……っ、ぁ……っ!」 「お前は……痩せすぎだ、なのにこんな……っ、なんでここだけ……」  双子に弄られすぎて歪に膨らんだ乳首に吸い付かれた瞬間、頭の中、なんとか保っていた思考もろとも甘い快感と共に形をなくしていく。  膨らんだのは乳首だけではない。胸も、他の同い年の男子と比べると膨らんでいる。だから、体育の時に人前で着替えるのが恥ずかしくてわざと周りがいなくなってから更衣室に入ったこともあった。  荒くなる吐息とももに少し強く乳頭を吸い上げられるのが堪らなく、俺は無意識にサダの頭にしがみついていた。 「さ、だ、っ、ぅ、そこ……っや、だぁ……っ」 「……っ、美甘、……は、本当に嫌なのか? 俺には気持ちよさそうに見えるけど」 「ち、が、き、もちよくな……っ、ぁ、ん……っ!」  吸うのをやめ、唇を離したサダはそのままぬらりと唾液で濡れた乳首に軽く吸い付く。そして片方の乳首を優しくくすぐられれば、出したくもない声が喉の奥から膨れる。  根本から先っぽまで硬く凝り固まったそこをすりすりと撫でられるだけで脳の汁が溢れ出す。ベッドの上、大きく弓形になった体を抱きしめてサダはさらに胸に顔を埋めた。唾液でたっぷりと濡れた舌先で乳首を潰されて、今度は深く穿られる。尖った舌先に神経が集まったそこを刺激され、体は跳ねることしかできない。 「っ、う゛、や……っ、ぁ、……さだ、……っ、あ、ぁ……っ!」 「……っ、美甘」 「ほじるの、や、だ……っ、ぁ、あ……っ!」  舌と指、左右の胸を同時に責められる。むずむずと擦り合わせる下半身に気付かれたようだ。股の間、潜り込んでくる膝の頭で柔らかく下半身を刺激されて逃げることができなかった。  サダの腕の中に囚われたまま乳輪の膨らみごと胸の先を優しく扱かれ、もう片方を舌でたっぷりと愛撫される。  逃げ場もないまま、あっという間に下着の中でぐずぐずになっている下半身を押し上げられるだけで酷く泣きたくなった。 「ゃ、さ、だ……っ、ぁ、だ、ぬ、ぬぎたい……っ、パンツ、汚れる……っ」 「……っ、美甘、それ……やべえって」 「っ、ぁ、ち、ちが、おれ、変なこと言ってな――ぁっ」  抵抗する暇もなく胸を揉んでいた手が下半身、ベルトへと伸びる。少しだけ手間取った後、焦れたようにサダはベルトを緩め、そしてそのまま下着を脱がすようにゆっくりとずり下げる。瞬間、中で必死に身を潜めていたそこがぶるんと勢いよく飛び出した。  そして、そのぬらぬらと濡れた先っぽから先走りがぬとぉ、と糸を引き伸びるのを見て「まじか」とサダは呟いた。 「っ、は……っ、ゃ、さだ、見ないで」 「引かねえから、別に。……つか、寧ろ……」  やべえわ、と小さく呟き、そのままサダは俺の太ももに手を伸ばした。慌てて閉じようとしたが、股座に挟まるサダの膝頭がそれを阻害する。 「っ、ゃ、さ、だ――」 「……寧ろ美甘が興奮してくれてんの、嬉しい」 「……っ」  何気なく吐き出されたその言葉に涙が出そうになった。  そんなわけないのに、そんなはずないのに、汚れ切ったこの体を見てサダは喜んでくれる。散々二人に作り変えられたこの体に引かずに、それどころか硬くなったそこを見て俺はなんだかいっぱいいっぱいになっていた。  サダからの愛が苦しくて、痛くて、辛いのに、ゆっくりと傷口に沁みて広がっていく熱に無性に涙が止まらなくなる。 「美甘……っ?」 「へ、んたい……みたいなこと、言ってる……サダ」 「……そう、かもしれないな」  そこは否定しろよ、と顔を上げた矢先、体を起こしたサダに目の縁にキスをされる。涙を拭い取るように舌先で拭われ、驚きのあまりに目を見開いた矢先今度は正面から唇を重ねられる。 「ん、……っ、ふ、……っ、ぅ……」 「は……美甘」  比べたくない。比較したくない。呪詛のようなあいつらの言葉も全部塗り潰してほしい。  お前のことだけを考えさせてほしい。  俺を、もっとめちゃくちゃにしてくれ。  触れる舌先を受け入れ、こちらからおず、と舌を伸ばす。最初はちょん、と舌先同士が触れるだけのキスは次第に深く、根本まで伸びていった。  続く

【↑100】痛定思痛①※【4,500文字/サダ×美甘/本編後日談】

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