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田原摩耶
田原摩耶

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【↑100】魔法のキャンディーとスケベデバフ特盛伊波:後編※【7,500文字/黒羽×伊波/伊波総受け/誘い受け/キス】

 キス、されてる。黒羽さんに。 「ふ、ぅ……っ、ん、う」  粘膜と粘膜が擦れ合う。硬い指先で顎をがっちりと掴まれたまま歯をこじ開けられ、奥まで舌を捩じ込まれ、かき回される。一滴たりとも唾液すらも逃さないとでもいうかのように唇ごと舐られ――その行為はキスというよりも、捕食と言った方が適切なのかもしれない。  ん、ん、と声をあげることもできないまま、固まる巳亦と「ちゅー……!」と頬を赤くしたテミッドの前で暫く黒羽さんに口の中を舐め回されたあと、ぢゅぽ、と音を立てて太い舌は引き抜かれた。 「……っぷは、は、ぁ……く、ろはしゃ……」 「人がどんな気かも知らずに、貴方は……ッ! 毎回毎回、人を弄んでそんなに楽しいか?」 「ぁ、え……」 「毎回毎回?」と小首を引っかかってる巳亦はともかくだ。  俺は黒羽とのキスが忘れられなくて、それで頭がいっぱいになっていた。  怒ってる黒羽さんもかっこいいな、と思いながらも見つめる。そのまま恐る恐る再び擦り寄れば、そのまま黒羽に触れようとした手ごとがしっと掴まれた。  そして、 「中止だ中止……っ! これ以上伊波様にこんな真似をさせられるか!」  そのまま軽々と抱きかかえられる体。先程よりも顔が近くなり、嬉しくなって「黒羽さん、もう一回」と頬にキスしようとすれば、そのままお指を捩じ込まれる。 「んむ」 「貴方は人の話しを聞いていたのか」 「んむ、……っん、んんう」  ちゅぷ、とその指先に舌を這わせ、そのままちゅう、と吸い付けば、黒羽さんのコメカミがひくりと反応する。 「黒羽さん? 君も大分効いてないか? なんだったら俺が曜の面倒を……」 「黙れ先ほどから伊波様に下心しかない不躾な態度取りやがって、伊波様が許しても俺は許さんからな。巳亦」 「うお、こっちにきた……っ」 「く、黒羽様、お、落ち着いて……」 「お開きだ! 伊波様にこんな教育に悪い遊びを教えさせるな……っ! いいか、今宵ここであったことは全て忘れろ。他言無用、この黒羽様の痴態も脳から抹消しろ」 「は、はひ……っ!」 「は〜い」   なんだか、黒羽さんの腕の中に抱き締められていたら心地よくて眠たくなってきた。  そのまま黒羽の指に吸い付きながら目を閉じてると、なにやらバタバタと足音が響いた。  ……あれ?巳亦とテミッドは?  そうだ、散らかったままのトランプとコイン……片付けないと。  ふよふよと俺の意思と連動した尻尾がそのまま黒羽から逃れようとしたとき、いきなり先っぽをがしっと掴まれて「み゛っ」と飛び起きそうになる。 「ぁ、あれ、黒羽さ……?」 「…………」  しんと静まり返った部屋の中、怖い顔した黒羽が俺を抱いたままこちらを睨んでいるではないか。しかも無言。  そのまま黒羽は俺を抱きしめたまま、スパァン!と乱暴に襖を開けていく。  ――あれ、なんか……怒ってる? 「黒羽さん、巳亦とテミッドは……」 「帰らせた」 「えっ? なんで……」 「……なんで、だと?」  ぴく、と額に薄っすらと浮かび上がる血管。こちらを睨みつけるその眼力に思わず「ひゃっ」と息を飲んだ。  お、怒ってる。黒羽さんが完全に怒ってる。 「く、黒羽さ……わ、ぷっ!」  そのまま寝室の奥、黒羽の腕が離れたと思いきや、敷かれた布団の上にぽすりと転がされる。  うつ伏せに倒れ、そのまま黒羽の方を見ようとしたときだった。伸びてきた手に腰を掴まれる。 「ぁ、く、黒羽さん……っ、あの、ぉ……っ?!」  言いかけた矢先、半ケツになっていた下半身――その尾骶骨部分から生えた尻尾を根本から先っぽまで太い指で真っ直ぐぴんと引っ張られた瞬間「だ、だめっ」と声が上擦る。 「ぁ、く、黒羽さん、だめ、そこは、ぁ……っ!」 「伊波様、目が覚めたか?」 「さ、覚めたっ、覚めたから……っ、ぁ、う」  ぴん、と伸びた尻尾の先、ハートをひっくり返したようなその尻尾の先端を掴まれたと思いきや、そのまま自分の口へと手繰り寄せる黒羽さんが見えて息を飲んだ。  た、食べられる!と驚いて腰を引こうとしたのも束の間、噛みつかれるような刺激はなかった。それどころか、べろりと大きく肉厚な舌先が尻尾を這う。 「ぁ、あえ、だめ、黒羽さん、食べちゃ駄目……っ! ん、ぅ、あ、や……っ!」 「……人が、どれ程我慢していたか、分かってるのか? ……っ、それなのに貴方は……」 「ん、く、ろはさ……っだめ、な、舐めるのも……っ、ん、吸うのも、だめ……っ!」 「……他の男の唇は吸うくせに、私が貴方に触れるのは許さない、と」  ただでさえ低い黒羽さんの声が更にワントーン低くなったことに気づき、ひっと息を飲んだ。 「だって、黒羽さん……っ、ん、ぁ……っ! ゃ、き、キスするなら、こっちがい……っ」   尻尾を掴む黒羽の腕にしがみつき、頬にキスをする。そのまま黒羽の頭に手を回し、恐る恐るその目を覗き込んだ瞬間、「貴方は、」と黒羽は低く唸るように息を吐き出した。  そして、言葉を飲み込む代わりに俺の唇に噛みついてきた。 「ん、くろはさ、……っん、む……っ」  両頬を掴まれ、突き出させられた唇ごと噛みつくみたいにキスをされる。そして、唇を這う黒羽の舌を招き入れるように俺は自分から口を開いた。 「んっ、んん……っ、ん〜〜……っ」  さっき皆の前でされたキスよりももっと深く、長いやつ。頭の中、耳の奥までぐちゃぐちゃにされるような、とろけるような熱と荒々しい舌先の愛撫に体の心まで溶けそうになる。  あれ、そういや俺、なんで黒羽さんとキスしてるんだっけ?  ……よく覚えてないけど、気持ちいいからいいや……。  ぢゅる、ぢゅぷ、と舌伝いに流し込まれる唾液をごくりと飲み込む。それだけで下腹部がじんわりと熱くなり、もぞもぞと内腿を擦り合わせて堪えながらも俺は「黒羽さん、もっと」とせがむようにその胸元にしがみついた。 「っ、ん、う、……っ、んん、ぅ、……っぷは、ん、ぁ、待っ、ん、んん……っ」  息つく暇もないというのはこのことだろう。呼吸しようと開いた口をまた塞がれ、今度は舌先ごとずっぽりと吸われる。  あまりの激しさと執拗さに思わず逃げそうになる腰も黒羽の筋肉に覆われた腕でがっちりと捕らえられてしまい、そのまま膝の上に座らせられるのだ。――尻尾を掴まれたまま。 「は、んむ、……っ、ぅ、ん、ん゛……っんは……っ、く、黒羽さん、息、れきな……っ、ぁ、んむ……っ、んん〜〜……っ!」  尻尾の付け根を指でこりこりと揉まれながら、軽くトントンと叩かれるだけで下半身に直接振動が響くようだった。  こんな、猫みたいに。 「っふ、んう、んん……っ! っん、むぅ!」  トントンと叩かれる都度、性器と繋がってる神経に甘い電流が流れる。我慢できず、既に勃起していた性器を擦り付けるように黒羽の体にしがみつけば、そのまま黒羽の手に腿を掴まれる。 「っふ、ぅ、あ……っ、くろは、しゃ」 「……これでは、小悪魔ではなく雌猫だな」 「っ、ん、んん、わかんな……っ、ぃ、けど、キス、もっとして……べろのやつ……」 「……」 「ぁっ、と、トントンや、いやだ、くろはさ……んっ、ちゅうがい、ひ、ぁ、ちゅー……っ、んん……っ!」  怖い顔した黒羽さんだったけど、お願いしたらまたキスしてくれた。やっぱり、黒羽さんは優しいな。  なんて思いながら腔内をぐちゃぐちゃに掻き回してくる肉厚な舌をちうちうと吸い付く。黒羽さんみたいにうまくできないけど、少しでも黒羽さんが気持ちよくなってくれるならって見様見真似で吸い付いたり、ちゅうって音立てたり舌先同士を擦り合わせたりしてる間に気が付けば大量の唾液でシャツの襟まで濡れてしまっていた。  ぢゅぷ、と離れる黒羽の舌先を追いかけようと首を伸ばしたが、届かなくて口が寂しくなる。 「ん、や……黒羽さん、もっと……っ」 「……っ、可愛いことしか言えないのか、この口は」 「っ、は、んむ」  頭を掴まれて、深く唇を重ねながら体が黒羽で満たされていく。  もっと、もっと、とその服にしがみつき、隙間ないくらいくっついて熱を貪った。  キャンディの効能は然程長くはない。そう予め聞いていたはずだったのだが。 「は、んふ……っ、ん、……ぅ……っ」  薄暗い部屋の中、ほんの少しの間気絶していた気がする。唇に何かが触れる感触がし、目を覚ませば黒羽がいて。  安堵するよりも先に、口の中に入ってくる舌に驚いた。ぴちゃぴちゃと濡れた音を立てながら舌を絡められる。  あ、あれ、なんで俺黒羽さんとキス……。 「ん、く、ろは……さ、ん――」  布団の上、寝かされた体の上に覆いかぶさってくる黒羽さん。その陰に塗りつぶされる視界の中、息の荒い黒羽に気付いた。  そして、枕元に落ちていた懐中時計にも。  開いたその時計盤に刻まれた針が既に零時近いことに気づき、息を飲む。  それから、腿に当たる黒羽のものにも。  ……ずっと、キスで我慢してたのかな。  するりと黒羽の下半身に手を伸ばせば、黒羽の肩が震えた。 「……っ、伊波様……」 「ん、……あれ? 黒羽さんもキャンディの効果、切れちゃったの? ……あれ、結構好きだったんだけどな」 「……おやめ下さい、あれは――」 「キャンディのせいだから?」 「伊波様……っ」 「……でも、『これ』はキャンディのせいじゃないだろ」  離れていこうとしていた黒羽の頭に腕を回し、そのまま顔を寄せる。ぺろ、と唇を舐め、再びキスをした。強張ったが、とっくに熱に溶けきっていた黒羽の目は更に細められていく。  そのまま舌を追いかけるように伸ばされる舌先を「んぅ」と招き入れ、吸い付く。見様見真似の稚拙なキスだが、それでも腿に当たるそれが固くなっていくのが分かって嬉しくなった。 「ふ、……は、なんて……っ、黒羽さんとのキス、好きなのは俺も変わんないけど……」 「……伊波様」 「素直な黒羽さん、もっと見たいな……」  当てられたこっちまで溶けてしまいそうなほどの煮詰まった熱をぶつけられたい。ぶち撒けられて、骨の髄まで溶かされたい。  目の色が変わる。その首筋に鼻を埋め、上下する喉仏にキスをする。 「……今夜は、謝らんからな」 「うん、俺のせいでいいよ。……黒羽さんは悪くないから」 「…………一体どこで覚えたんだ、そんな誘い方」  こういうのが好きなのかな、と思いながら、体に這わされる大きな手のひらに服を剥ぎ取られる。  首元から胸元、腰、腿へと全身に伝っていく唇と舌。ぱくりと性器を咥えられたときは食べられるのではないかと少しだけびっくりしたが、性器を包み込む熱と別の生き物みたいに伸び、絡みついてくる舌先で少し撫でられただけですぐにイッてじった。 「は、ぁ、く、ろはさ……んん……っ!」  やばい、ちんこ溶ける。突き出した腰を掴まれ、そのまま臀部に這わされた指先はそのまま谷間を割り開き肛門へと捩じ込まれる。 「ふ、ぅ――ッ」  容赦なく入ってくる指は追加されていく。  前後を同時に嬲られ、行き場を失った快感はあっという間に俺の腹の中で膨張していった。  黒羽は溢れる体液を残さず吸い取り、そして萎えることもないままぴんと立ったそこを更に吸い上げるのだ。 「ぅ、んん、ぁ、あっ、く、ろはさ……んんっ、ぃ、いく、また……ッ! ぁ、ひ、う゛……ッ!」  太くて長い指に前立腺をごりごり刺激される度に腰が揺れる。黒羽に俺の言葉が届いてるのか分からない。それでも明らかに先程よりも激しさを増すフェラに短い悲鳴のような喘ぎ声が漏れてしまう。 「ふ、ぅ゛――っ、は、ぁ、くろはしゃ、ん……っ! ぁ、いく、出る、……っ、の、んで、くろはさ、ぁ、あ……っ!」  高まっていく性感にトドメを刺すかの如く黒羽は亀頭を吸い上げた。大凡人体から発されるべきではない音とともに俺の喉からは悲鳴が漏れる。  瞬間、溜まっていた熱が爆ぜた。先程よりも薄まった精液を吸われながら、『まだいけるだろ』と言われるみたいに更に中をぐりぐりと指で扱かれ、腰がカクカクと痙攣する。 「ひっ、ぅ゛――っ、ふ、ぅ゛……っ! ぁ、く、ろはさ、ぁ゛……っ! ひ、ぃ゛……っ!」  息をつく暇もなく腫れ上がった性感帯を愛撫される。そのまま性器を咥えられたまま何度かイカされたあと、勃起しなくなった性器から口を離した黒羽はそのまま空っぽになった睾丸に舌を這わせる。 「ん、ぁ、くろはさ、そこ……っ! ぉ、……っ」 「貴方は本当にキスが好きらしいな」 「ぁっ、す、好き……っ、す、吸われるの、きもちぃ……っ! ん、む……っ!」  ちゅう、と睾丸を軽く吸い上げられただけで甘い声が震える。食われそうで怖いのに、そのまま大きな舌で転がされるみたいに舐め回されたり口に含まれるの、堪らない。  爪先がぴんと伸び、強すぎる快感から逃げようとしていた下半身をガッチリと掴まれたまま黒羽はそのまま指で引き抜いた。  そして俺の下半身を持ち上げられたと思えば、黒羽の顔の上に跨がらされるみたいに体を捕まえられる。 「え、く、ろはさ――」  この格好は、と恥じらう暇もなかった。  散々イジられ、ぐっぽりと開いた肛門に押し付けられる唇。そこから伸びてきた肉厚な舌先はそのまま捲れた肛門に這わされる。 「っ、ふ、ぅ……っ!」  ずにゅう、と肛門からさらに押し込められる長い舌。唾液をたっぷりと絡めたそれで内側を舐め上げられ、更に下半身に力が入った。けれどそれ以上の力で中を抉じ開けられ、柔らかく内壁を舐られる。 「ぁ、は、こ、これ、いやぁ……っ! く、ろはさ、はずかし……っ、ぁ、あ……っ!」 「……っ、今更、何を……逃げるな」 「ぁ、んんっ! ぁ、くろはさ、ぁ、……っ! ふ、深ぃい……っ!!」  恥ずかしさと快感が同時に込み上げてはせめぎ合った。痙攣する腿を捕らえられたまま更に執拗に中をほぐされ、味わわれる。もう勃起しないと思っていた性器は執拗な愛撫に既に固くなり、逃げようとすればするほどみっともなくふるふると揺れるのだ。 「ぁ、あ、は、……っ黒羽さ……っ! も、ぃ、俺はぁ、いいから……っふ、ぁ、ああ……っ!」  何度目かの絶頂かすらも覚えていない。  真っ白になった頭の中、一人で起きてることもできなくて、そのまま黒羽の頭にしがみついたまま動けなくなったところをごろりと布団の上に仰向けに寝かされる。そして、大きく腰を持ち上げられた。 「く、ろはさ――……」  ん、と言いかけた瞬間。再び下半身に顔を埋めてくる黒羽。閉じかけていた腿を開かされたまま先程よりも更に深く腹の奥底まで入ってきてんじゃないかってくらい長い舌で犯されていく。 「ぁ、は……っふ、ひ、ぃ……っ! ぃ、も、ぉ゛、い、……っ、ぅ、んん……っ!」  ぐちゅぐちゅと腹の中に溜まっていく唾液と物理的に解されていく内壁。  尖った舌先で前立腺まで穿られるの、やばい。頭の中まで掻き回されるような意識の中、溢れそうになる唾液を舐め取りながらもふやけるくらい丹念に中を舐る黒羽に最早俺は声をあげることもできなかった。  ふうふうと肩で息をするのが精一杯で、最早早く楽にしてくれという気持ちが募るが黒羽は解放してくれない。 「誘ったのは貴方だ。……二度と他の男のキスを強請らないようにしてやる」  与え続けられる刺激で溶かされ朦朧とした頭の中、唾液で濡れた唇を舐め取り、黒羽は俺の腿に口づけをした。  痙攣する腿。その刺激だけでもぴゅっと汁を垂らす性器にも舌を這わせ、そのまま再び肛門へとたっぷりと愛撫される。  今度からはもう、キスをせがまない。いや、そもそもキャンディのせいなのだけれども――唾液と精液で下半身どろどろになりながら、俺は強く胸に刻んだ。  それから朝まで黒羽に散々ケツの奥まで舐られ続ける。それは精液が出てるのかもわからないくらい、感覚が馬鹿になるまで行われ、黒羽にようやく犯してもらえたときにはもう指一本動かすことも、声をあげることもできないくらい疲弊しきっていた。  ……それでも、手加減はしてくれたのかもしれない。  全身ふやふやにふやけてしまうという夢を見て飛び起きたとき、俺はしっかりと着替えさせられ、綺麗になった布団に寝かされていた。 「暫くはキャンディは禁止だ」 「はい……」 「あの店のことも忘れろ、いいな」 「はい……」  ――翌朝。  起きてきた俺を見て、まず黒羽に叱られた。今回ばかりは俺の悪ノリが原因だ。けれど、けれどもだ。なんだかんだ黒羽さんも楽しそうじゃなかったか……?と思ってると、それが顔に出ていたらしい、「……伊波様」と見つめられ、笑って誤魔化した。  ……それにしても、黒羽があんなに舐めるの好きとは思わなかった。お陰様で、まだ腹の中に黒羽の舌が残ってるような感覚だ。 「……余ってるキャンディ、どうしよ。教室に持っていって皆にお裾分けするかな〜」 「ぜっっったいにおやめ下さい」 「…………はぁい」 「伊波様?」 「は、はい! ……素直な黒羽さんも可愛かったのになぁ」 「伊波様……人の話を聞いてたか?」 「わ、き、聞いてるよ!」  危ない危ない、また黒羽さんを怒らせるところだった。  そう慌てて口を閉じ、諦めて大人しくもそもそと学校へと向かう準備をしようとしたときだ。不意に、黒羽に腕を掴まれる。 「ん?」と顔をあげたとき、視界が暗くなった。そして、ちゅ、と小さな音が響く。 「……へ」 「…………まだ、足りないか」  そう、鼻先が当たりそうな距離で黒羽は低く呟いた。  ほんのりと赤くなった顔。真っ直ぐにこちらを見つめるその目から目が逸らせないまま、俺は「ぃ、いえ」と声をあげた。 「だ、大満足……です」  それからすぐに黒羽からキスしてくれたという事実に胸に熱が広がった。黒羽はそのまます、と俺から手を離し、そのまま寝癖を直してくれた。  ……キャンディがなくたって、素直な黒羽さんには会えるようだ。  今直ぐ抱き着きたかったが、また怒られそうなので必死に堪える。……あれ、もしかして俺って、普通にキスが好きなのかも知れない。  なんて今更思いながら、仄かに熱が残った唇を撫でた。  その事件をきっかけに黒羽さんはほんのちょっと素直に……気持ち、なったかもしれない。それから、尻尾持つ人たちは皆大変そうだなと見る目が変わった。……けど、トントンされながらキスされるのは、正直ハマりそうだ。  後日巳亦と帰るときそれとなく件のキャンディショップを覗いたが、そこは跡形もなくなっていた。 「この通りは出入りが激しいからな、またその内出会えるだろう」と、巳亦は言っていたが、そんなものなのか。もっと他のキャンディも買っとけばよかったな、と勿体無くも思ったが、また黒羽にお仕置きされ兼ねない。  少し淋しくなりながらも俺はまあそういうものかとその場を後にした。  次はどんな店が来るのだろうか。  それはそれで楽しみかもしれない。  おしまい

【↑100】魔法のキャンディーとスケベデバフ特盛伊波:後編※【7,500文字/黒羽×伊波/伊波総受け/誘い受け/キス】

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