四川の様子がおかしい。 いつもだったら人の顔を見るなりチクチク言葉をふっかけてくるくせに、ここ最近と言えば大人しい。挨拶とかふつーにするし。 それが一般的なのだろうが、相手は四川だ。俺にとっては結構な事件だった。 何かあるに違いない。 そう踏んだ俺はあいつの調査をすることに決めた。 某日、店内にて。 対象がぼけっとした顔で品出ししてるのを、俺はこっそりと離れた物陰から見守っていた。 が、ちょっと離れすぎたかもしれない。あ、あいつ今面倒臭くなってスマホ弄り始めてんじゃねーか!そこまでやったんならちゃんとしろ! と、監視してたときだった。 「そんなところで何してるんですか、原田さん」 「ぎゃっ!! ……っ、さ、笹山か……」 「あ……す、すみません、驚かせちゃって。そこまで驚かれるとは思わなくて」 「いや、いいんだ」 「なにか見てたんですか? ……って、阿奈?」 「しーっ! ……ちょ、ちょっとこっちに来い、笹山」 「は、はい」 ここで騒いでいたら四川のやつにバレかねない。 そう判断した俺は、笹山の腕を引っ張って通路の方へと連れて行く。 「それで、阿奈がどうかしたんですか?」 「……なあ、最近四川の様子おかしくないか?」 「え? そうでしょうか……」 「だって俺が挨拶しても返すんだぞ、返事もやけに素直だし……もしかして悩みがあって上の空とか……?」 「原田さん……それであいつのことずっと見てたんですか?」 「あ、え、いや、ずっとじゃないぞ? 仕事はちゃんと済ませたし、こう、ちらっと覗くぐらいだけど……」 やべ、サボってたのがバレたのかもしれない。 そう慌ててしどろもどろと言い訳並べれば、笹山の目がすっと細められる。 「さ、笹山……?」 「俺から言えることは、そこまで気にする必要はない、ということだけですかね。そもそも、阿奈は俺達には普段と変わりませんので」 「え……?」 「……なので、原田さんも気にしなくて大丈夫です」 「そ、そうなのか……そっか……」 「……」 四川と比較的仲が良いかどうかはわからないが近しいであろう笹山の言葉だ、間違いはないだろうが……なんだろうか、笹山の言葉を聞いたとき少しだけ胸の奥がちくりと痛んだ。 ってことは、俺にだけあんな態度ってことか? それとも、俺も他の人と同じように接するように考えを改めたってことなのか。 それは望んでいたことだけども、なんだこれは。 「……原田さん」 「悪いな笹山、教えてくれてありがと」 なんだか気まずくなり、そそくさと逃げ出そうとしたときだった。がしっと笹山の腕が腰に回され、「ぐえ!」と変なところから声が出た。 「さ、笹山……?」 「そんなにあいつのことが気になるんですか?」 「あー……いや、まあ、気になるってかどうしたのかって……ってなに、なんか腕、力強……っ?!」 「……普段と違ったら原田さんは心配するんですか?」 「そ、そりゃ気になるだろ。って、なに、どうしたんだよ……っ?」 なんか怒ってるのか……?いやなんでだ?!俺なんかまずいこと言ったか?! 「あ、あの、どうした? 笹山……」 「もし、もし俺が突然貴方に冷たくなっても……原田さんは気にしてくださるんですか?」 「え、そりゃ気にするってか心配するだろ……って、本当になに、どうし……」 たんだよ、と焦っていると、いきなり笹山に抱き締められる。抱き締められるというか、最早床からやや足浮いてんじゃねえかって気すらする。 「んむ、……っぷは、笹山、どうした? あ、甘えたくなったのか……?」 なーんて、と笑ってこの空気をどうにかしようとしたら「そうかもしれませんね」とやけに真面目な顔して笹山が呟くもんだから俺はアホみたいな顔をしてしまう。 「……お、俺のせい?」 「ええ、そうです。……原田さん、貴方があいつのことばかり気にするから……」 「き、気にするって、そんなんじゃねーのに……っ、ん、む、ちょ……っ笹山」 「少しだけ……こうして抱き締めるだけなので」 「それ以上のことはしませんので、許してください。……今だけ」そんな図体はでかい年下の男に弱々しく甘えられてみろ、誰だって仕方ねえなという気持ちになってしまっても無理もないだろう。 てか笹山お前、そんなに俺のこと好きだったのか?とちょっと余計可愛く見えてくるってか、悪い気はしない。俺が現金なのか? 「だ、抱き締めるだけだからな……けど、ここじゃ誰か来るから」 あっちで、と普段使われてない倉庫の方を指差せば、笹山は分かりました、と小さく頷いた。 よくねえなあと思いながらもつい絆され、俺は笹山とその場を移動する。 本日の学び。 スイッチ入った男の言う『〇〇するだけ』を信用してはならない。 「っ、は、ん、笹山……っ、ぁ、待てっ、ちょぉ、だ、抱き締めるだけっていった……っ、ん、んん……っ!」 「ええ、はい……っ、ですので、抱き締めてるんですよ」 「は、ん、キスも……っ、ちが、だめだって、ん、む……っ」 覆いかぶさってくる笹山に胸を揉まれ、がっしりと回されるその腕から逃れようとすればキスをされる。ちゅぷ、と唇の薄皮をたっぷりと吸われ、滑られ、舌先同士をねっとりと絡まれる。 ただでさえ籠もったそこに熱と水分多めの粘着音が響き、俺はというと食われる寸前であった。 油断していた。酒さえ呑んでなければ笹山はまともだと思ってたが、どこで間違った?……最初からか? 「はっ、ぁ、笹山……っ、ん」 「原田さん、こっち見て下さい。……俺のことも、見てください、原田さん」 「っ、み、みてる、みてるからっ!」 だからその乳首ほじんのやめてくれ、と続ける暇もなく、固く尖り始めていたそこをシャツの下に滑り込んできた指に今度は柔らかく転がされる。 「ひっ、ぅ、ゃ、あ……っ、ぁ、さ、笹山っ、やめ……っ」 「ん……っ、原田さん……大きな声出したら外まで聞こえてしまいますよ」 「っ、ふ、ぅ、……っ、ゃ、ん……っ、んんぅ……っ!」 「……っふ、そんなに焦らなくても大丈夫です。俺がちゃんと塞いでおきますので、原田さんの口」 なにが、どう、と固まる俺を無視して、笹山は再び俺にキスをする。今度は先程よりも更に深く喉の奥まで入ってくる笹山の舌。 塞ぐって、そういう意味かよ。なんて突っ込んでる余裕もなく、たっぷりと唾液を含んだ肉厚な舌に上顎から舌の付け根まで舐め回される。 「ぁっ、……んむ、ん、んん……っ」 唇を塞がれてる間も胸を弄る指は止まらない。カリカリと柔らかく先っぽを引っかかれ、擽られるだけで股間にあっという間に熱が集まっていく。 抱きしめられれば抱きしめられるほど、それを笹山の体に押し付けるような体勢になってしまうのが恥ずかしかった。 そんな俺を見つめたまま、笹山は逃げようとする俺の腰をぐ、と抱き寄せた。拍子に笹山の下半身と重なり、ごりゅ、と嫌な感触をダイレクトに味わう羽目になる。 「ん、んん……っ! んむ、ぅ」 「……っは、原田さん、ここ、触ってほしいんですか?」 「ぁ、っん、ち、ちが……ぁ、……っ」 「じゃあ、さっきから俺の身体に押し付けてきてるのは気の所為でしょうか」 「き、きのせぇ……っ、ん、ぁ、や、笹山……!」 布越しに腰を押し付けられ、思わず声が漏れる。 やばい、なんかこれまじでやってるみてーじゃん。 やめさせないと、と思うのに、俺の意志と反して股はゆるゆると開いていく。駄目なのに、笹山に挿れられたときの想像してしまっては下半身が痺れ出すのだ。 「笹山、だ、駄目だって、抱き締める……だけ……っ」 「ええ、はい、そうですね……なのでこうして身体を触れ合わせているだけですよ、俺は」 「……っ!」 「それとも、なにか問題がありましたか?」 普段犬みたいで可愛げがある笹山の可愛くないところ。ぺろ、と唇を舐め、笹山は固くなった股間で俺のものを擦りあげるのだ。 「はー……っ、ゃ、も、笹山……っ、かわいくね……っ」 「そんなこと言わないで下さい、原田さん」 「い、言いながら擦りつけるのも、やめ……っ、ぇ、……ぁ、ん、や、笹山……っ!」 「ん、……っ抱きしめたとき身体が触れ合うのは……っ、ふふ、当然のことですから、ねえ……っ? 原田さん、逃げないでください」 「は、……っ、ぁ、ん……っ、や……っ!」 布が擦れ、柔らかく腿を撫でらてくる笹山の手はそのまま俺の片足を持ち上げる。関節が悲鳴をあげ、俺の最弱の体幹ではそれを堪えることもできなかった。 ふらつく体を笹山に抱きとめられたかと思えば、そのまま体ごと抱きとめられる。 すぐ目の前には笹山の顔面。普段は柔らかいその顔は今はなんだか恐ろしく見えるのだ。 目が合えば、嬉しそうに微笑んだ笹山はそのまま唇の端、頬、目尻へとキスを落とす。 「は、ぁ、ん……っ、さ、笹山……」 「ここ、窮屈そうですね、原田さん」 「だ、だれの、せいだと」 「俺のせいですか?」 「ひぅっ! ……っ、そ、そうだよ、ん、尻、揉みながら話すな……っ! ぁっ、ん……っ!」 「俺のせいなら……ちゃんと責任取らないといけませんよね」 ぼそ、と耳元で囁かれる声に「へ?」とアホみたいな声が出たとき、直接股間に伸びてきた手に柔らかく揉まれ「んんっ」と上ずった声が漏れた。 「ぁっ、さ、笹山……っ、どこ、触って……」 「何がですか?」 「っすっとぼけ、やがって……っん、も、まじで、怒るからな……っ!」 「怒らないでください。……ちゃんと、原田さんもよくしますので」 「ね?」と囁かれる甘い声に「もぉ〜〜」とつい心の中のマダムが絆されそうになる。なるな。というか心に宿すなそんなもの。 けど、普段きっちりして俺を甘やかしてくれる男が俺に甘えてる――そんな事実に常識やら貞操観念やらなんやらその他諸々はじっくりことことと煮込まれ、そして、俺は下着の中に入ってくる笹山の手を引っ張り出すこともできなかったのだ。 「ぁっ、ん、ぅ、ふ……っ」 「原田さん、逃げないでください……っ、ほら、ちゃんと俺の身体に掴まって」 「っゃ、も、……っ、ぃ゛……っ、う゛、うぅ〜〜……っ!」 中にねじ込まれる長い指で前立腺を優しく揉まれ続け、何度達したかも分からない。汗だくになった身体を抱き締められたまま、笹山は「可愛い声出てますね」なんて仕事の出来を褒めるかのような口振りで褒めてきやがるのだ。少なくとも可愛くはねえよ。 「はっ、ぁー……っ、ゃ、も、いいから……っ、は、はやく……っ、す、済ませろって……っ」 「ですが、原田さん。……俺は原田さんに負担を掛けるのは本意ではないんです」 「そ、れがぁ……っ、も、ぉ゛……っ、く、ひゅ……っ!」 「なので、ちゃんとしっかり俺のが入る準備をしないと……原田さんが苦しむところ、俺は見たくないので」 言いながらもねちねちねちねちとしつこく追い詰めてくる笹山に最早俺の頭は笹山の言葉を認識することはできなかった。 ガクガクと痙攣し、一人手に立つことも出来ない体を腕一本で抱き抱えられたまま、大きく開かれた股の奥、深くまで挿入された指で執拗に掻き回される。 前立腺から臍の裏側、さらに奥を押し上げてくる指に全身の神経は既にぶっ壊れかけていた。止めどなく垂れてくるカウパーは脱ぐことも許されない下着の中で水溜りになっている。 「っ、はー……っ、ふ、ぅ、も、いい、もういいから……っ、こ、これ以上は……っ、も、いやだ、い、お、おがじぐなる゛……っ」 「大丈夫ですよ、原田さん。人間そんなに簡単に壊れませんので」 「ちがぁ、も、ち、ちんぽ、ぉ、おかじ、ぃ゛っ、ぅ゛ひ、ま、また……っ、くる、なんか、ぁ゛……っ!」 「チンポなんて品のない言葉、原田さんの口から聞けるなんて……いいことがありそうですね、今日は」 どんな理論だ。無茶苦茶だ。 閉じようとする肉を指でこじ開けられ、ぐぷりと音を立てながら中を蠢く指から逃れることもできない。チカチカと点滅する視界の中、声もあげることもできないまま俺は笹山にしがみついた。 「――〜〜……ッ!!」 「ふ……っ、は、可愛いですね。原田さん」 「はー……っ、ぁ、あ……っ、ぅ……」 「……っ、口、開きっぱなしですよ」 そう唇を甘く吸われ、舌をねじ込まれる。俺はもうそれに抗う気力などなく、もう勝手にしてくれという気持ちでされるがままにちゅぱちゅぱ舌ごと吸われていた。 「しゃ、しゃやま」 「呂律もとろとろになってますね、原田さん」 「も、もぉ……や……」 「ああ、すみません。……泣かないでください、虐めるつもりはなかったんです」 本当かよ、と思わずツッコまずにはいられない。が、もうこの際なんでもいい。笹山がしつこくてネチネチしたやつだということは分かったので。 ぐぽ、と音を立てて引き抜かれた指はそのまま大きく肛門を左右に広げた。何本も指も咥えさせられたお陰で穴でも空いてんじゃねえのかって気になって仕方ない。 「は、ぁ」 「……っ、原田さん、怒りました?」 「お、怒ってない、起ってないからぁ……っ」 早く、早く済ませてくれ。 腿を担がれ、軋む関節に悲鳴がでそうになるのも束の間。山張ったそこから取り出される笹山のブツがべちんと下半身に押し当てられる。 既にガチガチになったそれは先走りで濡れてより一層グロテスクなことになっていた。 「は……っ、ぉ、おまえ」 「……すみません。原田さんが魅力的でしたので、俺も大分出ちゃいました」 「出……っ」 「でも大丈夫です、本チャンの分は残してますので」 たっぷりと、耳を舐められ体が竦む。がっしりと抱きかかえられたまま、口を開いたそこへと濡れた亀頭を押し付けられる。そのまま肛門へとカウパーを塗り込むようにぬちぬちと擦られ、腰が震えた。 「さ、笹山……っ、も……」 「ごめんなさい、お預けされてるときの原田さんの反応、堪らなくて……っ、ん、そうですね、俺も……っ、は、ちょっと限界かもです」 言うや否やくぷ、と先っぽが埋まってくる。 散々弄られ過敏になってた粘膜を掻き分けるように入ってくる性器。太いそれで腹の奥までゆっくり優しく、そして容赦なく進んでくるそれに悲鳴にならない声が漏れる。 「ぁ、あ……っ、ん、っ、さ、笹山……っ、ぁ、んむ……っ」 深いストロークに耐え切れず声をあげれば、それごと唇を塞がれる。舌先を絡めながらも、喉と下を同時に笹山でいっぱいになればそりゃあこいつのこと以外考えれるわけがなかった。 「んっ、ん、ぅ゛、ふ……っ、ぅ、うぅ〜〜っ!」 「っ、は、ぁ、……っ、原田さんの中、必死に吸い付いてきて……気持ちいいです、俺のもとろとろに溶けそ……っ」 「ふ、ゃ、なにいって、ぇ、あ……っ、ぁ、んん……っ! 待っ、ぁ、ゆっく、ぃ゛」 言うや否や腰を掴まれ、肉をこじ開けるように貫かれた瞬間天井部分に亀頭がぶつかり、同時に意識が飛びそうになる。 宙に浮きかけた身体を抱き締められたまま、再びそのまま腰を打ち付けられ、身体が跳ね上がった。 「ぉ、ひ……っ」 「ん、原田さん……っ、ふふ、呂律もとろとろになってますよ、そんなにここ突かれるの好きですか……っ?」 「ぃ、あ、わかっ、わかんな、ぁ゛、ひっ、ぅ、むりぃ……っ!」 「大丈夫です、ほら、俺と一緒にいきましょう。ちゃんと、責任持ってお手伝いしますので」 「ぃっ、いらね、ぅんっ、いらなぁ、あ゛――っぅ、あ、あ……っ!」 性器を馴染ませ、そのまま再び奥を目掛けて執拗に腰を動かしてくる笹山。腹の中を行き来する性器に前立腺を摩擦され、逃げようとしても更に深く腰を打ち付けられる度に逃場を失う。 宙ぶらりんになった足を抱えられたまま、笹山による杭打ちピストンで俺は最早なすすべなどなかった。叩けば鳴る玩具ならぬ、突けば鳴く俺。うるせえわ。 「っ、ぁっ、はっ、や……も、だ、だめ……っ! ん、ぅあ……っんむ! ん、んん……っ、は、ちゅー……ゃ、……っむうぅ……っ!」 やばい、やばいのに。こいつ全然止めてくんない。 下半身の感覚はとっくにキャパ超えして訳わかんねえのに、そんな状態で「原田さん、好きです」「かわいい、原田さん」なんてASMRよろしく良い声で囁かれ続けてみろ。パブロフの犬も真っ青である。 可愛いも好きも嬉しくねえのに、いや嬉しいけど、普段ならばそれほど気にならないはず……なのに、チンポ奥に突っ込まれて耳とケツ穴両方から響かされればそこら辺の惚れ薬よりも効果覿面である。 「へぁ、あ、……っゃ、ぁ、あ……っ、ばか、になる……っ、ぉ、おかし、ぉがしくなる、ケツがぁ……っ」 「大丈夫ですよ、原田さんの身体におかしなところなんて一つもありません……っ、ほら、こうやってお漏らしみたいな量の先走り垂らさせてるのも可愛らしいじゃないですか」 「にゃに、いってんのぉ……っ、も、あ……っ、ま、さわんな……っ、ぅ、ひきゅ……っ!」 「真っ赤になってるのも可愛いです。涎みたいで、あ、また出てきましたね……っ、ん、は、ほら、こっちもちゃんと気持ちよくしてあげますよ」 「ぁっ、ゃ、さわんな、あ、だめ、チンポだめ……っ! ぇ゛、ひ、うぐ」 脳味噌てっぺんまで昇ってくる快感に頭は真っ白になり、混ざり合う鼓動、意識ごと押し出されるような抽挿に耐えきれず呆気なくイク。ビリビリと痺れるような甘い感覚に浸る暇もなく、俺を抱き締めたまま笹山は更に俺の腰を掻き抱いた。 「……っ、ぁ、あ゛っ、さ、さやまっ、ん、む……――ッ!」 逃さないとでもいうかのように強く抱き締められた腕ん中。出てる、すげー出てる。腹ん中に放出される精液が溜まっていく、そんな生々しい感覚に目の前はチカチカしたままなにも考えられなくなる。頭を抱き寄せ、俺の口を物理的に塞いだ笹山は気持ちよさそうに息を吐き、そして「原田さん」と小さく呟いた。 「……原田さん、すみません」 お前、おせーよ……それ。 ちゅ、とつむじにキスをされながら、俺は笹山に文句を言う気力もなくただその胸にしがみついたまま動けなくなっていた。 ◆ ◆ ◆ 酷い目にあった。 ケツもだが、事後処理もだ。笹山の精液の量が多すぎて辺りは精子まみれ、というのは言いすぎだが……服は駄目になったので着替える羽目になるし詫びとして笹山に下着から何から用意してもらうことになった。 ついでに「やり過ぎした、ごめんなさい」の詫び酒と詫びつまみもくれたので許すが、普段ならばある程度他と比べて節度を持ってるであろう笹山がこんなに我を忘れるのも珍しい。 ……やっぱ、四川のこと聞いたのがまずかったのか? なんて再び本人に聞くのはリスキー過ぎたので、俺は一旦「もういいよ」と詫び酒達で手打ちにすることにしたのだ。 ……結局四川のことは分かんなかったし、なんなら笹山もおかしくはあるのか。 俺が知らないだけであの二人、また喧嘩でもしたのか?仲良いのか悪いのか分かんないしな。 ま、いいや。今日は帰って酒呑んで寝るか。 「原田さん、帰るんだったら送りましょうか」 「い、いい、大丈夫だから一人で」 「そうですか……」 しゅんとする笹山に罪悪感覚えつつ、俺はまた笹山の地雷を踏む前にさっさと店を出ることにした。 ――駐車場。 「うお、さみぃ〜〜…… 」 ついでに自販機で暖かいもんでも買おうかと店の駐車場まで行き、自販機を眺める。 おい、ここココアしかねーじゃねえか。誰だここの自販機チョイスしてんの、紀平さんか?なんて思いながらも他によさげなのかないか確認してたとき。背後から伸びてきた手がエナドリのボタンを押す。そんで続けて真っ黒なカバーついたスマホが押し付けられる。 「あ……」 「……」 ガコン、と缶が落ちてくる音ともに俺は振り返る。そこには四川が立っていた。こちらを睨むように見下ろしたまま、やつは「何」とぶっきらぼうに呟いた。 「な、何って……」 「何にすんのか決めたのかよ」 「へ? え、あ、まだ……」 「早くしろ」 なんでお前に急かされなきゃなんねえんだよと思いながら、俺は慌てて適当な飲み物選んだ。そんで落ちてきたのはメロンクリームソーダ。いやまじでなんでだ。俺。極寒だぞ。 そのまま四川は続けて決済する。おい、と止める暇もなく落ちてくるボトルを俺へと投げて寄越したやつはそのままバイクが停まってる方へと歩いていく。 「あ、お、おい、四川これ……」 「なんだよ」 「お、お金……」 「いらねえよそんくらい」 「ぁ、ありがと……っ、ん、じゃなくて、待てって……っ!」 四川が奢ってくれたという驚きと戸惑いもあったが、また避けられるかもしれない。そう思うと居ても立ってもいられなかった。 ぐ、とその腕を掴み、呼び止めれば四川は驚いたような顔をした。 「んだよ」 「あ、や……えーと」 「あ?」 「い、一緒に帰らないか」 こちらを見下ろしていた更にその目が丸くなる。 無理もない、なんだって口にした俺が一番驚いているのだから。 「は? 一緒にって、なんで」 「え、や、えーと……わかんねーけど、その」 「分かんねえのかよ」 なんだそりゃ、と呆れた顔をする四川。今回ばかりはこいつに同意しかない。 俺、どうしたんだ一体。 「帰るも何も、そもそも家の方向別だろうが。後ろ乗せて帰れってか?」 「ば、バイクは……怖いからやめとく」 「誰も送るとか言ってねえだろ」 「そ、そーだけど……そーだけどさ、その……そうだ! これのお礼」 「礼?」 「お前に借り作んのやだから、なんか俺も奢ってやるよ!」 笑って誤魔化し、そう四川の肩をぺしっと叩いたときだ。やつは睨むようにこちらを見た。 やべ、調子に乗りすぎたかもしれない。そうぎくりとしたとき、四川はそのまま俺の手首を取る。 「あー、あの……四川……?」 「……それ」 「え?」 「なんだよ」 そう、伸びてきた手に首筋を撫でられ、「ひっ」と息を飲んだ。俺の首になにか付いてるのか、とそこまで考えて先程までの笹山とのアレコレを思い出した。 途中ワケわかんなくなって何されたか覚えてねえけど、首を舐められたような記憶は朧気にある。まさか痕でもつけられてんのか。 青褪めて、慌てて襟を引っ張って首元を隠した。 「し、しらね……わかんね……多分虫」 「……虫なあ?」 「し、しせ……」 気まずくなり、『やっぱ真っ直ぐ帰る』と慌てて逃げ出そうとしたが一足遅かった。 俺の首根っこを掴んだ四川はそのまま俺を引きずり上げた。 「いいぜ、送ってやるよ。お前んちまで」 あくまでも口調は普段よりも穏やかであるのが逆に恐ろしい。なんだよ、いつもならギャーギャーブチ切れるくせに。なんだよ。 見つめられ、俺は結局反論できぬまま四川のバイクへと乗せられることとなったのだ。 ◆ ◆ ◆ なんで最近優しいんだよ、とその一言聞ければそれでよかったはずだったのに。 何故こんなことになっているというのだろうか。 ――自宅マンション、そのリビングにて。 同居人である翔太は丁度掛け持ちしてるバイトに行ってるようだ、本当に丁度よかった。 こんなところをあいつに見られたらまたネチネチネチネチと小言を耳元で聞かされることになるだろうからな。 「し、四川……なんか飲むか?」 「いらね」 「な、なんだよそれ」 「つか、今更何気遣ってんだよ。お前もこっち座ったら良いだろ」 お前、簡単に言ってくれるな。 普段生活スペースに他人を招き入れるなんてことしなかっただけに、余計違和感というか緊張して仕方ないってのに。 五人は座れるソファーにどっしりと腰掛けて自分ちみたいに寛いでる四川を見てると、まあ畏まられるよりマシかと納得する自分もいた。 俺は取り敢えずジュースだけ用意して、「ほらよ」もあいつに渡した。それを受け取った四川は、そのまま俺の手首を引っ張り自分の隣に座らせてくる。 「お、おい、引っ張んなって……っ!」 「逃げるだろ、お前」 「べ、別に……逃げねーし」 「そーかよ。じゃ、座れよ」 「言われなくたってそうするつもりだよ、……っ、たく」 内心どきまぎしてんのをバレないよう必死こきつつ、俺は四川の隣に座った。いや、近。俺と翔太二人のときでもこんなパーソナルスペースガンガン無視しねえぞ。 「あの眼鏡野郎とここで一緒に住んでんだっけか? ……二人暮らしには広すぎんだろ」 「……? そうか? あいつ、買い物ばっかするから他の部屋とか速攻潰れるぞ」 「金持ちの思考ってわかんねーわ」 「……なんか馬鹿にされてる気がすんな」 つか今は金持ってるのは翔太の方で、俺はただお邪魔してる身だけどな。 「気のせいだろ」とそっぽ向き、そのままグラスに入ったジュースを飲み干す四川。その横顔はなんとなく機嫌が悪そうだ。 「なあ、なんか怒ってんのか?」 「……あ?」 「……だって、機嫌悪いし」 「別に、いつも通りだろ」 「だって、でも、最近すげえ優しかった……じゃん」 つい口が滑ってしまい後悔したが、後の祭りである。そのまま押し黙る俺に、四川は無言で地鶏とこちらを見下ろすのだ。俺はその視線から逃れるので精一杯だった。 「……優しかった、ねえ」 「な、なんだよ……だって、お前にしてはそーじゃん。いつも怒ってたのに……」 「……そうだよ」 「だから――え?」 「なあ、なんでだと思う? 俺がお前に優しくしてやった理由」 気付けば伸びてきた手に首筋をするりと撫でられる。乾いた指先が滑る感触に体が震えた。 やめろよ、と四川の手を掴んで離そうと思うのに、「言えよ」と顔を覗き込まれれば四川の顔を見つめることで精一杯になってしまうのだ。 「ん、わ、わかんねえよ……そんなの」 「ちゃんと考えたのかよ」 「か、考えれるかよ、こんな……っ」 「こんな?」 「……お、お前に、触られて……」 「…………はあ」 た、溜め息……っ?! 俺が察し悪いからか?だから呆れられてんのか?とわなわな震えていたところ、四川はそのまま人の首筋に顔を埋めてくるのだ。 「わ、な、なに、お前急に……っ」 「動くなよ」 「んなこと、言われても」 鼻先が当たる。生暖かな吐息と唇の感触にどぎまぎしてる暇もなかった。そのまま口を開いた四川に甘く首筋を噛まれた瞬間、ぴりっとした痛みが首筋に広がった。 「んっ、ぉ、お前……っ、なに、噛んで……」 「ああ? お前には関係ねえよ」 「俺の体だ……っ!」 「俺のもんでもあるだろ」 いつお前のものになったんだよ、と思わず突っ込みそうになって、再び今度は別の所をべろりと舐められる。犬がマーキングでもするかのように舐めたそこに歯が食い込み、来たるべき痛みに備えるように体が硬直した。 「っ、ん、ぉ、おい……っ! 四川……っ! ふ、ぅ……っ」 優しくなった、なんてやっぱり気のせいだったかもしれない。髪が当たってこそばゆいのと、噛み付かれる痛み、その後じんわりと広がる熱に全神経がどんどん昂っていくのがわかった。因みに俺は断じてマゾヒストではない。ないが、これはもう条件反射のようなものだと思う。 吸われて、舐められて、噛まれて、それからまた吸われる。そんなマーキング行為は愛撫と似通ってる部分があり、すっかり勘違いを起こしたらしい俺の体は下着の中でぬるぬると大変なことになってしまっていた。 「っ、も、いい、もういいだろ、それ以上は隠せなくなるから……」 「隠さなくたっていいだろ」 「……っ、なに、言って……」 「隠すなよ、これ。ちゃんと他の奴らに見せろよ」 「無茶言うな、そんなの……っ」 言いかけた矢先、俺の上に膝立ちになった四川に柔らかく下半身を膝の頭で刺激される。 「っん、お、おい、四川……っ!」 「……はー、……お前ってまじで」 「な、に……っ、ん、ゃ、四川……っやめろ、こ、こんなところで……」 「無防備過ぎんだろ、まじで……それともわざとやってんのか? ……そんなんだからこんなもんつけられるんだろうが」 「ん、む……っ」 首筋を撫でられ、そのまま柔らかく首を掴まれる。咄嗟に開いた口を塞ぐように唇を重ねられ、そのままぬるりと咥内へと侵入してくる舌に目を見開いた。 「っん、ん……っ、ふ、ぅ……っ」 咥内に広がるオレンジの味。いつもの優しくない方の四川が顔を出してる。 頸動脈を押さえつけらてるせいで頭がふわふわしてきて、咥内で蠢くやつの舌の動きがより鮮明になっていく。水音を立てながらたっぷりと唾液を流し込むよう絡め取られる舌に、堪らず俺は四川の胸を押し返そうとしたが四川は小さく舌打ちをし、更に深く根本まで舌を重ねる。 「ふ、ぅむううぅ……っ!」 「クソ……こんなところまで……。あいつの香水プンプンさせやがって、腹立つんだよテメェは……っ!」 「っぷは、なに、あいつって……っ、んん……っ」 「しらばっくれてんじゃねえよ」 「ひ、ぅ……っ!」 キスから逃れられたと思いきや、服の上から乳首を捏ねられぎょっとする。やめろ、と慌ててソファーの上から逃げようとするが、ずるりと落ちそうになる体を四川に抱き寄せられるのだ。 「ぁ、んん……っ、ゃ、しせ……っ」 「は……っ、くそ、原田のくせに」 「ぉ、俺、なんもしてね……っ、ぇ、んん……っ! ぁ、ち、くび、やだ……っ」 「服の上からでも分かるくらい勃起させておいて何言ってんだよ」 「ちが、ぼ、ぼっき、してねえし……っ! ん、ぁ……っ!」 「嘘吐き野郎が……っ、吐くならもっとましな嘘吐け!」 「あ、ばか、ゃめ、んん……っ!」 ぎゅううっと布越しに根本から先っぽまで乱暴に引っ張られ、痛み諸々で堪らず仰け反る。くそ、なんなんだよ。人の乳首にくらい優しくしろ!という俺の言葉など聞く耳すら持たない四川は、そのまますっかり腫れ上がった乳首を今度は優しく引っ掻くのだ。 「ん、ゃ、しせ、……っん、ぅ……っ! な、んで、ゃ、やだ……っ」 「ああ? なんだよ、嫌って」 「乱暴にすんな、ゃ、優しくしろ……もっと……っ」 「優しくぅ?」 ここ最近ずっと優しかったじゃねえか、と涙で訴えかければ、こちらをじっと見下ろしていた四川は嫌な笑みを浮かべる。それから俺の体を抱き上げ、そのまま耳元に顔を寄せるのだ。 「……優しくなあ?」 「ん、しせ……」 「なんでお前に優しくしねえといけねえんだよ、おい」 「っ、ん、ぇ」 「お前に優しくしたってなあ、余計お前、ぼんやりするだけだろ」 「そ、んなこと、ぉ……っ!」 カリカリと乳首の先っぽを潰され、穿られる。服越しだからそれが余計もどかしくて、膝を擦り合わせて必死に快感を誤魔化す俺を見下ろしたまま四川は俺の耳に唇を押し付けた。ちゅ、と小さなリップ音が鼓膜に響き、脳の奥が焼けるように熱くなる。 「――じゃ、もう俺以外のやつとヤんなよ」 吹き込まれる声に、眼球の奥がじんわりと熱くなった。 その言葉の意味を一瞬理解することができず、俺は四川の顔を見た。瞬間、そのまま今度は唇に舌を這わされる。柔らかく、表面の感触を愉しむみたいに這わされる熱い舌先に無意識に唇を開いてしまった。招き入れるつもりはなかったのに、四川はそれに応えるように再び舌を絡めるのだ。 「ん、ん、ぅ……っ、ふ……っ」 「は、……っそーそー、そうやって、俺だけ受け入れときゃいいんだよ、テメェはよ」 「ぅ、んん……っ、ふ……っ」 「ん……、ふ、そしたら、まあ……考えといてやる」 せめて善処しろ、などというツッコミをする暇もなかった。咥内から分泌される唾液が溢れ、それを舐め取った四川は更に舌先ごと咥え、吸い上げる。 「ん、んんぅ……っ、ふー……っ!」 後頭部を撫でられ、跳ねた髪を指先で弄るように絡めながら四川は人の顔をガン見しながらも更に深くまでキスをする。 長え、つか、溺れる。まじで。 しつけえくらいなのに、四川に抱き締められて腰押し付けられながらキスされてると何も考えられなくなるのだ。 普段乱暴なくせに、本当に俺がお前とだけしなくなったらずっとこうやって優しくしてくれんのか? そんな甘い期待が胸に広がる、まるで恋愛でもしてるかのような錯覚に陥らせられるのだ。 「ん、ぅ、んん……っ」 「……っ、ふ、腰……」 口の中で四川が小さく笑う。指摘され、俺は自分が四川に下半身を押し付けていることに気付いた。 恥ずかしくなり慌てて腰を逃がそうとするが、四川はそれを許さなかった。更に腰を抱き寄せられ、下半身同士を擦り合わせるよう抱き込む四川に呼吸が漏れる。 「っふ、ぅ……っんん、しせ、ん……っ」 「いっつもそうやって、素直になりゃ良いんだよ」 「っぁ、ん、んん……っ!」 俺はいつだって素直だ。お前の方こそ、と言い返そうとした言葉は声にならなかった。 服を脱がされ、インナー一枚になった体を撫でられる。腹部から胸元までゆっくりと感触を楽しむように這わされるゴツい手に体が震え、「ゃ」と声が漏れた。 「嫌じゃねえだろ」 「……っ、……」 「服、自分で持ってろ」 命令すんなよ、と思うのに、「優しくされてーんだろ」と囁かれれば頭の奥がぼうっと熱くなる。 クソ、確かにそーだけど。だけどもだ。 「ん、む……」 別にこういう優しさは求めてねーんだよ、こっちは。そう言い返してやりたいのに、俺の意思に反して体は勝手に動くのだ。 服の裾を引っ張り、軽く持ち上げる。露出した腹部に直接伸びた四川の指が、俺の臍の窪みに埋まる。 「ん、ぅ、四川……っ」 「もっと上げろよ」 そのまま、と臍から腹部の筋を辿る指先に促されるがまま、俺は胸元まで恐る恐る服を持ち上げる。がばっと全てを脱げるほどまだ俺は割り切れていないためこんな中途半端な部分までしか曝け出せなかったが、逆にそれは四川を喜ばせたらしい。 「……っ、は、まじで、なんだよそれ」 「い、言われた通りにした、だろ……っ、ぅ、んん、四川……っ」 「これ、隠せてねえぞ」 「わざとか?」と笑いながら乳輪をなぞられ、びくりと大きく体が跳ね上がった。中心の突起を避けるようにすりすりと円を描くように撫でられ、反対側の胸も同じように触れられると背筋が自然と伸びてしまう。 「しせ、ん、んぅ……っ、これ、恥ずい……っ」 「もっと恥ずかしいことしてきて何言ってんだよ。……は、こんなとこまでご丁寧に痕つけられてきて、よく俺のこと誘えたよなぁ?」 「ひ、ぅ……っ!」 ツンと尖り始めていた芯を指が掠めた瞬間、下半身から脳天まで甘い刺激が走る。服の下、触ってほしくて固くなっていたそこを今度は強めに引っ掻かれると先程よりも直接的な刺激に腰が浮いた。 「ぁ、んんっ、ふ、……っしせ、ちが、俺……」 「違うって、何がだよ」 「ちが、ぁ、んん……っ! こ、こういうんじゃやくて、ふ、普通に……ぃ゛……っ」 「同居人いる部屋に男連れ込んどいて何言ってんだよ。……ビッチ野郎」 さらっと吐き出される暴言に俺は激怒した。 今までの優しい四川はどこに言ったのだ。 「び……っ!? う、嘘、うそつき、優しくするって……っ!」 「あ? 優しく乳首弄ってやってんだろうが。逃げてんじゃねえよ、今更」 やっぱこいつ、四川だ。 くそ、純真故に騙されてしまった己が憎い。 それなのに。 「ここまできてやっぱナシ、はねえだろ。なあ?」 胸を鷲掴む掌に乳首を押し潰されたその刺激に腰がぶるりと震えた。 分かってて言ってるのだ、この男。必死に声を抑えながら四川を睨めば、やつは笑った。 「ふ、ぅ……っ」 神経が集まったそこを柔らかく転がされ、そのまま穿られた瞬間背筋に這い上がってくる嫌な感覚に声にならない声が漏れる。足の裏ぞわぞわして、必死に逃げようとすれば舌打ちした四川は「仕方ねえな」と言わんばかりに俺の顔を覗き込み、そしてそのまま唇を重ねてきた。 「っ?! ん、む゛ーー……っ!」 またキスで誤魔化して有耶無耶にするつもりかお前……! そう必死にその無駄に厚い胸板をペシペシ殴るが四川は苛ついたように額に青筋を浮かべるだけで、逃げようとしていた俺の顎をがっちりと捉えたままやつは唇を塞いでくる。 「ん、んん、っ、ふー……っ! ぅ、んむ……っ!」 最初は唇を柔らかく啄むだけのキス。それが段々深くなり、力が抜けて唇が緩くなったところを今度は舌を一気にずりゅっとねじ込み、そのまま上顎を長い舌先で撫で上げられる。 「ん、んん……っ、ふ、ぅ……っ」 流されて堪るものか、と思うのに、喉の奥までねっとりと天井を撫でられながら乳首を弄られると神経が連動するみたいに何も考えられなくなってしまう。 気持ちい、わけない、ちが、相手は四川なのに。 「ん、……っ、ふ……んん……っ」 見つめられたままキスされてる内に気分がふわふわしてきて、ガチガチに固くなっていた体から力が抜けていきそうになる。そのままソファーの上、押し倒される体に気付いたときには遅かった。 「っ、し、せ……」 「お前、……本当チョロすぎんのどうにかしろ。そんなんだから変な虫ばっか寄せ付けんだろうが」 チョロくねえ、お前が強引すぎるだけだと言い返したかったのにやや心当たりがあり、つい口ごもってしまった。 それも一瞬、俺の胸元に顔を寄せた四川はそのまま人の胸にべろりと舌を這わせる。 「っひ、ぅ……っ!」 熱く濡れた舌先ににゅるりと乳首の周囲を舐められ、堪らず震える。擽ったさともどかしさ、そんで恥ずかしさに耐えきれず「おいっ」と四川の頭を掴もうとすれば、今度は唇で挟まれてしまった。 「っ、ぁ、ゃ、めろ、馬鹿……っ、す、うな……っ! ひっ、ぅ……っ!」 「……っ、は、うるせ、……相変わらずクソ雑魚乳首だな。……おい、何逃げてんだよ」 「ぁ、んん、く……っ! ひ……っ!」 クソ、馬鹿力野郎……! 必死に四川の頭を掴んで引き離そうとすればするほど強く吸われ、そのまま先っぽを舌先で刺激されるだけで下半身にジンジンと痺れが広がる。 「ひっ、ぅ、んん……っ!」 「随分と吸いやすいサイズになってきたな。……ほら、逃げんな」 「ぁ、も、ゃ、無理……っ! だ、ゃめろ、しせ……んんっ!」 ぷっくりと腫れ上がったそこを甘噛された瞬間、頭の中で無数の光が弾ける。 びく、と大きく仰け反る体。ずり落ちそうになるところを四川の腕に抱えられ、そのままソファーの上に転がされた。馬乗りになってくる四川の腕が下半身に伸びるのを見て、慌てて俺はその腕にしがみつく。 「お、おい……っしせ、ん」 「しっかりと反応しやがって……お前は犬か」 「い、犬ってそうなのか……? ……っ、じゃなくて、やめろ! ……っ、しょ、翔太が帰ってきたら……っ」 「なんだよそれ? ……じゃ、お前の部屋どこだよ」 ぐりぐりと膝の頭で膨らんだ性器を刺激され、脳味噌の奥の方が甘く痺れた。 圧迫される睾丸に、パンツ越しに揉まれる性器に、嫌でも体が反応してしまうのだ。 乳首をコリコリ潰されながらちんこ刺激されんの、もどかしすぎる。無意識の内に反応しそうになる己を叱咤しつつ、俺は四川の腕を更にぎゅっと掴んだ。 「ぃ、言うわけねえだろ……っ、ん、くひ……っ」 「じゃあどこでも文句言うなよ」 「っ、ぁ、ん、そんな勝手な……っ」 「お前だってケツ揺らしておいて何言ってんだよ」 「ゆ、揺らしてねえっ! こ、これは、勝手に、体が反応ぉ……っ、ぉ、う、反応、してるだけ……ぇ……っ、……っ、は、話してるときに乳首やめろ……っ!」 イッたばかりで硬くなったそこを指の腹で摩擦される度に脳細胞が破壊されてくみたいだった。 重ねがけされていく快感に耐えきれず、せめて四川を止めようとするがやつは遠慮なく俺の穿いていたパンツごと脱がしてくる。 「ゃ、やめろ、見るな……っ」 「興奮し過ぎだ。ここまでくりゃ、寧ろ見てほしくてわざとやってんだろ」 「ん、んなわけ、ねえ……っ、ぁ……」 必死に裾を伸ばして下半身を隠そうとするが、こいつはそれを邪魔しやがる。 限界まで膨らんだそこを揉まれ、逃げようとすれば既に濡れていた下着の中へとやつの指が入ってくるのだ。 「ぁ、ま、待て、四川……っん、ぅ……ッ!」 「ケツの穴まで締めてんじゃねえよ。ほら、いい加減諦めて股開けよこの……ッ!」 「い、言い方……っ! 最低なこと言ってんぞ、お前……っ! ぁ、ん、待……ッ、ぅ、」 硬い指先がケツの穴へとねじ込まれていく。 やめろ馬鹿と下半身に力を込めるが、そんなこともお構いなしに寧ろ中を解すように追加される指に息を飲んだ。 そこは、さっきまで笹山に犯されてた――。 「……っ、お前、さぁ……っ」 そんな思考が過った時、四川の眉間に皺が深く刻まれている事に気づいた。そして、あからさまに不機嫌な声。 「ぁ、な、なに……?」 「何、じゃねえよ。なんだよ、これ」 渇く暇もなかったそこを指で掻き回され、熱と疼きが蘇る。腫れたままのそこは少しの刺激でも辛いというのに、この男は。 「し、しせ、ゃ、もっと優しくしろよ……っ!」 「うるせえ、しっかり解されてきてんじゃねえよこの……ッ!」 「んっ、ぁ、ちが」 「違わねえだろ、なんだよこのほかほかケツマンはよ!」 「ひ、ぅ゛……っ!」 新作肉まんみたいに言うなという俺のツッコミは前立腺を押し上げられたことにより途絶えてしまう。四川の長くて細くはない指にゴリゴリ乱暴に前立腺圧し上げられんの、悔しいけどめちゃくちゃ気持ちよくて腹立つくらいチンポに響く。 「ぅや、しせ、ん゛、んん〜〜……っ!」 「あいつに随分遊んでもらったらしいじゃねえか、そりゃ良かったなぁ? ……んで、物足りなかったから二本目俺を誘ったってか?」 「ち、ちが、ぁ」 「違わねえだろ、クソビッチが」 「ぁ、ちが、んん……っ、ひ、く……っ!」 「……っ、言っとくけど、俺はあいつの代わりになるつもりはねえからな」 限界まで勃起し、たらたらと先走りを垂らす性器を握られる。根本を握られたまま中を指で掻き回され、浅いところを揉まれるだけで行き場を失った熱が腹ん中で混ざり合うのだ。 そんな状態で浅いところ指でマッサージされ続けるなんて拷問に等しい。 「っ、し、せん、や、指ぃ……っ!」 「簡単にイくなよ、お前ただでさえすぐへばるからなあ? おい、そのままケツ締めとけよ」 「ん、ひ……っ!」 物理的な寸止め状態のまま中に残っていた笹山の精液を掻き出した四川はそのままぐっぽりと開いたケツから指を引き抜く。そんな刺激ですら甘イキしそうになりながら俺は四川の腕にしがみついた。 「ふ……っ、ぅ……」 「……は、間抜け面」 「う、るひぇ……え゛」 言い終わる前に、目の前で下着の中から性器取り出される四川のブツに目が奪われる。相変わらず目の毒レベルの凶悪さだ。反り返ったそれを人に見せつけるかの如く握りしめたまま人のケツの穴に擦りつけてくる四川に「おいいぃ……っ」となんとも情けない声が出てしまう。 「な、にゃ、んで勃起してんだよ……っ!」 「うるせえ、お前の方こそチンポ欲しそうな顔しやがって……っ!」 「し、してねえし……ぃ、あ、んん……っ! こ、すりつけんのやめろ……っ!」 「擦りつけてきてんのはお前だろうが」 さっきから黙っていれば当たり屋みたいなこといいやがって。 少しでも力を入れればそのまま中に入ってしまいそうな体勢のまま、ガチガチになったそれが肛門の上を這いずってはカリが引っかかる度に体が反応してしまう。 「は、し、四川……っ」 「……」 「……四川?」 「俺が良いって言えよ」 何を言い出すんだこいつは。興奮したみたいに頬を上気させ、譫言みたいに囁きかけてくる四川についぎくりとした。真っ直ぐにこちらを覗き込んでくるその目は据わっている。 「……あいつより、俺のがいいって言え」 あいつって、笹山のことだよな。 普通に考えて笹山の方が優しいし良いやつだって分かり切ってるのに、何故だか四川があまりにも必死に見えてしまって言葉に詰まってしまったのだ。 「言え」と唇が触れ合いそうなほど近くで囁いてくる四川。覆いかぶさってくる四川に潰されそうになりながら俺は下半身、入り口にキスするみたいにちゅぷりと先走りを塗り込んでは頭を埋めてくるそれに目を開く。 「ぁ、しせ、ん」 「言えよ、原田」 「ずるい、お前……っ、卑怯だ、そんなの、ぉ……っ!」 「……っ、言えって言ってんだろ」 ぬぷ、と亀頭が入ってくる。その状態で動きを止める四川に俺は「おまえ」と回らない呂律で四川の胸倉にしがみついた。 「そ、そんなの、ぉ、脅し……みたいな真似……っ、ぃ、言うわけねえだろ、ぉ゛……っ、ん、う……っ」 腰を浮かせれば、さらに中へと四川のが入ってくる。それでも自分で動くには限界があって、「ふざけんな、鬼」と四川の胸にしがみついた瞬間、そのまま四川にキスされる。唇ごと噛みつかれるみたいに貪られ、それを拒むことも忘れて俺は四川の舌を咥えさせられた。 「ふー……っ、ぅ、んん……っ」 「ずりぃのはテメェもだろうが……っ、クソ、どういう神経してんだ、この……っ!」 「ぁ、う、しせ……っんん……っ!」 苛ついたように吐き捨てたとき、腰を掴まれたと思えば一気に奥まで貫かれる。内側から焼かれるような熱と質量に喘ぐ暇もなかった。 「四川」と開いた口を再び唇で塞がれたまま、再びずるっと引き抜かれかけたそれをまた一気に奥まで叩き込まれる。 「んっ! ふ、ぅ、う゛……っ! んぅ、ぁ、しせ……っん、う……っ!」 ケツがぶっ壊れる、という俺の悲鳴ごと粘膜が擦れる音と皮膚がぶつかる音で掻き消される。 前立腺を削るように刺激し、そのまま奥、閉じた天井を突き上げられる。それだけでイキそうになるものの、しっかりと性器を握られてるせいで射精することができない。 「……っ、は、結局お前が好きなのはこれだろ? ……なあ、この変態野郎」 「ぁ、ちが……っ、ひぅ、や、四川……っ!」 「違わねえだろ……っ、クソ、苛つくな……っ!」 「ぁ、んううっ!」 ばちゅん、と奥まで性器を叩き込まれたと同時に頭は真っ白になる。 なんだよ、お前だって俺よりもこういうことが好きなくせに。 ムカついたしそれなりにショック受けてる自分にも驚いたが、それもすぐピストンで中をぐちゃぐちゃにされて掻き消される。 射精することができないのに何度も絶頂感だけはしっかりと神経に刷り込まれていき、その度に四川は俺にキスした。 腹立つのに、ムカつくのに、なんか必死になんてるこいつを見てるとよくわかんねえけど、胸の奥が変な感じになるのだ。 けど、だからって笹山と比べさせんなよ。 思いながら俺はその唇にこっそりと噛みつくのがせめてもの抵抗だったが、それがこいつにちゃんと伝わったかは不明である。 【続く】 next→ https://t589423.fanbox.cc/posts/7829645