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田原摩耶
田原摩耶

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嫌い嫌い大嫌いちょっと好き①※【↑100/9,800文字/√β軸ヤンデレ志摩×齋藤】

「志摩の……お兄さん」 「そうだよ。って言っても全然似てないけどね。あいつは図々しくて馴れ馴れしいから気をつけなよ。嫌ならハッキリ嫌って言わないと調子に乗るから」 「おいおい、随分な嫌われようだな」 「まあ概ね正しいですけどね」  寮長室。志木村が持ち込んだコタツに入りながら、俺、志摩、裕斗、志木村の四人で謎に向き合っては積み上げられたミカンを頂戴していた。  とはいえど季節はすでに夏に片足を突っ込んでる状態だ。最早電源の入っていないそれは卓袱台として扱われていた。 「それにしても亮太に友達がいるなんてな、知ってたか? 志木村」 「いえ、僕はなにも聞いてませんでしたから」 「一々報告するのもおかしいですからね。……ってか、人聞き悪くない? 俺にだって友達の一人や二人くらいできるよ」 「散々人を選んできておいてよく言うな。お前が友達と認めたやつなんて、俺は聞いたことないぞ」 「あんたが聞いてこなかっただけでしょ」 「し、志摩……」  せっかく休学していたお兄さんが復学したというのに、和気藹々とは程遠い志摩の態度に少しハラハラしてきた。けれど、裕斗は志摩とは対象的に朗らかな性格の持ち主のようだ。志摩の嫌味を気に留めることなく、寧ろ楽しそうに笑いながら「それもそうだな」と悪びれもせず肩を揺らす。 「けどま、安心したぞ。俺が休学中お前がちゃんと学校楽しんでるか気になってたんだ」 「……お陰様でね。アンタのお友達のお陰で賑やかな学園生活は送れてるけど」 「ああ、伊織か? よかった。伊織のやつ、ちゃんとお前のこと見ててくれたんだな」  ――伊織って。  赤い髪の男の顔が過り、俺と志摩の間になんとも言えない空気が流れる。志木村と裕斗はそれを気付いてるのか、敢えてスルーしては新しくミカンをもいでいた。  裕斗が阿賀松側の人間だということは志摩から聞いていた。とはいえどアンチとはまた違う、阿賀松と唯一親友の男だと。  ますます信じられないし、寧ろ信じたくない気持ちの方が大きい。志摩は「本当、余計なお世話だよ」とぼそりと呟くのだ。 「ん? 何か言ったか?」 「別に何も。それより志木村さん、ここミカン以外ないんですか?」 「ああ、丁度お茶菓子のストック切らしてたんですよ。あとは僕のお夜食のスナック菓子しかありませんねえ」 「……そうですか」  志木村のテンポ感にもまだ慣れないな、と思ってると、「齋藤」とコタツの下、志摩に太腿を撫でられる。びっくりして顔を上げれば、「そろそろ行こうか」と志摩は口にした。触る必要はあったのだろうか、と思いながらも俺は頷き返した。 「あの、ミカン……ありがとうございました。ご馳走さまです」 「あれ? もう戻るのか?」 「俺達、誰かさんと違って忙しいからね」 「ええ、もしかして僕のこと言ってます?」 「……違いますよ。そいつに言ってるんです。というか、志木村さんは自覚はあったんですね」 「おやおや、言われちゃいましたか。相変わらず志摩君は手厳しいですね」 「誰かさんって俺のことか?」と時間差で反応する裕斗の隣、肩を竦める志木村に志摩は「冗談ですよ」と微笑む。冗談ではないときの笑顔だ。この二人は仲が良いのか悪いのかよくわからないな、と思いながらも俺は志摩に連れられて寮長室を後にすることになる。 「志摩、良かったの?」 「良かったって、なにが」 「せっかくお兄さんが帰ってきたのに……」 「……あのね、齋藤。俺がそんなにブラコンに見える?」 「見えないけど、その、もう少しゆっくり話したいこともあるんじゃないかなって思って……」  寮長室を出て、寮へと戻る途中の通路。  隣を歩いていた志摩はこちらを横目に見てくる。普段の貼り付けたような愛想笑いすらその横顔にはなかった。 「何か勘違いしてるみたいだから先に教えてあげるよ。俺は別にあいつが帰ってきたことを喜んでるわけじゃないからね」 「……え?」 「……その反応、本気? ……だとしたら、齋藤って俺が思ってるよりもずっと平和ボケしてるのかもしれないね。流石に心配になってきたよ」  普通の仲良し兄弟ではないとは思っていたが、先程話しているところを見た限り家庭環境に問題があるようにも思えなかった。それは反抗期とか思春期だとか、そいうことを含めているのだろうか。  そんなことを考えている内に気付けば志摩の部屋までやってきてた。別にこのあとどうするかという話をしていたわけではないが、「入りなよ」と志摩に促されては断ることもできなかった。  それから、少しだけ機嫌の悪くなった志摩と一緒に過ごすことになる。  裕斗が復学して、学園全体の空気がまたがらりと変わった気がする。一番変わったのは阿賀松だろう。阿賀松は寧ろ楽しそうで、対する芳川会長は俺の目から見たところ今のところ顕著な変化は見当たらない。  ――それと、俺自身も少しだけ変化はあった。  翌朝、食堂にて。 「よう、齋藤君」 「あ、ゆ、裕斗先輩……っ! おはようございます」 「おはよう。なんだ、亮太は一緒じゃないのか?」 「まあ……はい」 「喧嘩でもしたか?」 「いえ、そういうわけではないんですけど……」  少しだけ嘘を吐いた。喧嘩というよりは、志摩に一方的に詰られたようなものだけれども。  俺の表情から何か察したらしい裕斗は「はは、なるほどなぁ」と笑う。 「ま、あいつは臍を曲げやすい分機嫌も直りやすいからな。放っておいたら大丈夫だよ」 「あ、ありがとうございます……」 「いいって。それより、一緒に飯でもどうだ? どうも一人で飯食うのは味気なくてな」  そういえば裕斗が一人なのは珍しい。いつも志木村がいたからだ。裕斗のことは少し怖かったが、裕斗のことを知りたいという気持ちも確かにあった。「それじゃあ、お願いします」と頭を下げ、俺は裕斗と同席することになる。  裕斗のことを知れば知るほど、志摩と似ていないと思った。けれど、笑ったときの顔は志摩の面影はある。お兄さんなのだから当たり前なのだろうけど。  裕斗から小さい頃の志摩の話を聞くのは楽しかった。志摩自身、他人のことは根掘り葉掘り聞きたがるくせに自分の話はしてくれないから余計新鮮だった。 「ご馳走さま。それじゃ、今度は飯じゃなくて普通に暇なとき話そうな」 「は、はい。こちらこそ……楽しかったです」  食事を終え、これから手続き諸々で職員室に行くという裕斗とその場で別れることになった。俺もそろそろ登校する時間だ。そろそろ向かうか、と俺はなんだか久し振りに朝からいい気分で教室へと向かった。  向かったはずなのに。  ――教室。 「今朝、髄分とあいつと楽しそうにお話してたね」  席についた矢先だった。目の前に影が現れたと思えば、そこには志摩が立っていた。  おはよう、と出かけた声は志摩の第一声により遮られる。というか、その口ぶりからしてもしかしてつけていたのか。  食堂で会った裕斗のことを思い出しながら、「あいつって?」と敢えて聞き返せば「分かってるくせに」とそのまま志摩は自分の席に座る。 「もしかして、食堂にいたの?」 「いたよ」 「……声、かけてくれればよかったのに」 「何回か掛けようと思ったけど、髄分齋藤が夢中になって話し込んでいたからね」  やけに刺々しい物言いに、志摩が機嫌を悪くしてるのだと気付いた。だとしても、その理由はよくわからない。俺が裕斗と話したから?とはいえ、話の内容は志摩だったわけだ。別に悪口を言ってたわけでもなく、ただの昔話を聞いてただけなのに。 「……志摩」 「最初に言っておくけど、あいつは俺の兄貴だからとか気にしなくていいからね」 「え?」 「無理して付き合わなくていいってこと。誘われたら断った方がいい。特に、齋藤みたいな立場だとろくなことにならないから」  忠告のつもりだろうか。もしかしてまさか実の兄相手にまで嫉妬するのかと驚いたが、志摩の言葉を聞いて『なんだ、いつものやつか』と安心する自分もいた。  確かに裕斗の立場は特殊だ。元生徒会長で、芳川会長の先輩で、阿賀松の友達――俺が求めていた平穏から遠い人間でもある。  それに、裕斗が敵が多いということは志摩からちらりと聞いていた。「分かったよ」と俺は素直に志摩の忠告を聞き入れることにした。  志摩はそれ以上裕斗の話題に触れることはなく、それからはいつもの空気に戻っていたことにひとまず安堵した。  それが、裕斗がやってきてから数日の話だ。 「齋藤君、今日も一人で食事なのか?」 「あ、裕斗先輩……あの、志摩と帰るつもりだったんですけど、志摩、先生に呼ばれて……」 「ああ、そういうことか。丁度良かった、俺も一人で寂しかったんだよな。よかったらここ座っていいか?」 「は、はい……っ!」  食堂、テラス席にて。  向かい側の椅子を引いた裕斗は「じゃあ邪魔するぞ」とそのまま腰をかける。  学園生活送ってると裕斗とも何度か顔を合わせることになり、その度声をかけてくれる裕斗と話す機会は増えていった。最近は、志摩の小さい頃の写真をくれるということで連絡先の交換をしたりして、別れたあと夜にやり取りもする。  縁のように露骨な下心もないし、裕斗からの向けられる好意はカラッとしてて気持ちがいい。普段不用意に触れてくるような人間ばかりに囲まれていたのもあるからかもしれない、俺に気を遣わせないようにしながらも楽しませてくれる裕斗の隣は居心地がよかった。無論、そこにやましい気持ちなどはない。  けれどやはり、裕斗と接してるとどうしても志摩の顔がちらつくのだ。 「あの、裕斗先輩」 「ん? どうした?」 「先輩と志摩って、あまり仲良くないんですか?」 「ふ……はは、いきなり神妙な顔すると思ったら、なかなかぶっ込んでくれるな」 「あ、す、すみません……気になって」 「亮太からなんか言われたんだろ?」 「そ、それは……」 「ああ、別に気にしなくていいぞ。あいつは昔から、誰にでもああなんだ。捻くれものっていうか、反抗期ってやつか? 昔はまだ可愛げがあったんだがな」  肩を揺らし笑う裕斗は特に気にしてる様子はなかった。それから、「まあ、あいつは俺のこと嫌ってるぞ」とあっけらかんと応えてくれる。 「そ、そう……なんですか」 「……こうやって俺か誘うのは迷惑か?」 「あ、いえ、そういうわけじゃないんです。……それに、先輩と話すのは……楽しいので」  こんなに素直に自分の口から本心を吐露できる日がくるなんて。相手が裕斗だからなのかもしれない。それなりに照れ臭さはあったが、裕斗に変に誤解させて気を遣わせたくなかった。  裕斗は頬を緩め、「そうか、ありがとな」と俺の頭を撫でてくれる。突然触れられて驚けば、「ああ、悪い」と裕斗は慌てて手を引っ込めた。 「志木村にいつも言われてるんだった。……スキンシップ、普通触れられるのが嫌な人間がいるからやめた方が良いって」 「癖、なんですか?」 「ああ。頭を撫でると亮太が嬉しそうに笑ってさ、勿論今はしないぞ? けど、やっぱ褒めるときとかお礼を言うとき染み付いてんだよな、癖が」  そう照れくさそうに髪を掻き上げた裕斗は「ごめんな」と謝る。俺は慌てて首を横に振った。確かに驚いたが、頭を撫でられるのは苦手ではなかった。……緊張はするが。 「いえ、気にしないでください。……それに、俺、その、……一人っ子だったので、羨ましくて……憧れてたんです」 「憧れ?」 「……えと、その……お、お兄ちゃん……に」  言いながら激しく後悔した。俺にお兄ちゃんなんて呼ばれても迷惑だろう、裕斗だって。  頭では理解していたが、言い出したら止められなかった。結果的顔面に熱が集まり、恥を掻くことになってしまう。 「……そうか、お兄ちゃんか。……久し振りにそうやって呼ばれたけど、いいな」 「……せ、先輩……?」 「俺のことお兄ちゃんって呼んでくれてもいいんだぞ」 「そ、それは流石に……っ」 「はは、冗談だ。けど、そうか。俺も、齋藤君みたいな弟ができたらもっと可愛がるのにな」 「……ありがとうございます」  自分から言っておきながら、むず痒い感覚はずっとこびりついたままだった。  ……兄か。確かに、裕斗は理想の兄だろう。  けれど、そう考えると益々裕斗のような兄を持っていながらあんなに毛嫌いする志摩のことが不思議で堪らなかった。  その日はなんとなくむず痒い空気のまま裕斗に部屋の前まで送ってもらい、そして解散になった。 「お兄ちゃん……」  口に出して見るとムズムズする。  この年になって兄弟ごっこなんてやはり難易度が高い。けど、心の中でこっそり思う分には許されるのかもしれない。  そんなことを思いながらも自室の扉に手をかけようとしたときだった。いきなり、背後から伸びてきた手に手首を掴まれる。 「……っ!」  何事かと思い、顔をあげたとき。俺はそこで目を見張った。そこには笑顔の志摩が立っていた。 「し、志摩……」 「ごめんね、今日は一人で帰らせちゃって。……一人で大丈夫だった?」  ほんの一分ほど前まで裕斗がいたはずだ。分かってて尋ねてるのか、それとも本当にすれ違いだったのか。 「……大丈夫だよ」  それに、裕斗先輩が送ってくれたから。そう応えようと思って、やめた。後者だった場合わざわざ言う必要はないし、志摩が怒るとわかっていたからだ。  志摩は変わらず笑顔を浮かべたまま、「そう、ならよかったよ」と微笑む。浮かべているのは笑顔のはずなのに、何故こうも胸の奥がざわつくのだろうか。  嘘は吐いてない、ただ言わなかっただけだ。誰に聞かれてるわけでもなく言い訳を並べる自分が嫌になってくる。 「あの、志摩……」 「それより、扉開けてくれない? お土産買ってんだ、一緒に食べようよ」  言いながら、志摩は後ろ手に持っていたコンビニの袋を手にする。強引さはあるものの、志摩の方から話題を変えてくれたことにほっとした。 「分かったよ」と志摩に急かされながら、俺は志摩を部屋へと招き入れた。  越してきたばかりの部屋には物はあまりない。初めてのまともな一人部屋ということもあってか、俺にとっては広すぎる気がしてならなかった。  壱畝との同室を免れるため、担任に相談したところ、『丁度部屋が空いた』ということで急遽一人部屋を用意してもらうことになったのだ。  それはつまり長期休学か退学者が出たということなので、本来ならばあまり喜ぶべきでないのだろうが、今俺にとって一人になれる部屋は素直にありがたかった。  ……ほぼ毎日のように志摩が遊びに来ているが。 「齋藤の部屋、俺以外誰か上げた?」 「……志摩だけだよ、来たいなんて言う人。というか、知ってる人の方が少ないし」 「へえ、俺だけなんだ」 「……」  なんだか含みのある言い方が引っかかったが、志摩の言葉一つ一つに引っかかってはキリがない。  ほぼ手ぶらで突撃したお陰でソファーも椅子もなかったため、志摩から分けてもらった座椅子しか今この部屋の中に家具らしい家具はない。あとは備え付けの勉強机と椅子、それから冷蔵庫と洗濯機、テレビくらいだ。……まあ、これだけあれば十分なのだろうが。  冷蔵庫を開いた志摩はそのまま土産をしまっていく。志摩がこうして遊びに来る度になにかしら買ってくるため、今冷蔵庫の中は志摩からの土産しか入ってない。そして、志摩がいるときしか冷蔵庫を使うことはほとんどなかった。 「俺もここに泊まろうかな」 「え? ……志摩にも部屋があるでしょ」 「だって十勝と同じ部屋だよ? そんなの拷問部屋と大差ないよ。それなら齋藤との同室のが断然マシ」 「てか今日泊まっていい?」話題が錯綜しているな。それに、どうせやんわりと断ったところで志摩は居座る気満々だし、ちゃんと土産と一緒にお泊り用のセットを用意してきてるのを俺は知ってる。「いいよ」と答えれば、志摩は笑った。 「ありがとう、齋藤」 「……うん」  そのまま背後から抱き締めてくる志摩。体重に潰されそうになりながらも、そのまま猫かなにかのように顎の下を撫でられ、顔を持ち上げられた。重ねられる唇に全身が緊張する。志摩を受け入れるということは《こういう》ことなのだということも、最近では分かっていた。  それでもまあ、志摩に嫌われ変に攻撃的になられるよりかはマシなのかもしれない。ぬるりとした舌先が唇を割って入ってくるのを感じている内に、気付けば俺はカーペットの上に押し倒されていた。 「……っ、あの、志摩」 「なに?」 「…………電気、消して」  ほんの一瞬、志摩の表情が消えたと思ったのも束の間、志摩は「わかったよ」と渋々俺に応えてくれた。暗くなる部屋の中、シャツ越しに体に触れてくる志摩の手にただ好きにさせることにした。目を閉じ、時間が経つのを待つ。俺は、この時間が酷く嫌だった。志摩のことは、友達だったらいいと思ってる。けれど、少なくともこういう関係になることを望んではいない。  それでも自然と出来上がってしまった力関係では、俺は志摩に逆らうことができなかった。  ……裕斗先輩だったら、こんなことはしないのかもしれない。そんなことを一瞬でも考えてしまった自分を恥じると同時に、脇腹から胸まで伸びる手に声が漏れそうになる。 「……っは、ん……っ、ぅ……」  平らな胸を揉まれ、シャツ越しに這わされる舌に突起を穿られる。それだけで鼻から声が抜けていき、俺はそれを必死に耐えた。 「し、ま……っ、ん、ぅ」 「――今、他のこと考えた?」  不意に、片方の胸の先端を指で柔らかく撫でられ、ぞわりと全身の毛がよだつ。すりすりと硬く尖ったそこを指の腹で撫でながら、志摩は「考えてたよね」と畳み掛けるように続けた。 「っ、か、んがえてない……」 「本当に?」 「っ、ほ、んと……っ、ん、ぅ……本当に……っ」  表情までは見えないはずなのに、志摩が冷たい目をしてるのが肌で分かる。そう、と応える代わりに志摩は俺の乳首を咥え、舌で転がした。布越し、もどかしい刺激に息が漏れそうになる。 「っ、し、ま……っ」 「一人部屋って寂しいでしょ。俺がここにいたら毎朝齋藤起こしてあげられるし、制服着替えるのも手伝ってあげるよ。それに、……ずっと一緒にいれて便利じゃない?」 「それは、そうかもしれないけど」 「でしょ?」 「……っ、ん……っぅ……っ」  毎日、連日こういうことをすることになるという未来が見えていた。  志摩は一人が寂しいと言うが、俺にはあまりまだそこまで実感を覚えていない。確かに静かだと思うときは多々あるが、その静寂も嫌いではない。  そこが俺と志摩の相違点なのだろう。 「は、……っ、ぁ……っ、んん……っ!」  胸を好き勝手弄ばれてる間に下半身に熱が集まっていた。膝立ちになった志摩にそこを柔らかく膝頭で押し上げられ、甘い刺激が走る。 「っ、し、ま……っ、ん、ぅ……っ」 「たまには真っ暗な部屋も悪くないね。……隠れて悪いことしてるみたいで興奮するかも」 「……っ、……は……っ、ふ……」  みたい、ではなく、してるのだろうが。  思ったが、口にするのはやめた。重たくなった下半身を外から柔らかく刺激され、呼吸が浅くなっていく。焦らすような愛撫に耐えきれず、俺は自分の下半身に手を伸ばした。そのまま直接性器に触れようとして「駄目だよ」と志摩に手首を掴まれる。 「っ、ど、して……」 「齋藤、イッたらすぐ疲れて眠っちゃうでしょ? ……だから、駄目。俺と一緒に長く我慢できるように練習しようね」 「……っ、……志摩……」 「そんな泣きそうな声出しても無駄だよ、齋藤。……もっと俺とたくさんえっちできるように体力もつけなきゃいけないんだからね、分かってる?」 「っ、は……ッ、ぁ……っや、志摩……っんん……っ」  性器に直接触れることを許されないまま宥めるようにキスをされ、そのまま降りてきた志摩の唇に首筋を舐め上げられる。カリカリと乳首の先っぽを執拗に擦られ、その度に胸に広がる熱に耐えきれず何度も身を捩った。けれど志摩は俺を開放するどころか、重点的にそこばかりを優しく撫で、摘み、柔らかく乳輪ごと揉み扱いていくのだ。 「……っ、は……っ、ゃ、んん……っ、ぅ……ッ!」 「ふふ、すごい痙攣してるね。……ああ、駄目だよ、内股も禁止。ちゃんと足開いてね」 「っひ、ぅ……ッ、ふ、ぅく……っ!」  ぎゅうっと摘まれ、そのまま先っぽを執拗に撫でられる。すりすりと柔らかく、優しく、それでも着実に重ねていく快感を逃そうと必死に下半身をバタつかせるが、膝立ちになった志摩が邪魔で思うようにいかない。 「は、……っ、ぁ……ッ、んん……っ!」 「シャツの上からでも分かるくらい大きくなってきたよね、齋藤のここ」 「っ、ひ、し、ま、……っ、ゃ、……っ」 「もっとたくさん育てて、人前で出られないくらい恥ずかしい乳首にしようね」 「ぅ、う、ぁ……っ」 「ほら、逃げないで。……ちゃんと直接触ってあげるから、ね?」 「――っ、ひ、き……っ!」  シャツの裾を託し上げられ、そのままシャツの中に入ってきた志摩の手に柔らかく突起を潰され、大きく体が震える。それだけでも散々弄られ昂ぶった神経に取って刺激は強かったが、志摩は更にもう片方の乳首も同時に捏ね、転がし、柔らかく扱いていくのだ。 「ぁ、ん……っふー……っ、ぅ、……っんん、……ッ!」 「ほら、わかる? 齋藤。俺が毎晩弄ってるからかな、こんなに大きくなってさ、男でこんな乳首してるなんて本当……エロ過ぎ。普通のときでもシャツの上からでも分かるくらいになってきてるし、齋藤の胸見た皆思ってるよ。齋藤が乳首弄られ過ぎてこうなったんだって」 「っ、ゃ、めて、志摩……そこばっか……ぁ……っ!」 「やだよ。もっと大きくして感度上げてさ……っ、皆にわかるようにしないと。ねえ、齋藤は毎晩ここで気持ちよくなってますって。皆、猿みたいに齋藤オカズにするんじゃない?」 「っ、ゃ、い、やだ、志摩……っ、んん、……っふ、ぅ……っ、し、志摩……っ!」 「嫌じゃないでしょ、齋藤」 「……っはー……っ、ひ、ゃ、ち、くび……っんっ、ゃ、それ、いやだ、志摩……っ」  左右の胸を絞るように引っ張られたまま、先っぽを指で弾かれる。それだけで「んぅ!」と甘い電流が頭から爪先へと走り、腰が勝手に揺れてしまった。  肉体を作り変えるなどと恐ろしいことのはずなのに、耳元で囁かれる言葉に想像は掻き立てられ、全身が反応した。下着の中、すでにパンパンに勃起していた性器が腰の動きに合わせてぬめるように擦れ、それだけでもイッてしまいそうになる自分にもただ恐怖を覚える。  ただ一人、志摩は楽しそうだった。 「……冗談だよ、嘘に決まってるじゃん。齋藤。……齋藤は俺だけの齋藤なんだからさぁ、他のやつらにこの体をただで味わせてやるかっての。……ねえ、そうだよね。齋藤」 「ふ……っ、ぅ……」  出すに出せない、それでもミルフィーユのように重なった快感に放心していると、「齋藤、返事は?」と乳首の先を潰される。瞬間、太い針か突き刺さるような刺激に全身が痙攣した。 「っく、ひゅ、……ッ! は、はい……ッ!」  ぶわりと開いた毛穴から汗が滲む。飛び上がりそうになる俺の乳首を今度はよしよしと撫でながら、志摩は「なんで敬語なの?」と笑った。  それから、「ま、いいけど」と志摩は俺に唇を重ねる。  早く終わってほしい、朝がきて、いつもの志摩に帰ってきてほしい。思いながらも、俺は滲む視界の奥、ぼんやりと浮かぶ志摩の顔を見詰めていた。這わされる舌を招き入れ、乳首を優しく愛撫されながら余韻でまた腰が震える。  まだ朝になるまで時間はたっぷりある。その事実に絶望しながらも、与えられ続ける快感を貪ることしかできなかった。 【続く】

嫌い嫌い大嫌いちょっと好き①※【↑100/9,800文字/√β軸ヤンデレ志摩×齋藤】

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