深い森の中、一匹の魔物の腹を内側からカッ捌いて飛び出せば、イロアスとナイトが心配そうな顔をしてこちらを見ていた。 「……」 「す、スレイヴ」 「スレイヴ殿……」 俺はというと、怒りすらも通り越して冷静ですらあった。 この森に入ってからと言うもののイロアスたちは無視してなぜか魔物に一点集中で狙われ、このザマである。非戦闘員とはいえただの荷物持ちであるが、念の為腰に短剣を携えていたお陰でなんとかなった。 ……お陰様で全身唾液やら胃液やらでどろどろで乾かす暇もないが。 「はは、どんだけ好かれてんだよ。なんかおやつでも隠し持ってんのか?」 「……持ってない、そもそも荷物はそっちに置いたままだ」 「じゃあお前からいい匂いでもしてんのかもな」 心配する二人とは裏腹に、シーフのやつは完全に楽しんでいる。こういうやつとは元より知っていたが、今はただ頭にきた。睨み返せば、「おお、怖え」とわざとらしく肩を竦めるのだ。そんなシーフの横、俺の側までやってきたローブ姿の男は「酷い有様だな」と笑いながら治癒魔法をかける。 メイジ――この男がこの元凶だと俺はわかっていた。 証拠はないが、根拠はある。こんな面倒で陰湿で回りくどい嫌がらせをするような性格が捻れたやつだからだ。 「お前、何か変な魔法かけただろ」 ぽわ、と温かい光に包まれて擦り傷が癒えていくのを一瞥し、メイジを睨めばやつはただ笑う。 「そうやって人のせいにして安心したいのならそれで結構。好きにすればいい」 「質問に答えろ」 「答えはノーだな。けど、スレイヴちゃんが安心するために答えてやるとしたら……どうやら今のお前は魔物にとって好ましい状態のようだ」 「好ましいっていうのはどういうことだ?」 話を聞いていたイロアスが怪訝そうな顔でメイジに尋ねれば、「おっと、俺にそんなことまで言わせるのか?勇者サマは」と意味深に笑う。 「おい、イロアスに変なことを言うな」 「おいスレイヴ、へ、変なことって……」 「そうだな。つまり、極上の餌が転がり込んできたってところだ。この場合は餌というよりも――」 「……わかった。メイジ、それ以上言わなくてもいい。充分だ」 けほん、と気まずそうに咳払いをしたイロアス。 「待て、だとしてもなんで俺だ。俺は別に状態異常でもなんでもない。やっぱりお前がなんかしたんじゃないのか、メイジ」 「本当に自覚はないのか?」 「は?」 なんだその言い草は、と片眉を釣り上げたときだった。伸びてきたメイジの手が腹部に触れる。 こいつ、皆の前でなにするつもりだと「おいっ」と顔を上げたと同時に臍の下、下腹部をぐっと指の腹で押された瞬間全身の毛穴が開く。 「っ、ぉ、まえ」 「おっと……悪い、弱かったのか? ここ」 「待て、何をしてる」 「心配しなくてもいい、勇者サマ。ちょこっと触って確かめただけだ。どうやらスレイヴちゃんには自覚症状がないらしいからな」 メイジの指はすぐに離れたが、暫く圧された下腹部とその内側が熱く疼く。汗が溢れ、「メイジ」と睨めばやつは「俺は何もしていない」と両手を上げた。 「体質だったりそのときの体調によってもあるだろうが、どうやらスレイヴちゃんは今“発情期”の真っ最中のようだ」 「「は、発情……?」」 イロアスとナイトの声が綺麗に被っていた。 俺は――声を出すこともできなかった。だってなんだ、発情って。人間が発情なんて、というか発情ってなんだ。 ドクドクと全身を巡る血流の音までもが近く聞こえてくるようなほど過敏になってるのは分かり、動揺は大きくなる。 「待て、だとするとやはりスレイヴ殿は何者かの精神攻撃を食らったってことか? だったら早く治すべきでは」 「残念ながら違う、こいつはどうやらスレイヴちゃん自身の体質の変化とでも言おうか。だから俺にはどうすることもできないというわけだ」 「残念ながらな」とメイジは笑う。ちっとも残念だと思っていなさそうな顔で。 「発情なあ。こいつも一応は男だってことか?」 「まあそういうことだな……と言いたいところだが、説明が面倒だ。発情状態ではあるが、その体から発せられるフェロモンが効くのは人間相手ではない」 「……つまり、本当に運悪く魔物たちを引き寄せてしまっているってことか」 神妙な顔をして呟くイロアスに、メイジは「ご名答」と目を細める。 黙って聞いていれば益々意味が分からない。というよりも、分かりたくない。 なんで俺だけ。 「……なんとかしろ」 「無理を言うな、できないと言ったはずだ」 「魔物避けとか、色々できるだろお前は……っ」 「す、スレイヴ殿、落ち着け。何かあったら自分が貴殿を守ろう」 「もう既に一回丸呑みにされてんだから大丈夫だろ、一回も二回も大差ねえって」 「シーフ殿はまたそうやって……」 そんな言い争いをしつつ、取り敢えずなるべく魔物が少ない道を通るという折衷案で落ち着くことになる。 ひと悶着ありつつも、俺達は再び森の奥へと歩き出したわけだが……。 「スレイヴ殿ッ!」 「う、……クソ……ッ!」 巨大スライムに飲み込まれそうになったところを間一髪ナイトに助けられ、事なきことを得た。 どしゃりと地面に崩れ落ち、まだ体に残っている分裂したスライムの残骸を剥がしては投げ捨てる。 くそ、下着の中にまで入ってる。最悪だ。 「それにしても発情パワーはすげえな、さっきからモテモテじゃねえか。流石にキリねえって」 「そんな言い方するな、シーフ。……移動手段はこの森の奥を通る他なかったんだから」 「いっそのこと、そのままこいつを置いていってくれてやるって手もあるけどな」 「……シーフ」 「冗談冗談、荷物持ちは大事だからな」 「……」 俺だって好きでこんな目に遭ってるのではない。 ムカついたし悔しかったが、シーフの言いたいこともわかってしまった。 このままいちいち雑魚の相手までしていたら目的地につくまでに時間を要してしまう。それだけは、足手まといになるのだけは嫌だった。 「……っ、……」 服の下、足元から腿までずるりと這い上がってくるスライムの感触を堪える。足止めしようと伸びてくる触手を振り払い、俺は足を無理やり進めた。 これくらいならば、どうってことない。無視だ。自分に言い聞かせていたとき、「スレイヴ殿」と隣にナイトがやってきてぎょっとする。 「ナイト……」 「さっきも言ったと思うが、あまり気にしなくていい。……誰にでも不調なときはあるし、自分としても腕が鈍らずに済むのは有り難いと思う」 どうやら先程俺が何も言い返さなかったのを気にしてくれたのだろう。本当に、細かい男だと思う。 ――けど、正直今このタイミングじゃなければとも思った。 「大丈夫だ、気にしていない。……それに、あの男は腹立つが言ってることは確かだ」 「スレイヴ殿」 「……アンタは、優しいな」 少しだけささくれだっていた気持ちが落ち着いてきた、そう思った矢先だった。 下半身、腿から這い上がるように滑ってきたスライムが形を変えて奥にある窄みを撫でるのを感じ、思わず声が漏れそうになる。咄嗟に口を押さえれば、ナイトが「どうかしたのか?」と心配そうな顔をした。 ――こんなときに限って、最悪だ。 「……っ、大丈夫だ。ただ、少し……ん、目眩が……」 「目眩? それは大丈夫ではないだろう」 伸びてきた手に触れられそうになり、咄嗟に俺はナイトの手を避ける。今は、駄目だ。 「スレイヴ殿?」と驚いたような顔をするナイト。そんなやつの顔をまともに見れないまま、俺は「悪い」とだけ返す。 傷つけるつもりはなかったが、そう取られても無理はない。 「いや、こちらこそ……すまなかった」 「っ、……ナイト」 「メイジ殿から目眩に効く薬を貰ってこよう」 「いや……だ、大丈夫だ」 水のように形を変え、体積を減らしたスライムがどんどんと肛門の奥へと入っていく感覚が伝わってくる。歩いている途中何度か腰が抜けそうになるのを堪え、ナイトに異変を悟られないように取り繕う。 が、体内に溜まっていくスライムがどんどん腹の中で形を成し、肥大化しく異物感に汗は止まらない。そのままぷるぷると体内全体に内側から吸い付くように絡みついては這い擦る異物に喉の奥から震えた声が漏れそうになった。 「っ、ぅ゛……」 「スレイヴ殿、本当に……」 「だ、いじょうぶ、だから……ッ」 内側からエナジードレインを喰らい、目の前がピンク色に点滅する。人のエナジーを吸い上げて力を増し、体積を増やしたスライムが性器や胸元にまで集まってきた。 流石に、これ以上は。まずい、と頭で直感したがナイトの手は手こずらせたくなくて。なんでもないように取り繕って一本踏み出そうと広がった股の奥、本来ならば通常触れられない部分の閉じたその部位を通り抜けて更に奥まで這い上がって侵入してくるそれに耐えられず腰から力が抜けそうになったときだった。 いきなり背後から伸びてきた手に肩を抱かれ、思わず顔を上げる。 「め、いじ」 「……騎士サマ、お前は他の奴らと一緒に先に行っておけ」 「メイジ殿、しかしスレイヴ殿は……」 「ああ、大丈夫だ。なんたって本人が大丈夫と言ってるからな」 「ただの体力切れだ、回復したらすぐに後を追おう」そうメイジは俺から道具や薬が入った袋を取りあげれば、そのままナイトに手渡した。少し戸惑いながらもメイジの言葉を信用したようだ、「ああ、わかった。イロアス殿に伝えておく」とそのまま歩き出す。 見えなくなるナイトの背中。いつもだったら余計なことをするなと言いたいところだが、今だけは正直――少し助かった。 「スライム遊びが癖になったのか?」 「……っ、お前、気付いて……」 「俺に隠し事ができると思ってるスレイヴちゃんに驚きだ。……見せてみろ」 「い、いい……っ、こんなこと、大したことない……っ!」 「良いからこっちに来い」 木陰まで体を引っ張られ、そのまま着ていた服を剥かれそうになり慌てて抵抗するが、体内からエナジードレイン喰らい続ければろくに力も入らなかった。痺れるような指先はメイジの手を撫でることしかできない。メイジは小さく笑い、そして「いい加減学んだらどうだ」と笑った。 そして下半身、ぶるりと下着ごと脱がされたそこに這う水色のぷるぷるとした透明のスライムを目の当たりにした。宙を向き始めていた性器全体を包み込むスライムに息を飲んだのも束の間、メイジはそれを摘んで引き剥がす。メイジの手の中で音もなく蒸発するように消えるスライム。代わりに尖った性器だけが剥き出しになっていた。 「……っ、ぅ、……」 「ほら、あとはどこだ。……ああ、ここにも隠してたのか」 「か、くしてない……っ、俺は……ッ、ぅ、」 言い終わるよりも先に、メイジの手が胸と臀部に這わされるのを感じて思わず背筋がぴんと伸びる。 また触れられるのか。癪ではあるが、バレてしまった以上さっさと終わらせたかった。そう目を瞑ってメイジの処理が終わるのを待っていたが、胸を這うスライムの感触は消えない。 それどころか、乳首の先端――乳頭に尖った針が突き刺さるような痛みを覚えて「んっ」と思わず目を見開けば、メイジは退治するどころか人の反応を見ていた。 「おい、め、いじ……っ」 「なんだ?」 「……っ、……もういい、あっちに行け……ッ」 少しでもこいつを頼ろうとした自分を恥じた。ここまできたら自分でやる、と胸のスライムを掴もうと刺激した瞬間、ぶぢゅりと音を立てて分裂したスライムが両胸の乳首に吸い付いてきて「ひぐッ」と声が漏れた。 「っ、ぅ゛……ッ、ふー……ッ! ……く、そ……っ、なんで……ッ!」 「あーあー何やってるんだ、そんなにハマったのか?」 「ち、が……ッ、ァ……ッ!」 乳頭の窪みに細く針のように尖ったスライムが侵入してきて、眼球の奥が赤く染まっていく。何かが胸に注入されていく。やめろ、と無我夢中になって引き剥がそうとするが、悪手だった。 「ぁ、な、……ッ、ん、だ……ッ、これ……ッ」 「スライムの媚毒だな。力を失いかけた人間の体に注入し、体内でスライムたちの好物である魔素を生成させる。あとは魔素入りの母乳や精子を肉体が朽ち果てるまで永遠と搾り取られるというわけだ」 「な、ぉ゛……ッ、ひ……ッ!」 「その内胸も膨れだすだろう、お前の内側からも外側からもスライムたちに吸い取られ、力を蓄えたスライムたちは更に数を増やしてお前に群がる。こうしてこの森はスライムの森と呼ばれるようになるんだろうな」 「んなこと、言ってないで、助け……ッ、ぇ゛……ッ!」 「助けてほしいのか?」 わけのわからない液体が乳首の奥へと流されていくのが分かり、メイジの行ったとおり先程よりも胸が明らかに筋肉の動きでは有り得ない膨らみ方をし始めてるのを見て恐怖を覚えた。 膨らみ始めた胸をふよ、と、撫でメイジは笑う。 「助けてほしいのか、スレイヴちゃん」 「っ、おま、え゛……ッ」 「くく……そう怒るな、俺としては母乳が止まらなくなるスレイヴちゃんを見てみたいところだったがな」 「は、ぁ゛……ッ」 スライムたちに絡み取られ、引っ張られて伸びる乳首を捉え、そのままメイジはスライムたちを溶かすように乳首を撫でる。 残ったもう片方の胸も揉まれ、両方の乳首を柔らかく押し潰されれば甘い痛みとともにその尖った先端から残っていた媚毒がどろりと溢れ出す。あろうことかそれを拭い、人の胸に塗り込むメイジに「おいっ」と声をあげようとするが、叶わなかった。 「……ッぅ……ッ!」 体内に残ったスライムが暴れ出す。それと同時に胸に塗りこまれた媚毒は全身へと回り、風に撫でられるだけでも神経を直接触られたかのように震えた。 「や、め゛……ぇ……ッ」 「なんともない、大したことはない、一人でもなんとかできる――そう言っていたのはお前だったな、スレイヴちゃん」 「ふ、ぅ゛ッ」 肥大した乳頭をコリコリと潰されながら、引き伸ばされる。絞られるような感覚に頭の中が真っ白になり、堪らずメイジの腕にしがみつけばやつは背後で笑うのだ。 「は、……っ、ぅ、く……ッ!」 「早く戻らないと騎士サマも心配するんじゃないか」 「だ、まれ……っ、こ、の゛……ぉ゛……ッ!」 ぬぶ、ぬぷ、と音を立て、スライムが入り着いた内壁は焼けるように熱く痺れだす。これがメイジが言っていた媚毒の効果か。中にも腹の奥の奥、結腸の中に出される液体を拒むことも出来ずに膝から力が抜け落ちそうになるのをメイジは抱きかかえる。 「こっちにも出されたか」 「っは、ぐ……う゛……ッ」 「俺に甘えるよりもスライムの栄養になることを望むとはな」 「素直になればいいものを」と鼻で笑い、メイジは右手の手袋を抜き取った。そして、そのまま俺の臀部を這わせるのだ。長い指で臀部の谷間へと指を這わされ、そのまま柔らかく尻たぶを揉まれる。中に入ったスライムを潤滑油代わりに指をそのまま埋めてくるメイジに背筋が凍りついた。 「お、まえ……っ」 「どうした? ただの駆除作業だ、そのまま自分で空いた乳でも絞っていろ」 「俺には頼りたくないんだったよな?」と笑うメイジの言葉に反応するかのように奥の草むらが小さく揺れる。そして現れた犬のような魔物が頭を出した。地響きにも似た唸り声とともに尖った牙をむき出しにしたその口からは唾液がだらだらと溢れている。 咄嗟に短剣を取ろうとするが、メイジに止められた。 「お、い……っ」 「たまにはこういった趣向も悪くはないか」 「は、」 お前、何を言ってるんだ。 ハッハッと荒く呼吸を繰り返し近付いてくる魔狼の様子がおかしい。普段ならば獰猛な連中だが、鼻をひくつかせてはゆっくりとこちらへと近付いてくる。そして何を考えているのか、メイジはそのまま俺の片足を掴むのだ。 「っ、な、なに……ッ! やめろ、この……ッ!」 やめろ、と声を上げたときだった。足の下をくぐるように近付いてきた魔狼の鼻頭が大きく開かれた股の奥に押し当てられ、凍りつく。 「っ、く、ぅ……ッ」 やめろ、と身動ぐよりも先にべろりと長い舌で下半身を舐められ全身が震えた。舌から逃れようとするが、背後の男がそれを許さない。それどころか、「随分と大きな舐め犬だな」とメイジは笑いながら俺を抱きかかえるのだ。 「は、なせ、っ、やめ、んッ……くそ、おろ、せ……ッ!」 敵意はない、どころかなにかを勘違いしているのか魔狼が俺の下腹部に被い被さろうとしてくると覗く赤黒い性器を見て目の前が暗くなっていく。 まさか、発情を誘発させているのか。 はっはっと舌を垂らして開かれた肛門の入り口をざらついた舌で何度も執拗に舐められている内に頭がどうにかなりそうだった。 時折睾丸や先走りで濡れる性器すらも舐められれば、それだけでメイジの腕から落ちそうになる。 「め、いじ、っ、や、ッ、めさせ、……ろ……ッ」 「お強請りの仕方くらい教えただろう」 「……ッ」 こいつ、とメイジを睨めばやつは「延長戦がご希望か」と笑った。そして、あろうことかそのままメイジは俺から手を離したのだ。 「っぉ、まえっ! う゛、あ゛……ッ!」 地面に倒れ込むのも束の間、勢いよくのしかかってくる魔狼の前足で肩を押さえつけられ今度こそ起き上がれなくなる。「やめろ、退け」と押し退けようとするが、大きく毛むくじゃらの獣はビクともしない。それどころか更に興奮した様子で先程まで人のケツを舐めた舌で顔面をべろりと舐められ凍りついた。 「あっ、ぉ、い、止めろッ、メイジ……ッ! メイジ……ッ!」 「そいつは随分とスレイヴちゃんを気に入ってるようだ。……安心しろ、スレイヴちゃん。発情期の魔狼は雌には優しい。が、その交尾を邪魔した場合は雌の安全は保証できない」 「は、ぁ」 開いた口の奥、ぼたぼたと唾液が顔面へと滴り落ちてくる。鼻いっぱいに広がる獣臭に頭がどうにかなりそうだった。 そしてその下腹部、探るように腰を前足で捉えられる。やめろ、と逃げるようと立ち上がろうとしたのが悪手だったのだ。背中から被い被さってくる魔狼は俺の背中にしがみつき、そのままのしかかるように四つん這いになった状態で何度もむき出しになったそこに腰を押し付けられるのだ。 メイジの言葉の意味等理解したくなかったが。 つまり、それは――。 「まあ、治癒魔法くらいは掛けてやる」 「ぉ゛ま、え゛……ッ!!」 次の瞬間、柔らかくはなっていたそこに押し当てられる亀頭のような感触に息を飲むのも束の間。そのまま腰を埋め込まれれば運悪く体重をかけるように入り込んでくる亀頭に声が漏れた。 「因みに狼の交尾は基本、挿入してから勃起するという」 ――頑張れよ、スレイヴちゃん。 そう目の前、こちらを見下ろすように座り込んだメイジはにっこりと微笑む。その言葉を合図にするかのように中でドクンと脈打ち、先程よりも明らかに膨張する魔狼の性器に声すらも出なかった。 先程までとは比にならないほどの太さ、そして高く鋭利な亀頭に更に奥まで腰を一気にねじ込まれた瞬間俺は一瞬確かに意識が飛ぶ。 あいつの楽しそうな笑顔だけがやけに鮮明に焼き付いていた。