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拡張現実系デジタルカルトに 洗脳されたゲーマーカップル【上】


イラストはいっちゃお♪紫芋れんさん。

https://twitter.com/kurumi_moi

https://www.pixiv.net/users/29458683


「シャイニングワールドシステム…ですか」

 例によってSAOの生き残りとして内閣の人に相談を受けたキリトが繰り返す。

 政府関係の頼まれごとで新しいARシステムを試すことになったのが数日前。目の前にそのためのメガネっぽいデバイスがあった。ポーリッシュグラスというらしい。この眼鏡をつかったARシステムによって信者を増やしている宗教団体があるらしい。ARによってそんな事が可能なのか相談を受けたのだ。

 だから当面はこれをつけて生活することになりそうだ。絶対スグやアスナにいじられるやつだ。

 いじられたらどう言おうか、そんなことを考えながらその眼鏡をかける。

「明度が上がった…のか?」

 ポーリッシュグラス、その名の通り視界が磨かれたようにクリアに感じる。現実よりも明るくて楽しそうだ。

「ARにこんな使い方があったなんて…」

 景色自体にそれほど大きな変更はないのに、色味が変わるだけで印象は随分変わってしまう。

『散歩に行きましょう』

 画面に表示される文字。グラス自体は普通の眼鏡なので通行人が俺の姿に違和感を感じることはないはずだ。だけどこれは…世界が輝いている気がする。道路は塵一つなくて、店先の商品は全部輝いて見える。ひょっとしたらクスリをやっている人間の見ている世界はこんなふうなのかもしれない。

『おめでとうございます。キ■ガヤカズトアップデートされましたver.1.01です。輝くバージョン2.0を目指して頑張りましょう』

 そう表示され、眼鏡のつるの部分についているらしい骨伝導イヤホンから無駄に壮大な音楽が流れる。


 シャイニングワールドシステムをポーリッシュグラスごしに受容し始めた翌日、アスナとデートする。

「キリトくん、おまたせ」

 そう言って微笑むアスナはいつもどおりのはずだ。そのはずなのに、なんだか淀んでいる気がする。

「顔色悪いぞ。大丈夫か?」

「やだなぁ、見ての通りいつもどおりよ」

 具体的に何が悪いか言えはしない。それなのにどこかポーリッシュグラス越しに見るアスナは淀んで見える。明るい笑顔もどこかいびつで、まるで俺のことをあざ笑っているみたいだ。考えすぎだってことはわかる。このグラスのせいだってことも。

「もー、なんかおかしいわよ。ひょっとしてそのメガネのせいかしら」

 そう突っ込まれて俺はしぶしぶシャイニングワールドシステムのことをアスナに打ち明けた。

「うわー、すごいじゃん。こんな風に見せることができるのね!」

 試しに俺のポーリッシュグラスを貸してみたらそんな反応が返ってきた。同時に俺自信も衝撃を受ける。グラス越しではない世界がこんなに色あせてつまらなく見えるなんて。さっきアスナの顔色が悪く見えたのはアスナだけは加工されていなかったからだと気がついた。


「いつもいつもキリトくんってば自分だけリスクを取るんだから」

「そうじゃないとアスナもやろうとするだろ」

「もちろんよ」

 ポーリッシュグラスをかけ直す。レンズ越しにさっきより少し顔色のいいアスナがいた。

『輝く世界を共に歩みましょう!ポーリッシュグラスは地域のセミナーホールでご購入いただけます』

 俺たちの言葉のどれかに反応したのだろう。そんな文字が画面上に浮かび、ポーリッシュグラスの購入可能場所が表示される。。

 数分後には俺はバージョン1.02に、アスナは1.01になっていた。いつもより楽しくて、時間が勃つのさえ忘れてしまう。


 それからさらに数日がすぎる。たまたま時間ができたので待ち合わせしてアスナとランチをとる。クイッとグラスを持ち上げて、裸眼で料理を見る。盛り付けは雑だし、色味も良くない。いや、グラス越しに見える世界があまりにもパーフェクトなだけだ。そのギャップに嫌になる。いつの間にかシャイニングワールドシステムに依存しつつあった。頭ではわかっているがいざ感覚が変わると元の世界は受け入れがたいほど退屈でつまらなく見える。

 裸眼でアスナを見る。アスナもポーリッシュグラスをかけている。やはり、裸眼だとなにか物足りない。ずりあげたグラスを下ろす。いつもどおりのアスナに戻る。グラス越しだとポーリッシュグラスの存在は見えなくなるためお互いにグラスを掛けていても違和感はほとんどない。

「そういえばこの間親戚のシャイナーの人が教えてくれたんだけどね、シャイニングワールドシステムではバージョン情報が新しい人が古い人のメンターになれるんだって」

 シャイナー、シャイニングワールドシステムの仲間。無条件に輝いて見えるためわりとすぐに見つけられるし、そして俺たちは既に案外シャイナーが多いことに気がついていた。

「へー、そんなの全然気が付かなかったけどな」

「だって、バージョン1.1で実装される機能だもん。キリトくん、このコーヒー見てよ」

 そういってアスナが俺のコーヒーを指差す。

「オレンジジュースになっちゃえ」

 そういうと目の前のコーヒーカップのコーヒーが完全にオレンジジュースに変わる。焦ってグラスをずりあげると裸眼では普通のコーヒーだ。飲んでみるとオレンジジュース色のコーヒーだ。

「もー、焦ってグラスずらしちゃうなんて旧バージョンっぽくて恥ずかしいからやめてよね」

 そう冗談めかしてアスナが言う。

「まだ見た目が変わるだけだけど、なれてきたら味も見た目に引っ張られて変わるようになるんだって」

 そう楽しそうに言うアスナ。いつの間に彼女のバージョンがそんなに上がったんだろうか。

 

 キリトの目にはアスナの姿はさほど変化がないように見える。しかし実際の彼女はキリトのことを軽蔑するように見ていた。モジモジと以前はタイツに包まれていた生足を頻繁に組み換え、この退屈な時間が早く過ぎないかと願っている。旧バージョンのキリトに魅力を感じないのだ。でも、今日はマスターに会える日。この退屈な時間さえ終われば…シャイニングワールドで唯一人バージョン2.0に至ったお方に会える。胸がときめくのを感じた。目の前のデートのことがどうでもよく感じるほどに。


【残り6029字→ガチボッキプランに続く】

ポーリッシュグラスを通じて感覚を支配されたカップルはいつの間にか歪んでいく。キリトを裏切ってアスナが見たものは!?


フェラ/顔交換/常識書換/淫語/集団/宗教


挿絵差分2枚(立ち絵差分3枚を含む)

【 挿絵増量基金 】プラン以上限定


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