それから暫くして… むぎゅっ…むぎゅっ…むぎゅっ… 「んふーっ…んふーっ…」 私は大悟の部屋のベッドの上に座らせられ、先ほどと同じように上半身を拘束されていた。 しかし、身体の拘束は先ほどとは比べものにならないほど厳重になっている。 自由だった両手の拳には革製のミトンが嵌められている。 実はこのミトンは被せられた手を動かせないようになっており、指の動きは完全に封じられていた。 ミトンの手首の部分は小さな南京錠で外せないようにロックされているため、モゾモゾと腕を動かしたところで意味をなさない。 そして、口には突起物が入れられ、舌の動きを完全に止められてしまい、さらに突起物は顔の下半分をすっぽりと覆う革のマスクと一体化している。 マスクが顔に着けられることで口だけでなく、呼吸まで制限できるようになっている仕組みだ。 挙句の果てには耳当てのようなものもマスクに付属しており、私の耳を塞ぐ形になっている。 これは大悟曰く「イヤーマフ」という耳あてらしく、周りの音がほとんど聞こえないようになっていた。 「んむうっ…んぐううっ…」 マスク越しに必死に息を吸い込む私。 革の独特な臭いがするマスクを通すことで酸っぱい臭いに変換されてしまうが、呼吸を著しく制限されている私は贅沢を言っていられない。 いつもは口に布切れを詰め込んでからタオルや手拭いを顔に巻き付けられたり、ガムテープを口に貼られるシンプルな拘束だったのだが、今日の猿轡と拘束ミトンは今までにない拘束感と圧迫感があった。 私が大悟の方を見ると満足そうにうっとりとした顔をしている。 今に始まったことではないけれど、コイツは私を縛って猿轡をするのが性癖や趣味のような感じになっている。 当然、最初は私も縛られて猿轡をされることは嫌だった。 しかし、コイツに縛られることが増えてから変に慣れてしまったことや捕らわれのヒロインを演じているような不思議な高揚感を感じるようになってしまい、最近では縛られることも楽しんでしまっている。 それに縄で縛られることは抱き締められているような感覚もあるのだ。 それがちょっと気持ちいいような気もする/// 「っ…、………い」 ニヤニヤしながら何かを言っている様子の大悟。 しかし、耳を塞いでいるイヤーマフのせいでほとんど聞こえない。 (もう…何言ってるのよ…全然聞こえないよ…) 大悟の表情や性格から多分、私をからかうような言葉を言っているだろう コイツの顔に似合わずSっ気のある性格からそれは容易に想像できた。 「んうううっ!んぐっ…」 わざとらしく大悟を睨みつけて、身体を動かす私。 どうせコイツのことだ。 私を今日も玩具にして、おっぱいを揉んだりくすぐったりするに違いない。 (どうせエッチなことする気なんでしょ…この変態♡) 大悟の股間を見てみると、制服のズボン越しに男の子にしかないものが思い切り立っていることがわかる。 「うふふっ…♡♡」 (やっぱり…変なこと考えてるんだ。大悟のエッチ♡) マスクの裏で笑うと同時に割り切ったような感じる私。 正直、大悟に玩具にされるのは何度も言うように嫌いじゃない。 いつも「変態」だの「マゾ女」なんかの嫌味を言われるけれど、今日はイヤーマフのおかげでそんな雑音が遮断されている。 単純に気持ちいいだけのことになるかもしれない。 「……っ、………!」 ぎゅっ… 大悟が思い切り、私に抱き着いてきた。 何か言っていたみたいだけど私にはそれが聞こえなかった。 「んうっ…?」 (なんて言ったの?) 喋れないことをわかったうえで声を上げる私。 (どうせ何、言われても聞こえないんだから…) そう思っていると、大悟が小さなメモ用紙を私の目の前に出してくる。 何だろうと思ってそのメモ用紙を見てみると、何やら黒く文字が書かれていた。 『今日の猿轡されてるお前、すごく可愛い』 「んふううっ♡♡!!」 (はううっ♡♡!!) メモ用紙に書かれた言葉に思わず声を上げる私。 今までも縛られて猿轡された状態で色々なことをされてきたが、可愛いと言われたのは初めてだった。 はあ~、嬉しい♡♡ 可愛いだなんて思われてるなんて~♡ でも、猿轡されて可愛いってなんなのよ… マスクの裏で口元が緩み、目尻も思い切り垂れ下がっていることが自分でもよくわかった。 大悟の顔を見ると目が合った。 ものすごく嬉しそうな顔をしているコイツと少しの間のそのまま目を合わせたままだった。 「んっ…///んむっ…♡」」 沈黙のまま見つめ合うことに私が耐えられなくなる。 思わず恥ずかしくなって顔を逸らす。 私…今、絶対顔が赤い…♡♡ しかも、なんだか胸もキュンキュンして体温が上がっていく感じがしてキモチいい…♡♡ 正直、大悟とは友達以上の関係だとは思っていたけど、一線を踏み越えそうな気がする… コイツもコイツで少しとろんと目をさせているくせに目線はしっかりと相手の方を見つめてる。 そして、いきなり大悟の顔が私に近付いた。 ちゅっ…♡♡ 「んふうっ!?」 私のマスクに浮き出ている唇と大悟の唇が重なる。 私はマスク越しとはいえ、大悟の唇の生温かい温度が口周りにじんわりと広がる。 (何これ!!?大悟!!もしかして……) 間違いない。 唇を重ね合う愛の行為…「キス」だ。 今まで大悟とキスなんてしたこと無いし、心臓がバクバクする。 キスをされることが私の中で快楽へと変わっていく。 「んふううう…///」 恥ずかしさと快楽から思わず目を閉じてしまう私。 だって恥ずかしくて大悟の顔見れないんだもん…♡ 大悟は暫くマスク越しに私の唇を味わった後、顔を離す。 私がキスの余韻を味わっていると、大悟がスカートの先にハサミとベッドの隣のカラーボックスの上に鍵を置いた。 「……っ、………。」 相変わらず何を言っているかわからないけど、これもゲームの一環だということはすぐにわかった。 いつも大悟は私を縛って玩具にした後、私が縄抜け出来るかどうか試すように拘束を外す道具を近くに置くのだ。 おそらくこの鍵も拘束ミトンを外すための鍵なのだろう。 正直な所、このいつも以上に強力なこの拘束から脱出できる自信はないし、どうしようもないこともわかっている。 大悟はわずかでも脱出出来るような可能性があることを餌に必死になっている私の姿をみたいだけなのだ。 甘い言葉を私に伝えても変に意地悪な所は変わらない。 いいじゃない… 今までも何度か拘束から脱出したこともあるもんね。 そういつもやられてる私じゃないと自分に言い聞かせる。 幸い足は自由で、好きに動かせる。 足が動けばなんとか… そう思って行動しようとした矢先、大悟がベッドに寝転ぶ。 そのままベッドに身を預けたかと思うと、すぐに目を閉じた。 (まさか…コイツ…) 私の頭の中に悪い予感が走る。 「んむう―っ!?んふううぅーっ!!」 (こ、こらー!? 寝るな、大悟おー!!) 大悟に向かって大きく声を上げる私。 このまま、私を縛ったまま放置して眠ろうとしているのだ。 しかも、コイツのすごいところは目を瞑ったら最後、1分もかからないうちに眠りに落ちてしまい、しばらく目を覚まさない。 「んうううううっ!!!んごおおおっ!!!」 (ちょっと!!!このまま放置しないでよ!!!) コイツが寝てしまったら、いつ自分の拘束が解除されるか分かったものじゃない。 上半身をがっしりと拘束され、身動きも出来ず、叫びたくとも口に咥えさせられたマスクからは呻き声しか出せない私とそんな私を尻目に夢の世界に旅立っていく大悟。 私がこの拘束から解放されるのはまだまだ先のようだ。