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②(終)

                                                                                                                                                                                   狂三はその後、仕方なく白の女王(クイーン)を伴って寝室へと向かうことになった。  自分が普段過ごす部屋に自分の反転体――白い軍服を着た少女が居ることに酷く場違いさを感じる。 「さて、では始めようか」  白の女王は部屋に入るなりそう言って、先程のように狂三へにじり寄ってきた。 「ま、待って下さいまし……! その、もう少し心の準備というモノを……!」 「興が乗らないかい? なら、少し雰囲気を作ろうか」  言って、白の女王はパチンと指を鳴らす。すると、突然狂三の身体が光に包まれた。  それはまるで精霊が霊装を纏う時のような現象だが、その光が弾けた後に残ったのは、霊装とはまるで違う代物だった。 「なっ……!?」  着ていたはずの洋服が掻き消え、扇情的な下着姿へと一瞬で装いを替えられていたのだ。  突然下着姿に剥かれた狂三が、慌てて身体を手で隠す。 「いきなり何をしますの!」  霊装を造る要領で衣服を変化させたのだろうが、自分の分身のような存在が相手とはいえ下着姿を晒すのは憚られる。  それに、下着自体も妙に派手な赤黒のランジェリーに変わっている。腕には滑らかな質感のオペラグローブを纏い、レースのガーターベルトで黒のストッキングを留め、膝上まで伸びる繊細な布が脚を彩っていた。  狂三はキッと睨み付けながら非難の視線を送るが、女王は相変わらずの薄ら笑いで肩を竦めただけだった。 「とても良く似合っているよ、君らしい色だ。なにか不満かな?」 「あ、当たり前ですわ! こんな姿、なぜあなたに見せなければなりませんの……!」 「ふむ、一人だけ下着なのは気恥ずかしいかな? それなら……」  狂三の反応を受けてか、白の女王はもう一度指を鳴らした。すると、先ほどと同じように今度は白の女王の身体を光の粒子が覆う。  そして光が消えると共に彼女の衣服もまた、異性を、あるいは同性をも魅了するような蠱惑的な姿へと変わっていた。  狂三とは対照的な白のランジェリーに、ガーターベルトや細やかな装飾まで白で統一したエロティックな姿。  髪と瞳の色以外殆ど自分と同じ外見の少女相手に、狂三は不覚にもドキリとさせられてしまった。 「これでお揃いだね」  白の女王は身体を隠すような仕草も見せず、平然と下着姿で語り掛けてくる。  部屋の姿見を見れば、狂三の髪型も精霊だった頃のツインテールに変わっていて、より二人の外見がほぼ同じだということを自覚させられる。 「さぁ、そろそろ始めようか。あまり焦らされたくはないだろう?」 「誰も焦れてなどおりませんわ! ……で、でも、心の準備というものが……」 「身体が出来上がれば、心の準備は自然に整うよ。……拒む力も無くなる、なんて風にも言うけれどね」  狂三が言い淀むのも構わず、女王は抱きつくようにして身体を預けてきた。 「待っ……!」 「待たないよ」  抵抗しようとしても不完全とはいえ精霊の力は強く、肩を押されてそのままベッドに押し倒されてしまう。  仰向けに寝かされ、狂三の上に馬乗りになった白の女王が妖艶に唇を舐め、微笑む。  そして狂三の身体に重なるように自身も身体を寝かせて、こちらが何か言う間もなく、再び狂三の唇を奪った。 「……はむっ!? ぅむ、ちゅるっ、はふっ……」  準備を待たずいきなり唇を塞がれ目を白黒させる狂三。  霊力供給のためとはいえ、自分の反転体とキスすることになるとは、計画を立てている時には考えもしていなかった。  自分と同じ顔の少女とのくちづけは、酷く背徳的な行為に思えた。 「……ふふ、いい顔だ。驚きと、戸惑いと、僅かの高揚感。その小さな火種を育てていくのが、なかなか愉しいよ」  白の女王は愉快そうに言うと、すぐにまた桜色の唇を重ねる。暖かさと柔らかさに次いで、今度は荒々しく舌がねじ込まれ、口の中を蹂躙してきた。 「はぅ……チュルル、じゅるっ、ぬりゅぅ……うぅ」  他人の舌で口内を舐め取られる感覚に背筋が震えてしまう。唾液が絡まりあい、体温が溶け合う。  その舌使いは淫靡で、まるで独立した生き物のように口内を這い回り、歯茎や舌の裏まで舐め尽くしてくる。 「あ、ん……んくっ、ううぅ……っ」 「ン……ジュル、んれぇ……れちゅっ、ぺろ……」  身体を抑えつけられたまま、口の中を犯され続ける。組み伏せられ、抵抗できない状況で一方的に嬲られる感覚。  そんな屈辱的で性に合わない状況だというのに、狂三の身体は徐々に熱っぽくなってきていた。  霊力が、少しずつ供給されてきている。そのせいなのか、身体の内側から温かい心地よさが広がっていく。 「んはぁ……っ、はふ、ちゅく……」 「れろぉ、ぬりゅぅ……ぷはっ。ふぅ……感じるかい? もっと良くしてやろう……」  女王は狂三の口内を嬲り尽くしたかと思うと、今度は下着姿の身体に手を這わせてきた。 「ふっ……ぅんっ!」  手が腹部をゆっくりと撫でていき、豊かな乳房に触れる。5本のしなやかな指が乳房に食い込み、その形を淫らに歪ませる。  それでもなお有り余る柔らかな果実は、むにゅりと縦横に形を変えていった。 「ま……待ちなさ……っ、そ、そんなことまで許しては……いませんわよっ」 「そんなこと、とは……こういうことかな?」 「へ……? ふぁあンっ!?♥」  白の女王が、胸だけでなく下半身にも手を這わせる。  ショーツしか身に纏うものの無い下半身では到底そこを隠しきれず、容易く下着の中へ指の侵入を許してしまった。 「きゃふっ♥ や、やめっ……そこは、ダメ……ですわっ」  最も敏感な部位を指で触れられ、びくんと身体が仰け反る。  霊力が身体を高揚させてしまっているのか、それとも自分以外の人間にそこを触れられると、こんなにも感じてしまうのか。  自分で身体を慰める時よりも明らかに強い快感が、狂三の身体を駆け巡る。 「なるほど、こうすれば君は抵抗出来なくなるんだね」 「はあぁぁあ……♥♥」  拒絶の言葉も聞かず、白の女王は下着の中に入れた手を蠢かせ、その奥にある割れ目をなぞり上げた。  くちゅ……♥ と湿った音が小さく響く。  女性器が既に湿り気を帯びて、自分が長いキスやペッティングで興奮してしまっていることが露わになることがたまらなく羞恥心を掻き立てる。 「指先だけでこんなにも淫らに反応してしまうなんて、まるで無垢な少女のようだね」 「く、うぅぅうう……っ♥♥」  揶揄するような女王の言葉と、際限なく襲ってくる快感を耐えるように狂三は歯を噛み締め、身体をギュッと縮こませた。  そして掠れた声で、なんとか非難の言葉を紡ぎ出す。 「こ、こんなことをしても……霊力の、供給には……ぅああっ♥ か、関係ありませんわよ……!」 「それはどうだろう。霊力の受け渡しには相手の心を開く必要がある、なんて話も聞くよ。それになにより……時崎狂三が快楽に悶える様は、とても愉快だ」 「身勝手な、ことを……っ! ……ンッ、オッ♥」  白く長い指が、割れ目の中に沈んでいく。指の根本までが秘所に挿入されたかと思うと、そこで女王は指の関節を折り曲げ、ぐちゅりと膣内を掻き乱した。 「ぐひっ♥♥ いけま、せんわ……そ、そんなところまでっ……♥」  狂三はたまらず捻れた声を上げ、身体を震わせる。しかし女王の手が止まることはなく、むしろ手の動きを速めて快楽の波を煽り立てた。 「ふ、あ……あ゛あぁ……♥♥」  下着の隙間から溢れた蜜がシーツに垂れ、染みを作っていく。  ぐちゅ♥ ぬちゅ♥ ねちょ♥  その淫猥な音が催眠のように脳へ染み込んでいき、狂三は身体中を蝕む熱を振り払おうと首をブンブンと横に振った。 「暴れてはいけないよ。素直になれないなら、もっと強くするしかなくなるからね」  膣を舐る手から逃れようと悶える狂三を抑え込むように、白の女王は身体を強く抱きしめて、挿入した中指でフックを引っ掛けるように膣奥を抉った。 「お゛……ッ!?♥♥ お゛、ほぉぉおぉっ♥」  瞬間、狂三は目を見開き、脚先でベッドシーツをギュッと掴む。  これまでとは比較にならない快感に、視界が一瞬真っ白に染まり、呼吸が止まる。 「……ッッッ! ぅう……はーーッ♥ はぁーーッ♥♥」  なんとか呼吸を再開させ、涎を口端に垂れ流しながらも必死に空気を取り込み、混乱した頭を落ち着ける。  しかし落ち着いたのも束の間、白の女王は再び同じ場所を指の腹で擦り上げてくる。  ぐりゅっ♥ ごりっ♥ ぬちちっ……♥ 「ん゛っ!? ♥ あ゛っ、あああ!♥♥ あがっ、うくううぅうう♥♥」  敏感な穴を細い棒で掻き回される耐え難い感覚。  霊力で満たされていく心地よさと、下半身から生じる熱が溶け混じり、暴力的な快感になって全身に行き渡る。  激痛にも耐えられる精神力を持つ時崎狂三が、少女の指先一つによって情けなくのたうち回る様を晒してしまっていた。 「や、やめ゛っ♥♥ あ゛あ゛あああぁあっ♥♥」  狂三の制止も聞かずに白の女王は指を動かし続ける。指腹で膣壁をこそぎ落とすようにしながら出し入れを繰り返し、時折指を曲げて天井部分をグリグリと押し潰す。  その度に狂三の口から出したことのない声が溢れた。  その嬌声を途切れさせないように、女王の指は幾度も性感帯を擦り上げる。 「あ゛ッ♥ や、やっやめっ♥♥ あぎぃっ!♥ お゛ぉっ♥ ンぉぉおおおっ……お゛ぉんっ!!♥」  声を上げる度、理性が擦り切れていく。気付けば秘処から溢れ出た愛液は女王の手首までを濡らし、シーツに屈辱的な染みを作っていた。 (これっ、もう……っ♥ ダ、ダメに……なってしまいま、すわ……っ)  快楽の波に飲み込まれ、思考が蕩けていく。  そしてそのまま為す術無く絶頂へと押し上げられようとした時、再び女王は唇を重ね、絶頂に喘ごうとする狂三の口を塞いだ。 「んんっ……!? むううぅう♥♥ ン゛ン゛ンンッ――――!!!♥♥」   ジタバタと足掻こうとする狂三を抑えつけながら、舌で舌を絡め取り、指先で膣奥を突き上げる。  刺すような快感が脳天に突き抜け、狂三は激しい絶頂に背中を仰け反らせた。 「むう゛うううぅうう♥♥♥ じゅるっ♥ ぢゅる……ふっ、んんんんんっ♥♥♥」  視界が白一色に染まり、身体中から力が抜ける。  しかし、それと同時に霊力が身体に注入されていく感覚が身体を包み、今まで知る絶頂とは比べものにならないほどの甘美な幸福感を狂三は味わう。 「……そろそろ頃合いかな」  白の女王は絶頂に打ち震える狂三の様子を確認すると、片手を胸の前に置き、手のひらを天井へ向けた。  すると、その手のひらの上に先ほど白の女王が生まれた時のように、霊力を固めた結晶が生成される。 「行くよ。意識を強くもちたまえ」 「はひ……?」  イキ果て朦朧とした意識で女王の声を聞き、狂三は何も考えず疑問の声を発した。  そして白の女王は生み出した霊結晶を狂三の下腹部に押し当てると、躊躇なくそれをぐんっと押し込んだ。  結晶が飲み込まれるように腹部へ埋まっていく。その瞬間――。 「ひっ……ぎいぃいいいいいいいいいっっっ!?!?」  絶頂で発散されたはずの快感が一瞬で蘇り、子宮で爆発的に膨らみ、炸裂した。  霊力が蘇る副作用なのか、凄まじい性的快楽が身体を襲い、狂三は一瞬にして連続の絶頂に達した。 「な、なんですの、ぉおおおお♥♥♥ うひいいいぃいい♥♥ イッくううううううう♥♥♥」  許容量を超えた快楽が持続的に下腹部を襲い、足腰がバイブレーションを当てられたように痙攣する。  秘処からは潮が吹き出し、絶頂がいつまでも収まらない。 「ぬひっ、ぬひひっ、ひいいぃいっ♥♥ と、とまっへぇええええ♥♥♥」  気絶しそうな程の快感に、しかし脳が覚醒しきって意識を飛ばすこともできない。  快楽に叫ぶ狂三を、白の女王は愉快そうに、あるいはただ無慈悲に眺めていた。 「あ……ああ゛ああぁぁああっ!」  狂三は発狂したように叫ぶ。  そして身体が淡く光り輝いたかと思うと、その左目が黄金色の輝きを灯した。  再び狂三の目に時計の文字盤が宿り、精霊の力が復活したのだ。 「はあぁ……はああぁ~……」  そうなってからやっと霊力が流れ込んでくる感覚は収まり、長い絶頂もまたようやく途絶えた。  狂三は肩で息をしながら、ぐったりとベッドの上で力尽きる。 「お疲れのようだね。おめでとう、望み通り精霊の力を取り戻せたよ」  倒れ伏す狂三を上から眺めて、白の女王がニッコリと笑う。 「よ……よくも、やってくれましたわね…………」  恨みがましく女王を睨みつける狂三だったが、快感と披露に浸かったその目には、相手を怯えさせるような迫力は無かった。  そのまま暫くの間、狂三はじっとりと肌を濡らした汗が乾くまで、ベッドにその身を預けるのだった。 「わたくしにこんなことをして、ただで済むとは思っていませんわよね?」  息を整えた狂三は、怒気を込めた口調で白の女王に詰め寄った。 「ふむ? 君が望んだ通りにしたと思ったが……」 「こんなやり方は望んでいませんわ!」  しかし白の女王は悪びれもせず、むしろ心外そうに首を竦める。狂三は抗議の声を上げようとしたが、やがて無駄だと悟り肩を下ろした。 「はぁ……まぁいいですわ。とにかくこれで、また精霊に戻ることは出来たのですから」 「なら、この身はもう不要かな?」  白の女王が自身を示すようにして尋ねる。 「…………」  その自分とはあまり似ていない悠然とした態度へ、なんとも言えない視線を送りながら狂三は考える。  精霊の身体に戻ることは出来たが、これで目的が達成出来たわけではない。むしろ大変なのはここからだ。 「やるべきことは山積み……霊力の蓄えもまだまだ足りませんわ」  言って、狂三は自分が呼び出した彼の少女へ手を伸ばす。 「その身体を造って差し上げたのはわたくしで、その身体はまだ消え去っていない。……それなら、もう少しわたくしの役に立ちなさい」  差し出された手を白の女王は興味深げに見つめ、「ほう……?」と呟いた。  狂三は新たな計画を想いニヤリと口端を歪め、初めて白の女王に笑みを見せた。 「これから……手伝ってくださいまして?」  ダンスを誘うようなその手に、白の女王は鏡合わせのような笑みを返して、自らのの手を重ねた。 「あぁ、喜んで」

②(終)

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