小学校の子どもたちが、とあるテーマパークに遠足で来ていた。朝からアトラクションで遊び、お昼はみんなでお弁当を食べる子どもたちの声で、パーク内はとてもにぎわっていた。お昼過ぎになるとキャラクターショーを見ることになっていて、みんなイベントエリアに移動していく。大勢の子どもたちがお行儀よく席に座り、ショーの開始を今か今かと待ちわびている。しばらくして会場の照明が暗くなり、それだけでも会場は大盛り上がり。音楽が流れはじめると暗かったステージが一瞬で明るくなり、曲に合わせてショーを案内する司会のお姉さんが現れた。イベント内容もクリスマスの季節に合わせているらしく、お姉さんの衣装もサンタのようなデザインだ。子どもたちも大喜びで手を叩き、お姉さんが「みんなー!!!こんにちはー!!!!!」とあいさつすると、会場のみんなも大きな声であいさつをした。「12/25はクリスマス!!!イイ子にしてないと、サンタさんがみんなの家にプレゼントを持ってきてくれないぞー」と、ちょっとばかしイジワルな表情で子どもたちをおどかしてみせるお姉さん。どうやらクリスマスのショーは、イイ子にしていなかったキャラクターがプレゼントをもらえずに反省して…というものらしい。子どもたちの中には、お姉さんの話を不安気な顔で聞いている子もいたり、びっくりしたり笑ったりして聞いている子もいて、すっかりショーに入りこんでいるようだ。そして、いよいよパークのキャラクターたちを呼んで演劇をはじめようとする。が、その時、客席の方から「キャー!!」と女の子の悲鳴が上がる。みんなが何ごとかと思って声の方を向くと、暗くてよく見えないが「ブーン!!!」と虫の羽音が聞こえてくる。子どもたちが入場する時に、いっしょに入りこんでしまったみたいだ。しかし、ブンブンと羽音が大きく、怖くて泣いてしまう子も現れ、会場は大混乱となろうとしていた。そこで、司会のお姉さんは前かがみになりながら、遠くを見るようにおでこに手を当てて「おやおやー?イタズラ好きのワルイ子が紛れこんじゃったのかなー?」と演技をしながら子どもたちを落ちつかせようとする。スポットライトが客席にも当てられると、虫は光に引き寄せられてステージの方に一直線に向かっていく。怖がっていた子たちも飛んでいく虫を目で追い、照明にぶつかってステージの上にコロンと落ちたのを見届けた。優しい子たちが「お姉さん逃げてー!!!」と声を上げるが、お姉さんは「まったく…お騒がせな子だなー」とうんざりしたようにヤレヤレとジェスチャーをしながら、軽快な足取りでステージに落ちた虫に近づいていく。「女の子を泣かせるワルイ子はだれかなー???」といいながら虫のすぐ近くで立ち止まり、子どもたちの方に体を向けたまま、腕を組んで床を見下ろすお姉さん。すると、ステージに落ちてひっくり返っていた虫は、もがきながらもどうにか元に戻り、姿勢を整えて一瞬ジッとしたかと思うと、ふたたび羽を開こうとしはじめた。それを見たお姉さんは「どーやら反省はしてないみたいだ」と、呆れた演技で子どもたちを笑わせる。そして、「ワルイ子にはお仕置きが必要だ♡」といって子どもたちにウインクをしてみせたかと思うと、次の瞬間、お姉さんは左足を大袈裟に振り上げ、羽を広げた瞬間の虫を目掛けて勢いよく振り下ろしたのだった。大きなサンタのブーツがズシンッ!!!と音を立てて床を踏み締めると、虫はかすかにクチャッ……と虚しい音を立てて一瞬で踏み潰されてしまった。靴底と床の隙間に見える小さな虫は、いともたやすく頭を踏み潰され、体の隙間から体液を滲み出させている。子どもたちはというと、怖い虫を退治してくれたお姉さんに大喜びで、「すごーい!!!!」「やったー!!!!」「アリガトーお姉さーん!!!」と声が上がっていた。そして、「ちゃんと反省できたかなー???♡♡」と体を曲げながらわざとらしく左足のブーツをのぞきこんでみせるお姉さん。それと同時に左足がすこしだけ前に動くと、虫の体は靴底の下に飲みこまれるようにして轢き潰され、開きかけていた羽もグチャグチャにされると同時に、絞り出されるようにお尻からは情けなく体液をブチュッと飛び出させた。クチュクチュッ…という体が潰されていく時の小さな音は、楽しそうに笑っている子どもたちの声にかき消され、誰の耳にも届かないのである。そして、のぞき込んでいたお姉さんは、わざとらしく聞き耳を立てるようなジェスチャーをしながら「もうワルイことはしないね?」と虫からの声を待つ。しかし、数秒の沈黙が流れ、不思議そうな表情でわざとらしく大きなブーツのつま先をゆっくりと上げると、子どもたちに顔を向け「潰れちゃって何もいえないみたい♡♡♡」とおどけてみせる。子どもたちも手を叩いて笑い、お姉さんはすっかり子どもたちの心を掴んだようだった。たまたま紛れこんでしまった虫だったが、司会のお姉さんによって、ショーの一部として踏み潰されることになるなんて思ってもみなかっただろう。小さな命を大きなブーツで踏み潰すという一見残酷なことすらも、テーマパークの中では子どもたちを喜ばすエンタメの一つに過ぎないみたいだ。「じゃー…気を取り直して…」といいながら、たばこの火を足で消すように、特大のサンタブーツで小さな小さな虫の体をグチャグチャに踏み躙るお姉さん。バラバラになって跡形もなくなったのを確認すると、クルっと後ろを向いて左足を上げ、子どもたちに靴底を見せて「キレイになったかなー???」と聞いてみせる。子どもたちが元気にこたえると、「よーし!!それじゃークリスマスショーのはじまりだー!!!」という掛け声に合わせて音楽が流れ、何もなかったかのように演劇がはじまるのだった。 【続き https://mumum.fanbox.cc/posts/7107743 】