【skebでいただいたテキストのリクエストに、ちょっとした挿絵を追加しています】
夏が終わり、涼しくなってきたころの休日。あてもなく駅の周辺を友達と歩いていたサナは、クラスの男の子3人組と遭遇した。ニヤニヤ笑いながら「イイところで会ったな。今から肝試しやるからついてこいよ」と声をかけてくる男の子たち。どうやら公園で懐中電灯を拾ったらしく、すっかり肝試し気分になっているようだ。男の子の1人が「あっちの森の奥に誰も住んでない家があるの知ってるか?」というと、サナの友だちは「えー、そんなところ行っちゃダメだよー」と返す。しかし、怖い話が大好きなサナは、興味津々で「なにそれ!行きたい行きたい!」と大はしゃぎ。そして、「ほら!!行ってみよーよ!!」と友だちの手を引いて、男の子たちと森に向かうことに決めてしまった。
懐中電灯がつくことを確認して、騒ぎながら楽しそうに森へ入っていく5人。高学年になってすこしマセてきていたサナたちはこの日もオシャレをしていたので、手を引かれながら歩く友だちは「服汚れちゃうー」と不満そうに文句をいっていた。それに対し、サナは「ちょっとくらい大丈夫だよー」といって、お気に入りの編み上げブーツで茂みを踏み分け、落ちている木の葉や実を踏み潰しながらどんどん進んでいく。
はじめは、こんな昼間に肝試しなんてできるのかとも思っていたサナだったが、森の奥は思っていたよりも暗く、辺りが見えにくくなっていくのに連れて、みんなの気分も高まっていった。しばらくすると木と木の間に白い建物が見えてきて、男の子たちは「あったあった!」と指をさした。近づいてみると、たしかに森の中には1軒だけ家が建っていた。外観はそこまで汚れてはいないが、ところどころ窓が割れているのが見える。人が住んでいるようには見えないが、古い家という感じでもない。男の子たちは探検ごっこをしている時に見つけたといい、玄関までは入ってみたが電気がつかずその日は諦めたという。今日は懐中電灯があるからリベンジのつもりだそうだ。電気がつかずに諦めたことを、「怖かったんだー♡だっさー♡」と友だちが笑うと、男の子は「じゃー、お前から行ってこいよ」と懐中電灯を渡そうとする。しかし、「え、ホントに入るの!?ヤダヤダ!!アタシ絶対に入らない!!」と駄々をこねはじめ、男の子の持つ懐中電灯をサナに無理やり押しつけた。それに反してサナは「アタシから行ってイイの♡!?」とうれしそうに受け取った。すると、男の子たちは互いに目配せをし、サナに背を向けて相談をはじめた。ホントは先に入りたかったのだが、コソコソと「どうせ怖がってすぐ出てくる」だとか「もし何かあったら俺たちだけ逃げちまおう」だとかいう話をして、意地悪そうに笑いながら振り返る。そして「それじゃー、お前からな」と伝え、もう1人が「ちゃんと全部の部屋見てこないとダメだからな!」とつけ加えた。サナは友だちに「大丈夫だから行こーよー」と手を引くが、かたくなに断り続けていたので、しかたなくサナは1人で玄関に向かっていく。足元に気が回らず、家の前に放置された植木鉢を踏みつけるサナ。枯れかけていたが最後の気力で咲いていた草花は、サナのブーツによってトドメを刺されるように踏み潰され、グチュゥゥッ…とぬかるんだ土に押しこめられていった。
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mumum
2023-02-26 05:14:21 +0000 UTCzeroth1122
2023-02-25 16:39:47 +0000 UTC